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10章
母上似 ※出産表現アリ
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温泉大陸の産院に朱里が運び込まれて1時間もしないで双子の女の子が生まれ、今回も前回同様に生まれた時は獣化して生まれた為に出産はスルンと生まれた感じだった。
しかも、2人共人型も小さかった為にルーファスが心配したが、産医は問題は無いと太鼓判を押した。
今回の妊娠に関しては、心音が二つあった為に双子だと途中から判明した分、用意する物も2人分と抜かりは無かった。
生まれてみないと性別はわからなかったので無難な物が多いが、ルーファスが可愛い物を揃えるべきだったと、生まれたばかりの愛娘2人を目の前にして「こんな事ならギル叔父上を氷から出しておくんだった」とも思ったのは内緒である。
「妹が2人だよ父上!」
「名前!父上名前どうしますか?」
リュエールとシュトラールが目をキラキラと輝かせてルーファスに詰め寄る。
まだ産医からチラッと見せてもらっただけなので抱かせて貰っていない為に2人は手をワキワキと動かしながら興奮状態になっている。
「落ち着け2人共。とりあえず、母上にお疲れ様を言わないとな」
産院の廊下の長椅子から立ち上がり、病室への入室許可が下りると双子が我先にと朱里の病室に入っていく。
ベッドの上でぐったりとした朱里がリュエールとシュトラールに笑いかける。
「母上、お疲れさまでした!」
「母上、お疲れ様です!」
「アカリ、お疲れ様。可愛い女の子二人だったぞ」
「ふふ。リューちゃんとシューちゃんの時より時間かかったけど痛さはそんなに無くて良かったけど、疲れたよ~。あまり胎動がしなかったから女の子だと思ってたの!」
朱里が小さくガッツポーズをして「あ、痛っいたた」と涙目になって苦笑いする。
「アカリさん、赤ちゃんをお連れしましたよ」
看護師がフワフワとした乳白色の豆の形をした『ゆりかご』と呼ばれる魔法で赤ん坊を包み込みながら、双子の赤ん坊を朱里の元へ連れてくる。
黒髪に小さな耳が頭の上にちょこんとあるよく似た顔立ちの女の子2人に朱里が「ふわぁ・・・可愛い」と目を細める。
「フリウーラの赤ちゃん抱っこしたから大丈夫だと思ってたけど、抱っこするの怖いくらい小さい」
看護師が「この子がお姉さんですよ」と、足首に小さなピンク色のリボンを付けた赤ん坊を手渡してくる。
恐々と抱き上げると余りの軽さにこんなに小さくて大丈夫かな?と、ルーファスと似たように朱里も心配する。
「ふふ。初めまして母上ですよ」
朱里が顔をしっかり見て話しかけた後にルーファスに赤ん坊を手渡し、看護師から妹の方の赤ん坊を受け取る。
「お姉ちゃんとそっくりなお顔だね。初めまして母上ですよ」
ルーファスにニコッと笑って、ワクワクとした顔のお兄ちゃん2人に目を向ける。
「ほら、リュー。首の後ろをしっかり支えて優しく抱いてやれ」
「はい。シューちゃん、優しく抱いてあげてね」
2人に赤ん坊を手渡すと、リュエールとシュトラールが戸惑うような嬉しそうな複雑な表情をして小さな妹を抱っこすると、朱里が「上手だよ」と2人のお兄ちゃんを褒める。
「うわぁ・・・壊しそうで怖い」
「ふわぁ・・・小さくて怖い」
「お前達の妹なんだから大事に扱ってやってくれ」
「リューちゃんもシューちゃんも今日から新米お兄ちゃん頑張ってね」
リュエールとシュトラールがお互いに目線を合わせて、えへへとはにかんだ笑いをしていると、病室の窓をコツコツと叩く7匹のドラゴンが体を縮めて「開けて」と騒いでいる。
