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14章
助けを求める声⑤
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夕日が落ち始め、辺りが暗くなり始めると夜行性の魔獣の活動時間になる。
マングローブの林は魔獣の死骸で埋め尽くされている為に、死骸を食い荒らしにくる魔獣も出るが、ヒドラが暴れる為に近寄れずに様子を見ている・・・という魔獣がほとんどだった。
【刻狼亭】の従業員とヒドラが交戦をしていてマングローブの林は段々と地形を変え始めていた。
マングローブの林があった場所は木々の残骸が川になぎ倒され魔獣の死骸が残骸に絡まっている。
川を泳ぐ人食い魚達すら逃げ場を失い川に浮き始めていた。
「同時に首を落とすなら地面に頭を固定させられたらいいんだけど」
「ニクストローブの土魔法で固定できないか?」
「ヒドラは魔法耐性が強いから無理じゃと思うぞ?」
土竜ニクストローブは「やるだけやるかのぅ」と魔法を唱えヒドラの頭を1体ずつ土で固めていく。
5つの頭が土で固められ、重さで擡げると、1つの首が隣りの首を押しつぶし切り離し、新しい頭を再生させ、新しい頭は他の首に噛みつき首を落とすと再生という荒業をしてみせる。
「うげぇ!!」
「なんだそれー!!!」
「こりゃ、ワシの土魔法でも無理じゃな」
従業員が一斉攻撃で首を落とし回ってみるか?と、力技でいくか検討をし騒いでいると、リュエールがパンパンと手を叩く。
「はい!注目!聞いて!」
「若!もう大丈夫ですか?」
「大丈夫。魔力ポーションと疲労ポーション飲んだからね。で、僕がヒドラから再生力を吸収した方法だけど、5つの首のうち真ん中の首の根元にだけクリスタルが埋まってて、そこの近くに手を突っ込んだら僕の体も再生して怪我とか回復したんだ。つまり、そのクリスタルを取り出せれば再生は止まる・・・と、僕は考えてる」
魔獣に囲まれ、首元に刺したままだったナイフを取り返そうとヒドラの首元でナイフを抜いた時にヒドラが暴れてヒドラの首元に手が入り込んでしまった時に、自分の怪我が回復した事が分かり、ひたすら周りに集まる魔獣を倒してはヒドラの首元に手を突っ込んでの回復を繰り返して・・・出来たのがこの魔獣の死骸の山である。
リュエールの言葉に従業員が暴れまわっているヒドラを見上げ、やるしかないかー?と、自分の武器を手に持ち直し、やるしかない!と、小さな次期当主の言葉に頷く。
「【木々の歌は蔦歌】」
ギギギギギと音を立ててマングローブの木々の根がヒドラに絡みついていく。
リュエールと従業員が詠唱のあった方へ顔を向けると、木竜ケルチャが空で魔法を唱え、ルーファスが細長い槍をヒドラの尻尾のつけ根に振り下ろしていた。
「各員、首を落とせ!」
ルーファスの声に従業員が直ぐ走り出す。
「皆、真ん中の首にナイフが突き刺さってる場所!あそこにクリスタルがあるから取り出して!」
リュエールも指示を出し、首を落とす方へ回った従業員と背後から背中に飛び乗り自分の武器でヒドラの背中を斬り付けながら、首元を狙いに走る。
「再生したらすぐに叩き落せ!」
ルーファスが指示を出しながら手の平から鍵を出して空間に手を入れて新しい武器を出すとヒドラの首元に突き付ける。
「製薬部隊!痺れポーションをヒドラの傷口にドンドン入れ込んで!」
「ニクストローブ!土魔法で周囲に壁を造れ!魔獣が集まっているぞ!」
リュエールとルーファスが指示を飛ばして、お互いに指示がぶつからない様に従業員達を見て状況把握に努める。
「若!首元のクリスタルですが他の首元にも同じ物があります!」
「なら全部抜き取って!再生はそれが原因だよ!きっと!」
ルーファスが首元へ行き、手を振り下ろしてヒドラの肉を引き裂くと「リュー!抜き取れ!」と、リュエールを呼び、リュエールが赤く光るクリスタルを抜き取る。
「次、行くぞ!」
