376 / 960
13章
リューの考察
しおりを挟む
「え?」という顔をミンクさんとデンシャクさんがして僕の顔を見る。
何故か双子の片割れのシューまで「え?」って顔してるけど・・・シューも甘ちゃんだなぁ。
そんなんじゃ悪い大人に騙されちゃうよ。兄としてはシューが心配になってしまうよ。
「私の采配に文句がありますか?」
「当たり前だ!ふざけるな!冒険者から冒険者資格を剥奪なんて横暴だろう!」
「ミヤ実技官、私もデンシャクさんの剥奪はどうかと思いますが・・・」
デンシャクさん、少し表情が崩れてますよ?
ミンクさんはデンシャクさんの表情の崩れ方を見て冒険者の素顔をちゃんと見極めた方が良いです。
シューは首を傾げないでほしい・・・まったく。
「私が疑問に思ったのは、今までダンジョンで仲間の方は全員行方不明という扱いなのに、全員分の装備品がそこの仏像に供えてある事です。遺品を持ち帰るというのは解りますけど、遺体を一体も持ち帰れないのは5回中5回で1回も無いのに装備品だけ全部回収してこれるなんておかしいですよ」
「いや、これは彼らの装備品を模して私が作った物だ!勘違いしないで欲しい!仲間の遺体は魔獣に食われて遺品1つ持ち帰れなどしなかったのだ!」
少し勝ち誇ったような顔をしているけど、デンシャクさんは咄嗟に嘘をついて首を絞めるタイプなのかな?
「それはおかしいですね。そこの装備品、1つずつ匂いが違いますよ?私の優秀な相棒がおかしいと気付いたぐらいですから、獣人の人に頼めばハッキリすると思いますけど?」
シューが「え?オレ?」という顔をしているけど、ここは僕に話を合わせる様にポーカーフェイスを覚えて欲しい。帰ったらシューに色々教えないと駄目かもしれない。
まぁシューらしくてそこはシューの良い所だと大事にさせるべきかもしれないけど・・・。
「ハッ、そんな魔獣ごときで私を貶めようなどと・・・実技官という職を子供などに任せるなんてギルドもどうかと思いますよ?」
デンシャクさんが鼻で笑い、ミンクさんに少しすごむような顔をしているけど、子供にバレる時点で遅かれ早かれデンシャクさんは捕まったと思うんだけどな。
「もう一つ言うと、デンシャクさんは人を目で追う時に急所ばかりを見ているんですよ。普通は急所なんて1回見れば目線は外しますけど、あんなにジーッと見てたら快楽殺人犯にしか見えないです」
ミンクさんが「えっ?」て顔してるけど、急所は冒険者なら一番初めに相手を見て何所かを把握しておくものなのでカバンで身をガードしないでいただきたい。
デンシャクさんは人を睨むのを止めておかないとミンクさんでもそろそろ表情に気付くと思う。
「ヒッ!」
ほら、気付いた。
殺気を出した時点でデンシャクさんは三流もいいとこだ。
「大方、上のランクではパーティーを組んでくれる人が居なくて人が殺せなくなったから、下のランクに入り込んで下のランクの人達を次はダンジョンで殺す気だったんでしょ?水で随分手を洗ったみたいだけど、貴方からは血の匂いが凄くする。誰を殺したの?」
「随分と鼻の利く実技官だ・・・。そうだ!お前の言う通りだ実技官!人の肉を引き裂くあの柔らかさと弾力、温かい肉が冷めていく感覚は最高ではないか!!」
アハハハハと笑い声を上げながら人の好さげな仮面を外した獰猛な顔をしたデンシャクさんがそこには居た。
「残念だけど、貴方はもうミンクさんの前で罪を告白したんだから、冒険者でもなければ犯罪者でしかない。誰ももう殺せないよ」
「そんな者はここには来なかった。そうお前もここには来なかった!」
デンシャクさんの振り上げる拳を交わして、ミンクさんの襟首を掴むと後ろに投げ飛ばす。
流石の竜人と言うべきかA+ランクと言うべきか、地面に下ろされた拳は地面を大きくえぐっていた。
「ミンクさん!ミンクさんは危ないから隠れてて!」
「は、はいっ!!」
ミンクさんが滑ってコケそうになりながら、なんとか馬車の方へ逃げて心配そうにこっちを見ているが、出来たら余り見ててほしくないんだけどね。
「シュー、行くよ!竜人の力は強いから掴まれないで!レイン援護お願い!」
「ウォン!」
「フンッ」
ダダダと地面を抉る様にデンシャクさんが真っ直ぐこちらに力強く大地を蹴って近付いてきて、左右に別れると、デンシャクさんの尻尾が目の前をブンッと音を立てて掠めていった。
「魔法使いごときが私に敵うと思っているのか!アハハハ!肉を裂いて冷たくなるまでこね回してやろう!」
「うわっ、趣味ワルッ!」
シュー・・・喋らないでよ・・・まぁ、僕も趣味悪いとは思ったけど。
グリムレインが氷を尖らせたアイスニードルを吐き出しながら、デンシャクさんを攻撃するけど竜人の皮膚は固いのか中々致命傷になる様な大きな傷が付かず、グリムレインが「もっと鋭いのを出すか?」とイライラしている。
流石に本気を出したら殺しちゃうから、生け捕りにしないと意味がない。
「レイン、足元を凍らせられる?」
「下半身全部凍らせてやるわ」
「任せた!」
大きい図体のクセに動きが速いのがA+ランクだなぁっていうのはいい勉強になったかもしれない。
グリムレインが凍らせやすい様に注意を引き付ける為に、シューと一緒に攻撃を仕掛けてはバックステップで後ろに飛び退いてを繰り返しているけど、なかなかに攻撃は効かないし、素早いし、面倒くさい相手だなぁ。
何故か双子の片割れのシューまで「え?」って顔してるけど・・・シューも甘ちゃんだなぁ。
そんなんじゃ悪い大人に騙されちゃうよ。兄としてはシューが心配になってしまうよ。
「私の采配に文句がありますか?」
「当たり前だ!ふざけるな!冒険者から冒険者資格を剥奪なんて横暴だろう!」
「ミヤ実技官、私もデンシャクさんの剥奪はどうかと思いますが・・・」
デンシャクさん、少し表情が崩れてますよ?
