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7章
命名
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白い半紙に押し花を添えて、アルビーが筆を握り双子の名前を紙に書いていく。
【リュエール】
【シュトラール】
「リューとシューだね」
朱里が兄の方を「リューちゃん」と呼び、弟の方を「シューちゃん」と呼んで笑顔を向ける。
ルーファスが半紙を眺めてアルビーに笑いかけると、アルビーも嬉しそうに尻尾を振る。
「一応、灯りとか輝きって意味を持つ文字から取ってるから光イメージだよ。私の主らしく」
アルビーが双子を見ながら満足そうに笑い、契約を口にする。
「私は光竜のアルビー。よろしくね小さな主」
まだ生後1週間の双子はグレーとホワイトグレーの目をアルビーに向けるがあまり見えているわけでは無いので反応は薄い。
2週間ほどで視界が見え始め、目の色は変わるらしいのだが、双子の目は左右の色が違うのか色が生まれた時から違う。
リュエールは右目がホワイトグレーでシュトラールは左目がホワイトグレーをしている。
ルーファスの生まれた時は両目ともホワイトグレーだったので金目になるのでは?と、言っているが、グレーの目は何色になるかは判らない。
おそらく朱里の目の色の黒色だろうと言われている。
「この子達は『聖属性』の甘い香りがするから私との相性はバッチリだね」
「私の【聖域】を継いでたりしないかな?病気になったら可哀想・・・」
アルビーが双子に鼻を近づけながらフンフン鼻をひくつかせると、朱里が心配そうな顔をする。
「どうだろう?今のところルーファスの魔力が強く出てるし、アカリのお乳で【聖域】そのまま飲んでるから病気になっても直ぐに治されちゃってるだろうしね」
「心配だなぁ・・・無事に大きく育ってくれたら良いな」
「アカリ、私も居るんだから大丈夫だよ」
アルビーが「任せて」と胸を張ると、後ろから「我も居るぞ!」とグリムレインが顔を出す。
「グリムレインは変な魔術師を先にどうにかしなよ」
「そいつならこの大陸に入ったら追ってこなくなった」
アルビーがグリムレインを尻尾でペシペシ叩きながらじゃれ合うと、ルーファスが2匹の尻尾を手で払う。
「おそらく、この温泉大陸の通行証が手に入らないんだろう。人相を言って貰えば関所で排除も出来るから後で人相画を作成するといい」
ルーファスがグリムレインにそう教えて、命名した半紙を額に入れると子供部屋に飾る。
朱里が携帯を取り出すとカシャッと半紙を携帯で撮り、双子も携帯で撮る。
今まで枚数制限を気にして写真をあまり撮らなかったが、実は写真の枚数制限が無くなっていたらしく、何枚とってもメモリーがいっぱいになる事はないという、【風雷商】のアシュレイのカスタマイズにより、朱里がこれでもかというぐらい撮り回っている。
ありすにも教えたところ、ありすのスマホをアシュレイが直せるか試みる様で今現在ありすのスマホはアシュレイの手元にある。
ありすの出産までは2ヶ月ほどあるのでそれまでに直ればスマホで撮るらしいが、直らなかったら朱里の携帯で撮る予定だ。
「プリンター機能欲しいし!」と、ありすがアシュレイに言い、アシュレイが新しい機械に興味を持って開発が始まっている。
「アカリ、動き回ると体力が無くなるぞ」
「あ、うん。そろそろ大人しく座ってるよ」
朱里が携帯を仕舞い、卵の形に似た椅子に大きなクッションが敷き詰められている物に身を沈める。
ゆりかごの様に小さく揺れるが、大きくは揺れず、体を休めるのに丁度いい物でギルからの朱里への出産祝いがこの椅子だった。
「うん。体が楽~。お乳あげると体力全部持っていかれるから、休みは大事だね」
「アカリが主力だからな。ゆっくり休め」
