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13章
東国風のお姫様
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「ぶれいもの!」
「ぶれいもの!」
バシンと、扇子と扇子がぶつかり合い、キシッと音を立てる。
小さくて可愛い我が家のお姫様達が・・・何がどうしてこうなったのか?!!と、ルーファスと朱里が「え?」と間抜けな声を上げる。
「ミルア、ナルア・・・それは何の真似なの?」
「ミルア、ナルア、お姫様になるんじゃなかったのか?」
既にシュトラールは笑い転げ、リュエールは顔に手を当てて、目も当てられない・・・と、海よりも深いため息を吐いている。
驚く朱里とルーファスにミルアとナルアは「お姫様だよ」と言う。
どう見てもチャンバラごっこにしか見えない状況に「お姫様要素は何処に行った!」という感じである。
「お姫様はお姫様でも東国風お姫様!」
「見て驚け!お姫様は東国風お姫様!」
コーデンのお土産を手にタマホメとメビナが親指を立てる。
朱里もルーファスも「違う!これは望んでいるお姫様じゃない!」とガクリと肩を落とす。
「申し訳ありません。旦那様、一応、私は止めたのですが、タマホメもメビナも聞かず、ミルアもナルアも吸収がよく一通り護身術は覚えましたから、存外、東国の姫でも問題ないかと・・・途中で諦めました・・・」
シュテンが少し目を逸らして違う方向を見ている。
ルーファスが「諦めたのか・・・」と眉間を指で押さえながらハァーと、ため息を吐く。
「まぁ、ルーファス見るといい」
「まぁ、ルーファスとくと見よ」
タマホメとメビナが玩具のボールをミルアとナルアに勢いよく投げると、ミルアとナルアが扇子で止めた後、ボールを扇子の上にポンと持ち上げタマホメとメビナに打ち返してきた。
「ね?凄いでしょ?」
「ね?偉いでしょ?」
凄いと言えばいいのか、何仕込んでいるのかと言えばいいのか・・・と、ルーファスが頭を抱えたくなっていると朱里が小さく手をパチパチと叩いている。
「わぁー、ミルアもナルアも凄いねぇ。ねっ、ルーファス」
「え・・・ああ。そうだな」
嬉しそうに目を細めて笑う朱里の表情を見たら、まぁ、黒狼族の子供なのだから身体能力が高いのは良い事だと思い直す。
「でもさ、そういう芸当が出来るなら騎士は要らないんじゃない?どちらかと言えば、アサシンとか・・・痛っ」
シュトラールにリュエールがスパーンと頭を叩いて黙らせるが、ミルアとナルアが扇子をゴトと床に落として目をうるるっと潤ませて泣き出す5秒前という顔で震えている。
「シュー!もうっ!ミルア、ナルア、2人共泣かなくていいんだよ?お姫様は確かに騎士が守るけど、お姫様自身も自分の身は自分で守れるように色々習っているんだから・・・多分」
流石にお姫様の事は解るわけでは無いので、多分が最後に付いてしまい、ミルアとナルアがクシャッと顔を歪めて涙が溢れかえりそうになっている。
「仕方がない子達だな。ミルア、ナルア、お姫様はそんな風に直ぐに泣いては駄目だ。涙は武器なのだから必要な時にとっておけ。ほら、扇子で顔を隠して涙を引っ込めて・・・と、っ!!この扇子・・・っ!アカリ拾うんじゃない!」
ルーファスが床に落ちた扇子を拾い上げると眉間にしわを寄せ、朱里が首をかしげてもう1本の扇子を拾い上げ様と手にして「きゃうっ!」と肩がコキッと鈍い音を立てる。
「いっ・・・・・つぅうううう!!!!」
右肩を押さえて朱里がしゃがみ込むとルーファスが慌てて朱里の肩を見れば、腕がだらんと下がる。
「シュー!アカリに回復魔法だ!」
