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13章
ネリムさん
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氷漬けになったリンコ・サナダを前にミンクさんがカバンから書類を出す。
「これがミヤ実技官に渡すはずだったリンコ・サナダの書類です」
「あ、はい。・・・あっ、その床のナイフは毒草が塗ってあるので触っちゃ駄目です」
書類を受け取って、床のナイフを拾おうとしたミンクさんに注意をしておく。
一応、私の体液があれば解毒は出来るけど、それはあまりしない方向でいきたいのでミンクさんに注意を促す。
ミンクさんが手をパッと上にあげてから、カバンから封筒を出し、お店に置いてあった半紙にナイフを挟み込むと封筒の中に入れる。
『冒険者A+ランク リンコ・サナダ』
異世界人【毒忍】冒険者ギルドが立ち入りを禁止している立ち入り禁止遺跡や禁猟区等に度々入り込み、再三の注意警告を無視、冒険者のルールを守らない等、ペナルティー対象。
理由としては困った言う事聞かない人・・・と、言う所だろうか?
でもやはり、異世界という事はこの人は日本人なんだ。
それにしても・・・【毒忍】って・・・毒を使う忍者とか?
「フゥーン」
「あ、ルーも書類どうぞ」
ルーファスにも書類を見てもらうと、リューちゃん達も書類を覗きに来る。
「何なんだいこれは!アタシの店をこんなにして!誰が弁償してくれるのさ!」
ミンクさんの奥さんネリムさんが腰に手を当てて怒り、私としては申し訳ない気持ちでいっぱいです。
うちのグリムレインがすいません・・・でもリンコ・サナダさんが悪いんです。
いきなり毒草塗ったナイフ持って待ち構えてるとか怖いですし・・・ね?
「あーっ!こいつよ!こいつ!アタシをいきなりナイフで切り付けてきたの!」
リンコ・サナダさんを指さしてネリムさんが怒り、ミンクさんに「アンタ冒険者ギルドの職員なんだから、この犯罪者をサッサッとしょっ引きな!」と騒いでいる。
「ネリム!ナイフって毒は?!気分は悪くなってないか?大丈夫なのか?!」
ミンクさんが蒼白な顔になってワッと騒いで、毒と聞いてネリムさんもサッと顔色を青くする。
ルーファスが小声で「解毒ポーションを飲ませておいた」と言うので、私もヒヤッとした心臓を撫でおろす。
「ミンクさん、解毒はしておいたので大丈夫ですよ」
「ああ、ミヤ実技官、すいません!ありがとうございます!先程は取り乱して乱暴に腕を掴んですいませんでした」
「はぁ!アンタ、女の子になんて事してんだい!」
バシンとネリムさんがミンクさんを叩き、私の腕をとって摩る様に撫でながら「うちの亭主がごめんね。ああ、こんなに赤くなっちまって・・・ミンク!アンタって男は!」と、またミンクさんを叱りつける。
「大丈夫ですよ。奥様を心配するあまりだったんですから」
「本当にごめんなさいね。でも、アンタ強いんだねぇ」
氷漬けのリンコ・サナダさんを見ながら、ネリムさんが「大したもんだねぇ」と朱里を上から下まで見る。
私がやったわけでは無いので、何ともお尻が痒くなる思いです。
うちのグリムレインは最強なのですよと、心の中で自慢しておく。
「けど、何でリンコ・サナダさんがこのお店に居たんでしょう?」
「恐らくですが、ランク剥奪の書簡は対象者にも届きますので、先手を打ちに来て、ミヤ実技官が今現在コーデン支部には居られない状態になっていますから、他で話をすると踏んで担当の私が選びそうな所を先読みされたのでしょうね・・・これは私のミスです。申し訳ありません」