「はい!父上!」
従業員が抜き取ったクリスタル2個、ルーファス達が抜き取ったクリスタルは3個。
合計5個のクリスタルを抜き取り、リュエールの読み通り、再生能力が落ちたヒドラは首を3つ落とされ、2つの首だけで暴れ始める。
「おそらくまだ体のどこかに再生クリスタルがあるのだろうが、瞬時再生が出来ない時点でこちらに勝機がある、製薬部隊は各員に回復ポーションを配布したのち下がれ!各員、回復ポーションで回復次第、攻撃を開始しろ!」
製薬部隊が回復ポーションを各員に渡しながら走り回り、「ヒドラの内臓は傷つけないで下さい!貴重な薬剤素材ですからね!」と騒ぎながら撤収していく。
「製薬部隊がまた変なもん作る気だ!」と従業員が騒いで回復ポーションを飲み干すと狙いやすい足元や柔らかい腹を狙ってヒドラの体勢を崩して首を狙いに一斉に襲い掛かる。
ヒドラの首を切り落とし、再生クリスタルが他にないかを斬り付けながら探り、尾の根元にルーファスが突き付けた槍の先で再生クリスタルがひび割れて埋まっていた。
そのクリスタルを抜き去ると、ヒドラが完全に再生を止めた。
「終わった・・・?」
「終わった!終わった!」
ワッと従業員が「やったー!」と騒ぐと、ルーファスが手を叩く。
「お前達、まだ周りに集まった魔獣が居る事を忘れるな。あと魔獣の素材回収もある」
「そうだよ!皆、このままにしておいたら強行軍がまた出来るからね!あともうひと踏ん張り頑張って!」
ルーファスとリュエールの声に従業員が「うへぇ」と声を上げて似た者親子だ・・・と、項垂れる。
ここで元気なのは製薬部隊で「はい!皆さん、この部位は大事ですからね!集めて集めて!」と指示を出し、自らもナイフを片手に素材を集めていく。
「父上、この再生クリスタルどう思う?」
「レア素材だな。再生能力が凄まじいな・・・いや、待てよ・・・これは使えるか?」
ルーファスがハッとして口元に手を当てる。
「リュー、これでお前の弟が助かるかもしれない」
「え?シューに何かあったの?!」
「シューじゃない。新しい弟の方だ」
ルーファスの言葉にリュエールが「ええ?!」と言いながら、自分に新しい弟が出来た事を知る。
マングローブの林は魔獣の死骸で埋め尽くされている為に、死骸を食い荒らしにくる魔獣も出るが、ヒドラが暴れる為に近寄れずに様子を見ている・・・という魔獣がほとんどだった。
【刻狼亭】の従業員とヒドラが交戦をしていてマングローブの林は段々と地形を変え始めていた。
マングローブの林があった場所は木々の残骸が川になぎ倒され魔獣の死骸が残骸に絡まっている。
川を泳ぐ人食い魚達すら逃げ場を失い川に浮き始めていた。
「同時に首を落とすなら地面に頭を固定させられたらいいんだけど」
「ニクストローブの土魔法で固定できないか?」
「ヒドラは魔法耐性が強いから無理じゃと思うぞ?」
土竜ニクストローブは「やるだけやるかのぅ」と魔法を唱えヒドラの頭を1体ずつ土で固めていく。
5つの頭が土で固められ、重さで擡げると、1つの首が隣りの首を押しつぶし切り離し、新しい頭を再生させ、新しい頭は他の首に噛みつき首を落とすと再生という荒業をしてみせる。
「うげぇ!!」
「なんだそれー!!!」
「こりゃ、ワシの土魔法でも無理じゃな」
従業員が一斉攻撃で首を落とし回ってみるか?と、力技でいくか検討をし騒いでいると、リュエールがパンパンと手を叩く。
「はい!注目!聞いて!」
「若!もう大丈夫ですか?」
「大丈夫。魔力ポーションと疲労ポーション飲んだからね。で、僕がヒドラから再生力を吸収した方法だけど、5つの首のうち真ん中の首の根元にだけクリスタルが埋まってて、そこの近くに手を突っ込んだら僕の体も再生して怪我とか回復したんだ。つまり、そのクリスタルを取り出せれば再生は止まる・・・と、僕は考えてる」