ルーファスに薄掛けのタオルケットを掛けてもらい、朱里が目を閉じると直ぐに目を開ける。
「目を閉じるとリューちゃんとシューちゃんの泣き声が聞こえる気がする」
「3時間おきに泣くから耳に残るが、泣いてないから寝ておけ」
「ううっ・・・出産よりお乳あげの方が体力消耗激しい・・・」
「泣いても乳の時間ではないから、こちらで何とかする。安心しておけ」
「はい・・・」
朱里が再び目を閉じると、「ふぇぇぇん」と声が響き、朱里が「やっぱり泣いてるー」と、目を開ける。
ルーファスが朱里に「休んでろ」と言って、双子を連れて子供部屋を出るとリビングの方へ移動してしまう。
アルビーとグリムレインも付いていき、双子に構いたくて仕方がないらしい。
リビングに行くとハガネが大量の祝い品をメモしながら選別していっている。
「おっ、若達泣いてんな。名前は決まったのか?」
「ああ。兄がリュエールで弟がシュトラールだ」
「いい名前貰ったな」
ハガネが双子をルーファスから受け取ると手早くおしめを調べて、お尻を拭くとついでに沐浴まで始めてしまう。
何でも器用にこなすハガネにルーファスやアルビーも見様見真似で手伝っていく。
グリムレインは沐浴に関しては凍らせてしまうのであえて手は出さない。
「そういや、アルビーは若達を主にしたならここに移り住むのか?」
「そのつもりだよ。そのつもりで竜の癒し木をここの庭に植えたし」
「あの邪魔な木か・・・」
「邪魔じゃないよ!それに美味しい実が生るんだからね!」
グリムレインが「猛毒の実なのに食べるのか?」と言えば、ハガネとルーファスが「直ぐに切り落そう」と言い、アルビーが「毒抜きされてるからやーめーてー」と騒ぎ、その騒ぎで双子が泣き出し、結局、朱里がリビングまで出てきて4人に雷を落とした。
「もう!大の男が4人揃って騒がないの!」
「アカリ、私はまだ16歳・・・」
「お黙りなさい!アルビーもリューちゃんとシューちゃんに比べたら大人なんだからね?言い訳禁止です!」
「アカリ母ちゃんはおっかねぇな」と、ハガネが言うと3人が頷き、朱里が再び雷を落とした。
【リュエール】
【シュトラール】
「リューとシューだね」
朱里が兄の方を「リューちゃん」と呼び、弟の方を「シューちゃん」と呼んで笑顔を向ける。
ルーファスが半紙を眺めてアルビーに笑いかけると、アルビーも嬉しそうに尻尾を振る。
「一応、灯りとか輝きって意味を持つ文字から取ってるから光イメージだよ。私の主らしく」
アルビーが双子を見ながら満足そうに笑い、契約を口にする。
「私は光竜のアルビー。よろしくね小さな主」
まだ生後1週間の双子はグレーとホワイトグレーの目をアルビーに向けるがあまり見えているわけでは無いので反応は薄い。
2週間ほどで視界が見え始め、目の色は変わるらしいのだが、双子の目は左右の色が違うのか色が生まれた時から違う。
リュエールは右目がホワイトグレーでシュトラールは左目がホワイトグレーをしている。
ルーファスの生まれた時は両目ともホワイトグレーだったので金目になるのでは?と、言っているが、グレーの目は何色になるかは判らない。
おそらく朱里の目の色の黒色だろうと言われている。
「この子達は『聖属性』の甘い香りがするから私との相性はバッチリだね」
「私の【聖域】を継いでたりしないかな?病気になったら可哀想・・・」
アルビーが双子に鼻を近づけながらフンフン鼻をひくつかせると、朱里が心配そうな顔をする。
「どうだろう?今のところルーファスの魔力が強く出てるし、アカリのお乳で【聖域】そのまま飲んでるから病気になっても直ぐに治されちゃってるだろうしね」
「心配だなぁ・・・無事に大きく育ってくれたら良いな」
「アカリ、私も居るんだから大丈夫だよ」
アルビーが「任せて」と胸を張ると、後ろから「我も居るぞ!」とグリムレインが顔を出す。
