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14章
助けを求める声④
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トクン・・・トク・・・。
心音が小さく弱くなり、音は消えてしまった。
そしてプツンと何かが千切れる音が聞こえる。
産声さえ上げることなく、自分の中から居なくなった赤ん坊の気配だけが伝わる。
ごめんなさい。
産んであげられなくてごめんなさい。
会うのを楽しみにしていたよ。
あなたが逝く場所が温かく優しい場所である様に、いつか私が同じ場所に会いに行くから、少しの間会えないのごめんなさい。
いっぱいいぱいお話をしてあげるから、それまでは待っていてね。
私の可愛い赤ちゃん。
朱里は深い眠りの中で謝り、祈る。
手から伝わる温もりに、ルーファスの手が自分の手を握っていてくれる事に、ルーファスの優しさが嬉しかったのと、子供を1人産んであげられなかった事に胸が締め付けられた。
眠る朱里の手を両手で包み込む様に握ってルーファスが朱里に話し掛ける。
「男の子だ。凄く小さい子だ。ミルアとナルアが生まれた時も小さすぎて大丈夫かと心配したが、もっと小さくてな。それでもオレに似ているのが判る顔立ちをしている」
ガチャっと病室のドアが開くとハガネが顔を出す。
「旦那、ヒドラ討伐組がリューの元へ到着した」
「状況はどうなっている?」
「魔獣達の強行軍が出来てたらしい」
「リュエールは無事か?!」
「ああ。リューならヒドラの再生力を逆に取り込んで、1人で強行軍を鎮圧してたみたいだ」
「・・・何をしたんだあの子は・・・」
「さぁ?俺もそこまでは解んねぇけど、討伐組が着いた時には魔獣の死骸が山になってる中でリューとヒドラだけが残ってたらしいからな」
「ヒドラは討伐出来そうなのか?」
「五分五分らしい。リューは今、製薬部隊に回復させられてる最中らしい」
「やはり、再生能力の高いヒドラ相手では難しいか」
眠る朱里の顔を見てもう一度手を強く握ると手を離し、ルーファスが下唇を噛みしめて立ち上がるとハガネに朱里を見ている様に言いつけて病室を出る。
待合室ではアルビーとシュトラールが魔力切れで魔力ポーションを飲みながら、差し入れのおにぎりと唐揚げにポテトサラダをガッツいていた。
朱里から取り出された赤ん坊は取り出した時には心臓が止まっていて、産医の処置で再び心臓が動き出したが自力で呼吸が出来ずにシュトラールとアルビーとテルトワイトが交替で命をつなぎとめている状態になっている。
一気に回復させると体に負担がかかる為に徐々に回復魔法を展開させているが、実はこの調整が魔力と体力を激しくすり減らす為に3人共、魔力と体力を回復させつつやっている。
「あ、ルーファス。アカリは目を覚ました?」
「いや、まだだ。そっちはどうだ?」
「今はテルトワイトさんの番。安定するまでは魔力回復しながらローテーション状態だよ」
「やはり難しそうか?」
「父上、オレ等は諦めてないからね。だから父上はそんな顔しないで」
「そうだよ!ルーファス。私達はあの子をちゃんとアカリの元へ元気な姿で届けてあげるまでは頑張るよ!」
「すまないな。お前達に頼る事しか出来ない・・・しかし、無理はするな」
「任せてよ。自分の弟なんだから絶対に助けるよ」
「心配しないで。それよりルーファスは何処かへ行くの?」
「リュエールの所へ助太刀に行く」
「じゃあ、リューに無茶しないでって言っといて」
「ルーファスが帰る頃には安定させとくからルーファスは気を付けて無事に帰って来ること」
「ああ。アカリと子供を任せた」
「任してよ」
アルビーとシュトラールに見送られながらルーファスが産院を出るとスピナとケルチャがやってくる。
「ルー、あたしの最速で送り届けてあげる」
「木々の多い場所ならアタシが手を貸してあげるわよ」
「2人共助かる。宜しく頼む」
「いいのいいの。でも振り落とされないでね」
「主君契約はしてないけど、いつも寝床とご飯を用意してもらってるお礼よ」
スピナがケルチャに「ただ飯食いの居候だもんね」と言い「お黙り!小娘!」とケルチャが言いながらルーファスに手を差し伸べる。
スピナの背に乗り、耳が痛くなるほど最速スピードを出され、温泉大陸を出るともう日は暗くなりかけ、オレンジと薄い青とのグラデーションが出来ていた。
