285 / 960
10章
騎士団と刻狼亭の人々
しおりを挟む
冬でも少し暖かい気温のタルアニ国の海岸。
白い砂浜でリュエールとシュトラールが騎士を相手に先程から立ち上がる騎士をコケさせてを繰り返している。
「ほら、何度くりかえしてるの?そんなんじゃ騎士失格だよ」
「起き上がる時にどうかわすか考えなよ」
双子は大人相手に「なさけないなぁ」とブツブツ文句を言いながら相手をしている。
詐欺師の男の取り調べを行っている間、おもてなしという名目で駆り出された騎士団員は双子に「騎士は強いんでしょ?少し稽古つけてー」と、言われ相手をすることになったところ・・・。
接待みたいなものだと手加減をして2人に負けたふりをしようしたところ、2人に「立ち上がる時に相手をどうやって避けるかを考える訓練だよ!」と、コケさせられていた。
この避ける訓練が意外と難しく、双子に良い様に翻弄されている状態が1時間続いている。
流石に双子も飽きてきている状態である。
双子のお守りに怪我に対応出来るように製薬部隊のテッチも一緒に来ているが、双子に怪我がないので逆に怪我をしている騎士に実験で作ったポーションを飲ませては経過をメモしている。
テッチにとっては有難い実験体にホクホクである。
取調室の方ではテンが騎士と詐欺師の男にダメ出しをしてはニコニコと羽ペンで空を切っていた。
シュッと羽ペンから出るとは思えない音がする度に頬にうっすら血が滲むのである。
「ほら、ここの調書の書き方おかしいですよぉ。やり直しです」
「あの、我々には我々のやり方が・・・」
シュッ
「調書作成なんて何処でも同じですよぉ?なんなら軍式で教えましょうかぁ?」
テンが笑顔で騎士に羽先を向けると騎士が「直ぐやり直します!」と調書を書き始める。
「さて、もう一度名前からいこうか?」
ニコッと詐欺師の男にテンが笑い、何十回と繰り返した事情聴取のやり直しを告げる。
「もう勘弁してくれ」
シュッ
「はい。そんな事は聞いてないんですよぉ?【刻狼亭】の取り調べ室なら勝手が出来るんですけどぉ、他国ですからぁ、こっちだって付き合ってあげてるんですからぁ、協力してくださいねぇ?」
取調室はテンの出す羽ペンの音と騎士と詐欺師の男の悲鳴が上がっていた。
騎士団の資料室では小鬼が資料をパラパラと見ながら鼻歌を歌っている。
あまり事件と言う事件がないの小国の騎士団なので実りは少ないが情報として取り込むのは小鬼の本分なので元気に資料を片っ端から見ているのである。
小鬼の資料を読むスピードは速く、次から次に山積みされる資料を流し見していき、たまに「この事件とこの事件は犯行手口がこちらの事件と一致しています」と、指摘して事件を見直す様に言ってくるので仕事を増やされていくのである。
「こんな小さな事件ですから、今更事件を洗いなおしても仕方が無いと・・・」
騎士が苦笑いで言えば、小鬼は笑顔で答える。
「僕ら小鬼は全ての小鬼に情報を流しているのでいい加減な仕事をしていると、この騎士団の仕事のいい加減さも情報として流出しますが良いのですか?」
小鬼に悪気はなく、あくまで情報を正確に伝えているだけである。
騎士達はガクリと項垂れながら資料を自分達の机に運び、小鬼の指摘した事件を調べなおしている。
騎士団の隊長エインズは部下を連れ、ルーファス達の警護の為に街に来ている。
詐欺事件が解決したと言っても、黒狼族のルーファスを警戒している人々もいるので呼び出してしまった手前、警護しないわけにはいかない。
タルアニ国で有名な観光スポットの寺院を朱里とルーファスがミルアとナルアを抱きながら歩き、ドラゴン達7匹も2人の肩や頭の上に居る為によく目立っている。
警護にハガネとプリシーもいるが、ドラゴン達がフラフラと食べ物屋に行こうとしたり寺院の飾りを突いたりと何かしらやるので、そのたびに追いかけて回っている。
「アカリ、少しは気分転換になったか?」
「ん・・・。本当の両親が見つかったんだから喜んであげないとね・・・」
ふぅ・・・と、朱里がため息を吐けば、ドラゴン達が一斉に寺院のあちらこちらに飛んで行き、ハガネとプリシーが追い、騎士団にも「お前はエデン」「お前はケルチャ」「お前はスピナ」「お前はローランド」「お前はニクストローブ」と指示を出してくる。
騎士団がドラゴンを見失わない様に走り回り、店の前でドラゴンが「これお金払っといてね」と言い残し、また飛んでいく。
お金を払っている間に見失い、戻ってみれば、ドラゴン達は朱里にそれぞれお菓子や飲み物や小物と色々お土産を手にして、朱里を元気づけようとしていた。
「皆、ありがとう」
朱里が少し困った顔で笑いながら「ごめんね。元気出すよ」とドラゴン達を抱きしめてミールの居なくなる寂しさを乗り越えようとしていた。
「まー、あー」
「あー、んー」
ミルアもナルアも朱里に小さな手を伸ばすので朱里が「うん。母上は大丈夫だよ」と娘達を抱きしめる。
そんな朱里をルーファスが抱きしめながら、寂しさを紛らわせて過ごして観光をしている感じだった。
振り回されていたのは騎士団で、とにかくドラゴンがよく動き回る為に疲労困憊という感じで終始終わった感じだった。
「明日は息子達とお土産を買いに行きたいので警護お願いしますね」
朱里の言葉に騎士団のエインズは財布と胃が痛くなる思いだった。
