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9章
再会の製薬室
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朱里の腕輪でルーファスに洞窟内の事が伝えられ、【刻狼亭】から人が来てエスタークを運んでもらい、3人の子供達を連れて、朱里も【刻狼亭】へ赴く。
【刻狼亭】の方へ、朱里の携帯電話からありすのスマートフォンへ連絡をしてありすも駆け付けていた。
朱里とありすの携帯とスマートフォンは【風雷商】のアシュレイにカスタマイズされ、電話番号を登録するとお互いに電話が掛けられるようになった。
ただし、まだ距離が伸ばせるものでは無いのでこの温泉大陸内に限っての通話になる。
【刻狼亭】の旅館にある業務員休憩室。
朱里の前に正座をするのは、番で旦那様のルーファス・トリニア。
その左右に息子のリュエール・トリニアとシュトラール・トリニア。
その3人の後ろに正座をさせられたのが従者のハガネ。
「崖道は通っちゃ駄目だって私はあなた達が小さい頃から散々言ってたでしょ!」
「ごめんなさい。母上」
「でも、母上・・・ごめんなさい」
朱里にキッと睨まれて言い訳をしようとしたシュトラールが口をつぐむ。
双子に雷を落とした後はルーファスとハガネに目線を落とす。
「2人がリリスちゃんまで巻き込んで!崖道を使って海岸に行って、あまつさえ人を拾って隠してた事を大人のあなた達は知ってて私に黙ってたの?」
「崖道の事はオレも知らなかった・・・悪かった」
「アカリ、全面的に俺等が悪かったって」
腰に手を当てて朱里が怒り治まらぬという表情で「反省なさい!」と声を上げる。
朱里の後ろでは、ありすがリリスにお説教をしていた。
「リリちゃん!うちは大抵の事は許すよ?でもね、これは駄目ッしょ!危ない所は行っちゃ駄目だし、人間拾うのはどうかと思う!危ないっしょ!」
ありすに怒られてリリスが鼻水をすすりながら涙をぼろぼろ流すと、双子がオロオロと気にしだすが、朱里が「リュー!シュー!反省は!」と怒るので耳をぺしゃりと下げて目線を下げる。
「ありすさん、うちの子達がリリスちゃんまで巻き込んでごめんなさい」
「リリちゃんも同罪だから、3人共悪いっしょ」
朱里とありすが、頬に手を当てながら、深く長ーいため息を吐く。
周りの従業員が苦笑いしながら生暖かく朱里とありすのお説教を見守っている。
「女将、お客人の治療完了しましたよ」
エスタークの骨折を製薬部隊が治し終えたと連絡が入り、朱里が「すぐ行きます」と、言うとルーファス達も立ち上がろうとするが、朱里に「そこで反省なさい!」と、言われ正座したままになる。
「アカリ、しかしオレは【刻狼亭】内の事は把握しておかねばいけなくてな・・・」
「仕方が無いですね。ルーファスは来てください。ハガネは子供達にそのまま正座させておいて」
「そんな!母上!僕たちもオジサンのナカマが気になります!」
「母上!オレ達、オジサンも気になるよ!」
双子がすがる様な目で朱里を見ると、朱里は「駄目です。反省しなさい」と指でバツ印を作って出ていく。
朱里がルーファスと共に従業員休憩室から出ると、従業員が「女将もお母さんしてるねぇ」と笑って双子に「反省しろよー」と声をかけていく。
製薬室ではエスタークが骨折の治療を終え、イルマールと再会したところだった。
「エスターク!もう会えないかと思ったぞ!無事で良かった!」
「主は大袈裟だ。ほんの1週間離れていただけだ。寂しかったのか?主はお子様だな」
イルマールが嬉しそうにエスタークに抱きついて、エスタークが軽口をたたいて笑っている。
イルマール程ではないが、エスタークも左頬に傷と小さな傷が体中についている。
赤い髪は残バラに伸ばしていて痛んでいる。
「そうそう、主。目的の場所に行ったんだが、どうも不可解な事があった」
「もしかして、なかなか来なかったのは1人で実行していたのか?」
エスタークが肩をすくませていると、部屋に入って来た朱里とルーファスを見る。
イルマールが朱里を見て「女将久しぶりだ」と、目を細める。
「お久しぶりです。あの時は有り難うございました」
深々と頭を下げて朱里が2人に笑顔を向ける。
ルーファスやハガネが懸念していた嫌な記憶も今の朱里にはどうという事は無い。
毎日の騒がしくて幸せな生活の中で、あの事件は風化していっている。
たまに顔の近くにいきなり手が来ると首筋の後ろがぎこちなく固まった様になってしまうけれど、それは些末な事であの時の様に泣いて暴れる事はない。
「改めて、アカリ・トリニアです。お2人のお名前を伺っても?」
「そういえば、女将には自己紹介してなかったな。おれはイルマール・ジスだ」
「主の従者のエスタークです」