窓をルーファスが開けた瞬間、お湯玉と乾燥魔法をドラゴン達にかけたのは致し方が無かったと思う。
「婿!何をする!」
「主殿酷いのだ!」
「ルーファス酷い!」
「何すんだよ!ったくよー!」
「ひどいのぉー!」
「アタシの綺麗な鱗が剥がれたらどーしてくれんの!」
「ルーひどいよ!」
ドラゴン達がワッとルーファスに文句を言い、ルーファスがフンッと鼻を鳴らす。
「赤ん坊を見に来たなら手洗いは常識だ」
「僕らも父上にされたよ」
「オレらもやられた」
相変わらずの手洗い除菌にうるさいルーファスによって、全員全身お湯玉の刑になってしまっている。
「嫁、今回も安産だったであろう?」
「うん。皆のおかげで安産だったよ。ありがとうね」
グリムレインが朱里の頭にスリ寄り、アルビーとエデンも朱里にスリ寄る。
「アカリ、お乳の出が良くなる実持って来たよ」
「アルビーありがとう。今回も2人居るから助かるよ」
朱里に桃に似た実を渡してアルビーが目を細める。
「あるじしゃまー。エデンもアルビーといっしょにとったよー」
「エデンもありがとう。大事に食べるね」
クルクルと喉を鳴らしながらエデンが甘えると朱里が頭を撫でる。
「主殿、めでたいのぅ」
「ああ。ニクストローブもありがとうな。また帰ったらボードゲームでもするか」
「主殿にはワシ自身を差し出したんじゃからもう何も出せんぞい」
「クククッ、別に賭け抜きで対戦してやるさ」
ボードゲームの賭け事でニクストローブ自身から従者契約を賭けた賭け事出た時に勝てれば主君契約が出来るという条件が土竜ニクストローブを従者にする条件。
冗談だろうと賭けをしてルーファスがニクストローブの主君になってしまったのである。
「ルー、おめでとう!女の子?男の子?」
「女の子2人だ。スピナも見て行ってやってくれ」
「リュー、シュー見せてー」
スピナがリュエールとシュトラールの手元の赤ん坊に尻尾を振りながら飛び赤ん坊に目を細める。
風竜スピナもルーファスと主君契約をして今は従者になっている。
スピナの主君契約の条件は『風を捕まえる事』である。
しかも風の捕まえ方は縄を使わなくてはいけないという物で、双子が最初に出された課題だったのだが、ルーファスが紙袋に空気を入れて紐で縛り「捕まえたぞ」と言い、双子が真似したところ「人真似はダメ」とルーファスだけの従者になった。
ハガネは「紐を輪っかにして石けん水でシャボン玉でも作りゃあ風捕まえた事にならねぇ?」と言ってスピナが主君契約を持ちかけたが「オレは主君より従者で居る方が気楽」と、アッサリ断ってしまった。
火竜ローランドと木竜ケルチャは今の所誰とも契約していないが、ドラゴン達を束縛する気も無いのでドラゴン任せにしている。
「この赤ん坊、アカリにそっくりだな」
「でも、髪がくりくりしてるわね?アカリもルーファスもくりくりじゃないのに」
ローランドとケルチャが赤ん坊を覗き込みながら、朱里と赤ん坊を見比べる。
「ああ、その子達の髪質はおそらくはオレの母上の髪質だろうな」
ルーファスが少し困ったような顔で答え、肖像画でしか見た事が無い母親にギルの語る母親しか知らない自分の娘達にこうして母親に似た髪質が出た事に複雑な思いもある。
その時、コンコンと、病室のドアがノックされる。
看護師が申し訳なさそうに現れ、腕に赤ん坊を連れてやってくる。
「申し訳ないのですが、この子にも初乳をあげてもらえないでしょうか?今、お乳の出る方はフリウーラさんとアカリさんしか居なくて、フリウーラさんとは連絡が取れなくて・・・。この子【刻狼亭】から運び込まれた生まれたばかりの子なんですが、お乳代わりになる物を上げているんですが、免疫力の事を考えると、初乳が一番いいので」
