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12章
楽しい買い物
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ありすがグリムレインに「嘘つきっしょ!」と騒ぎ、リロノスがありすを叱って、朱里が「あらら」と賑やかなありすの入院している部屋で困った顔で笑っていた。
「誰が嘘つきなのだ。まったく」
「安産って言ったのにメッチャ痛かったし!1時間以上産むのに掛かったし!」
プリプリとありすがグリムレインいポンポンと怒りをぶちまけて、グリムレインがムッとした顔をして朱里の後ろに来ると朱里の頭の上に頭を乗せる。
「あの、ありすさん。出産で1時間はすごーく安産でスピーディーな出産ですよ?」
「そうだぞ!嫁もっと言ってやれ!」
朱里の後ろでグリムレインが騒ぎ立て、ありすが「マジで?」と疑いの目でグリムレインを見る。
「産医さんに聞いてもらっても安産って太鼓判押されますよ。それに痛いのは安産でも普通に痛いですから、こればかりは仕方が無いですよ」
「我達の『祝福』は妊婦と胎児の安全な出産祈願のような物だから痛みまでは知らん!」
朱里の頭に頭を擦り付けながらグリムレインが「謝れ!」と不貞腐れている。
リロノスはグリムレインにペコペコと頭を下げるばかりで当のありすはムウッと下がるに下がれないやり取りにこちらも不貞腐れている。
「ふふっ。アルビーと出会った頃のありすさんみたいですね」
「うちが悪いのは解ったけど、ドラゴンはどうして喧嘩口調でうちに言ってくるし!許せないっしょ!」
「アリスが喧嘩腰で言い寄るからだよ」
リロノスがありすに諭す様に言いながら、小さくため息を吐く。
グリムレインは相変わらず「我は機嫌を揃こねた!」と朱里の頭に張り付いている。
ちなみに産院では大きいサイズだと目立つために30cmの小さなドラゴンのままできている。
「まぁまぁ、出産後は少し興奮しやすいから血圧も上がりやすいし、喧嘩はしちゃ駄目ですよ」
「アカリっち~。アカリっちだけだよ。うちの事気遣ってくれるの。これが出産を経験した先輩の余裕っしょ」
ありすが泣き真似をしながら朱里に抱きつくと、ありすの頭をグリムレインが尻尾で叩く。
「我の嫁に気安く抱きつくでない。嫁は産後でもアリスの様に気性は荒くなかったぞ」
「こら。グリムレイン喧嘩売らないの。メッ」
「ムキィーッ!アカリっちのとこのトカゲちゃん達は皆うちにあたりがキツイ!」
元気なありすに朱里が笑って何事も無く出産が無事に終わって良かったと胸を撫でおろす。
「ママ、シノリアを連れて来たよ」
リリスが看護師と一緒に『ゆりかご』魔法に包まれた赤ん坊と一緒に入ってくる。
ありすとリロノスの2人目の子供は黒髪に小さな角を持った男の子でシノリアと名付けられた。
ありすがシノリアを腕に抱いて「ヤバーい」と口にしてとろける笑顔をしている。
リリスもリロノスも笑顔を向けていて、朱里が一家団欒を邪魔してはいけないと「ではそろそろ帰りますね」と笑顔で出ていくと、ありすが「お見舞いありがとー」と元気に見送る。
「ふぁぁ~。眠いですね」
「そうか?我は夜中飛び回っていたが元気だぞ」
「グリムレインは冬場は元気いっぱいだよね。私は昨日のありすさんの出産騒ぎで寝不足です・・・」
小さく目をこすりながら朱里がカラコロと下駄の音をさせながら産院を出て夕飯の買い物をしないと・・・と、青果店を覗きながら歩く。
「グリムレインは今日は何が食べたいですか?」
「我はすき焼きがいい。勿論、魔牛だ!」
「ふふっ。ならリューちゃん達のお友達のお肉屋さんに行きましょうか」
「うむ。魔牛をたっぷり買い込もう!」
青果店でネギと白菜と春菊とキノコを買い、リュエールとシュトラールの友達キャンベルシーの親が経営している肉屋『どんてき』に行くと、蛇獣人のキャンベルシーの両親とあいさつを交わす。
