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11章
朱里との約束
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水浸しの店内を乾燥魔法で水滴を吹き飛ばすと乾いた床に朱里を下ろしてルーファスが乾燥魔法を全員に掛ける。
店の外に少しだけ爆発音と黒煙に集まってしまった人達が店内を覗いている。
「これ以上は人の目につくといけないから、私達は未来に帰るよ」
アルビーがリルを抱きかかえるとリルがケンジの死体を目で追えば、シグルトが「行きますよ」と死体から遠ざける様にアルビーの背を押す。
「待って!アルビー!」
「どうしたのアカリ?」
「リルさんを未来に連れ戻したら、もう時間移動したら駄目だよ」
「うん。もうこれ以上歴史に関与したら収拾つかなくなるからね」
「アルビー、リルさんをお願いね。あと、結婚おめでとう」
「任せといて。まだ番ってないから結婚はしてないけど、卵に孵る時までリルを幸せにするよ」
「約束だよ。いっぱい幸せになってね。アルビーは大事な弟なんだから」
「約束するよ。アカリ、大好きだよ」
朱里の顔にアルビーが顔をスリ寄せておでこ同士をコツンと合わせて嬉しそうに笑うと、ルーファスが朱里の腰に手をまわして自分に引き寄せて、アルビーから引きはがす。
「早く帰るなら帰れ。まったく、人の番に近寄り過ぎだ」
「あはは。ヤキモチ焼きなんだから。私はルーファスも大好きだよ」
ルーファスが「まったく」とため息を吐くとアルビーがルーファスに手を出す。
「なんだ?何か欲しいのか?」
「うん。ルーファスなら特殊ポーション持ってるでしょ?」
ルーファスが手の平から鍵を出して空中で鍵を開錠して、特殊ポーションを3本出すとアルビーの手に乗せる。
「アカリの作った物とアリスの作った物と2人の共同で作った物だ」
「ありがとう。これでリルが22歳を超えられるよ」
「ああ。元気でやるんだぞ」
「うん。ルーファスとアカリみたいな夫婦になれるように頑張るよ」
笑うアルビーに何とも言えない顔をするのはルーファスで自分の顔でニコニコ笑われるのは流石に慣れない物がある。
「アルビー、未来でちゃんと幸せになりなさい」
「ギルも幸せになりなよ?ちゃんと心に素直にならないと死ぬときに後悔するよ」
「それは未来の私が死ぬ間際にでも言ったのかい?」
「どうかな?でも私も結婚するし、ルーファスも結婚して家族もいるのにギルだけ独り身は可哀想かなっていう私なりの応援」
「余計なお世話ですよ。早く帰らないと現在のアルビーを追い回しますよ?」
「それは勘弁してほしいかな。この時代の私が可哀想」
「アルビー、寂しくなっても時間移動の機械は壊しなさい。わかったね?」
「わかってるよ。アカリもギルも心配しないで」
アルビーがギルと朱里に頷いて最後にネルフィームを見る。
「ネルフィーム【復讐】に捕らわれないでよ。ネルフィームが助けられなかった過去は未来に繋がってるんだから、幸せになってよ。私は闇属性は本能的に嫌いだけど、ネルフィームの事は好きだから、ギルの事頼むね」
「未来のアルビーは寛容だな」
「生きてる年数がネルフィームより私の方が多いんだから当たり前だよ。未来のネルフィームは私より生きてるけど、過去に来た時ぐらいは先輩風を吹かせておかないとね」
「フッ。アルビー、私がこの時代ですることはあるか?」
「とりあえず、幸せになってよ。ケンジ・タナカに壊されたこの時代をアカリとルーファスの生きた時代として幸せに彩って欲しいから」
「そうか。努力はしてみよう」
アルビーがシグルトに「帰ろうか」と言って笑うとシグルトが朱里達に深々と頭を下げる。
