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8章
リリスのありす
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「ハガネと3人の子供」と「黒竜と主」の時系列が少し前後しているので、逆にしました!
変な時系列にして申し訳ありませんでした<m(__)m>
********************************
「女将、輸血瓶はいつ使いますか?」
「直ぐに使える様に回復魔法の展開と同時でお願いします!」
「了解です。そっちの班は即効性のポーションを使え!」
「魔力回復のポーションの準備はできたかー!」
慌ただしく産院の手術室の中で準備が進み、廊下で祈る様にリロノスがリリスを抱きしめて準備を見守っている。
手術室の中央にありすを凍らせた氷が配置される。
手術室には双子とアルビーにグリムレイン。
もしもの時の為の輸血要員に朱里がありすの横の寝台で待機しながら、製薬部隊に指示を出す。
「嫁、我はいつでも良いぞ」
「うん。グリムレイン、もし失敗しそうになったら即座に凍らせてね」
「わかった。我に不可能はない」
「その意気です!でもなるべくなら失敗が無い事を祈ります!」
産医が手術の用意を整え、無菌魔法を展開する。
「リュエール、シュトラール。母上からのお願いです。アルビーにリリスちゃんのお母さんを助けてってお願いして。シュトラールはリリスちゃんのお母さんに回復魔法を使いなさい」
朱里が真面目な声色で3歳になる双子の息子達に声を掛ける。
双子が周りの慌ただしさとピリッとした空気に気圧され、母親の朱里の気迫にも耳を下げるが、朱里がニッコリと笑顔を向けて「頑張ろう!」と親指を上げると、双子も親指を上げる。
リリスが3歳になる前に、本格的にありす不在はそろそろ打破すべきだと大人達で会議をし、子供達の成長に望みをかける事にし、ありすの氷を解除する事になった。
リリスの変化に一番初めに気付いたのはハガネだった。
リリスが髪をふたつに縛って欲しいとハガネにお願いし、リボンで可愛く結んであげたところ、違うと言い。
ハガネが「イヤイヤ期か?」とも思ったが、そうではなく何かのこだわりが見れた。
ハガネが色々と用意したリボンを1つ1つ試し、飾り紐や花も用意したが、なかなか首を縦に振らない。
リリスが半紙に描いた絵を見せてくれるが毛虫をぐるぐるした様な物でサッパリ判らず、毛糸を使って輪っかを作ったところ及第点を貰った。
それを見た朱里が「可愛いシュシュだね」と言う一言で、ハガネが思い出す。
ありすが髪にしていた布で出来たシュシュと呼ばれる物を。
ハガネがありすがしていた様な布地でシュシュを真似て作り、リリスの髪を結んでやったところ、大いに喜んだ。
「ありしゅといっしょ!」
リリスの言葉にハガネが悟る。
今までリロノスが「アリス」とリリスに教えてはいたが、リリスはありすの事を口に出すことはなかった。
母親を真似する言動が出てきた以上、これ以上は朱里が関わるとリリスの為にも良くないと、ハガネは判断する。
もう乳も離乳食も卒業して、既に味は薄く柔らかい物が多いが食事もするようになった為に、朱里ではなくリロノスが出来る範囲になっている。
子供達が昼寝をしている時にハガネがリビングで朱里とリロノスを前にリリスの事を告げる。
「もうリリスはこの家に居たら朱里との間に確実に溝が出来る」
「そうかな?仲は良いと思うんだけど・・・」
「親の私の目から見てもアカリさんに懐いていると思いますが・・・」
困惑する朱里とリロノスにハガネが「大人の見方をすんな」と、呆れた声を出す。
「リリスがアリスを意識している以上、リリスの母親はアリスで、アカリの存在はリリスの中で迷惑な存在になり始めてんだよ。アカリもリリスを今まで育ててきて「そんなバカな事」と、思うかもしれねぇけど、子供は考えてねぇように見えて考えてる。アカリ、リリスをアリスに返す準備を始めろ」
「ちゃんと、私はありすさんをリリスちゃんのお母さんだって教えてるし、自分が母親になり替わろうとは思ってないよ?」
「リリスがアカリさんを迷惑とは思って居ないと思うのですが」
ハガネが「新米共め」と、2人にデコピンをしていく。
「このままだとアリスが戻った時に、リリスがアリスに素直に甘えられなくなる。アカリの存在に遠慮しちまう。リリスがアリスを意識している今が一番アリスの戻って来た時の為にも、一番良いタイミングだ」
「そう・・・なのかな?」
「そうですね。私も何時までも甘えて生活をしている場合ではありませんでした。リリスと一緒にアリスが帰ってくる家に戻るべき時なんですね」
ハガネの言葉にリロノスがリリスと一緒にありすの選んだ家に引っ越していき、リロノスとリリスの二人の生活が始まった。
リロノスの職場は朱里の店なので毎日リリスを連れて来てはいるが、帰る時はリリスが「おうちにかえろ!」と、ありすの家に笑顔でリロノスと帰るので、自分の家が朱里達の家ではない事も理解していたのだと、遅ればせながらリロノスも思い知ることになる。
