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8章
リロノスとリリス
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夏になり、ありすとリロノスの娘リリスが歩き始め、リロノスが小さなリリスの足に小さな白い靴を履かせる。
金色の髪の毛はリロノス譲りで白い角もリロノス譲り、濃いダークパープルの目はありすの黒目とリロノスのアメジスト色の目が合わさった様な色でリロノスがリリスの一番可愛いと思ってところだ。
「とっと。じゅーじゅ」
「ジュースもちゃんと持ったよ」
安心していいよ。と、言わんばかりにリロノスが大きなマザーバッグの中をリリスに見せる。
マザーではないからファザーバッグかもしれないが、このバッグは朱里が【風雷商】で作らせた物で多機能なカバンの間仕切りが子供を持つ親にとっては有り難いと売れ行きの良い商品になっている。
リロノスも朱里にプレゼントされ、便利なバッグを有り難く使わせてもらっている。
双子のおかげか、普通の赤ん坊よりも成長が著しく早いリリスにリロノスも驚かされるばかりだ。
相乗効果とでもいうのだろうか?
双子が喋れば、リリスも言葉を覚えるし、双子が掴まり立ちをしたら負けじと掴まり立ちをして、上手く出来ないことに少し泣いてはいたが、負けん気が強いのか掴まり立ちが出来るようになると、歩いては転ぶという事を繰り返す様になった。
1歳になる前にここまで早い発達を見せる子供は凄いと産医にも褒められてリロノスも誇らしく、2ヶ月お兄さんな双子にも影響が出ているのか、負けじと発達が早いところを見せているので、朱里が目が離せないと双子を追い駆けまわしているのが最近の日常だ。
「リリス、さぁお出掛けだよ」
「ぽっぽー」
「うん。お散歩だよ」
リロノスがリリスを抱き上げてリビングを出て1階へ降りると店の外の窯で朱里とハガネが「熱ぃー!」と、騒ぎながら新しい料理の開発をしている。
双子は危ないからとグリムレインとアルビーに捕まり「ははえー!」と騒いでいる。
「ははえー」と呼ばれる度に朱里がガッツポーズをして双子に笑いかけて、双子が「きゃー」と歓声をあげている。
「あっ、リロノスさんにリリスちゃんお出掛けですか?」
「ええ。たまには家の方に戻って掃除をしようかと思っているんです」
「気を付けて行ってきてください。お夕飯は美味しい物用意しますね」
「はい。楽しみにしています」
朱里に見送られリロノスとリリスが歩き出し、リリスが森の中の木々に手を伸ばしてはしゃいで声を上げている。
ありすとリロノスの家は温泉街の青果店が建ち並ぶ所にあり、産院も近く買い物も近いとありすが「便利が一番っしょ!」と言って決めた家だった。
家のドアを開けるとふわっと香るのはありすの番特有の甘い匂い。
しかし、大分薄れてきていて部屋に入ればもう感じ取れないぐらいになっている。
「とっと、いいこいいこ」
「ありがとう。大丈夫だよ。お父さんは泣いてないよ」
リロノスの寂しいと感じる心を察したリリスがリロノスの頭を撫でようと必死に手を伸ばし、リロノスが優しく笑ってリリスの頭を撫でる。
夏の陽気に蒸し暑くなった部屋に空気を入れる為に窓を開け風魔法で涼しい風を送ると、リリスが手を叩いてリロノスにすごいすごいとはしゃいでみせる。
「さぁ、リリスお掃除しちゃうよ!」
「あい!あい!」