シグルトが頭を上げる前に姿は掻き消えていく。
残されたのはネルフィームが小規模爆発を起こして滅茶苦茶になった店内だけ。
ケンジの遺体も掻き消えていた。
「アルビー、無事に未来に帰れたんでしょうか・・・」
「それは分からないが、未来はもう誰にも分らないからな。オレ達はアルビー達に言われた時間移動の機械を改良する仕事と、この下着専門店の買収をしないとな」
「忙しくなりそうですね」
朱里とルーファスが振り向くと、ギルとネルフィームが既に店の外に出て騒いでいた。
「ネルフィーム!結婚してください!」
「嫌だ。主の冗談に付き合ってられないな」
「ネルフィームの楽しみに取っておいたお酒を飲んだのは私です!【復讐】していいですから、一緒にいてくださいよ!」
「そんな事で【復讐】はしない。普通に殴るだけだ」
往来のど真ん中でネルフィームの拳をギルが手で押さえながら押し問答している。
「ネルフィームは側にいてくれるだけでいいので!私が勝手に1人で幸せになりますから!」
「主が幸せでも私が不幸な未来しか見えない!」
「私の暴挙についてこれるのはネルフィームだけなんですよ!」
「主が余計な事をしなければ良い事だろう?」
「お願いですから、私を1人にしないでください!」
「主従契約は【復讐】完了と同時にお終いだ。そういう話だっただろ?」
「なら新しい【復讐】先を見付けましょう!」
ギリギリと両手で押し問答をしている2人の足元が地面にめり込み始めたのを見て、朱里とルーファスが2人を止めに入ると、ネルフィームが竜化して朱里とルーファスを手に掴み空に舞い上がると、ネルフィームの尻尾にギルがしがみつき叫ぶ。
「絶対、私は幸せになりますからねー!」
「主はしつこい!」
ギルを主と呼んでいる時点で一緒に居ると言っているようなものだと思いつつも、2人のやり取りを聞きながら笑う朱里の姿にルーファスは好きにやらせておくことにした。
朱里が笑っていてくれるなら、ギルとネルフィームが年甲斐もなく公開プロポーズを繰り返していようと気にはしないのである。
店の外に少しだけ爆発音と黒煙に集まってしまった人達が店内を覗いている。
「これ以上は人の目につくといけないから、私達は未来に帰るよ」
アルビーがリルを抱きかかえるとリルがケンジの死体を目で追えば、シグルトが「行きますよ」と死体から遠ざける様にアルビーの背を押す。
「待って!アルビー!」
「どうしたのアカリ?」
「リルさんを未来に連れ戻したら、もう時間移動したら駄目だよ」
「うん。もうこれ以上歴史に関与したら収拾つかなくなるからね」
「アルビー、リルさんをお願いね。あと、結婚おめでとう」
「任せといて。まだ番ってないから結婚はしてないけど、卵に孵る時までリルを幸せにするよ」
「約束だよ。いっぱい幸せになってね。アルビーは大事な弟なんだから」
「約束するよ。アカリ、大好きだよ」
朱里の顔にアルビーが顔をスリ寄せておでこ同士をコツンと合わせて嬉しそうに笑うと、ルーファスが朱里の腰に手をまわして自分に引き寄せて、アルビーから引きはがす。
「早く帰るなら帰れ。まったく、人の番に近寄り過ぎだ」
「あはは。ヤキモチ焼きなんだから。私はルーファスも大好きだよ」
ルーファスが「まったく」とため息を吐くとアルビーがルーファスに手を出す。
「なんだ?何か欲しいのか?」
「うん。ルーファスなら特殊ポーション持ってるでしょ?」
ルーファスが手の平から鍵を出して空中で鍵を開錠して、特殊ポーションを3本出すとアルビーの手に乗せる。
「アカリの作った物とアリスの作った物と2人の共同で作った物だ」
「ありがとう。これでリルが22歳を超えられるよ」
「ああ。元気でやるんだぞ」
