黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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11章

ひな祭り③・・・朱里と美波 ※R18

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 初めての『ひな祭り』それなりに盛況に終わり、夜遅くにフロントロビーのひな壇を片付けながら朱里が1個1個大事そうに木の箱に仕舞い込む。

「アカリ、もう従業員も明日の仕込みが終わったから帰るそうだ。作業は明日にしたらどうだ?」
「ううん。あと少しだから片付けちゃうよ。待たせてごめんね」
「それは別にいいさ。今日は子供達はハガネが見ていてくれるしな」
 朱里が木箱に紐を結びながら小さくスンッと鼻を鳴らすと作業していた手を止める。

「・・・アカリ?泣いてるのか?」
「っ、ふっ、ぐすっ・・・泣いて、ないっ、よ」
 そう言って肩を震わせて、息を吸うたびに嗚咽を漏らして泣く朱里の頭を撫でると、朱里が目をギュッと閉じた後で涙をぼろぼろ零すと声を上げて泣き始める。

「どうしたアカリ」
 朱里を抱きしめれば、朱里がその温もりにまた涙をこぼす。
「ミナちゃ・・・、ミナちゃんに、も、ひぐっ、見せて、あげたかった・・・っ」
 朱里の言葉にルーファスが自分の番が何に泣いたのかに気付いて少しだけ眉尻を下げる。
「前のアカリの雛人形はミナミも一緒に愛でていたなら、この雛人形もミナミの分までアカリが愛でてやればいい」
「ふっ、うっ、うん。・・・っグスッ」
 亡くなった妹を雛人形を見て思い出して感情が溢れ出した朱里にルーファスは胸を貸してやる事しかできないが、少しでも朱里の気持ちが晴れてくれればとも思う。

 スンッと鼻を鳴らして泣きはらした目を伏せながら、朱里がぽつりぽつりと妹の美波の事を話す。

「美波はね、お雛様を飾るといつも『わたしの分も欲しい』って言うの。でも、見ての通りお雛様って数が多くて1年に1回の物だし置き場所にも困るし、家族から『お姉ちゃんと美波2人の雛人形なんだから我が儘言わないの』って言われて毎年飾った後はふくれっ面してたんだよ」

 フロントロビーの絨毯の上で抱きしめられたまま座って、ルーファスの胸の中で朱里が思い出してふふっと笑う。
「まぁ、そう言ってしまうミナミの気持ちも家族の気持ちもわかるな」
「うん。その度にね『お姉ちゃんはミナちゃんが健康に健やかに育って欲しいからあげるよ』って言うと、ミナちゃんは『ううん。お姉ちゃんも健康で健やかでいて欲しいから半分こだよ』って言って毎年それで丸く収まっちゃうの」
「半分ことはまた斬新な考え方だな」
「今思えばそうだよね。半分こに出来ないけど、気持ちの上では半分こ。ミナちゃんが死んで雛人形も捨てられて、ひな祭りの事思い出す余裕も無くて・・・ミルアとナルアが生まれて、こうしてひな祭りをして、終わった後でミナちゃんとのやり取りを思い出すなんて、私、薄情だね・・・」
 ルーファスが頭にコツンと頭をくっつけてスリ寄ると「そんな事はないさ」と優しい声色で囁く。

「ルーファス、私ね、いつかミナちゃんに雛人形をあげるつもりでいたんだよ。結局、あげる事も出来ずに、ミナちゃんの成長を祈る事も出来なくなって、思い出すことも少なくなってきてる・・・こんな時にしか思い出してあげられないの」

 朱里を慰める言葉を囁いたところで、朱里の心はこれから先も亡くした家族の痛みを抱えていくしかないのだろうと、言葉を飲み込みキスに思いを込めて唇を塞いで泣かないで欲しいと願う。

 しゃくりあげた朱里が何かを言いたげだったが、朱里も言葉を飲み込んでキスを返してくる。
両手で包み込んだ頬の涙を拭き取りながら、交わす口づけがいつもの甘い番の味と、ほんの少し涙のしお甘さが混じって不思議な味になる。

