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11章
ダンジョン⑤
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「ただいまー!」
「かえったよー!」
リュエールとシュトラールが『女将亭』の自宅へ帰ってくると店の方ではリロノスとハガネが忙しそうに動き回り、手を小さく上げて笑って挨拶する感じで客対応に追われていた。
2階へ上がっていくとリビングでは朱里とありすが紙に筆を走らせている所だった。
朱里が2人に気付くと笑顔で出迎える。
「おかえりなさい。リューちゃん、シューちゃん楽しかった?」
「ただいま母上。うん。楽しかったよ」
「ただいまー母上」
ギュッと抱きついて旋毛にキスを落としてくる朱里に2人が「やめてよー」と文句を言いながら、ふにっとした朱里の胸に「やっぱり母上の方が大きい」と床下から見付けた少女との違いを比べる。
「あ、そうだ。母上とアリスさんのケータイとスマホがダンジョンの隠し部屋にもあったよ」
「でも使えないみたいで、後で【風雷商】のオジサンに頼んで使える様にしてもらってもいい?」
リュエールがカバンからギルに預けられた携帯とスマートフォンを出してテーブルに置くと2人は新しい自分達の部屋に我先にと走って行ってしまう。
ありすと朱里がテーブルの上に置かれた携帯とスマートフォンを手に取って困惑した顔をする。
自分達の持っている携帯とスマートフォンを見比べ、「嘘でしょー・・・」と声を出す。
持ち帰られた携帯とスマートフォンの方が傷が付いたりして古い感じではあるが、まったくの瓜二つ。
「私の携帯にある傷と同じ場所に傷がある・・・」
ありすが持ち帰られたスマートフォンのカバーを剥がすと、カバーの裏側から色落ちして見えにくくはなっているが、ありすとリロノスとリリスの写真が貼ってある。
「これ、うちらの携帯とスマートフォンっしょ・・・どういう事っしょ?」
「わかりませんけど、何なんでしょう・・・」
「リューちんとシューちんが揶揄ってるとか?」
「いえ、でも、こんなに手の込んだイタズラは無理じゃないかな・・・」
2人が目を合わせながら「うーん」と渋い顔をしていると、『竜の癒し木』のある窓からネルフィームが顔を出す。
「すまない。手を貸してもらえるか?」
「あ、はーい。どうしたのネルフィーム」
「主がギルドに報告に行ってしまってな、この子を預かってくれ」
ネルフィームが朱里そっくりの少女を渡すと人型に変化して窓から入りこみ、朱里に渡した少女を抱えてソファに寝かせる。
「え?えええ?ネルフィームこの子誰?」
「判らないが、今回のダンジョンの隠し部屋に隠されていた」
「うわーっ。アカリっちそっくりっしょ!」
ソファに寝かせた少女を囲みながらネルフィームとありすが朱里と少女を見比べる。
ストレートの黒髪に背丈は同じくらいで、違いは耳と胸くらいなものだろうか?
「この子といい、携帯と言い・・・何なの?」
「とりあえず、アシュっちに携帯とスマホ直してもらうしかないっしょ」
「はい。中身次第で全部ハッキリしそうですもんね」
「そそっ。魔法も何でもある世界なんだから悩むだけ損っしょ」
ありすが笑いながら朱里に持ち帰ったスマートフォンを手渡して寝ている少女の狼耳をフニフニと握る。
ぴくぴくと耳が避ける様に動き、眉間にしわが寄る。
「何かこの子起きそうっしょ」
ありすの声に朱里も少女を覗き込みじっと見つめていると少女の目が開かれる。
金目の少女に朱里も「あっ」と声を出す。
目をつぶっているとはいえ、自分と同じ黒目だとばかり思っていたら金の目に一瞬動揺が走る。
黒狼で金の目はトリニア家だけだとルーファスは言っていたが、この子は何者だろう?と首を捻ると、少女も同じように首を捻る。
少女が朱里に手を伸ばし顔をペタペタと触り、首を捻り胸をふにっと掴んだ瞬間、少女の眉間にしわが寄る。
自分の胸に手を当て、少女が顔に手を当てる。
「えと、アカリっちの胸と自分の胸の差分にショックを受けてる・・・?」
「あなたのお名前は?」
少女は自分の体をあちこち触りながら、困った顔で指で必死に四角を空に描いて、手振り身振りで必死に訴える。
「もしかして、あなた喋れないの?」
朱里の言葉に少女がコクコクと頷く。
ネルフィームがテーブルの上の紙とペンを少女に渡すと少女はチマチマとした字で書いていく。
『私はリルです。ケンジはどこですか?』
朱里とありすが「ケンジ・・・?日本人みたいな名前だね」と言うとリルはコクコクと頷く。
『ケンジは日本人。異世界から来たの。ケンジを知っていますか?』
「異世界人?!うちらと同じ日本人って・・・」
「待ってください。私、ケンジって最近どこかで聞きました」
「ケンジ・・・うーん。そういえばうちも聞いた気がするっしょ」
『ケンジはケンジ・タナカといいます』
「あーっ!!ケンジ・タナカ!!下着を広めた異世界人!」