そして双子の言葉が色々と大丈夫だと判断し、アルビーとの会話も成立する事から、ありすを救う為に本日、産院にて2年10ヶ月ぶりにありすの氷が溶かれた。
変な時系列にして申し訳ありませんでした<m(__)m>
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「女将、輸血瓶はいつ使いますか?」
「直ぐに使える様に回復魔法の展開と同時でお願いします!」
「了解です。そっちの班は即効性のポーションを使え!」
「魔力回復のポーションの準備はできたかー!」
慌ただしく産院の手術室の中で準備が進み、廊下で祈る様にリロノスがリリスを抱きしめて準備を見守っている。
手術室の中央にありすを凍らせた氷が配置される。
手術室には双子とアルビーにグリムレイン。
もしもの時の為の輸血要員に朱里がありすの横の寝台で待機しながら、製薬部隊に指示を出す。
「嫁、我はいつでも良いぞ」
「うん。グリムレイン、もし失敗しそうになったら即座に凍らせてね」
「わかった。我に不可能はない」
「その意気です!でもなるべくなら失敗が無い事を祈ります!」
産医が手術の用意を整え、無菌魔法を展開する。
「リュエール、シュトラール。母上からのお願いです。アルビーにリリスちゃんのお母さんを助けてってお願いして。シュトラールはリリスちゃんのお母さんに回復魔法を使いなさい」
朱里が真面目な声色で3歳になる双子の息子達に声を掛ける。
双子が周りの慌ただしさとピリッとした空気に気圧され、母親の朱里の気迫にも耳を下げるが、朱里がニッコリと笑顔を向けて「頑張ろう!」と親指を上げると、双子も親指を上げる。
リリスが3歳になる前に、本格的にありす不在はそろそろ打破すべきだと大人達で会議をし、子供達の成長に望みをかける事にし、ありすの氷を解除する事になった。
リリスの変化に一番初めに気付いたのはハガネだった。
リリスが髪をふたつに縛って欲しいとハガネにお願いし、リボンで可愛く結んであげたところ、違うと言い。
ハガネが「イヤイヤ期か?」とも思ったが、そうではなく何かのこだわりが見れた。
ハガネが色々と用意したリボンを1つ1つ試し、飾り紐や花も用意したが、なかなか首を縦に振らない。
リリスが半紙に描いた絵を見せてくれるが毛虫をぐるぐるした様な物でサッパリ判らず、毛糸を使って輪っかを作ったところ及第点を貰った。
それを見た朱里が「可愛いシュシュだね」と言う一言で、ハガネが思い出す。
ありすが髪にしていた布で出来たシュシュと呼ばれる物を。
ハガネがありすがしていた様な布地でシュシュを真似て作り、リリスの髪を結んでやったところ、大いに喜んだ。
「ありしゅといっしょ!」
リリスの言葉にハガネが悟る。
今までリロノスが「アリス」とリリスに教えてはいたが、リリスはありすの事を口に出すことはなかった。
母親を真似する言動が出てきた以上、これ以上は朱里が関わるとリリスの為にも良くないと、ハガネは判断する。
もう乳も離乳食も卒業して、既に味は薄く柔らかい物が多いが食事もするようになった為に、朱里ではなくリロノスが出来る範囲になっている。
子供達が昼寝をしている時にハガネがリビングで朱里とリロノスを前にリリスの事を告げる。
「もうリリスはこの家に居たら朱里との間に確実に溝が出来る」
「そうかな?仲は良いと思うんだけど・・・」
「親の私の目から見てもアカリさんに懐いていると思いますが・・・」
困惑する朱里とリロノスにハガネが「大人の見方をすんな」と、呆れた声を出す。
「リリスがアリスを意識している以上、リリスの母親はアリスで、アカリの存在はリリスの中で迷惑な存在になり始めてんだよ。アカリもリリスを今まで育ててきて「そんなバカな事」と、思うかもしれねぇけど、子供は考えてねぇように見えて考えてる。アカリ、リリスをアリスに返す準備を始めろ」
「ちゃんと、私はありすさんをリリスちゃんのお母さんだって教えてるし、自分が母親になり替わろうとは思ってないよ?」
「リリスがアカリさんを迷惑とは思って居ないと思うのですが」
ハガネが「新米共め」と、2人にデコピンをしていく。
「このままだとアリスが戻った時に、リリスがアリスに素直に甘えられなくなる。アカリの存在に遠慮しちまう。リリスがアリスを意識している今が一番アリスの戻って来た時の為にも、一番良いタイミングだ」
「そう・・・なのかな?」
「そうですね。私も何時までも甘えて生活をしている場合ではありませんでした。リリスと一緒にアリスが帰ってくる家に戻るべき時なんですね」
ハガネの言葉にリロノスがリリスと一緒にありすの選んだ家に引っ越していき、リロノスとリリスの二人の生活が始まった。
リロノスの職場は朱里の店なので毎日リリスを連れて来てはいるが、帰る時はリリスが「おうちにかえろ!」と、ありすの家に笑顔でリロノスと帰るので、自分の家が朱里達の家ではない事も理解していたのだと、遅ればせながらリロノスも思い知ることになる。
そして双子の言葉が色々と大丈夫だと判断し、アルビーとの会話も成立する事から、ありすを救う為に本日、産院にて2年10ヶ月ぶりにありすの氷が溶かれた。
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