 啄むキスを繰り返しながら、舌を絡めて吸い付くと朱里が小さくくぐもった声を上げる。

「・・・っんっ、んっ」
 ルーファスにストップを掛けようとした手を途中で止めて、首に手をまわして自分からも求めるように体を密着させるとキスしたまま抱き上げられて、フロントロビーのカウンターに座らされる。

「はふっ、んっ・・・ふぁぁっ」
 角度を変えて繰り返される口づけに嬌声が漏れ、息苦しさに少しぼぅっとすれば、隙を狙ったかのようにルーファスに帯紐をほどかれてスルッとカウンターに帯がズリ落ちていく。
着物の衿に手を掛けられ左右に開かれると、肌襦袢の紐をほどかれ袖を引かれれば白い肌が外気にさらされる。
 
「ここ、フロントだよ・・・」
「もう誰も居ないから気にすることはない」
「私は気にするよ・・・んっあっ」
 朱里の言葉は無視とばかりに胸の谷間に唇が吸い付き、徐々に下に行きへその下でまたきつく吸い付かれる。
ビクッと体が反応して手を何処に置いて良いか分からずに朱里の手がルーファスの耳を掴む。

「なんだアカリ?」
「なんか、それ以上は、嫌な予感がするの・・・」
 ルーファスが薄く笑い、朱里が小さく首を振るとルーファスが朱里の股間に顔を埋めて下着越しに唇を押し付けられる。
「やだ!ルーファス!もぉ、それ以上は駄目だから!」
 グイグイとルーファスの耳を引っ張りながら朱里が騒ぐと下着がズラされて舌でねとりと舐め上げられて声にならない悲鳴をあげる。

「__っ!!」
 指で左右に小さな双丘が開かれ小さな花芯に執拗に舌が舐めて吸ってを繰り返されガクガクと腰が動き、止めさせようとする手はルーファスの耳をペシペシと叩くだけで力が入らない。
直ぐに達してしまいそうな感覚がゾワゾワと押し上げられ、舌で花芯をぐるりと円状に舐められて吸われ、頭の中が真っ白になって朱里が小さく身じろぐ。

「やぁっ、それ、いやぁぁっ」
 強すぎる刺激にすぐさま絶頂を迎えカウンターの上で朱里がぴくぴくと体を震わせる。
朱里の股間からルーファスが顔を上げると、舌なめずりしながら朱里の下着に手を掛けてゆっくりと抜き取る。
   
 ぴちゃりと音を立ててルーファスが再び舌を蜜口に侵入させ、朱里が力なく首を振って下唇を噛む。
「んっ、ふっ・・・んっ、やらぁ・・・」
 朱里の乱れた吐息とぴちゃぴちゃとなる水音が卑猥すぎて、ルーファスの耳が音を聞き洩らさない様にぴくぴくと動きながら興奮を高める。

 朱里の蜜壺から溢れる蜜が番の体液の甘さを強烈に出し、番のフェロモンで誘ってくる。
ヒクつく胎内は物欲しそうで、舌をギュウギュウと奥へ導こうとする肉襞もたまらない。

「あ・・・もっ、これやらぁ、挿入れて・・・」
 朱里が泣き声で小さく懇願して、おずおずと足を広げる。
つぶっと最後に指を入れて中をぐるっと挿入れて大丈夫かほぐれているかを確かめると、朱里の足がピンと伸ばされ、膣内がビクビクと動く。
 
「ふぇっ・・・ぐすっ、挿入れてって、ゆったのに・・・ひんっ」
 ぐすぐすと朱里が涙を流して泣き始め、涙腺崩壊してしまう。
「悪かった。直ぐに挿入れるから泣かないでくれ」
 朱里にしては珍しい反応だと少し意地悪をし過ぎたか?と、思いつつ朱里の中に侵入させると朱里がギュッと抱きしめてくる。

