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11章
携帯とスマホ
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食事が終わり、それぞれが自由に夜の一時を過ごし、ドラゴン達は別棟の方へ移動し宴会を始め、リビングに聞こえてるのは微かな楽し気な笑い声。
リュエールとシュトラールは自分達の部屋に戻りお風呂に入って、そのまま寝る準備を始めている。ミルアとナルアはベビーカーで仲良く寝ている。子供達の夜は早い。
「ギルさん、リルさん、お茶どうぞ」
ギルとリルの前にお茶を出し、ルーファスと自分の分もテーブルに置くと朱里がルーファスの横に座る。
「ありがとう。アカリ」
お茶を手に取ってギルが匂いを吸い込んで「んーっ」と言いながら一気にお茶を飲み干す。
リルは『ありがとうございます』と書いてからお茶をフーッと息を吐きかけてから一口飲む。
「話の前に携帯とスマホをアシュレイに使えるようにしてもらった」
ルーファスが携帯とスマートフォンを服の胸元から出してテーブルの上に置くと、リルが手を伸ばすとルーファスがその手を止める。
「渡す前に聞きたい。リル、何故この携帯とスマホを持っていたんだ?」
『ケータイとスマホは【刻狼亭】の跡継ぎが20歳を過ぎると持たされる。ケータイは女将が持ち、スマホは旦那が持つ。先程の腕輪通信と同じ意味で持たされる』
「中の画像はどうなってるの?見てもいい?」
朱里がワクワクした顔で手を伸ばすとギルにつねられて「きゃん!」と声を上げて手を引っ込める。
「未来に関わる事を関係者は覗かないのが身の為なんです。子孫の為にもね」
「だからって、つねらなくてもいいじゃないですか。ふーっ、痛いです」
ルーファスが朱里の手をさすさすと摩りながら、ギルに眉間にしわを寄せて睨みつける。
ギルは肩をすくめてみせて、リルが携帯とスマートフォンの電源を入れると、携帯を持ち素早く片手の指を動かすと、スマートフォンの画面にデフォルメされたリルが映る。
『このケータイとスマホで私は喋る事が出来るのです。筆談だと時間が掛かりますから』
スマートフォンのデフォルメされたリルが音声として言葉を喋り、リルがニコッと笑う。
「どういう仕組みになってるの?携帯ってそんな機能あったっけ?」
朱里が自分の携帯を取り出すとリルが携帯を朱里の携帯に近付け、指を動かす。
『データ送信すれば同じ機能が使えますが・・・どうしましょう?未来の技術ですから止めた方が良いですよね?』
「止めておきなさい。アカリ、貴女は少し大人しくしていなさい」
ギルに叱られ、朱里が「ううっ」と言いながら大人しくお茶に手を伸ばして口に含ませる。
『中の画像は当主にならない限り見れないんです。暗号でロックされていて、当主になると暗号を教えてもらえるんです』
「リルさん、それを先に言ってください。ギルさんにつねられ損です!」
『すいません』
リルが頭を下げながら、朱里が「まぁ致し方ないのですけど」とガクリと頭を下に傾ける。
「まぁ、それはともかくだ。ケンジ・タナカについてアシュレイが面白い事を言っていた。アシュレイは400年以上前に下着を世界に流通させた男という事で歴史に残っているんだが、どうも下着はケンジ・タナカの店でのみ未だに世界中の下着を流通させていて、他の店が作る事を許可していないらしい」
ルーファスの言葉にそんな事が可能なのだろうかと思いつつ、ハッと朱里が自分の服の胸元を覗き込み下着を見るとルーファスに手で押さえつけられる。
「アカリ、直ぐに行動に移すんじゃない」
「あはは・・・つい、でも下着ならタグとか付いてるはずだから、お店の名前とか書いてあるかも?」
「それに関してもアシュレイに聞いてきた。【Ke&Li】何の暗号かはわからんがこれで【ケアンドリ】というらしい」
テーブルKe&Liと書きながらルーファスとギルが「不思議な文字なのか暗号なのか分からないな」と言い合っている。