頭を下げるミンクさんに「いえいえ」と一応言っておくけど、私よりも先にネリムさんが一番の被害者なので謝るべきはネリムさんだと思うのです・・・。
「この場合、一応私がリンコ・サナダさんに勝ったという事でランク剥奪は出来るんでしょうか?」
「そうですね。一応、私の立ち合いがあれば良いのですが、ネリムが被害届を出して犯罪者として処理いたしますので、ランク剥奪は確実にありますし、私としては妻の店をこんなに滅茶苦茶にされたんですから、財産没収でこの店に慰謝料を支払って欲しいぐらいです」
「一応、お話をしてからランクはどのくらい下げるか決めたいのですが・・・」
同じ日本人として少しお話をしてみたいのもあるし、ランクを落とすにしろ冒険者を辞めさせるにしろ話を聞いてから出ないと決められないのもあるしね。
「エクルド支部に引き渡してからになると思いますが、少しお時間が掛かるかもしれません。折角お仕事がこれで終わりなのに申し訳ないのですが・・・」
「そうですか・・・。明日辺りには何とかなりますか?」
「ええ。今日中に事情聴取をリンコ・サナダから聞き出せたら大丈夫だと思います」
「でしたら、今日はお仕事はもう無いですよね?」
「ええ、折角ここまでご足労お願いしたのに申し訳ないですが。あと、明日もここで待ち合わせてエクルド支部へ話を聞きに行くという感じで大丈夫ですか?」
「はい。わかりました。お疲れさまでした。お先に失礼します」
頭を下げると、グリムレインが「氷は30分くらいに溶ける様にしておく」と耳元で囁く。
「あ、氷はあと30分程で溶けますので早めにエクルド支部へ連れて行ってくださいね」
「わかりました。お疲れさまでした」
ミンクさんに見送られてお店を出ると途端にフラフラと力だ抜けてコケそうになった。
ルーファス達が慌てて支えてくれてなんとか踏ん張り、人気の居ない場所でルーファス達が獣化を解くと私をルーファスが抱きかかえてエクルドの街で宿を1泊借りた。
コーデンに借りた宿にグリムレインとリューちゃんとシューちゃんが行き、荷物を取ってきてもらいエクルドの宿へ荷物も移した。
おそらく、ミヤの借りている宿だとバレてしまっているだろうから、リンコ・サナダの事もあり、危険からは一先ず遠ざかろうというルーファスの判断だった。
「これがミヤ実技官に渡すはずだったリンコ・サナダの書類です」
「あ、はい。・・・あっ、その床のナイフは毒草が塗ってあるので触っちゃ駄目です」
書類を受け取って、床のナイフを拾おうとしたミンクさんに注意をしておく。
一応、私の体液があれば解毒は出来るけど、それはあまりしない方向でいきたいのでミンクさんに注意を促す。
ミンクさんが手をパッと上にあげてから、カバンから封筒を出し、お店に置いてあった半紙にナイフを挟み込むと封筒の中に入れる。
『冒険者A+ランク リンコ・サナダ』
異世界人【毒忍】冒険者ギルドが立ち入りを禁止している立ち入り禁止遺跡や禁猟区等に度々入り込み、再三の注意警告を無視、冒険者のルールを守らない等、ペナルティー対象。
理由としては困った言う事聞かない人・・・と、言う所だろうか?
でもやはり、異世界という事はこの人は日本人なんだ。
それにしても・・・【毒忍】って・・・毒を使う忍者とか?
「フゥーン」
「あ、ルーも書類どうぞ」
ルーファスにも書類を見てもらうと、リューちゃん達も書類を覗きに来る。
「何なんだいこれは!アタシの店をこんなにして!誰が弁償してくれるのさ!」
ミンクさんの奥さんネリムさんが腰に手を当てて怒り、私としては申し訳ない気持ちでいっぱいです。
うちのグリムレインがすいません・・・でもリンコ・サナダさんが悪いんです。
いきなり毒草塗ったナイフ持って待ち構えてるとか怖いですし・・・ね?