「あああ!ルーっちが言ってたうちらの世界の下着男!」
水着の話をしていた時にルーファスがチラッと口にしていた人物の名前がケンジ・タナカだったと2人が行き当たり、お互いに指を刺せば、リルが恥ずかしそうに手で顔を隠しながら耳を下げる。
「かえったよー!」
リュエールとシュトラールが『女将亭』の自宅へ帰ってくると店の方ではリロノスとハガネが忙しそうに動き回り、手を小さく上げて笑って挨拶する感じで客対応に追われていた。
2階へ上がっていくとリビングでは朱里とありすが紙に筆を走らせている所だった。
朱里が2人に気付くと笑顔で出迎える。
「おかえりなさい。リューちゃん、シューちゃん楽しかった?」
「ただいま母上。うん。楽しかったよ」
「ただいまー母上」
ギュッと抱きついて旋毛にキスを落としてくる朱里に2人が「やめてよー」と文句を言いながら、ふにっとした朱里の胸に「やっぱり母上の方が大きい」と床下から見付けた少女との違いを比べる。
「あ、そうだ。母上とアリスさんのケータイとスマホがダンジョンの隠し部屋にもあったよ」
「でも使えないみたいで、後で【風雷商】のオジサンに頼んで使える様にしてもらってもいい?」
リュエールがカバンからギルに預けられた携帯とスマートフォンを出してテーブルに置くと2人は新しい自分達の部屋に我先にと走って行ってしまう。
ありすと朱里がテーブルの上に置かれた携帯とスマートフォンを手に取って困惑した顔をする。
自分達の持っている携帯とスマートフォンを見比べ、「嘘でしょー・・・」と声を出す。
持ち帰られた携帯とスマートフォンの方が傷が付いたりして古い感じではあるが、まったくの瓜二つ。
「私の携帯にある傷と同じ場所に傷がある・・・」
ありすが持ち帰られたスマートフォンのカバーを剥がすと、カバーの裏側から色落ちして見えにくくはなっているが、ありすとリロノスとリリスの写真が貼ってある。
「これ、うちらの携帯とスマートフォンっしょ・・・どういう事っしょ?」
「わかりませんけど、何なんでしょう・・・」
「リューちんとシューちんが揶揄ってるとか?」
「いえ、でも、こんなに手の込んだイタズラは無理じゃないかな・・・」
2人が目を合わせながら「うーん」と渋い顔をしていると、『竜の癒し木』のある窓からネルフィームが顔を出す。
「すまない。手を貸してもらえるか?」
「あ、はーい。どうしたのネルフィーム」
「主がギルドに報告に行ってしまってな、この子を預かってくれ」
ネルフィームが朱里そっくりの少女を渡すと人型に変化して窓から入りこみ、朱里に渡した少女を抱えてソファに寝かせる。
「え?えええ?ネルフィームこの子誰?」
「判らないが、今回のダンジョンの隠し部屋に隠されていた」
「うわーっ。アカリっちそっくりっしょ!」
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ストレートの黒髪に背丈は同じくらいで、違いは耳と胸くらいなものだろうか?
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ぴくぴくと耳が避ける様に動き、眉間にしわが寄る。
「何かこの子起きそうっしょ」
ありすの声に朱里も少女を覗き込みじっと見つめていると少女の目が開かれる。
金目の少女に朱里も「あっ」と声を出す。
目をつぶっているとはいえ、自分と同じ黒目だとばかり思っていたら金の目に一瞬動揺が走る。
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少女が朱里に手を伸ばし顔をペタペタと触り、首を捻り胸をふにっと掴んだ瞬間、少女の眉間にしわが寄る。
自分の胸に手を当て、少女が顔に手を当てる。
「えと、アカリっちの胸と自分の胸の差分にショックを受けてる・・・?」
「あなたのお名前は?」
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「もしかして、あなた喋れないの?」
朱里の言葉に少女がコクコクと頷く。
ネルフィームがテーブルの上の紙とペンを少女に渡すと少女はチマチマとした字で書いていく。
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朱里とありすが「ケンジ・・・?日本人みたいな名前だね」と言うとリルはコクコクと頷く。
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「あーっ!!ケンジ・タナカ!!下着を広めた異世界人!」
「あああ!ルーっちが言ってたうちらの世界の下着男!」
水着の話をしていた時にルーファスがチラッと口にしていた人物の名前がケンジ・タナカだったと2人が行き当たり、お互いに指を刺せば、リルが恥ずかしそうに手で顔を隠しながら耳を下げる。
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