ミンクさんはデンシャクさんの表情の崩れ方を見て冒険者の素顔をちゃんと見極めた方が良いです。
シューは首を傾げないでほしい・・・まったく。
「私が疑問に思ったのは、今までダンジョンで仲間の方は全員行方不明という扱いなのに、全員分の装備品がそこの仏像に供えてある事です。遺品を持ち帰るというのは解りますけど、遺体を一体も持ち帰れないのは5回中5回で1回も無いのに装備品だけ全部回収してこれるなんておかしいですよ」
「いや、これは彼らの装備品を模して私が作った物だ!勘違いしないで欲しい!仲間の遺体は魔獣に食われて遺品1つ持ち帰れなどしなかったのだ!」
少し勝ち誇ったような顔をしているけど、デンシャクさんは咄嗟に嘘をついて首を絞めるタイプなのかな?
「それはおかしいですね。そこの装備品、1つずつ匂いが違いますよ?私の優秀な相棒がおかしいと気付いたぐらいですから、獣人の人に頼めばハッキリすると思いますけど?」
シューが「え?オレ?」という顔をしているけど、ここは僕に話を合わせる様にポーカーフェイスを覚えて欲しい。帰ったらシューに色々教えないと駄目かもしれない。
まぁシューらしくてそこはシューの良い所だと大事にさせるべきかもしれないけど・・・。
「ハッ、そんな魔獣ごときで私を貶めようなどと・・・実技官という職を子供などに任せるなんてギルドもどうかと思いますよ?」
デンシャクさんが鼻で笑い、ミンクさんに少しすごむような顔をしているけど、子供にバレる時点で遅かれ早かれデンシャクさんは捕まったと思うんだけどな。
「もう一つ言うと、デンシャクさんは人を目で追う時に急所ばかりを見ているんですよ。普通は急所なんて1回見れば目線は外しますけど、あんなにジーッと見てたら快楽殺人犯にしか見えないです」
ミンクさんが「えっ?」て顔してるけど、急所は冒険者なら一番初めに相手を見て何所かを把握しておくものなのでカバンで身をガードしないでいただきたい。
デンシャクさんは人を睨むのを止めておかないとミンクさんでもそろそろ表情に気付くと思う。
「ヒッ!」
ほら、気付いた。
殺気を出した時点でデンシャクさんは三流もいいとこだ。
「大方、上のランクではパーティーを組んでくれる人が居なくて人が殺せなくなったから、下のランクに入り込んで下のランクの人達を次はダンジョンで殺す気だったんでしょ?水で随分手を洗ったみたいだけど、貴方からは血の匂いが凄くする。誰を殺したの?」
「随分と鼻の利く実技官だ・・・。そうだ!お前の言う通りだ実技官!人の肉を引き裂くあの柔らかさと弾力、温かい肉が冷めていく感覚は最高ではないか!!」
アハハハハと笑い声を上げながら人の好さげな仮面を外した獰猛な顔をしたデンシャクさんがそこには居た。
「残念だけど、貴方はもうミンクさんの前で罪を告白したんだから、冒険者でもなければ犯罪者でしかない。誰ももう殺せないよ」
「そんな者はここには来なかった。そうお前もここには来なかった!」
デンシャクさんの振り上げる拳を交わして、ミンクさんの襟首を掴むと後ろに投げ飛ばす。
流石の竜人と言うべきかA+ランクと言うべきか、地面に下ろされた拳は地面を大きくえぐっていた。
「ミンクさん!ミンクさんは危ないから隠れてて!」
「は、はいっ!!」
ミンクさんが滑ってコケそうになりながら、なんとか馬車の方へ逃げて心配そうにこっちを見ているが、出来たら余り見ててほしくないんだけどね。
「シュー、行くよ!竜人の力は強いから掴まれないで!レイン援護お願い!」
「ウォン!」
「フンッ」
ダダダと地面を抉る様にデンシャクさんが真っ直ぐこちらに力強く大地を蹴って近付いてきて、左右に別れると、デンシャクさんの尻尾が目の前をブンッと音を立てて掠めていった。
「魔法使いごときが私に敵うと思っているのか!アハハハ!肉を裂いて冷たくなるまでこね回してやろう!」
「うわっ、趣味ワルッ!」
シュー・・・喋らないでよ・・・まぁ、僕も趣味悪いとは思ったけど。
グリムレインが氷を尖らせたアイスニードルを吐き出しながら、デンシャクさんを攻撃するけど竜人の皮膚は固いのか中々致命傷になる様な大きな傷が付かず、グリムレインが「もっと鋭いのを出すか?」とイライラしている。
流石に本気を出したら殺しちゃうから、生け捕りにしないと意味がない。
「レイン、足元を凍らせられる?」
「下半身全部凍らせてやるわ」
「任せた!」
大きい図体のクセに動きが速いのがA+ランクだなぁっていうのはいい勉強になったかもしれない。
グリムレインが凍らせやすい様に注意を引き付ける為に、シューと一緒に攻撃を仕掛けてはバックステップで後ろに飛び退いてを繰り返しているけど、なかなかに攻撃は効かないし、素早いし、面倒くさい相手だなぁ。
50
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。