「え?!何?なんで?」
「大丈夫?!母上!!」
シュトラールが朱里の腕がだらんとしたのを見て慌てて回復魔法を唱え始める。
リュエールが朱里が拾い上げようとした扇子を手に持って、初めて何が起きたか理解した。
「何でこの扇子こんなに重いの?って・・・ミルアとナルアこんなの持ってたの?!」
リュエールがタマホメとメビナを見ると2人は目を左右に逸らせて「た・・・鍛錬?」と、指をもじもじとさせながら「えへっ」と笑う。
「うちの妹を女戦士にでもしたいの?!もう!」
「ごめんなさーい」
「楽しくてつい」
タマホメとメビナがシュテンの後ろにピュッと隠れて「リューこわーい」「リューが怒るー」と言うとシュテンが呆れて2人の首根っこを掴んで「まったく」と朱里の前に持って行く。
「アカリごめんね」
「アカリゆるして」
「ううっ・・・はぅっ」
「あまり動くな。脱臼の肩を戻すから少しだけ我慢しろ」
シュトラールに回復魔法を掛けてもらいつつ、ルーファスに肩を元に戻されると朱里が「あぅううっ」と声を上げてひんひん泣き声を上げる。
「うえぇぇん。痛いよぉ、無茶苦茶痛いーっ!」
「よしよし。肩は戻したから、後はシューの回復魔法で痛みを取ろうな」
シュトラールに痛みを取ってもらいながら、ルーファスに慰められて朱里が「変な物をうちの子に持たせちゃダメ!」とタマホメとメビナに怒り、朱里が騒いだ為に涙の引っ込んだミルアとナルアは「女の子なんだから重たい物を持って振り回しちゃいけません!」と怒られた。
ミルアとナルアのお姫様は一先ず、朱里によって「お姫様は重い物は持っちゃいけません!」と重鉄扇は取り上げられた。
ミルアとナルアが将来、筋肉ムキムキの女の子なったらどうしよう?!と、朱里が心配して数日なやむことになった。そして、今度何処かに行くときは絶対にハガネを起こしてお世話を頼むかミルアとナルアも連れて行こうと心に誓ったのだった。
「ぶれいもの!」
バシンと、扇子と扇子がぶつかり合い、キシッと音を立てる。
小さくて可愛い我が家のお姫様達が・・・何がどうしてこうなったのか?!!と、ルーファスと朱里が「え?」と間抜けな声を上げる。
「ミルア、ナルア・・・それは何の真似なの?」
「ミルア、ナルア、お姫様になるんじゃなかったのか?」
既にシュトラールは笑い転げ、リュエールは顔に手を当てて、目も当てられない・・・と、海よりも深いため息を吐いている。
驚く朱里とルーファスにミルアとナルアは「お姫様だよ」と言う。
どう見てもチャンバラごっこにしか見えない状況に「お姫様要素は何処に行った!」という感じである。
「お姫様はお姫様でも東国風お姫様!」
「見て驚け!お姫様は東国風お姫様!」
コーデンのお土産を手にタマホメとメビナが親指を立てる。
朱里もルーファスも「違う!これは望んでいるお姫様じゃない!」とガクリと肩を落とす。
「申し訳ありません。旦那様、一応、私は止めたのですが、タマホメもメビナも聞かず、ミルアもナルアも吸収がよく一通り護身術は覚えましたから、存外、東国の姫でも問題ないかと・・・途中で諦めました・・・」
シュテンが少し目を逸らして違う方向を見ている。
ルーファスが「諦めたのか・・・」と眉間を指で押さえながらハァーと、ため息を吐く。
「まぁ、ルーファス見るといい」
「まぁ、ルーファスとくと見よ」
タマホメとメビナが玩具のボールをミルアとナルアに勢いよく投げると、ミルアとナルアが扇子で止めた後、ボールを扇子の上にポンと持ち上げタマホメとメビナに打ち返してきた。
「ね?凄いでしょ?」
「ね?偉いでしょ?」
凄いと言えばいいのか、何仕込んでいるのかと言えばいいのか・・・と、ルーファスが頭を抱えたくなっていると朱里が小さく手をパチパチと叩いている。