「うちの息子達がいつもお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ。年始の挨拶にまで呼んでもらえるみたいで、ご迷惑をお掛けしますがよろしくしてやってください」
「年始の宴には一晩息子さんお借りしますね。こちらこそよろしくお願いします」
「それで今日は何のご入用ですか?」
「魔牛のすき焼き用のお肉1kgと・・・あと出来立てコロッケを2つ!」
「はい。毎度!すき焼きなら魔牛の牛脂を入れておきますから使ってください」
「ありがとうございます」
すき焼きの肉を購入するとコロッケを2つを1個ずつ紙に包んでもらい、店を出るとグリムレインと一緒に朱里がコロッケを口に入れる。
「ん~っ、サクサクで熱くて甘くて美味しい」
「んむっ。コロッケは出来たてが美味い」
買い食いをしながら2人が次に向かったのは豆腐屋。
古くからある豆腐屋で焼き豆腐と白滝を購入し、そこで無料で飲める豆乳を飲み、2人で「んっまい!」と言って笑顔で出ていく。
その後で2人は粉物屋に向かう。
粉物屋では麺も販売している為、うどんを3束買って、そこで売っている揚げ菓子を2つ買い、『女将亭』へ帰る道すがら、2人はもぐもぐと買い食いをしながら帰っていく。
「お買い物の楽しみは買い食いにあり!」
「異論はない!」
2人が家路に着いたころ、温泉街の『どんてき』にはコロッケを求める人々と豆乳を飲む人々に揚げ菓子を食べている人々が多く見られた。
満足な顔でキッチンに立つ朱里にリュエールとシュトラールが「母上、何か美味しそうな物買い食いしたでしょ!」と言い、朱里が目を逸らすと、「ズルーい!」と双子の合唱団が騒がしく出来ていた。
「お夕飯はすき焼きだから2人はお腹空かせてて!空腹は最高のスパイス!」
「母上~!!」
夕方に「コロッケが今日は人気があったみたいでな。買ってきた」と仕事帰りにルーファスが『どんてき』に寄ってコロッケを購入して帰ってきて、朱里が買い食いするんじゃなかったな。と、少し失敗と心の中で舌を出していたが、コロッケ人気が朱里とグリムレインの買い食いが発端だとは知る由もなく反省するのだった。
「誰が嘘つきなのだ。まったく」
「安産って言ったのにメッチャ痛かったし!1時間以上産むのに掛かったし!」
プリプリとありすがグリムレインいポンポンと怒りをぶちまけて、グリムレインがムッとした顔をして朱里の後ろに来ると朱里の頭の上に頭を乗せる。
「あの、ありすさん。出産で1時間はすごーく安産でスピーディーな出産ですよ?」
「そうだぞ!嫁もっと言ってやれ!」
朱里の後ろでグリムレインが騒ぎ立て、ありすが「マジで?」と疑いの目でグリムレインを見る。
「産医さんに聞いてもらっても安産って太鼓判押されますよ。それに痛いのは安産でも普通に痛いですから、こればかりは仕方が無いですよ」
「我達の『祝福』は妊婦と胎児の安全な出産祈願のような物だから痛みまでは知らん!」
朱里の頭に頭を擦り付けながらグリムレインが「謝れ!」と不貞腐れている。
リロノスはグリムレインにペコペコと頭を下げるばかりで当のありすはムウッと下がるに下がれないやり取りにこちらも不貞腐れている。
「ふふっ。アルビーと出会った頃のありすさんみたいですね」
「うちが悪いのは解ったけど、ドラゴンはどうして喧嘩口調でうちに言ってくるし!許せないっしょ!」
「アリスが喧嘩腰で言い寄るからだよ」
リロノスがありすに諭す様に言いながら、小さくため息を吐く。
グリムレインは相変わらず「我は機嫌を揃こねた!」と朱里の頭に張り付いている。
ちなみに産院では大きいサイズだと目立つために30cmの小さなドラゴンのままできている。
「まぁまぁ、出産後は少し興奮しやすいから血圧も上がりやすいし、喧嘩はしちゃ駄目ですよ」
「アカリっち~。アカリっちだけだよ。うちの事気遣ってくれるの。これが出産を経験した先輩の余裕っしょ」
ありすが泣き真似をしながら朱里に抱きつくと、ありすの頭をグリムレインが尻尾で叩く。