白い砂浜でリュエールとシュトラールが騎士を相手に先程から立ち上がる騎士をコケさせてを繰り返している。
「ほら、何度くりかえしてるの?そんなんじゃ騎士失格だよ」
「起き上がる時にどうかわすか考えなよ」
双子は大人相手に「なさけないなぁ」とブツブツ文句を言いながら相手をしている。
詐欺師の男の取り調べを行っている間、おもてなしという名目で駆り出された騎士団員は双子に「騎士は強いんでしょ?少し稽古つけてー」と、言われ相手をすることになったところ・・・。
接待みたいなものだと手加減をして2人に負けたふりをしようしたところ、2人に「立ち上がる時に相手をどうやって避けるかを考える訓練だよ!」と、コケさせられていた。
この避ける訓練が意外と難しく、双子に良い様に翻弄されている状態が1時間続いている。
流石に双子も飽きてきている状態である。
双子のお守りに怪我に対応出来るように製薬部隊のテッチも一緒に来ているが、双子に怪我がないので逆に怪我をしている騎士に実験で作ったポーションを飲ませては経過をメモしている。
テッチにとっては有難い実験体にホクホクである。
取調室の方ではテンが騎士と詐欺師の男にダメ出しをしてはニコニコと羽ペンで空を切っていた。
シュッと羽ペンから出るとは思えない音がする度に頬にうっすら血が滲むのである。
「ほら、ここの調書の書き方おかしいですよぉ。やり直しです」
「あの、我々には我々のやり方が・・・」
シュッ
「調書作成なんて何処でも同じですよぉ?なんなら軍式で教えましょうかぁ?」
テンが笑顔で騎士に羽先を向けると騎士が「直ぐやり直します!」と調書を書き始める。
「さて、もう一度名前からいこうか?」
ニコッと詐欺師の男にテンが笑い、何十回と繰り返した事情聴取のやり直しを告げる。
「もう勘弁してくれ」
シュッ
「はい。そんな事は聞いてないんですよぉ?【刻狼亭】の取り調べ室なら勝手が出来るんですけどぉ、他国ですからぁ、こっちだって付き合ってあげてるんですからぁ、協力してくださいねぇ?」
取調室はテンの出す羽ペンの音と騎士と詐欺師の男の悲鳴が上がっていた。
騎士団の資料室では小鬼が資料をパラパラと見ながら鼻歌を歌っている。
あまり事件と言う事件がないの小国の騎士団なので実りは少ないが情報として取り込むのは小鬼の本分なので元気に資料を片っ端から見ているのである。
小鬼の資料を読むスピードは速く、次から次に山積みされる資料を流し見していき、たまに「この事件とこの事件は犯行手口がこちらの事件と一致しています」と、指摘して事件を見直す様に言ってくるので仕事を増やされていくのである。
「こんな小さな事件ですから、今更事件を洗いなおしても仕方が無いと・・・」
騎士が苦笑いで言えば、小鬼は笑顔で答える。
「僕ら小鬼は全ての小鬼に情報を流しているのでいい加減な仕事をしていると、この騎士団の仕事のいい加減さも情報として流出しますが良いのですか?」
小鬼に悪気はなく、あくまで情報を正確に伝えているだけである。
騎士達はガクリと項垂れながら資料を自分達の机に運び、小鬼の指摘した事件を調べなおしている。
騎士団の隊長エインズは部下を連れ、ルーファス達の警護の為に街に来ている。
詐欺事件が解決したと言っても、黒狼族のルーファスを警戒している人々もいるので呼び出してしまった手前、警護しないわけにはいかない。
タルアニ国で有名な観光スポットの寺院を朱里とルーファスがミルアとナルアを抱きながら歩き、ドラゴン達7匹も2人の肩や頭の上に居る為によく目立っている。
警護にハガネとプリシーもいるが、ドラゴン達がフラフラと食べ物屋に行こうとしたり寺院の飾りを突いたりと何かしらやるので、そのたびに追いかけて回っている。
「アカリ、少しは気分転換になったか?」
「ん・・・。本当の両親が見つかったんだから喜んであげないとね・・・」
ふぅ・・・と、朱里がため息を吐けば、ドラゴン達が一斉に寺院のあちらこちらに飛んで行き、ハガネとプリシーが追い、騎士団にも「お前はエデン」「お前はケルチャ」「お前はスピナ」「お前はローランド」「お前はニクストローブ」と指示を出してくる。
騎士団がドラゴンを見失わない様に走り回り、店の前でドラゴンが「これお金払っといてね」と言い残し、また飛んでいく。
お金を払っている間に見失い、戻ってみれば、ドラゴン達は朱里にそれぞれお菓子や飲み物や小物と色々お土産を手にして、朱里を元気づけようとしていた。
「皆、ありがとう」
朱里が少し困った顔で笑いながら「ごめんね。元気出すよ」とドラゴン達を抱きしめてミールの居なくなる寂しさを乗り越えようとしていた。
「まー、あー」
「あー、んー」
ミルアもナルアも朱里に小さな手を伸ばすので朱里が「うん。母上は大丈夫だよ」と娘達を抱きしめる。
そんな朱里をルーファスが抱きしめながら、寂しさを紛らわせて過ごして観光をしている感じだった。
振り回されていたのは騎士団で、とにかくドラゴンがよく動き回る為に疲労困憊という感じで終始終わった感じだった。
「明日は息子達とお土産を買いに行きたいので警護お願いしますね」
朱里の言葉に騎士団のエインズは財布と胃が痛くなる思いだった。
40
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。