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11章
竜とリル
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朱里が絶叫した後で一番大きな『竜の癒し木』からドラゴン達が顔をのぞかせる。
「アカリどうしたの?」
「嫁が騒いでおるな」
「主しゃま?」
「どうしたアカリ殿」
「相変わらず騒がしい子ね」
アルビー、グリムレイン、エデン、ローランド、ケルチャの順で朱里に話し掛け30cm程の小さなサイズで周りに集まってくる。
「皆、この『竜の癒し木』これからドンドン大きくなるって聞いたんだけど?」
サッとアルビーが顔を逸らし、グリムレインが「良いではないか」と朱里の頭をポフポフと叩き、エデンが手を叩いて笑い、ローランドが「こんなに大きくなるぞ!」と両手を広げてみせ、ケルチャが「ケチくさい事言うんじゃないわよ」とフンッと鼻で笑う。
「あなた達、笑い事じゃないの!もう!こんなに根付いちゃったから移動も出来ないし、次に植える時はもう少し考えなさい」
朱里が叱るとドラゴン達は笑いながら朱里の後ろに居たリルの周りに首を捻りながら近寄る。
「アカリ、この子は誰?」
「嫁に似てるが、ちと違うな」
「命がないねー」
「なんつーか存在が不安定だな」
「昔こういう子見た事あるわね」
リルの周りでドラゴン達はくるくる飛び回りながら、色々な角度からリルを見て言いたいことをポンポン言って結論が「不思議な子」でまとまる。
「この子はリルさん。喋れないからそんなにポンポン言っちゃ駄目だよ。んーと、まだハッキリ理由とか判らないけど、【刻狼亭】の19代目がリルさんらしいの。未来の子・・・かな?」
言葉にすると何だかチープな言い方だなとは思うが、朱里としては説明の仕様がない。
ドラゴン達は「へぇー」と言いながら朱里の周りに集まる。
「この子から何か未来の事は聞いた?」
「少しだけ『竜の癒し木』で女将亭が別に建てられるとか、16代目から19代目の名前とかなら聞いたよ」
アルビーの質問に朱里が指で「少しだけ」と親指と人差し指でジェスチャーすると、アルビーが他のドラゴンにどうしよう?と話す。
「嫁よ、それ以上は聞くな。未来の不確定な事を聞けば少なからず影響が出る」
「そうなの?でもそうしたらリルさんの事が解らないままなんだけど・・・」
「それならば、我らが聞こう。我らは永遠を生きているのだ。未来に影響は出ないだろうしな」
「えー、でも」
「でもではない!嫁がこれ以上聞けば、このリルという娘の存在自体が無くなる。既にエデンに命が感じられないぐらいに影響が出ているのだ。話せることは我らが後で話してやるから嫁はチビ達の面倒でも見ていろ」
むぅっと口を尖らせながらもリルが消えてしまうのは可哀想だとすごすごと朱里はグリムレインにペシペシと頭を叩かれながら女将亭の中に入っていく。
リルの周りに集まったドラゴン達は体を元の大きさに戻すとリルをグリムレインが口で咥えてローランドの背中に置き、空にドラゴン達が飛び上がる。
「空の上なら人に話を聞かれることは無いからね」
「名乗った方が良いか?未来から来たのならば名を知っていそうではあるが」
『アルビー、グリムレイン、エデン、ケルチャ、ローランド。わかります』
リルが書く文字を見てドラゴン達は頷き、エデンのおでこにアルビーがキスをし、次にグリムレイン、ローランド、ケルチャがキスを落としていくと、エデンの体が輝きを放ち6メートル程のドラゴンになる。
「皆、ありがとう。さぁ、命の少ない子・・・貴女に少しだけ『命』を貸し与えてあげるわ」
エデンが指先から金の粒子を出してリルの唇に押し当て飲み込ませる。
コクリとリルの喉が動くとエデンは目を弓なりにして微笑み元の小さなエデンに戻る。
「キュー」
「エデンお疲れ様」
エデンをアルビーが頭の上に乗せて尻尾を振るとエデンも小さく尻尾を振る。
朱里の許可がないエデンの能力行使は他のドラゴンから魔力を吸い取る事で一時的に使えるだけで、エデンの能力の中では一番低い物しか使えず、1回使えばすぐに枯渇してしまう。
「さて、エデンに命の期限を延ばしてもらったから、もうしばらく君と話が出来そうだね」
『ドラゴンには全てお見通しなのですね』
「我達ドラゴンは人の生き死には肌で感じられるからな」
「でも生まれつき弱いみたいだし、アカリ殿みたいだな」
「その声が出ないのも生まれつきみたいね」
リルが頷き『季節外れに生まれたのです』と書き、ドラゴン達は「だろうね」とリルの脆弱な命の灯の無さに少し哀れんだ目を向ける。
『私は長くて20代半ばで命が尽きます。もう21歳なので時間が残されていません。私を生かす為に異世界から来たケンジ・タナカが力を貸してくれていたのですが・・・彼が何処に行ってしまったのか分らず、何故、私が過去に居るのかもわからないのです』
