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11章
ケンジの日記
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「ギルが関わると面倒そう」
「アルビー、私が泣きますよ!愛息子に面倒そうとか言われるなんて!」
ギルがアルビーにいつもの様にじゃれつくと、アルビーの目が迷惑そうに逸らされる。
「主、早く日記を」
「ネルフィームはせっかちですね。まぁいいですよ」
手に持っていた紺色の分厚い日記帳をギルがリルに広げて見せる。
リルが手に取ると、リルの知っている男の字が日記には書き込まれ、バカな事ばかりが文字として残っている。
リルの事を「好きだ」と言えば、次のセリフは「オレの作った下着と服を着てくれ!」という人を喜ばせておいて叩き落す変態。それがケンジという男。
目元がだらしなく伸びきった髪で見えず、ヒョロリと高く痩せて見えるのに隠れマッチョで「筋トレしないと落ち着かないから」という変な理由で体を鍛えていたケンジは実際戦えたかと言うと戦えず、見せかけ筋肉な男ではあった。
しかし、前髪を上げると凄く格好いい顔をしていて、その顔で迫られると思わず赤面してしまうくらいにはリルはケンジが好きだった。
喋れないリルを相手に色々と話をしてくれて、半分以上は異世界の事なのか訳の分からない御伽噺の様な話をしていた。リルを『二次元嫁か?!』とか『ケモ耳童顔嫁キター』と訳の分からない事を叫んでいた。
とにかく騒がしくて訳の分からない男で、でもリルの為に色々と親身になってくれたり心配してくれたリルの味方だった。
生まれつき体の弱いリルは小さい頃から腫れ物扱いで、弟のシグルトが生まれてからは皆リルを遠巻きにしてシグルトの方へ行ってしまった。
【刻狼亭】を引き継げないリルより、男でしかも丈夫なシグルトは跡取りになるには相応しいだろう事は分っていた。
シグルトはそのせいで調子に乗ってリルに散々嫌がらせしてきて、リルは何度かそれで死にかかった事もあった。
流石にそれに関してはシグルトも周りから怒られたが、やる事が子供のイタズラなのでそこまでの罰は受けなかった。
リルを寒い部屋に閉じ込めて風邪を引かせたり、水を掛けてきて風邪を引かせたりと、とにかくリルが体が弱いのを悪化させようとばかりしてくるイタズラを仕掛けてくるのだ。
トリニア家は仲の良い親戚付き合いをしている一族なのだが、リルとシグルトだけは仲の良くない姉弟と言われていて、親戚からは「困った子供達だ」とよく言われていた。
パラパラと日記を読めば、ケンジが下着革命でも起こそうというかの様な書き込みが初めはしてある。
「必要な文章はもう少し先だよ。君が未来から過去へ連れ去られてしまった真実は」
ギルがネルフィームからローランドに乗り移り、リルの持っているケンジの日記をパラっとめくって「ココから」と、リルに読めと目を細める。
「ちょっと、ギル!もしかして全部日記読んじゃったの?!」
「当たり前じゃないですか?資料みたいなものですし」
「こうした未来の事に関して、ましてや関係者が読んだら一番駄目なのに!」
アルビーが眉間にしわを寄せながら文句を言えばギルは何食わぬ顔で「いいじゃないか」と笑っている。
ギルの性格からして面倒くさい所もあるが、基本的にギルは人の為になる様な事はしないので放置でも良いかとも途中で思いなおす。
ギルが指示したページにはケンジの字でリルとの出会いが書かれていた。
『温泉大陸に行ったら狼っ娘が居た・・・が、ちょっと強すぎ。
アレは肉食系女子・・・オレの求めてるのはもっと可愛い系の狼っ娘です。
時間移動たいむ君で100年単位で移動する事4回目・・・居た!
・・・が、ケモ耳がない!!残念!!でも顔は好みです!!
近付いたら黒い狼の男にメッチャ眼つけられたー!怖ぇええ!!
きっとあの子が産んだ子供とか可愛くなる!そっくりな子生まれてほしい!
20年後に飛んだら、あの子そっくりの双子がケモ耳生やして居たー!
我が世の春・・・と、思ったら黒い狼男にフルボッコ・・・。
アレはアカーン。
もう少し時間移動してみた。
たまにあの子に似ている子は居るのに少し違う。
身長は要らないんだよー!!
ミニサイズ!小さくて手に収まるタイプを我が手にー!!
隔世遺伝仕事しろ!
何度か時代を移動して、ようやく逢えたマイエンジェル!!
ケモ耳幼女キター!!
声が出せないリルちゃんと地面で文字を書いての会話成功。
体が弱いとか・・・薄幸の美少女設定かーーー!!
治してあげたいけど、どうしようかな?
オレの能力で新しい物を作るには莫大な金と時間が必要だし・・。
これはオレ、頑張っちゃう系?
ただ、リルちゃんの環境も変えてあげないといけない。
代々続く旅館経営をしている様だけど、あれじゃまだ駄目だ。
よし、世界に名を轟かせるくらい有名な温泉旅館にしてリルちゃんの環境整えよ。
オレの嫁計画始動!!
まずは、環境整備の為に元の時代・・・いや、いっそ温泉大陸をリルちゃんの一族の物にしちゃう方がいいか。もっとずっと先の時代まで戻ってみようかな』
リルが目を見開いて小さく震える。
温泉大陸を・・・リルの一族の物にする?
時代を移動・・・?
