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7章
お披露目
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小さな黒い耳を動かして音を聞き、黒い目と金の目を動かしながら大人達の動きを見つめる【刻狼亭】の小さな双子達は、朱里が約1ヶ月以上体を休めて動き回れるようになったのでお披露目の為に【刻狼亭】の料亭にある大広間に来ている。
「うわぁー・・・左右の目の色が違う」
「ひぇぇー・・・女将そっくりの16代目じゃないですか」
「何これ、小さすぎる~っ」
従業員が大広間に祝いに集まりながらも、強者に対する心得はあっても弱者、しかも乳飲み子相手の心得は無いので触るに触れず遠巻きに騒いでいるだけという事態になっている。
「リュエールとシュトラールです。皆よろしくお願いしますね」
朱里が双子の手を取って軽く振らせてみせると、従業員達が「謎の破壊力っ!!」と騒ぐ。
「気軽にリューちゃんとシューちゃんって呼んであげてくださいね」
朱里が笑顔で言えば従業員達は「無理ぃぃぃ」と騒ぐ。
「呼んでほしいよね?リューちゃんシューちゃん」と、朱里が首をかしげると、従業員達が「旦那様!女将を止めて!」と騒ぎだす。
「アカリ、うちの子達は【刻狼亭】の跡継ぎだから、『若』呼びになるんだ。困らせるな」
「えー・・・それはちょっと可哀想。他の子供から浮いて見られちゃいそう」
「そうか?オレは普通に過ごしてきたぞ?」
「ルーファスは一人っ子ですが、この子達は2人なの。リューちゃんだけが特別扱いとかされない?『若』って言われてたのにシューちゃんだけが名前呼びとかにならない?」
朱里が心配そうにルーファスに言うと、周りの従業員も複雑な顔でルーファスを見る。
「そうだな・・・。なら、【刻狼亭】を継ぐ準備を始めた段階から『若』呼びにするか。それまでは好きに呼んでもらって可愛がってもらえばいい」
「ふふ。良かったねー、リューちゃんにシューちゃん」
朱里が「やったー」と声を上げながらニコニコとリュエールとシュトラールの手を小さく上げてみせる。
まさにデレデレに子供を甘やかし猫可愛がりといった朱里にルーファスも仕方がないなという顔で笑う。
「あ、ルーファス。少し子供達をお願いしますね」
「ん?何か用事か?」
「少しだけ席を外します。何かあればこれでお願いします」
朱里が子供達のお世話道具の入ったカバンをルーファスに渡し、哺乳瓶もわかりやすい様に2本テーブルに置いていく。哺乳瓶が保温魔法が掛かっているので人肌搾りたてで温める必要が無いのが便利!と、朱里が赤ん坊用品で一番重宝しているのがこの哺乳瓶なのである。
朱里が寝ていてもハガネやルーファスやアルビーがお乳を哺乳瓶であげてくれるので便利なのもある。
グリムレインは液体状の物は凍らせてしまうので双子がもう少し大きくなったら、かき氷でも食べさせてあげてください。と、朱里に言われている。
今のところ、グリムレインは残暑の残る日々の冷房代わりに使われている感じだ。
朱里が大広間を出ていくと、従業員達がルーファスに「尻に敷かれてますね」と、声を掛ける。
「何というか、母は強しというところか?」
ルーファスの言葉に従業員達が苦笑いしつつ、双子に「柔らかそう」「触りたいけど壊しそうで怖い」と覗き込んで円陣を組んでいる。
ぷに・・・
ぷに・・・
恐る恐る双子の頬に指でつついたり、指を手に握られたりしながら従業員達が小声ながらも「うわぁぁぁ柔らかい」「手が小さいぃぃ」と騒ぎ、順番!順番!と騒いでいる。
「玩具じゃないんだから突きまわすな」
ルーファスが呆れながら従業員に言うが、従業員達は触りたいと騒いでいる。
だが、抱きあげようという勇気のある者はいないらしく、指で軽くつんつんと突く事しかできない。
双子にとっては迷惑な大人達でしかない。
「ほぇぇぇえーん」
ついに泣き出した子供にルーファスが「まったく」と、従業員を手で払いのけながらシュトラールを抱き上げる。
リュエールはこういう時は泣かないので出来た兄っぷりを発揮している。
ただし、シュトラールをあやし終えて直ぐにリュエールに戻さないと泣き始めるので注意も必要だが・・・。
「なんだか旦那様も父親が板についてきましたね」
「リューとシューに毎日鍛えられてるからな」
ルーファスがシュトラールを泣き止ませて、リュエールの横に置くと、シュトラールがリュエールの手をぽすぽす叩いて、リュエールもぽすぽす叩き返す。
お互いが横に居る確認をして安心すると、小さく欠伸を始める。
20分ほどして双子が寝付くと朱里が戻ってきて、手には大きなティラミスを持って現れる。
朱里がルーファスの手前のテーブルにティラミスを置き、座って朱里を見るルーファスの頬にキスをすると、笑顔で「お誕生日おめでとうございます」と言って横に座る。
「そういえば、今日は誕生日だったな」
「はい。ちゃんと覚えてましたよ。プレゼントは用意できなかったので、そのうち用意しますね。今はケーキだけで我慢してください」
「プレゼントなら先渡しで貰ってる。リューとシューで充分だ」