魔獣に囲まれ、首元に刺したままだったナイフを取り返そうとヒドラの首元でナイフを抜いた時にヒドラが暴れてヒドラの首元に手が入り込んでしまった時に、自分の怪我が回復した事が分かり、ひたすら周りに集まる魔獣を倒してはヒドラの首元に手を突っ込んでの回復を繰り返して・・・出来たのがこの魔獣の死骸の山である。
リュエールの言葉に従業員が暴れまわっているヒドラを見上げ、やるしかないかー?と、自分の武器を手に持ち直し、やるしかない!と、小さな次期当主の言葉に頷く。
「【木々の歌は蔦歌】」
ギギギギギと音を立ててマングローブの木々の根がヒドラに絡みついていく。
リュエールと従業員が詠唱のあった方へ顔を向けると、木竜ケルチャが空で魔法を唱え、ルーファスが細長い槍をヒドラの尻尾のつけ根に振り下ろしていた。
「各員、首を落とせ!」
ルーファスの声に従業員が直ぐ走り出す。
「皆、真ん中の首にナイフが突き刺さってる場所!あそこにクリスタルがあるから取り出して!」
リュエールも指示を出し、首を落とす方へ回った従業員と背後から背中に飛び乗り自分の武器でヒドラの背中を斬り付けながら、首元を狙いに走る。
「再生したらすぐに叩き落せ!」
ルーファスが指示を出しながら手の平から鍵を出して空間に手を入れて新しい武器を出すとヒドラの首元に突き付ける。
「製薬部隊!痺れポーションをヒドラの傷口にドンドン入れ込んで!」
「ニクストローブ!土魔法で周囲に壁を造れ!魔獣が集まっているぞ!」
リュエールとルーファスが指示を飛ばして、お互いに指示がぶつからない様に従業員達を見て状況把握に努める。
「若!首元のクリスタルですが他の首元にも同じ物があります!」
「なら全部抜き取って!再生はそれが原因だよ!きっと!」
ルーファスが首元へ行き、手を振り下ろしてヒドラの肉を引き裂くと「リュー!抜き取れ!」と、リュエールを呼び、リュエールが赤く光るクリスタルを抜き取る。
「次、行くぞ!」
「はい!父上!」
従業員が抜き取ったクリスタル2個、ルーファス達が抜き取ったクリスタルは3個。
合計5個のクリスタルを抜き取り、リュエールの読み通り、再生能力が落ちたヒドラは首を3つ落とされ、2つの首だけで暴れ始める。
「おそらくまだ体のどこかに再生クリスタルがあるのだろうが、瞬時再生が出来ない時点でこちらに勝機がある、製薬部隊は各員に回復ポーションを配布したのち下がれ!各員、回復ポーションで回復次第、攻撃を開始しろ!」
製薬部隊が回復ポーションを各員に渡しながら走り回り、「ヒドラの内臓は傷つけないで下さい!貴重な薬剤素材ですからね!」と騒ぎながら撤収していく。
「製薬部隊がまた変なもん作る気だ!」と従業員が騒いで回復ポーションを飲み干すと狙いやすい足元や柔らかい腹を狙ってヒドラの体勢を崩して首を狙いに一斉に襲い掛かる。
ヒドラの首を切り落とし、再生クリスタルが他にないかを斬り付けながら探り、尾の根元にルーファスが突き付けた槍の先で再生クリスタルがひび割れて埋まっていた。
そのクリスタルを抜き去ると、ヒドラが完全に再生を止めた。
「終わった・・・?」
「終わった!終わった!」
ワッと従業員が「やったー!」と騒ぐと、ルーファスが手を叩く。
「お前達、まだ周りに集まった魔獣が居る事を忘れるな。あと魔獣の素材回収もある」
「そうだよ!皆、このままにしておいたら強行軍がまた出来るからね!あともうひと踏ん張り頑張って!」
ルーファスとリュエールの声に従業員が「うへぇ」と声を上げて似た者親子だ・・・と、項垂れる。
ここで元気なのは製薬部隊で「はい!皆さん、この部位は大事ですからね!集めて集めて!」と指示を出し、自らもナイフを片手に素材を集めていく。
「父上、この再生クリスタルどう思う?」
「レア素材だな。再生能力が凄まじいな・・・いや、待てよ・・・これは使えるか?」
ルーファスがハッとして口元に手を当てる。
「リュー、これでお前の弟が助かるかもしれない」
「え?シューに何かあったの?!」
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