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13章
日本人
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私が「日本人?」と言った瞬間、店員の女性は目を見開き、動きが停止した。
黒髪で黒目、この世界の東国の人とは違う日本人の顔立ち、多分20代後半か30代前半くらい。
可愛らしいキューブ型の色とりどりのギモーブがガラスケースの中で並ぶ店内でカランっと、床に小さなナイフが音を立てて落ちて、次の瞬間ルーファスが私とリューちゃんとシューちゃんを後ろに突き飛ばした。
「店の外に逃げろ!」
「え?」
何が起きたのかわからず、呆ける私を「母上!」と悲鳴のような声を上げてリューちゃんが引っ張り、シューちゃんが「早く!」と店の外へ力一杯連れ出した。
バンバンバンとお店のガラス窓を突き破って巨大な氷が内側から外へ突き出て、何が起きたのか分からない私は「え?」と間抜けな声を出すばかりだった。
一体、何が起きたの?
「母上、大丈夫?!」
「2人共怪我はない?!」
シューちゃんが私を心配そうに覗き込み、リューちゃんが私とシューちゃんを交互に見る。
「何・・・?」
「店の中の女の人、ミンクさんの匂いがしてない奥さんじゃない」
「ナイフから毒草の匂いがした」
何がどうなってるんだろう?
ここはミンクさんの奥さんの店では無いのだろうか?
なんで店の中に毒草を塗ったナイフを持った人が居るの?
訳が分からない・・・。
そこまで考えて、ハッ、として走り出そうとしたらリューちゃんに止められた。
「母上!危ないから近付いたら駄目だ!」
「離して!ルーファスとグリムレインが!」
「母上!父上なら大丈夫!だから母上はオレらと店から離れないと駄目だよ!」
周りに人が集まり始め、なんだなんだと騒ぎ始めた。
リューちゃんが私の羽織っているケープについたフードを私に目深に被せてシューちゃんと一緒に少し店から離れた場所まで行く。
「何なの?何が起きたの?」
「母上、落ち着いて。オレらにもわかんない」
「判らないけど、父上達が店から出るまで待とう、ね?母上」
「っ、・・・何なの・・・ふっ、くっ、早く、ルーファス出てきて・・・っ」
訳が分からなくて怖くて涙が溢れてくる。
あの氷はグリムレインの氷なんだろうか?
ルーファスは大丈夫なのか?
気持ちがぐるぐると不安でかき乱されていく。
きっと店から出て数分も経っていないのに、凄く長く感じられる。
人混みの中を聞きなれた声が大声を上げて叫んでいた。
「何なんだこれは!!ネリム!ネリムーッ!!!」
ミンクさんが大声で叫びながら店の前で頭を抱えていた。
ネリムはおそらく奥さんの名前なのだろう。やはり、あのお店はミンクさんの奥さんのお店で間違いない様だ。
「母上、僕らは獣化するけど、気を付けて、母上は今はミヤなんだから忘れないで」
「うん・・・ごめん、ね。っ・・・ふっ、えぐっ」
涙を服の袖で拭って、鼻をすすってミンクさんの所へ行くと、ミンクさんが私の腕を強く握って泣き叫んだ。
「ミヤ実技官!あれは何ですか!貴女がやったんですか!!私の妻はネリムは?!ああああっ!ネリム!ネリム!」
「きゃうっ、私じゃ・・・っ痛い!離して下さ・・・っ」
リューちゃんとシューちゃんがミンクさんの服に噛みついて引き剥がそうとするが、無茶も出来ずに困った表情になり、掴まれた腕の痛みに悲鳴を上げると、バシュンと店から突き出ていた巨大な氷がスターダストの様に辺り一面に広がって四散した。
ガルルルルと声を上げながらミンクさんの上にルーファスが怪我をしている栗毛色の女性を背に乗せたまま飛び掛かった。
「ひっ!」
「ウゥゥゥゥッ!」
ルーファスが鼻にしわを寄せながら唸り、ミンクさんがルーファスの気迫に小さく悲鳴を上げた。