リルの知っているケンジはモサッとしていていつもアホな事を口走り、へらへらしている男で騒がしい変な男。
こんな妙な事は・・ケンジの妄想・・・そう思うのに、嫌な汗がにじみ出る。
「アルビー、私が泣きますよ!愛息子に面倒そうとか言われるなんて!」
ギルがアルビーにいつもの様にじゃれつくと、アルビーの目が迷惑そうに逸らされる。
「主、早く日記を」
「ネルフィームはせっかちですね。まぁいいですよ」
手に持っていた紺色の分厚い日記帳をギルがリルに広げて見せる。
リルが手に取ると、リルの知っている男の字が日記には書き込まれ、バカな事ばかりが文字として残っている。
リルの事を「好きだ」と言えば、次のセリフは「オレの作った下着と服を着てくれ!」という人を喜ばせておいて叩き落す変態。それがケンジという男。
目元がだらしなく伸びきった髪で見えず、ヒョロリと高く痩せて見えるのに隠れマッチョで「筋トレしないと落ち着かないから」という変な理由で体を鍛えていたケンジは実際戦えたかと言うと戦えず、見せかけ筋肉な男ではあった。
しかし、前髪を上げると凄く格好いい顔をしていて、その顔で迫られると思わず赤面してしまうくらいにはリルはケンジが好きだった。
喋れないリルを相手に色々と話をしてくれて、半分以上は異世界の事なのか訳の分からない御伽噺の様な話をしていた。リルを『二次元嫁か?!』とか『ケモ耳童顔嫁キター』と訳の分からない事を叫んでいた。
とにかく騒がしくて訳の分からない男で、でもリルの為に色々と親身になってくれたり心配してくれたリルの味方だった。
生まれつき体の弱いリルは小さい頃から腫れ物扱いで、弟のシグルトが生まれてからは皆リルを遠巻きにしてシグルトの方へ行ってしまった。
【刻狼亭】を引き継げないリルより、男でしかも丈夫なシグルトは跡取りになるには相応しいだろう事は分っていた。
シグルトはそのせいで調子に乗ってリルに散々嫌がらせしてきて、リルは何度かそれで死にかかった事もあった。
流石にそれに関してはシグルトも周りから怒られたが、やる事が子供のイタズラなのでそこまでの罰は受けなかった。
リルを寒い部屋に閉じ込めて風邪を引かせたり、水を掛けてきて風邪を引かせたりと、とにかくリルが体が弱いのを悪化させようとばかりしてくるイタズラを仕掛けてくるのだ。
トリニア家は仲の良い親戚付き合いをしている一族なのだが、リルとシグルトだけは仲の良くない姉弟と言われていて、親戚からは「困った子供達だ」とよく言われていた。
パラパラと日記を読めば、ケンジが下着革命でも起こそうというかの様な書き込みが初めはしてある。
「必要な文章はもう少し先だよ。君が未来から過去へ連れ去られてしまった真実は」
ギルがネルフィームからローランドに乗り移り、リルの持っているケンジの日記をパラっとめくって「ココから」と、リルに読めと目を細める。
「ちょっと、ギル!もしかして全部日記読んじゃったの?!」
「当たり前じゃないですか?資料みたいなものですし」
「こうした未来の事に関して、ましてや関係者が読んだら一番駄目なのに!」
アルビーが眉間にしわを寄せながら文句を言えばギルは何食わぬ顔で「いいじゃないか」と笑っている。
ギルの性格からして面倒くさい所もあるが、基本的にギルは人の為になる様な事はしないので放置でも良いかとも途中で思いなおす。
ギルが指示したページにはケンジの字でリルとの出会いが書かれていた。
『温泉大陸に行ったら狼っ娘が居た・・・が、ちょっと強すぎ。
アレは肉食系女子・・・オレの求めてるのはもっと可愛い系の狼っ娘です。
時間移動たいむ君で100年単位で移動する事4回目・・・居た!
・・・が、ケモ耳がない!!残念!!でも顔は好みです!!
近付いたら黒い狼の男にメッチャ眼つけられたー!怖ぇええ!!
きっとあの子が産んだ子供とか可愛くなる!そっくりな子生まれてほしい!
20年後に飛んだら、あの子そっくりの双子がケモ耳生やして居たー!
我が世の春・・・と、思ったら黒い狼男にフルボッコ・・・。
アレはアカーン。
もう少し時間移動してみた。
たまにあの子に似ている子は居るのに少し違う。
身長は要らないんだよー!!
ミニサイズ!小さくて手に収まるタイプを我が手にー!!
隔世遺伝仕事しろ!
何度か時代を移動して、ようやく逢えたマイエンジェル!!
ケモ耳幼女キター!!
声が出せないリルちゃんと地面で文字を書いての会話成功。
体が弱いとか・・・薄幸の美少女設定かーーー!!
治してあげたいけど、どうしようかな?
オレの能力で新しい物を作るには莫大な金と時間が必要だし・・。
これはオレ、頑張っちゃう系?
ただ、リルちゃんの環境も変えてあげないといけない。
代々続く旅館経営をしている様だけど、あれじゃまだ駄目だ。
よし、世界に名を轟かせるくらい有名な温泉旅館にしてリルちゃんの環境整えよ。
オレの嫁計画始動!!
まずは、環境整備の為に元の時代・・・いや、いっそ温泉大陸をリルちゃんの一族の物にしちゃう方がいいか。もっとずっと先の時代まで戻ってみようかな』
リルが目を見開いて小さく震える。
温泉大陸を・・・リルの一族の物にする?
時代を移動・・・?
リルの知っているケンジはモサッとしていていつもアホな事を口走り、へらへらしている男で騒がしい変な男。
こんな妙な事は・・ケンジの妄想・・・そう思うのに、嫌な汗がにじみ出る。
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