黒髪に黒耳をした小さな赤ん坊を見て朱里が「いいですよ」と直ぐに笑って答え、赤ん坊を看護師から受け取った。
しかも、2人共人型も小さかった為にルーファスが心配したが、産医は問題は無いと太鼓判を押した。
今回の妊娠に関しては、心音が二つあった為に双子だと途中から判明した分、用意する物も2人分と抜かりは無かった。
生まれてみないと性別はわからなかったので無難な物が多いが、ルーファスが可愛い物を揃えるべきだったと、生まれたばかりの愛娘2人を目の前にして「こんな事ならギル叔父上を氷から出しておくんだった」とも思ったのは内緒である。
「妹が2人だよ父上!」
「名前!父上名前どうしますか?」
リュエールとシュトラールが目をキラキラと輝かせてルーファスに詰め寄る。
まだ産医からチラッと見せてもらっただけなので抱かせて貰っていない為に2人は手をワキワキと動かしながら興奮状態になっている。
「落ち着け2人共。とりあえず、母上にお疲れ様を言わないとな」
産院の廊下の長椅子から立ち上がり、病室への入室許可が下りると双子が我先にと朱里の病室に入っていく。
ベッドの上でぐったりとした朱里がリュエールとシュトラールに笑いかける。
「母上、お疲れさまでした!」
「母上、お疲れ様です!」
「アカリ、お疲れ様。可愛い女の子二人だったぞ」
「ふふ。リューちゃんとシューちゃんの時より時間かかったけど痛さはそんなに無くて良かったけど、疲れたよ~。あまり胎動がしなかったから女の子だと思ってたの!」
朱里が小さくガッツポーズをして「あ、痛っいたた」と涙目になって苦笑いする。
「アカリさん、赤ちゃんをお連れしましたよ」
看護師がフワフワとした乳白色の豆の形をした『ゆりかご』と呼ばれる魔法で赤ん坊を包み込みながら、双子の赤ん坊を朱里の元へ連れてくる。
黒髪に小さな耳が頭の上にちょこんとあるよく似た顔立ちの女の子2人に朱里が「ふわぁ・・・可愛い」と目を細める。
「フリウーラの赤ちゃん抱っこしたから大丈夫だと思ってたけど、抱っこするの怖いくらい小さい」
看護師が「この子がお姉さんですよ」と、足首に小さなピンク色のリボンを付けた赤ん坊を手渡してくる。
恐々と抱き上げると余りの軽さにこんなに小さくて大丈夫かな?と、ルーファスと似たように朱里も心配する。
「ふふ。初めまして母上ですよ」
朱里が顔をしっかり見て話しかけた後にルーファスに赤ん坊を手渡し、看護師から妹の方の赤ん坊を受け取る。
「お姉ちゃんとそっくりなお顔だね。初めまして母上ですよ」
ルーファスにニコッと笑って、ワクワクとした顔のお兄ちゃん2人に目を向ける。
「ほら、リュー。首の後ろをしっかり支えて優しく抱いてやれ」
「はい。シューちゃん、優しく抱いてあげてね」
2人に赤ん坊を手渡すと、リュエールとシュトラールが戸惑うような嬉しそうな複雑な表情をして小さな妹を抱っこすると、朱里が「上手だよ」と2人のお兄ちゃんを褒める。
「うわぁ・・・壊しそうで怖い」
「ふわぁ・・・小さくて怖い」
「お前達の妹なんだから大事に扱ってやってくれ」
「リューちゃんもシューちゃんも今日から新米お兄ちゃん頑張ってね」
リュエールとシュトラールがお互いに目線を合わせて、えへへとはにかんだ笑いをしていると、病室の窓をコツコツと叩く7匹のドラゴンが体を縮めて「開けて」と騒いでいる。
窓をルーファスが開けた瞬間、お湯玉と乾燥魔法をドラゴン達にかけたのは致し方が無かったと思う。
「婿!何をする!」
「主殿酷いのだ!」
「ルーファス酷い!」
「何すんだよ!ったくよー!」
「ひどいのぉー!」
「アタシの綺麗な鱗が剥がれたらどーしてくれんの!」