「わぁー、ミルアもナルアも凄いねぇ。ねっ、ルーファス」
「え・・・ああ。そうだな」
嬉しそうに目を細めて笑う朱里の表情を見たら、まぁ、黒狼族の子供なのだから身体能力が高いのは良い事だと思い直す。
「でもさ、そういう芸当が出来るなら騎士は要らないんじゃない?どちらかと言えば、アサシンとか・・・痛っ」
シュトラールにリュエールがスパーンと頭を叩いて黙らせるが、ミルアとナルアが扇子をゴトと床に落として目をうるるっと潤ませて泣き出す5秒前という顔で震えている。
「シュー!もうっ!ミルア、ナルア、2人共泣かなくていいんだよ?お姫様は確かに騎士が守るけど、お姫様自身も自分の身は自分で守れるように色々習っているんだから・・・多分」
流石にお姫様の事は解るわけでは無いので、多分が最後に付いてしまい、ミルアとナルアがクシャッと顔を歪めて涙が溢れかえりそうになっている。
「仕方がない子達だな。ミルア、ナルア、お姫様はそんな風に直ぐに泣いては駄目だ。涙は武器なのだから必要な時にとっておけ。ほら、扇子で顔を隠して涙を引っ込めて・・・と、っ!!この扇子・・・っ!アカリ拾うんじゃない!」
ルーファスが床に落ちた扇子を拾い上げると眉間にしわを寄せ、朱里が首をかしげてもう1本の扇子を拾い上げ様と手にして「きゃうっ!」と肩がコキッと鈍い音を立てる。
「いっ・・・・・つぅうううう!!!!」
右肩を押さえて朱里がしゃがみ込むとルーファスが慌てて朱里の肩を見れば、腕がだらんと下がる。
「シュー!アカリに回復魔法だ!」
「え?!何?なんで?」
「大丈夫?!母上!!」
シュトラールが朱里の腕がだらんとしたのを見て慌てて回復魔法を唱え始める。
リュエールが朱里が拾い上げようとした扇子を手に持って、初めて何が起きたか理解した。
「何でこの扇子こんなに重いの?って・・・ミルアとナルアこんなの持ってたの?!」
リュエールがタマホメとメビナを見ると2人は目を左右に逸らせて「た・・・鍛錬?」と、指をもじもじとさせながら「えへっ」と笑う。
「うちの妹を女戦士にでもしたいの?!もう!」
「ごめんなさーい」
「楽しくてつい」
タマホメとメビナがシュテンの後ろにピュッと隠れて「リューこわーい」「リューが怒るー」と言うとシュテンが呆れて2人の首根っこを掴んで「まったく」と朱里の前に持って行く。
「アカリごめんね」
「アカリゆるして」
「ううっ・・・はぅっ」
「あまり動くな。脱臼の肩を戻すから少しだけ我慢しろ」
シュトラールに回復魔法を掛けてもらいつつ、ルーファスに肩を元に戻されると朱里が「あぅううっ」と声を上げてひんひん泣き声を上げる。
「うえぇぇん。痛いよぉ、無茶苦茶痛いーっ!」
「よしよし。肩は戻したから、後はシューの回復魔法で痛みを取ろうな」
シュトラールに痛みを取ってもらいながら、ルーファスに慰められて朱里が「変な物をうちの子に持たせちゃダメ!」とタマホメとメビナに怒り、朱里が騒いだ為に涙の引っ込んだミルアとナルアは「女の子なんだから重たい物を持って振り回しちゃいけません!」と怒られた。
ミルアとナルアのお姫様は一先ず、朱里によって「お姫様は重い物は持っちゃいけません!」と重鉄扇は取り上げられた。
ミルアとナルアが将来、筋肉ムキムキの女の子なったらどうしよう?!と、朱里が心配して数日なやむことになった。そして、今度何処かに行くときは絶対にハガネを起こしてお世話を頼むかミルアとナルアも連れて行こうと心に誓ったのだった。
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