「それは私も貰ってる事になっちゃうもの。ふふ」
ルーファスにキスを返されて朱里が笑うと、従業員達もルーファスに祝いを述べながら、お披露目会の様な誕生日会が双子を起こさないように静かに行われた。
「うわぁー・・・左右の目の色が違う」
「ひぇぇー・・・女将そっくりの16代目じゃないですか」
「何これ、小さすぎる~っ」
従業員が大広間に祝いに集まりながらも、強者に対する心得はあっても弱者、しかも乳飲み子相手の心得は無いので触るに触れず遠巻きに騒いでいるだけという事態になっている。
「リュエールとシュトラールです。皆よろしくお願いしますね」
朱里が双子の手を取って軽く振らせてみせると、従業員達が「謎の破壊力っ!!」と騒ぐ。
「気軽にリューちゃんとシューちゃんって呼んであげてくださいね」
朱里が笑顔で言えば従業員達は「無理ぃぃぃ」と騒ぐ。
「呼んでほしいよね?リューちゃんシューちゃん」と、朱里が首をかしげると、従業員達が「旦那様!女将を止めて!」と騒ぎだす。
「アカリ、うちの子達は【刻狼亭】の跡継ぎだから、『若』呼びになるんだ。困らせるな」
「えー・・・それはちょっと可哀想。他の子供から浮いて見られちゃいそう」
「そうか?オレは普通に過ごしてきたぞ?」
「ルーファスは一人っ子ですが、この子達は2人なの。リューちゃんだけが特別扱いとかされない?『若』って言われてたのにシューちゃんだけが名前呼びとかにならない?」
朱里が心配そうにルーファスに言うと、周りの従業員も複雑な顔でルーファスを見る。
「そうだな・・・。なら、【刻狼亭】を継ぐ準備を始めた段階から『若』呼びにするか。それまでは好きに呼んでもらって可愛がってもらえばいい」
「ふふ。良かったねー、リューちゃんにシューちゃん」
朱里が「やったー」と声を上げながらニコニコとリュエールとシュトラールの手を小さく上げてみせる。
まさにデレデレに子供を甘やかし猫可愛がりといった朱里にルーファスも仕方がないなという顔で笑う。
「あ、ルーファス。少し子供達をお願いしますね」
「ん?何か用事か?」
「少しだけ席を外します。何かあればこれでお願いします」
朱里が子供達のお世話道具の入ったカバンをルーファスに渡し、哺乳瓶もわかりやすい様に2本テーブルに置いていく。哺乳瓶が保温魔法が掛かっているので人肌搾りたてで温める必要が無いのが便利!と、朱里が赤ん坊用品で一番重宝しているのがこの哺乳瓶なのである。
朱里が寝ていてもハガネやルーファスやアルビーがお乳を哺乳瓶であげてくれるので便利なのもある。
グリムレインは液体状の物は凍らせてしまうので双子がもう少し大きくなったら、かき氷でも食べさせてあげてください。と、朱里に言われている。
今のところ、グリムレインは残暑の残る日々の冷房代わりに使われている感じだ。
朱里が大広間を出ていくと、従業員達がルーファスに「尻に敷かれてますね」と、声を掛ける。
「何というか、母は強しというところか?」
ルーファスの言葉に従業員達が苦笑いしつつ、双子に「柔らかそう」「触りたいけど壊しそうで怖い」と覗き込んで円陣を組んでいる。
ぷに・・・
ぷに・・・
恐る恐る双子の頬に指でつついたり、指を手に握られたりしながら従業員達が小声ながらも「うわぁぁぁ柔らかい」「手が小さいぃぃ」と騒ぎ、順番!順番!と騒いでいる。
「玩具じゃないんだから突きまわすな」
ルーファスが呆れながら従業員に言うが、従業員達は触りたいと騒いでいる。
だが、抱きあげようという勇気のある者はいないらしく、指で軽くつんつんと突く事しかできない。
双子にとっては迷惑な大人達でしかない。
「ほぇぇぇえーん」
ついに泣き出した子供にルーファスが「まったく」と、従業員を手で払いのけながらシュトラールを抱き上げる。
リュエールはこういう時は泣かないので出来た兄っぷりを発揮している。
ただし、シュトラールをあやし終えて直ぐにリュエールに戻さないと泣き始めるので注意も必要だが・・・。
「なんだか旦那様も父親が板についてきましたね」
「リューとシューに毎日鍛えられてるからな」
ルーファスがシュトラールを泣き止ませて、リュエールの横に置くと、シュトラールがリュエールの手をぽすぽす叩いて、リュエールもぽすぽす叩き返す。
お互いが横に居る確認をして安心すると、小さく欠伸を始める。
20分ほどして双子が寝付くと朱里が戻ってきて、手には大きなティラミスを持って現れる。
朱里がルーファスの手前のテーブルにティラミスを置き、座って朱里を見るルーファスの頬にキスをすると、笑顔で「お誕生日おめでとうございます」と言って横に座る。
「そういえば、今日は誕生日だったな」
「はい。ちゃんと覚えてましたよ。プレゼントは用意できなかったので、そのうち用意しますね。今はケーキだけで我慢してください」
「プレゼントなら先渡しで貰ってる。リューとシューで充分だ」
「それは私も貰ってる事になっちゃうもの。ふふ」
ルーファスにキスを返されて朱里が笑うと、従業員達もルーファスに祝いを述べながら、お披露目会の様な誕生日会が双子を起こさないように静かに行われた。
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