リルが項垂れながら耳を下げると、「その話の謎解き私がしましょうか?」と声がする。
ダンジョンの隠し部屋で見つけた日記を片手にギルがネルフィームに乗ってドラゴン達の話に参加してきた。
「アカリどうしたの?」
「嫁が騒いでおるな」
「主しゃま?」
「どうしたアカリ殿」
「相変わらず騒がしい子ね」
アルビー、グリムレイン、エデン、ローランド、ケルチャの順で朱里に話し掛け30cm程の小さなサイズで周りに集まってくる。
「皆、この『竜の癒し木』これからドンドン大きくなるって聞いたんだけど?」
サッとアルビーが顔を逸らし、グリムレインが「良いではないか」と朱里の頭をポフポフと叩き、エデンが手を叩いて笑い、ローランドが「こんなに大きくなるぞ!」と両手を広げてみせ、ケルチャが「ケチくさい事言うんじゃないわよ」とフンッと鼻で笑う。
「あなた達、笑い事じゃないの!もう!こんなに根付いちゃったから移動も出来ないし、次に植える時はもう少し考えなさい」
朱里が叱るとドラゴン達は笑いながら朱里の後ろに居たリルの周りに首を捻りながら近寄る。
「アカリ、この子は誰?」
「嫁に似てるが、ちと違うな」
「命がないねー」
「なんつーか存在が不安定だな」
「昔こういう子見た事あるわね」
リルの周りでドラゴン達はくるくる飛び回りながら、色々な角度からリルを見て言いたいことをポンポン言って結論が「不思議な子」でまとまる。
「この子はリルさん。喋れないからそんなにポンポン言っちゃ駄目だよ。んーと、まだハッキリ理由とか判らないけど、【刻狼亭】の19代目がリルさんらしいの。未来の子・・・かな?」
言葉にすると何だかチープな言い方だなとは思うが、朱里としては説明の仕様がない。
ドラゴン達は「へぇー」と言いながら朱里の周りに集まる。
「この子から何か未来の事は聞いた?」
「少しだけ『竜の癒し木』で女将亭が別に建てられるとか、16代目から19代目の名前とかなら聞いたよ」
アルビーの質問に朱里が指で「少しだけ」と親指と人差し指でジェスチャーすると、アルビーが他のドラゴンにどうしよう?と話す。
「嫁よ、それ以上は聞くな。未来の不確定な事を聞けば少なからず影響が出る」
「そうなの?でもそうしたらリルさんの事が解らないままなんだけど・・・」
「それならば、我らが聞こう。我らは永遠を生きているのだ。未来に影響は出ないだろうしな」
「えー、でも」
「でもではない!嫁がこれ以上聞けば、このリルという娘の存在自体が無くなる。既にエデンに命が感じられないぐらいに影響が出ているのだ。話せることは我らが後で話してやるから嫁はチビ達の面倒でも見ていろ」
むぅっと口を尖らせながらもリルが消えてしまうのは可哀想だとすごすごと朱里はグリムレインにペシペシと頭を叩かれながら女将亭の中に入っていく。
リルの周りに集まったドラゴン達は体を元の大きさに戻すとリルをグリムレインが口で咥えてローランドの背中に置き、空にドラゴン達が飛び上がる。
「空の上なら人に話を聞かれることは無いからね」
「名乗った方が良いか?未来から来たのならば名を知っていそうではあるが」
『アルビー、グリムレイン、エデン、ケルチャ、ローランド。わかります』
リルが書く文字を見てドラゴン達は頷き、エデンのおでこにアルビーがキスをし、次にグリムレイン、ローランド、ケルチャがキスを落としていくと、エデンの体が輝きを放ち6メートル程のドラゴンになる。
「皆、ありがとう。さぁ、命の少ない子・・・貴女に少しだけ『命』を貸し与えてあげるわ」
エデンが指先から金の粒子を出してリルの唇に押し当て飲み込ませる。
コクリとリルの喉が動くとエデンは目を弓なりにして微笑み元の小さなエデンに戻る。
「キュー」
「エデンお疲れ様」
エデンをアルビーが頭の上に乗せて尻尾を振るとエデンも小さく尻尾を振る。
朱里の許可がないエデンの能力行使は他のドラゴンから魔力を吸い取る事で一時的に使えるだけで、エデンの能力の中では一番低い物しか使えず、1回使えばすぐに枯渇してしまう。
「さて、エデンに命の期限を延ばしてもらったから、もうしばらく君と話が出来そうだね」
『ドラゴンには全てお見通しなのですね』
「我達ドラゴンは人の生き死には肌で感じられるからな」
「でも生まれつき弱いみたいだし、アカリ殿みたいだな」
「その声が出ないのも生まれつきみたいね」
リルが頷き『季節外れに生まれたのです』と書き、ドラゴン達は「だろうね」とリルの脆弱な命の灯の無さに少し哀れんだ目を向ける。
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リルが項垂れながら耳を下げると、「その話の謎解き私がしましょうか?」と声がする。
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