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6章
冬の就職事情
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「オレの番のアカリだ。この際だから紹介をしておこう」
「【刻狼亭】の若女将の朱里です」
ペコリと頭を下げて失礼なお客さん達に自己紹介をして、見つめると、可哀想な程に尻尾が股の間に逃げ込んでいる襲撃者の人々。
「聞いていた噂と違うから・・・つい」
「美女だって聞いてたしな」
「ちびっこは・・・うん、ちびっこだしな」
「ロリコ・・・げふげふ」
ルーファスが冷めた目で4人の失礼なお客さんを見つめると、4人はサッと目を逸らす。
なんという統率の良さなのか・・・。
相変わらず失礼な人々です。
ぐぅうううぅぅぅぅ~っ。
大きなお腹の音に、ルーファスが仕方がないという顔をして食堂ルームでご飯を食べる様に言うと、4人はカートを持ってきてテーブルに料理を並べて、物欲しそうな顔でこちらのテーブルの上も見ている・・・。
「わかりました。お鍋にまだ豚汁がありますから欲しければ自分達でどうぞ」
私は腰抜けてますから、動きませんよ?
「流石ちびっこ女神!」
「飯は皆で食うものだよなー」
「おにぎりも下さい!」
「唐揚げも、もっとくれ!」
「おにぎりは無いですが、パンはキッチンにありますからお好きにどうぞ。唐揚げは他の人は入ってこない様なら、その人達の分もどうぞです」
他にも襲撃者の人3人くらい居るはずなんですけど、見当たりませんしね。
4人は嬉しそうにキッチンから豚汁のお鍋ごと持ってきましたよ・・・。
パンもバスケットに入っているのを全部持ってきているし・・・。
「「「「いっただきまーす」」」」
元気よくガッツき始めた彼等に少し「こんな人達に腰抜かした私って・・・」と、いう気分になりましたけど、ご飯は大勢と食べた方が美味しいのは確かなのです。
ルーファスと遅くなった夕飯を食べながら、何故この人達が宿無しになったかを聞き始めました。
「俺達がテント前で火を起こして飯の準備してたら来たんだよ」
「来た?」
「冬の悪魔『踊り子』と踊り子に狂わされた奴がさ」
「踊り子さんってあの綺麗な人達ですよね?」
「ちびっこ、あれは番持ちじゃないとヤバイ種類の魅了だぞ」
「ちびっこは番持ちだから、そんな風なのか」
「アレは綺麗っていうより怖いだよな」
「心臓鷲掴みされる魅了は怖ぇえよな」
うちの【刻狼亭】の人達とほぼ同じ反応の様です。
ルーファスもうんうん。頷いているから、ヤバいのは確かみたい?
「こいつ等では『踊り子』の魅了で狂うから、仕方なく避難させた」
「あらら。皆1人身なんですね」
ジッ・・・と4人を見ると、4人は耳をぺしゃっとさせる。
「ちびっこが酷い事いってんぞ!」
「なんてひでぇちびっこだ!唐揚げ寄越せ!」
「おれの心は唐揚げのおかわりでしか癒せない!」
「俺は故郷に俺の帰りを待ってる番が居るはず!!」
バッと、お皿をこちらのテーブルに向けて差し出す辺り、本当にこの4人はお調子者というか、行動が一緒で何とも言えません・・・。
唐揚げを2個ずつ追加してあげると嬉しそうに尻尾が左右に揺れてますけど、一応、就職活動みたいなモノで来たはずなのに、上司になるかもしれない人とその妻にこの態度はマイナスだと、中卒の私にもわかりますよ?
「だけど、なんで『踊り子』さん達はココに来たんですか?」
「ああ、それなんだが話を聞いたら、去年までこの屋敷が彼らの乱交場だったようでな。今年もそのつもりだったらしい」
「らんこーじょー?」
なんだろう?