「ルー!良かった・・・っ、ふぇっ、ぐすっ」
「クゥーン」
ミンクさんの上から退けるとルーファスが背中に乗せた女性をミンクさんの上に下ろして、二本足で立って私の顔をべろべろと舐めながら尻尾を振る。
店の中から氷が飛んできたかと思うと、私の髪の毛の中に入り込み「嫁、大丈夫か?」と囁きグリムレインだと気付く。
「大丈夫、2人は大丈夫?平気?私、不安で・・・ぐすっ」
「大丈夫だ」
「我も平気だ」
私の横にリューちゃんとシューちゃんもピッタリと寄り添う。
「ネリム!大丈夫か!ネリム!」
ミンクさんが女性に大きな声で呼びかけ、シューちゃんが「回復魔法掛けるから、母上、それっぽく杖を構えて」と言い、ミンクさんの前に立ち杖を構える。
「回復魔法を掛けますね。・・・・・・回復」
シューちゃんの呪文が完成する5秒を目安に心の中で5秒数えてから「回復」と言うと栗毛色の女性の傷が治っていく。
「あ・・・アンタどうしてここに?あれ、何だったっけ?」
「ネリムッ・・・大丈夫か?ミヤ実技官・・・有り難うございます。しかし、何があったんです?」
グリムレインが髪の毛の中から小さな声で「店の中に犯人を凍らせておいた」と言い、私もそのままミンクさんに伝える。
ミンクさんの奥さんネリムさんが「そうだ!店に変な客が来ていきなり襲われたんだよ!」とミンクさんの胸倉を掴みながら怒り出す。どうやらとても気の強い女性なのかもしれない。
ミンクさんと一緒に店の中に入ると、先程の店員と思った黒髪黒目の女性が凍り付いたまま店の中央に置かれていた。
「こいつは・・・ミヤ実技官にランク剥奪をしてもらうはずだったリンコ・サナダです」
「りんこ・サナダ・・・」
さなだりんこ・・・日本人だよね・・・?
私は少し困惑しながら氷漬けにされた女性を見つめた。
黒髪で黒目、この世界の東国の人とは違う日本人の顔立ち、多分20代後半か30代前半くらい。
可愛らしいキューブ型の色とりどりのギモーブがガラスケースの中で並ぶ店内でカランっと、床に小さなナイフが音を立てて落ちて、次の瞬間ルーファスが私とリューちゃんとシューちゃんを後ろに突き飛ばした。
「店の外に逃げろ!」
「え?」
何が起きたのかわからず、呆ける私を「母上!」と悲鳴のような声を上げてリューちゃんが引っ張り、シューちゃんが「早く!」と店の外へ力一杯連れ出した。
バンバンバンとお店のガラス窓を突き破って巨大な氷が内側から外へ突き出て、何が起きたのか分からない私は「え?」と間抜けな声を出すばかりだった。
一体、何が起きたの?
「母上、大丈夫?!」
「2人共怪我はない?!」
シューちゃんが私を心配そうに覗き込み、リューちゃんが私とシューちゃんを交互に見る。
「何・・・?」
「店の中の女の人、ミンクさんの匂いがしてない奥さんじゃない」
「ナイフから毒草の匂いがした」
何がどうなってるんだろう?
ここはミンクさんの奥さんの店では無いのだろうか?
なんで店の中に毒草を塗ったナイフを持った人が居るの?
訳が分からない・・・。
そこまで考えて、ハッ、として走り出そうとしたらリューちゃんに止められた。
「母上!危ないから近付いたら駄目だ!」
「離して!ルーファスとグリムレインが!」
「母上!父上なら大丈夫!だから母上はオレらと店から離れないと駄目だよ!」
周りに人が集まり始め、なんだなんだと騒ぎ始めた。
リューちゃんが私の羽織っているケープについたフードを私に目深に被せてシューちゃんと一緒に少し店から離れた場所まで行く。
「何なの?何が起きたの?」
「母上、落ち着いて。オレらにもわかんない」
「判らないけど、父上達が店から出るまで待とう、ね?母上」
「っ、・・・何なの・・・ふっ、くっ、早く、ルーファス出てきて・・・っ」
訳が分からなくて怖くて涙が溢れてくる。
あの氷はグリムレインの氷なんだろうか?