2人は自己紹介すると朱里の変わらない姿に温泉大陸にテルトワイトとイルマールとエスタークとダリドアの4人で来た時の事を思い出す。
4人で楽しく温泉に浸かったあの時間が続いていたら、今頃はまだ4人で一緒に居られたのかもしれない。
【刻狼亭】の方へ、朱里の携帯電話からありすのスマートフォンへ連絡をしてありすも駆け付けていた。
朱里とありすの携帯とスマートフォンは【風雷商】のアシュレイにカスタマイズされ、電話番号を登録するとお互いに電話が掛けられるようになった。
ただし、まだ距離が伸ばせるものでは無いのでこの温泉大陸内に限っての通話になる。
【刻狼亭】の旅館にある業務員休憩室。
朱里の前に正座をするのは、番で旦那様のルーファス・トリニア。
その左右に息子のリュエール・トリニアとシュトラール・トリニア。
その3人の後ろに正座をさせられたのが従者のハガネ。
「崖道は通っちゃ駄目だって私はあなた達が小さい頃から散々言ってたでしょ!」
「ごめんなさい。母上」
「でも、母上・・・ごめんなさい」
朱里にキッと睨まれて言い訳をしようとしたシュトラールが口をつぐむ。
双子に雷を落とした後はルーファスとハガネに目線を落とす。
「2人がリリスちゃんまで巻き込んで!崖道を使って海岸に行って、あまつさえ人を拾って隠してた事を大人のあなた達は知ってて私に黙ってたの?」
「崖道の事はオレも知らなかった・・・悪かった」
「アカリ、全面的に俺等が悪かったって」
腰に手を当てて朱里が怒り治まらぬという表情で「反省なさい!」と声を上げる。
朱里の後ろでは、ありすがリリスにお説教をしていた。
「リリちゃん!うちは大抵の事は許すよ?でもね、これは駄目ッしょ!危ない所は行っちゃ駄目だし、人間拾うのはどうかと思う!危ないっしょ!」
ありすに怒られてリリスが鼻水をすすりながら涙をぼろぼろ流すと、双子がオロオロと気にしだすが、朱里が「リュー!シュー!反省は!」と怒るので耳をぺしゃりと下げて目線を下げる。
「ありすさん、うちの子達がリリスちゃんまで巻き込んでごめんなさい」
「リリちゃんも同罪だから、3人共悪いっしょ」
朱里とありすが、頬に手を当てながら、深く長ーいため息を吐く。
周りの従業員が苦笑いしながら生暖かく朱里とありすのお説教を見守っている。
「女将、お客人の治療完了しましたよ」
エスタークの骨折を製薬部隊が治し終えたと連絡が入り、朱里が「すぐ行きます」と、言うとルーファス達も立ち上がろうとするが、朱里に「そこで反省なさい!」と、言われ正座したままになる。
「アカリ、しかしオレは【刻狼亭】内の事は把握しておかねばいけなくてな・・・」
「仕方が無いですね。ルーファスは来てください。ハガネは子供達にそのまま正座させておいて」
「そんな!母上!僕たちもオジサンのナカマが気になります!」
「母上!オレ達、オジサンも気になるよ!」
双子がすがる様な目で朱里を見ると、朱里は「駄目です。反省しなさい」と指でバツ印を作って出ていく。
朱里がルーファスと共に従業員休憩室から出ると、従業員が「女将もお母さんしてるねぇ」と笑って双子に「反省しろよー」と声をかけていく。
製薬室ではエスタークが骨折の治療を終え、イルマールと再会したところだった。
「エスターク!もう会えないかと思ったぞ!無事で良かった!」
「主は大袈裟だ。ほんの1週間離れていただけだ。寂しかったのか?主はお子様だな」
イルマールが嬉しそうにエスタークに抱きついて、エスタークが軽口をたたいて笑っている。
イルマール程ではないが、エスタークも左頬に傷と小さな傷が体中についている。
赤い髪は残バラに伸ばしていて痛んでいる。
「そうそう、主。目的の場所に行ったんだが、どうも不可解な事があった」
「もしかして、なかなか来なかったのは1人で実行していたのか?」
エスタークが肩をすくませていると、部屋に入って来た朱里とルーファスを見る。
イルマールが朱里を見て「女将久しぶりだ」と、目を細める。
「お久しぶりです。あの時は有り難うございました」
深々と頭を下げて朱里が2人に笑顔を向ける。
ルーファスやハガネが懸念していた嫌な記憶も今の朱里にはどうという事は無い。
毎日の騒がしくて幸せな生活の中で、あの事件は風化していっている。
たまに顔の近くにいきなり手が来ると首筋の後ろがぎこちなく固まった様になってしまうけれど、それは些末な事であの時の様に泣いて暴れる事はない。
「改めて、アカリ・トリニアです。お2人のお名前を伺っても?」
「そういえば、女将には自己紹介してなかったな。おれはイルマール・ジスだ」
「主の従者のエスタークです」
2人は自己紹介すると朱里の変わらない姿に温泉大陸にテルトワイトとイルマールとエスタークとダリドアの4人で来た時の事を思い出す。
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