「これ、ローマ字だよ。ケンジのKeにリルさんのLiなんじゃないかな?」
朱里がKenji(ケンジ)Liru(リル)と書くとルーファスとギルとリルが不思議そうな顔で朱里を見る。
「異世界の文字なのか?」
「こっちには英語ってないんだ?魔法の詠唱とか英語で発音してるからあるんだと思ってた」
「英語が何かは分らないが、魔法の詠唱は朱里の耳には英語というのに聞こえているのか?」
「うん。皆よく発音できてるなーって思ってたよ」
「アカリが魔法を使えないのはもしかして発音のせいか?」
「ぇえええ・・・ありすさんは使えてるのに?」
「アリスはちゃんと発音しているからな・・・」
ルーファスが困った目で朱里を見て、朱里が「日本人は海外行かなきゃ英語なんて使わないもん!」と少しいじけてみせる。
コンコンとギルがテーブルを指で叩き「そんなのは良いから」と、話の続きをする様に促す。
「ああ、それで下着なんだが未だに【Ke&Li】が世界の下着全てを作っている為に金も【Ke&Li】に流れている。オーダーメイドを注文する時は機械兵の様な物が寸法を測りに来るとかで、人に肌を見られたくない女性には人気があるらしいんだが・・・販売員も全て機械らしい。人が一切関わっていない」
朱里が何がおかしいのだろうと首を捻ると、ギルが「400年以上も前から変わらない・・・と?」と言うとルーファスが頷く。
「400年前から機械だけで全てを行い、莫大な富を築いているはずなのに世界中にある支店すべて400年前から変わらないらしい。客の要望にも機械が答えデザインも希望に沿う様に作るらしい。創設者のケンジ・タナカ以外の人間が関わっていないのが不気味な感じだ」
『ケンジの下着に掛ける情熱は凄まじいのです。全ての下着を自分が網羅していない事を許さないのがケンジです』
リルが頬に手を当てながら首を小さく振り、『ケンジは下着に関しては変態の領域なのです』と話す。
「もしかして、ケンジ・タナカは機械として今も動き続けているとしたらどう思いますか?」
ギルの言葉に朱里もルーファスもそれは無いと、苦笑いするが、リルだけはその考えにケンジならやりそうだと思ってしまったのだった。
リュエールとシュトラールは自分達の部屋に戻りお風呂に入って、そのまま寝る準備を始めている。ミルアとナルアはベビーカーで仲良く寝ている。子供達の夜は早い。
「ギルさん、リルさん、お茶どうぞ」
ギルとリルの前にお茶を出し、ルーファスと自分の分もテーブルに置くと朱里がルーファスの横に座る。
「ありがとう。アカリ」
お茶を手に取ってギルが匂いを吸い込んで「んーっ」と言いながら一気にお茶を飲み干す。
リルは『ありがとうございます』と書いてからお茶をフーッと息を吐きかけてから一口飲む。
「話の前に携帯とスマホをアシュレイに使えるようにしてもらった」
ルーファスが携帯とスマートフォンを服の胸元から出してテーブルの上に置くと、リルが手を伸ばすとルーファスがその手を止める。
「渡す前に聞きたい。リル、何故この携帯とスマホを持っていたんだ?」
『ケータイとスマホは【刻狼亭】の跡継ぎが20歳を過ぎると持たされる。ケータイは女将が持ち、スマホは旦那が持つ。先程の腕輪通信と同じ意味で持たされる』
「中の画像はどうなってるの?見てもいい?」
朱里がワクワクした顔で手を伸ばすとギルにつねられて「きゃん!」と声を上げて手を引っ込める。
「未来に関わる事を関係者は覗かないのが身の為なんです。子孫の為にもね」
「だからって、つねらなくてもいいじゃないですか。ふーっ、痛いです」
ルーファスが朱里の手をさすさすと摩りながら、ギルに眉間にしわを寄せて睨みつける。
ギルは肩をすくめてみせて、リルが携帯とスマートフォンの電源を入れると、携帯を持ち素早く片手の指を動かすと、スマートフォンの画面にデフォルメされたリルが映る。
『このケータイとスマホで私は喋る事が出来るのです。筆談だと時間が掛かりますから』