「グリムレインは変な魔術師を先にどうにかしなよ」
「そいつならこの大陸に入ったら追ってこなくなった」
アルビーがグリムレインを尻尾でペシペシ叩きながらじゃれ合うと、ルーファスが2匹の尻尾を手で払う。
「おそらく、この温泉大陸の通行証が手に入らないんだろう。人相を言って貰えば関所で排除も出来るから後で人相画を作成するといい」
ルーファスがグリムレインにそう教えて、命名した半紙を額に入れると子供部屋に飾る。
朱里が携帯を取り出すとカシャッと半紙を携帯で撮り、双子も携帯で撮る。
今まで枚数制限を気にして写真をあまり撮らなかったが、実は写真の枚数制限が無くなっていたらしく、何枚とってもメモリーがいっぱいになる事はないという、【風雷商】のアシュレイのカスタマイズにより、朱里がこれでもかというぐらい撮り回っている。
ありすにも教えたところ、ありすのスマホをアシュレイが直せるか試みる様で今現在ありすのスマホはアシュレイの手元にある。
ありすの出産までは2ヶ月ほどあるのでそれまでに直ればスマホで撮るらしいが、直らなかったら朱里の携帯で撮る予定だ。
「プリンター機能欲しいし!」と、ありすがアシュレイに言い、アシュレイが新しい機械に興味を持って開発が始まっている。
「アカリ、動き回ると体力が無くなるぞ」
「あ、うん。そろそろ大人しく座ってるよ」
朱里が携帯を仕舞い、卵の形に似た椅子に大きなクッションが敷き詰められている物に身を沈める。
ゆりかごの様に小さく揺れるが、大きくは揺れず、体を休めるのに丁度いい物でギルからの朱里への出産祝いがこの椅子だった。
「うん。体が楽~。お乳あげると体力全部持っていかれるから、休みは大事だね」
「アカリが主力だからな。ゆっくり休め」
ルーファスに薄掛けのタオルケットを掛けてもらい、朱里が目を閉じると直ぐに目を開ける。
「目を閉じるとリューちゃんとシューちゃんの泣き声が聞こえる気がする」
「3時間おきに泣くから耳に残るが、泣いてないから寝ておけ」
「ううっ・・・出産よりお乳あげの方が体力消耗激しい・・・」
「泣いても乳の時間ではないから、こちらで何とかする。安心しておけ」
「はい・・・」
朱里が再び目を閉じると、「ふぇぇぇん」と声が響き、朱里が「やっぱり泣いてるー」と、目を開ける。
ルーファスが朱里に「休んでろ」と言って、双子を連れて子供部屋を出るとリビングの方へ移動してしまう。
アルビーとグリムレインも付いていき、双子に構いたくて仕方がないらしい。
リビングに行くとハガネが大量の祝い品をメモしながら選別していっている。
「おっ、若達泣いてんな。名前は決まったのか?」
「ああ。兄がリュエールで弟がシュトラールだ」
「いい名前貰ったな」
ハガネが双子をルーファスから受け取ると手早くおしめを調べて、お尻を拭くとついでに沐浴まで始めてしまう。
何でも器用にこなすハガネにルーファスやアルビーも見様見真似で手伝っていく。
グリムレインは沐浴に関しては凍らせてしまうのであえて手は出さない。
「そういや、アルビーは若達を主にしたならここに移り住むのか?」
「そのつもりだよ。そのつもりで竜の癒し木をここの庭に植えたし」
「あの邪魔な木か・・・」
「邪魔じゃないよ!それに美味しい実が生るんだからね!」
グリムレインが「猛毒の実なのに食べるのか?」と言えば、ハガネとルーファスが「直ぐに切り落そう」と言い、アルビーが「毒抜きされてるからやーめーてー」と騒ぎ、その騒ぎで双子が泣き出し、結局、朱里がリビングまで出てきて4人に雷を落とした。
「もう!大の男が4人揃って騒がないの!」
「アカリ、私はまだ16歳・・・」
「お黙りなさい!アルビーもリューちゃんとシューちゃんに比べたら大人なんだからね?言い訳禁止です!」
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