「うん。ルーファスとアカリみたいな夫婦になれるように頑張るよ」
笑うアルビーに何とも言えない顔をするのはルーファスで自分の顔でニコニコ笑われるのは流石に慣れない物がある。
「アルビー、未来でちゃんと幸せになりなさい」
「ギルも幸せになりなよ?ちゃんと心に素直にならないと死ぬときに後悔するよ」
「それは未来の私が死ぬ間際にでも言ったのかい?」
「どうかな?でも私も結婚するし、ルーファスも結婚して家族もいるのにギルだけ独り身は可哀想かなっていう私なりの応援」
「余計なお世話ですよ。早く帰らないと現在のアルビーを追い回しますよ?」
「それは勘弁してほしいかな。この時代の私が可哀想」
「アルビー、寂しくなっても時間移動の機械は壊しなさい。わかったね?」
「わかってるよ。アカリもギルも心配しないで」
アルビーがギルと朱里に頷いて最後にネルフィームを見る。
「ネルフィーム【復讐】に捕らわれないでよ。ネルフィームが助けられなかった過去は未来に繋がってるんだから、幸せになってよ。私は闇属性は本能的に嫌いだけど、ネルフィームの事は好きだから、ギルの事頼むね」
「未来のアルビーは寛容だな」
「生きてる年数がネルフィームより私の方が多いんだから当たり前だよ。未来のネルフィームは私より生きてるけど、過去に来た時ぐらいは先輩風を吹かせておかないとね」
「フッ。アルビー、私がこの時代ですることはあるか?」
「とりあえず、幸せになってよ。ケンジ・タナカに壊されたこの時代をアカリとルーファスの生きた時代として幸せに彩って欲しいから」
「そうか。努力はしてみよう」
アルビーがシグルトに「帰ろうか」と言って笑うとシグルトが朱里達に深々と頭を下げる。
シグルトが頭を上げる前に姿は掻き消えていく。
残されたのはネルフィームが小規模爆発を起こして滅茶苦茶になった店内だけ。
ケンジの遺体も掻き消えていた。
「アルビー、無事に未来に帰れたんでしょうか・・・」
「それは分からないが、未来はもう誰にも分らないからな。オレ達はアルビー達に言われた時間移動の機械を改良する仕事と、この下着専門店の買収をしないとな」
「忙しくなりそうですね」
朱里とルーファスが振り向くと、ギルとネルフィームが既に店の外に出て騒いでいた。
「ネルフィーム!結婚してください!」
「嫌だ。主の冗談に付き合ってられないな」
「ネルフィームの楽しみに取っておいたお酒を飲んだのは私です!【復讐】していいですから、一緒にいてくださいよ!」
「そんな事で【復讐】はしない。普通に殴るだけだ」
往来のど真ん中でネルフィームの拳をギルが手で押さえながら押し問答している。
「ネルフィームは側にいてくれるだけでいいので!私が勝手に1人で幸せになりますから!」
「主が幸せでも私が不幸な未来しか見えない!」
「私の暴挙についてこれるのはネルフィームだけなんですよ!」
「主が余計な事をしなければ良い事だろう?」
「お願いですから、私を1人にしないでください!」
「主従契約は【復讐】完了と同時にお終いだ。そういう話だっただろ?」
「なら新しい【復讐】先を見付けましょう!」
ギリギリと両手で押し問答をしている2人の足元が地面にめり込み始めたのを見て、朱里とルーファスが2人を止めに入ると、ネルフィームが竜化して朱里とルーファスを手に掴み空に舞い上がると、ネルフィームの尻尾にギルがしがみつき叫ぶ。
「絶対、私は幸せになりますからねー!」
「主はしつこい!」
ギルを主と呼んでいる時点で一緒に居ると言っているようなものだと思いつつも、2人のやり取りを聞きながら笑う朱里の姿にルーファスは好きにやらせておくことにした。
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