上から下に掃除をしてと、1個1個の家具に水拭きを掛けながら、ありすと家具を選んだ時の事を思い出しては、リリスに「この家具はね、リリスのお母さんがお店の人に『もう一声!安くなるっしょ!』って交渉して買ったんだよ。お金に困ってるわけじゃないのに、一度やってみたかったって理由で交渉して買ったんだよ」と、笑いながらリリスにありすとの思い出を話して聞かせる。
「しょっ!」
「あはは。リリスは語尾に「しょっ」は付けないで。お母さんだけで十分だから」
リリスを抱き上げてリロノスが「でも、久しぶりにアリスの声を聞いた気がするよ。リリスはお母さんの声に少し似てるね」と、小さく鼻をすすると、リリスに「あんあってー」と、声を出す。
朱里の「頑張って」の掛け声を覚えていて、何かする度にリリスが出す掛け声にもなっている。
「うん。お父さん頑張るよ。リリスのお母さんが目を覚ますまでお父さんは泣かないよ」
「あーい」
「お母さんがいつでもここに帰ってこれるように掃除頑張ろっか」
「あーい」
リリスの笑顔にリロノスが笑顔で返して、掃除の続きを再開させる。
掃除を一通り終わらせると、開け放った窓を閉め、家の戸締りをしっかりと確認すると、リリスを連れて温泉街の港に行き、ホエールデビルを呼び寄せると、ホエールデビルに乗って近隣の小さな島に上陸する。
マザーズバッグからレジャーシートを広げて、作っておいたサンドイッチとリリス用の離乳食を出す。
「アカリさん程美味しくは作れないけどお父さん頑張ったから食べてみて」
「まんまー」
リリスに微妙な顔をされながらも残さず食べてもらい、リロノスとリリスで島を散策して遊びながら夕方になるとまたホエールデビルに乗って温泉大陸に戻っていった。
朱里達の家に帰ると、朱里に「あらあら」と言われ、グリムレインから冷えた冷気で体を包まれる。
「リロノスさんとリリスちゃん日焼けで真っ赤ですよ?」
「そうですか?」
心配そうな朱里にリロノスがリリスの顔を見ると少し鼻の頭が赤く、肩が赤くなっている。
アルビーが回復魔法を唱え始めると、シュトラールが手を伸ばす。
「りりー」
シュトラールがリリスに回復魔法を掛けると、リリスが「いーやー!」と泣き出し、リロノスにしがみつき、喜ばれるかと思ったのに、拒絶して泣かれたシュトラールも泣き出しそうな顔をする。
「あらあら、リリスちゃんはお父さんとお揃いが良かったのね」
朱里がリリスの頭を撫でながらシュトラールの頭も撫でて「リロノスさんにも回復魔法お願いね?」とシュトラールに言うと回復魔法をリロノスにも掛ける。
「リリス、お父さんもお揃いだよ」
「いーやー」
機嫌を損ねてしまったらしくリリスが泣き続けたが、愛娘の可愛いところが見れたと、リロノスはありすが目覚めた時にこの話もしてあげようと心に留めておいた。
金色の髪の毛はリロノス譲りで白い角もリロノス譲り、濃いダークパープルの目はありすの黒目とリロノスのアメジスト色の目が合わさった様な色でリロノスがリリスの一番可愛いと思ってところだ。
「とっと。じゅーじゅ」
「ジュースもちゃんと持ったよ」
安心していいよ。と、言わんばかりにリロノスが大きなマザーバッグの中をリリスに見せる。
マザーではないからファザーバッグかもしれないが、このバッグは朱里が【風雷商】で作らせた物で多機能なカバンの間仕切りが子供を持つ親にとっては有り難いと売れ行きの良い商品になっている。
リロノスも朱里にプレゼントされ、便利なバッグを有り難く使わせてもらっている。
双子のおかげか、普通の赤ん坊よりも成長が著しく早いリリスにリロノスも驚かされるばかりだ。
相乗効果とでもいうのだろうか?