「んーっ、んっ、あふっ、これ、きもちぃっあっ、うっ」
 ざらついた襞にカリ部分が当たるのが気持ちいいのか朱里が体をくねらせて自分の体を押し当てて喘いでくる。
「アカリ、動いて良いか?オレ的にその体勢はやりづらいんだが・・・」
 小さく首を振り朱里が「やだぁ」と駄々をこねる。
少し意識が飛んだのか朱里がいつもならしない事をしてくるのが可愛いが、流石にこちらも限界だと強引に朱里に覆いかぶさる様に抱いて腰を動かすと、「もっとぉ」と甘ずった声を朱里が出してくる。

「あんっ、これ好きぃ。ひゃんっ、あっ、あっ、んぁ」
「アカリ、煽り過ぎだ。っ、くっ」
「あっ、私の中でルーファスのがビュクビュクしてるぅ、あっ、すごっ熱い・・・」
 最奥で解き放たれてビュルビュルと出ている飛沫に朱里がホゥッと吐息を漏らして「抜いちゃだめぇ」と甘えた声を出してくたりと意識を手放してカウンターの上で横になる。

「やれやれ、困った番だな」
 ルーファスが汗ばんだ朱里の前髪を撫でながらキスをして自身を朱里の中から引き抜くと、清浄魔法を掛け朱里に着物を簡単に着付けると朱里を抱きかかえて、料亭にある自分の部屋へ久々に朱里と一緒に入る。
 朱里とルーファスの一番初めの愛の巣がこの部屋で代々の当主の部屋でもある。
朱里を奥の寝室に寝かせ、軽くシャワーを浴びて部屋に戻ると、机の上に温泉鳥の雛人形のサンプルが置いてあった事に気付く。

「ミナミ、これは君の雛人形だ。持って行ってくれ」
 誰に言うともなしにルーファスがそう呟いて寝室に入り、朱里を抱きしめながら眠りにつく。


 そして、朱里は夢を見た。

『お姉ちゃん見て!ミナのお雛様だよ!』

 笑う妹の美波の手には温泉鳥の雛人形があった。
「良かったね、ミナちゃん。お姉ちゃんもそれ可愛いと思うんだ」
『うん。お姉ちゃんの旦那さんがミナにくれたよ』
「ルーファスが?そう、良かったね」
 美波が頷いて笑顔を向けると、朱里が美波の頭を撫でながらポロッと涙をこぼす。
小さな妹はあの時のままで、朱里はもう大人になってしまったけれど、変わる事のない美波。

「ミナちゃん、お姉ちゃん結婚してね、子供が4人もいるんだよ」
『知ってるよー。お姉ちゃん10代でママは早すぎだよー』
 あははっと笑う美波は亡くなる前も朱里をからかう様な生意気さは変わらない。
「お姉ちゃんもそう思う。でも幸せだよ・・・幸せなんだよ・・・ごめんねミナちゃん」
 ボロボロと涙をこぼす朱里に美波は小さく笑う。

『お姉ちゃんは泣き虫なんだから。お姉ちゃんが幸せでミナも嬉しいよ』
「ミナちゃんにも、幸せに・・・なって欲しかったよ!今もそう思ってる!」
 美波が朱里の頬に手を当てて優しく笑う。

『お姉ちゃんが笑ってくれたら、ミナは幸せだよ』
 朱里が笑おうとして涙を流すと、美波はあははと困ったように笑う。

『お姉ちゃん、もう行かなきゃ。コレ有り難うって旦那さんに言っておいてね』
「待って!ミナちゃんっ!行かないで!美波っ!!」
 朱里が伸ばした手をすり抜けて、美波が手に持った温泉鳥の雛人形を眺めながら歩いて行ってしまう。
死者と生者の分かれ道の様に途切れた道を渡ろうとして、黒い狼に道を塞がれる。

「帰ろう」
 そう黒い狼に言われて頷いて泣きながら帰る。
目を覚ました時にはぼんやりとした内容で朱里はあまり覚えてはいなかったが、それでも心は何処か温かかった。


 ルーファスが目を覚まして机の上を見た時に温泉鳥の雛人形が無くなっている事に気付くが、小窓に小さな隙間があり、ササマキが持っていったなと苦笑いしながら小窓を閉めた。
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