「ルーひどいよ!」
ドラゴン達がワッとルーファスに文句を言い、ルーファスがフンッと鼻を鳴らす。
「赤ん坊を見に来たなら手洗いは常識だ」
「僕らも父上にされたよ」
「オレらもやられた」
相変わらずの手洗い除菌にうるさいルーファスによって、全員全身お湯玉の刑になってしまっている。
「嫁、今回も安産だったであろう?」
「うん。皆のおかげで安産だったよ。ありがとうね」
グリムレインが朱里の頭にスリ寄り、アルビーとエデンも朱里にスリ寄る。
「アカリ、お乳の出が良くなる実持って来たよ」
「アルビーありがとう。今回も2人居るから助かるよ」
朱里に桃に似た実を渡してアルビーが目を細める。
「あるじしゃまー。エデンもアルビーといっしょにとったよー」
「エデンもありがとう。大事に食べるね」
クルクルと喉を鳴らしながらエデンが甘えると朱里が頭を撫でる。
「主殿、めでたいのぅ」
「ああ。ニクストローブもありがとうな。また帰ったらボードゲームでもするか」
「主殿にはワシ自身を差し出したんじゃからもう何も出せんぞい」
「クククッ、別に賭け抜きで対戦してやるさ」
ボードゲームの賭け事でニクストローブ自身から従者契約を賭けた賭け事出た時に勝てれば主君契約が出来るという条件が土竜ニクストローブを従者にする条件。
冗談だろうと賭けをしてルーファスがニクストローブの主君になってしまったのである。
「ルー、おめでとう!女の子?男の子?」
「女の子2人だ。スピナも見て行ってやってくれ」
「リュー、シュー見せてー」
スピナがリュエールとシュトラールの手元の赤ん坊に尻尾を振りながら飛び赤ん坊に目を細める。
風竜スピナもルーファスと主君契約をして今は従者になっている。
スピナの主君契約の条件は『風を捕まえる事』である。
しかも風の捕まえ方は縄を使わなくてはいけないという物で、双子が最初に出された課題だったのだが、ルーファスが紙袋に空気を入れて紐で縛り「捕まえたぞ」と言い、双子が真似したところ「人真似はダメ」とルーファスだけの従者になった。
ハガネは「紐を輪っかにして石けん水でシャボン玉でも作りゃあ風捕まえた事にならねぇ?」と言ってスピナが主君契約を持ちかけたが「オレは主君より従者で居る方が気楽」と、アッサリ断ってしまった。
火竜ローランドと木竜ケルチャは今の所誰とも契約していないが、ドラゴン達を束縛する気も無いのでドラゴン任せにしている。
「この赤ん坊、アカリにそっくりだな」
「でも、髪がくりくりしてるわね?アカリもルーファスもくりくりじゃないのに」
ローランドとケルチャが赤ん坊を覗き込みながら、朱里と赤ん坊を見比べる。
「ああ、その子達の髪質はおそらくはオレの母上の髪質だろうな」
ルーファスが少し困ったような顔で答え、肖像画でしか見た事が無い母親にギルの語る母親しか知らない自分の娘達にこうして母親に似た髪質が出た事に複雑な思いもある。
その時、コンコンと、病室のドアがノックされる。
看護師が申し訳なさそうに現れ、腕に赤ん坊を連れてやってくる。
「申し訳ないのですが、この子にも初乳をあげてもらえないでしょうか?今、お乳の出る方はフリウーラさんとアカリさんしか居なくて、フリウーラさんとは連絡が取れなくて・・・。この子【刻狼亭】から運び込まれた生まれたばかりの子なんですが、お乳代わりになる物を上げているんですが、免疫力の事を考えると、初乳が一番いいので」
黒髪に黒耳をした小さな赤ん坊を見て朱里が「いいですよ」と直ぐに笑って答え、赤ん坊を看護師から受け取った。
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