双子が喋れば、リリスも言葉を覚えるし、双子が掴まり立ちをしたら負けじと掴まり立ちをして、上手く出来ないことに少し泣いてはいたが、負けん気が強いのか掴まり立ちが出来るようになると、歩いては転ぶという事を繰り返す様になった。
1歳になる前にここまで早い発達を見せる子供は凄いと産医にも褒められてリロノスも誇らしく、2ヶ月お兄さんな双子にも影響が出ているのか、負けじと発達が早いところを見せているので、朱里が目が離せないと双子を追い駆けまわしているのが最近の日常だ。
「リリス、さぁお出掛けだよ」
「ぽっぽー」
「うん。お散歩だよ」
リロノスがリリスを抱き上げてリビングを出て1階へ降りると店の外の窯で朱里とハガネが「熱ぃー!」と、騒ぎながら新しい料理の開発をしている。
双子は危ないからとグリムレインとアルビーに捕まり「ははえー!」と騒いでいる。
「ははえー」と呼ばれる度に朱里がガッツポーズをして双子に笑いかけて、双子が「きゃー」と歓声をあげている。
「あっ、リロノスさんにリリスちゃんお出掛けですか?」
「ええ。たまには家の方に戻って掃除をしようかと思っているんです」
「気を付けて行ってきてください。お夕飯は美味しい物用意しますね」
「はい。楽しみにしています」
朱里に見送られリロノスとリリスが歩き出し、リリスが森の中の木々に手を伸ばしてはしゃいで声を上げている。
ありすとリロノスの家は温泉街の青果店が建ち並ぶ所にあり、産院も近く買い物も近いとありすが「便利が一番っしょ!」と言って決めた家だった。
家のドアを開けるとふわっと香るのはありすの番特有の甘い匂い。
しかし、大分薄れてきていて部屋に入ればもう感じ取れないぐらいになっている。
「とっと、いいこいいこ」
「ありがとう。大丈夫だよ。お父さんは泣いてないよ」
リロノスの寂しいと感じる心を察したリリスがリロノスの頭を撫でようと必死に手を伸ばし、リロノスが優しく笑ってリリスの頭を撫でる。
夏の陽気に蒸し暑くなった部屋に空気を入れる為に窓を開け風魔法で涼しい風を送ると、リリスが手を叩いてリロノスにすごいすごいとはしゃいでみせる。
「さぁ、リリスお掃除しちゃうよ!」
「あい!あい!」
上から下に掃除をしてと、1個1個の家具に水拭きを掛けながら、ありすと家具を選んだ時の事を思い出しては、リリスに「この家具はね、リリスのお母さんがお店の人に『もう一声!安くなるっしょ!』って交渉して買ったんだよ。お金に困ってるわけじゃないのに、一度やってみたかったって理由で交渉して買ったんだよ」と、笑いながらリリスにありすとの思い出を話して聞かせる。
「しょっ!」
「あはは。リリスは語尾に「しょっ」は付けないで。お母さんだけで十分だから」
リリスを抱き上げてリロノスが「でも、久しぶりにアリスの声を聞いた気がするよ。リリスはお母さんの声に少し似てるね」と、小さく鼻をすすると、リリスに「あんあってー」と、声を出す。
朱里の「頑張って」の掛け声を覚えていて、何かする度にリリスが出す掛け声にもなっている。
「うん。お父さん頑張るよ。リリスのお母さんが目を覚ますまでお父さんは泣かないよ」
「あーい」
「お母さんがいつでもここに帰ってこれるように掃除頑張ろっか」
「あーい」
リリスの笑顔にリロノスが笑顔で返して、掃除の続きを再開させる。
掃除を一通り終わらせると、開け放った窓を閉め、家の戸締りをしっかりと確認すると、リリスを連れて温泉街の港に行き、ホエールデビルを呼び寄せると、ホエールデビルに乗って近隣の小さな島に上陸する。
マザーズバッグからレジャーシートを広げて、作っておいたサンドイッチとリリス用の離乳食を出す。
「アカリさん程美味しくは作れないけどお父さん頑張ったから食べてみて」
「まんまー」
リリスに微妙な顔をされながらも残さず食べてもらい、リロノスとリリスで島を散策して遊びながら夕方になるとまたホエールデビルに乗って温泉大陸に戻っていった。
朱里達の家に帰ると、朱里に「あらあら」と言われ、グリムレインから冷えた冷気で体を包まれる。
「リロノスさんとリリスちゃん日焼けで真っ赤ですよ?」
「そうですか?」
心配そうな朱里にリロノスがリリスの顔を見ると少し鼻の頭が赤く、肩が赤くなっている。
アルビーが回復魔法を唱え始めると、シュトラールが手を伸ばす。
「りりー」
シュトラールがリリスに回復魔法を掛けると、リリスが「いーやー!」と泣き出し、リロノスにしがみつき、喜ばれるかと思ったのに、拒絶して泣かれたシュトラールも泣き出しそうな顔をする。
「あらあら、リリスちゃんはお父さんとお揃いが良かったのね」
朱里がリリスの頭を撫でながらシュトラールの頭も撫でて「リロノスさんにも回復魔法お願いね?」とシュトラールに言うと回復魔法をリロノスにも掛ける。
「リリス、お父さんもお揃いだよ」
「いーやー」
機嫌を損ねてしまったらしくリリスが泣き続けたが、愛娘の可愛いところが見れたと、リロノスはありすが目覚めた時にこの話もしてあげようと心に留めておいた。
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