スマートフォンのデフォルメされたリルが音声として言葉を喋り、リルがニコッと笑う。
「どういう仕組みになってるの?携帯ってそんな機能あったっけ?」
朱里が自分の携帯を取り出すとリルが携帯を朱里の携帯に近付け、指を動かす。
『データ送信すれば同じ機能が使えますが・・・どうしましょう?未来の技術ですから止めた方が良いですよね?』
「止めておきなさい。アカリ、貴女は少し大人しくしていなさい」
ギルに叱られ、朱里が「ううっ」と言いながら大人しくお茶に手を伸ばして口に含ませる。
『中の画像は当主にならない限り見れないんです。暗号でロックされていて、当主になると暗号を教えてもらえるんです』
「リルさん、それを先に言ってください。ギルさんにつねられ損です!」
『すいません』
リルが頭を下げながら、朱里が「まぁ致し方ないのですけど」とガクリと頭を下に傾ける。
「まぁ、それはともかくだ。ケンジ・タナカについてアシュレイが面白い事を言っていた。アシュレイは400年以上前に下着を世界に流通させた男という事で歴史に残っているんだが、どうも下着はケンジ・タナカの店でのみ未だに世界中の下着を流通させていて、他の店が作る事を許可していないらしい」
ルーファスの言葉にそんな事が可能なのだろうかと思いつつ、ハッと朱里が自分の服の胸元を覗き込み下着を見るとルーファスに手で押さえつけられる。
「アカリ、直ぐに行動に移すんじゃない」
「あはは・・・つい、でも下着ならタグとか付いてるはずだから、お店の名前とか書いてあるかも?」
「それに関してもアシュレイに聞いてきた。【Ke&Li】何の暗号かはわからんがこれで【ケアンドリ】というらしい」
テーブルKe&Liと書きながらルーファスとギルが「不思議な文字なのか暗号なのか分からないな」と言い合っている。
「これ、ローマ字だよ。ケンジのKeにリルさんのLiなんじゃないかな?」
朱里がKenji(ケンジ)Liru(リル)と書くとルーファスとギルとリルが不思議そうな顔で朱里を見る。
「異世界の文字なのか?」
「こっちには英語ってないんだ?魔法の詠唱とか英語で発音してるからあるんだと思ってた」
「英語が何かは分らないが、魔法の詠唱は朱里の耳には英語というのに聞こえているのか?」
「うん。皆よく発音できてるなーって思ってたよ」
「アカリが魔法を使えないのはもしかして発音のせいか?」
「ぇえええ・・・ありすさんは使えてるのに?」
「アリスはちゃんと発音しているからな・・・」
ルーファスが困った目で朱里を見て、朱里が「日本人は海外行かなきゃ英語なんて使わないもん!」と少しいじけてみせる。
コンコンとギルがテーブルを指で叩き「そんなのは良いから」と、話の続きをする様に促す。
「ああ、それで下着なんだが未だに【Ke&Li】が世界の下着全てを作っている為に金も【Ke&Li】に流れている。オーダーメイドを注文する時は機械兵の様な物が寸法を測りに来るとかで、人に肌を見られたくない女性には人気があるらしいんだが・・・販売員も全て機械らしい。人が一切関わっていない」
朱里が何がおかしいのだろうと首を捻ると、ギルが「400年以上も前から変わらない・・・と?」と言うとルーファスが頷く。
「400年前から機械だけで全てを行い、莫大な富を築いているはずなのに世界中にある支店すべて400年前から変わらないらしい。客の要望にも機械が答えデザインも希望に沿う様に作るらしい。創設者のケンジ・タナカ以外の人間が関わっていないのが不気味な感じだ」
『ケンジの下着に掛ける情熱は凄まじいのです。全ての下着を自分が網羅していない事を許さないのがケンジです』
リルが頬に手を当てながら首を小さく振り、『ケンジは下着に関しては変態の領域なのです』と話す。
「もしかして、ケンジ・タナカは機械として今も動き続けているとしたらどう思いますか?」
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