心音が小さく弱くなり、音は消えてしまった。
そしてプツンと何かが千切れる音が聞こえる。
産声さえ上げることなく、自分の中から居なくなった赤ん坊の気配だけが伝わる。
ごめんなさい。
産んであげられなくてごめんなさい。
会うのを楽しみにしていたよ。
あなたが逝く場所が温かく優しい場所である様に、いつか私が同じ場所に会いに行くから、少しの間会えないのごめんなさい。
いっぱいいぱいお話をしてあげるから、それまでは待っていてね。
私の可愛い赤ちゃん。
朱里は深い眠りの中で謝り、祈る。
手から伝わる温もりに、ルーファスの手が自分の手を握っていてくれる事に、ルーファスの優しさが嬉しかったのと、子供を1人産んであげられなかった事に胸が締め付けられた。
眠る朱里の手を両手で包み込む様に握ってルーファスが朱里に話し掛ける。
「男の子だ。凄く小さい子だ。ミルアとナルアが生まれた時も小さすぎて大丈夫かと心配したが、もっと小さくてな。それでもオレに似ているのが判る顔立ちをしている」
ガチャっと病室のドアが開くとハガネが顔を出す。
「旦那、ヒドラ討伐組がリューの元へ到着した」
「状況はどうなっている?」
「魔獣達の強行軍が出来てたらしい」
「リュエールは無事か?!」
「ああ。リューならヒドラの再生力を逆に取り込んで、1人で強行軍を鎮圧してたみたいだ」
「・・・何をしたんだあの子は・・・」
「さぁ?俺もそこまでは解んねぇけど、討伐組が着いた時には魔獣の死骸が山になってる中でリューとヒドラだけが残ってたらしいからな」
「ヒドラは討伐出来そうなのか?」
「五分五分らしい。リューは今、製薬部隊に回復させられてる最中らしい」
「やはり、再生能力の高いヒドラ相手では難しいか」
眠る朱里の顔を見てもう一度手を強く握ると手を離し、ルーファスが下唇を噛みしめて立ち上がるとハガネに朱里を見ている様に言いつけて病室を出る。
待合室ではアルビーとシュトラールが魔力切れで魔力ポーションを飲みながら、差し入れのおにぎりと唐揚げにポテトサラダをガッツいていた。
朱里から取り出された赤ん坊は取り出した時には心臓が止まっていて、産医の処置で再び心臓が動き出したが自力で呼吸が出来ずにシュトラールとアルビーとテルトワイトが交替で命をつなぎとめている状態になっている。
一気に回復させると体に負担がかかる為に徐々に回復魔法を展開させているが、実はこの調整が魔力と体力を激しくすり減らす為に3人共、魔力と体力を回復させつつやっている。
「あ、ルーファス。アカリは目を覚ました?」
「いや、まだだ。そっちはどうだ?」
「今はテルトワイトさんの番。安定するまでは魔力回復しながらローテーション状態だよ」
「やはり難しそうか?」
「父上、オレ等は諦めてないからね。だから父上はそんな顔しないで」
「そうだよ!ルーファス。私達はあの子をちゃんとアカリの元へ元気な姿で届けてあげるまでは頑張るよ!」
「すまないな。お前達に頼る事しか出来ない・・・しかし、無理はするな」
「任せてよ。自分の弟なんだから絶対に助けるよ」
「心配しないで。それよりルーファスは何処かへ行くの?」
「リュエールの所へ助太刀に行く」
「じゃあ、リューに無茶しないでって言っといて」
「ルーファスが帰る頃には安定させとくからルーファスは気を付けて無事に帰って来ること」
「ああ。アカリと子供を任せた」
「任してよ」
アルビーとシュトラールに見送られながらルーファスが産院を出るとスピナとケルチャがやってくる。
「ルー、あたしの最速で送り届けてあげる」
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「2人共助かる。宜しく頼む」
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「主君契約はしてないけど、いつも寝床とご飯を用意してもらってるお礼よ」
スピナがケルチャに「ただ飯食いの居候だもんね」と言い「お黙り!小娘!」とケルチャが言いながらルーファスに手を差し伸べる。
スピナの背に乗り、耳が痛くなるほど最速スピードを出され、温泉大陸を出るともう日は暗くなりかけ、オレンジと薄い青とのグラデーションが出来ていた。
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