「我の嫁に気安く抱きつくでない。嫁は産後でもアリスの様に気性は荒くなかったぞ」
「こら。グリムレイン喧嘩売らないの。メッ」
「ムキィーッ!アカリっちのとこのトカゲちゃん達は皆うちにあたりがキツイ!」
元気なありすに朱里が笑って何事も無く出産が無事に終わって良かったと胸を撫でおろす。
「ママ、シノリアを連れて来たよ」
リリスが看護師と一緒に『ゆりかご』魔法に包まれた赤ん坊と一緒に入ってくる。
ありすとリロノスの2人目の子供は黒髪に小さな角を持った男の子でシノリアと名付けられた。
ありすがシノリアを腕に抱いて「ヤバーい」と口にしてとろける笑顔をしている。
リリスもリロノスも笑顔を向けていて、朱里が一家団欒を邪魔してはいけないと「ではそろそろ帰りますね」と笑顔で出ていくと、ありすが「お見舞いありがとー」と元気に見送る。
「ふぁぁ~。眠いですね」
「そうか?我は夜中飛び回っていたが元気だぞ」
「グリムレインは冬場は元気いっぱいだよね。私は昨日のありすさんの出産騒ぎで寝不足です・・・」
小さく目をこすりながら朱里がカラコロと下駄の音をさせながら産院を出て夕飯の買い物をしないと・・・と、青果店を覗きながら歩く。
「グリムレインは今日は何が食べたいですか?」
「我はすき焼きがいい。勿論、魔牛だ!」
「ふふっ。ならリューちゃん達のお友達のお肉屋さんに行きましょうか」
「うむ。魔牛をたっぷり買い込もう!」
青果店でネギと白菜と春菊とキノコを買い、リュエールとシュトラールの友達キャンベルシーの親が経営している肉屋『どんてき』に行くと、蛇獣人のキャンベルシーの両親とあいさつを交わす。
「うちの息子達がいつもお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ。年始の挨拶にまで呼んでもらえるみたいで、ご迷惑をお掛けしますがよろしくしてやってください」
「年始の宴には一晩息子さんお借りしますね。こちらこそよろしくお願いします」
「それで今日は何のご入用ですか?」
「魔牛のすき焼き用のお肉1kgと・・・あと出来立てコロッケを2つ!」
「はい。毎度!すき焼きなら魔牛の牛脂を入れておきますから使ってください」
「ありがとうございます」
すき焼きの肉を購入するとコロッケを2つを1個ずつ紙に包んでもらい、店を出るとグリムレインと一緒に朱里がコロッケを口に入れる。
「ん~っ、サクサクで熱くて甘くて美味しい」
「んむっ。コロッケは出来たてが美味い」
買い食いをしながら2人が次に向かったのは豆腐屋。
古くからある豆腐屋で焼き豆腐と白滝を購入し、そこで無料で飲める豆乳を飲み、2人で「んっまい!」と言って笑顔で出ていく。
その後で2人は粉物屋に向かう。
粉物屋では麺も販売している為、うどんを3束買って、そこで売っている揚げ菓子を2つ買い、『女将亭』へ帰る道すがら、2人はもぐもぐと買い食いをしながら帰っていく。
「お買い物の楽しみは買い食いにあり!」
「異論はない!」
2人が家路に着いたころ、温泉街の『どんてき』にはコロッケを求める人々と豆乳を飲む人々に揚げ菓子を食べている人々が多く見られた。
満足な顔でキッチンに立つ朱里にリュエールとシュトラールが「母上、何か美味しそうな物買い食いしたでしょ!」と言い、朱里が目を逸らすと、「ズルーい!」と双子の合唱団が騒がしく出来ていた。
「お夕飯はすき焼きだから2人はお腹空かせてて!空腹は最高のスパイス!」
「母上~!!」
夕方に「コロッケが今日は人気があったみたいでな。買ってきた」と仕事帰りにルーファスが『どんてき』に寄ってコロッケを購入して帰ってきて、朱里が買い食いするんじゃなかったな。と、少し失敗と心の中で舌を出していたが、コロッケ人気が朱里とグリムレインの買い食いが発端だとは知る由もなく反省するのだった。
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