「あーっ!こいつよ!こいつ!アタシをいきなりナイフで切り付けてきたの!」
リンコ・サナダさんを指さしてネリムさんが怒り、ミンクさんに「アンタ冒険者ギルドの職員なんだから、この犯罪者をサッサッとしょっ引きな!」と騒いでいる。
「ネリム!ナイフって毒は?!気分は悪くなってないか?大丈夫なのか?!」
ミンクさんが蒼白な顔になってワッと騒いで、毒と聞いてネリムさんもサッと顔色を青くする。
ルーファスが小声で「解毒ポーションを飲ませておいた」と言うので、私もヒヤッとした心臓を撫でおろす。
「ミンクさん、解毒はしておいたので大丈夫ですよ」
「ああ、ミヤ実技官、すいません!ありがとうございます!先程は取り乱して乱暴に腕を掴んですいませんでした」
「はぁ!アンタ、女の子になんて事してんだい!」
バシンとネリムさんがミンクさんを叩き、私の腕をとって摩る様に撫でながら「うちの亭主がごめんね。ああ、こんなに赤くなっちまって・・・ミンク!アンタって男は!」と、またミンクさんを叱りつける。
「大丈夫ですよ。奥様を心配するあまりだったんですから」
「本当にごめんなさいね。でも、アンタ強いんだねぇ」
氷漬けのリンコ・サナダさんを見ながら、ネリムさんが「大したもんだねぇ」と朱里を上から下まで見る。
私がやったわけでは無いので、何ともお尻が痒くなる思いです。
うちのグリムレインは最強なのですよと、心の中で自慢しておく。
「けど、何でリンコ・サナダさんがこのお店に居たんでしょう?」
「恐らくですが、ランク剥奪の書簡は対象者にも届きますので、先手を打ちに来て、ミヤ実技官が今現在コーデン支部には居られない状態になっていますから、他で話をすると踏んで担当の私が選びそうな所を先読みされたのでしょうね・・・これは私のミスです。申し訳ありません」
頭を下げるミンクさんに「いえいえ」と一応言っておくけど、私よりも先にネリムさんが一番の被害者なので謝るべきはネリムさんだと思うのです・・・。
「この場合、一応私がリンコ・サナダさんに勝ったという事でランク剥奪は出来るんでしょうか?」
「そうですね。一応、私の立ち合いがあれば良いのですが、ネリムが被害届を出して犯罪者として処理いたしますので、ランク剥奪は確実にありますし、私としては妻の店をこんなに滅茶苦茶にされたんですから、財産没収でこの店に慰謝料を支払って欲しいぐらいです」
「一応、お話をしてからランクはどのくらい下げるか決めたいのですが・・・」
同じ日本人として少しお話をしてみたいのもあるし、ランクを落とすにしろ冒険者を辞めさせるにしろ話を聞いてから出ないと決められないのもあるしね。
「エクルド支部に引き渡してからになると思いますが、少しお時間が掛かるかもしれません。折角お仕事がこれで終わりなのに申し訳ないのですが・・・」
「そうですか・・・。明日辺りには何とかなりますか?」
「ええ。今日中に事情聴取をリンコ・サナダから聞き出せたら大丈夫だと思います」
「でしたら、今日はお仕事はもう無いですよね?」
「ええ、折角ここまでご足労お願いしたのに申し訳ないですが。あと、明日もここで待ち合わせてエクルド支部へ話を聞きに行くという感じで大丈夫ですか?」
「はい。わかりました。お疲れさまでした。お先に失礼します」
頭を下げると、グリムレインが「氷は30分くらいに溶ける様にしておく」と耳元で囁く。
「あ、氷はあと30分程で溶けますので早めにエクルド支部へ連れて行ってくださいね」
「わかりました。お疲れさまでした」
ミンクさんに見送られてお店を出ると途端にフラフラと力だ抜けてコケそうになった。
ルーファス達が慌てて支えてくれてなんとか踏ん張り、人気の居ない場所でルーファス達が獣化を解くと私をルーファスが抱きかかえてエクルドの街で宿を1泊借りた。
コーデンに借りた宿にグリムレインとリューちゃんとシューちゃんが行き、荷物を取ってきてもらいエクルドの宿へ荷物も移した。
おそらく、ミヤの借りている宿だとバレてしまっているだろうから、リンコ・サナダの事もあり、危険からは一先ず遠ざかろうというルーファスの判断だった。
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