ルーファスは大丈夫なのか?
気持ちがぐるぐると不安でかき乱されていく。
きっと店から出て数分も経っていないのに、凄く長く感じられる。
人混みの中を聞きなれた声が大声を上げて叫んでいた。
「何なんだこれは!!ネリム!ネリムーッ!!!」
ミンクさんが大声で叫びながら店の前で頭を抱えていた。
ネリムはおそらく奥さんの名前なのだろう。やはり、あのお店はミンクさんの奥さんのお店で間違いない様だ。
「母上、僕らは獣化するけど、気を付けて、母上は今はミヤなんだから忘れないで」
「うん・・・ごめん、ね。っ・・・ふっ、えぐっ」
涙を服の袖で拭って、鼻をすすってミンクさんの所へ行くと、ミンクさんが私の腕を強く握って泣き叫んだ。
「ミヤ実技官!あれは何ですか!貴女がやったんですか!!私の妻はネリムは?!ああああっ!ネリム!ネリム!」
「きゃうっ、私じゃ・・・っ痛い!離して下さ・・・っ」
リューちゃんとシューちゃんがミンクさんの服に噛みついて引き剥がそうとするが、無茶も出来ずに困った表情になり、掴まれた腕の痛みに悲鳴を上げると、バシュンと店から突き出ていた巨大な氷がスターダストの様に辺り一面に広がって四散した。
ガルルルルと声を上げながらミンクさんの上にルーファスが怪我をしている栗毛色の女性を背に乗せたまま飛び掛かった。
「ひっ!」
「ウゥゥゥゥッ!」
ルーファスが鼻にしわを寄せながら唸り、ミンクさんがルーファスの気迫に小さく悲鳴を上げた。
「ルー!良かった・・・っ、ふぇっ、ぐすっ」
「クゥーン」
ミンクさんの上から退けるとルーファスが背中に乗せた女性をミンクさんの上に下ろして、二本足で立って私の顔をべろべろと舐めながら尻尾を振る。
店の中から氷が飛んできたかと思うと、私の髪の毛の中に入り込み「嫁、大丈夫か?」と囁きグリムレインだと気付く。
「大丈夫、2人は大丈夫?平気?私、不安で・・・ぐすっ」
「大丈夫だ」
「我も平気だ」
私の横にリューちゃんとシューちゃんもピッタリと寄り添う。
「ネリム!大丈夫か!ネリム!」
ミンクさんが女性に大きな声で呼びかけ、シューちゃんが「回復魔法掛けるから、母上、それっぽく杖を構えて」と言い、ミンクさんの前に立ち杖を構える。
「回復魔法を掛けますね。・・・・・・回復」
シューちゃんの呪文が完成する5秒を目安に心の中で5秒数えてから「回復」と言うと栗毛色の女性の傷が治っていく。
「あ・・・アンタどうしてここに?あれ、何だったっけ?」
「ネリムッ・・・大丈夫か?ミヤ実技官・・・有り難うございます。しかし、何があったんです?」
グリムレインが髪の毛の中から小さな声で「店の中に犯人を凍らせておいた」と言い、私もそのままミンクさんに伝える。
ミンクさんの奥さんネリムさんが「そうだ!店に変な客が来ていきなり襲われたんだよ!」とミンクさんの胸倉を掴みながら怒り出す。どうやらとても気の強い女性なのかもしれない。
ミンクさんと一緒に店の中に入ると、先程の店員と思った黒髪黒目の女性が凍り付いたまま店の中央に置かれていた。
「こいつは・・・ミヤ実技官にランク剥奪をしてもらうはずだったリンコ・サナダです」
「りんこ・サナダ・・・」
さなだりんこ・・・日本人だよね・・・?
私は少し困惑しながら氷漬けにされた女性を見つめた。
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