ルーファスが少し困った顔をして耳元で小さく「複数とエッチする場の事だ」と教えてくれて・・・。
ひぇぇぇっと、顔を赤くすると、4人が嫌な笑顔で見てきましたよ。
今日は下品な事ばかり目と耳にしてます・・・。
「それで、今年はギル叔父上がここを買い取って使えなくて、こいつ等のテントが狙われて奪われたわけだ」
ルーファスが彼らを見れば、彼らは食べる手を止めて、げんなりした顔になる。
「あいつ等の魅了に掛かった大橋の作業員に殺されかけるし」
「流石に俺等も人を殺すわけにもいかねぇし」
「魅惑におれ等が掛かったら危ないし」
「それで助けを求めてご主人を呼んだわけだ」
「襲撃者とか刺客とか言われてるから手練れなのかと思ってました」
4人は同じポーズで手を左右に振って「それはナイナイ」と、乾いた笑いを漏らすのです。
「第一、依頼人はそんなに高い金くれないから俺等みたいな下っ端が来るわけだし」
「【刻狼亭】の面接は自分の修行にもなるし、強くなれるから次の仕事に活かせる」
「運よく【刻狼亭】の従業員になれたら幸運だしな」
「毎年、この依頼は倍率高いからおれ等はある意味、幸運だよな」
なるほど・・・この人達がやけに「ギャイン」と言いながら楽しそうなのはこういう訳だったのですね?
「でも困りましたね。『踊り子』さん達が門の前を占拠してるのは」
4人がシュンっと、頭を下げて耳をぺしゃっとしながら「キュゥーン」と情けない声を上げながらルーファスを見ると、ルーファスは何とも言えない顔をして、箸を置く。
「一応、さっき今日は動けないぐらいの打撃は与えてきたが、お前等はもう少し人に頼る前に自分達でどうにかする術を身につけないと【刻狼亭】はおろか、他の依頼も大変だぞ?」
「おれ等にはまだあいつ等の魅了を回避できる術はないです・・・」
「ご主人は番持ちだから余裕があるんですよ」
「主君がおれ等居るわけじゃないし・・・」
「番持ちか主君持ちぐらいですよ、あいつ等の魅了回避できるのなんて」
殺傷沙汰とか【刻狼亭】の従業員さんも言っていたから、『踊り子』さん達は怖いですものねぇ・・・。
「まぁ、今回だけはこの屋敷の門前で殺傷沙汰も乱交騒ぎも迷惑だから手伝ってやろう」
「「「「ありがとうございます!!!」」」」
元気な4人の声と共に4尾が左右に振れて、ルーファスが小さく笑っていたから、何気にルーファスこの4人気に入っていますね?
ダメな子ほど可愛いというやつかな?
「【刻狼亭】の若女将の朱里です」
ペコリと頭を下げて失礼なお客さん達に自己紹介をして、見つめると、可哀想な程に尻尾が股の間に逃げ込んでいる襲撃者の人々。
「聞いていた噂と違うから・・・つい」
「美女だって聞いてたしな」
「ちびっこは・・・うん、ちびっこだしな」
「ロリコ・・・げふげふ」
ルーファスが冷めた目で4人の失礼なお客さんを見つめると、4人はサッと目を逸らす。
なんという統率の良さなのか・・・。
相変わらず失礼な人々です。
ぐぅうううぅぅぅぅ~っ。
大きなお腹の音に、ルーファスが仕方がないという顔をして食堂ルームでご飯を食べる様に言うと、4人はカートを持ってきてテーブルに料理を並べて、物欲しそうな顔でこちらのテーブルの上も見ている・・・。
「わかりました。お鍋にまだ豚汁がありますから欲しければ自分達でどうぞ」
私は腰抜けてますから、動きませんよ?
「流石ちびっこ女神!」
「飯は皆で食うものだよなー」
「おにぎりも下さい!」
「唐揚げも、もっとくれ!」
「おにぎりは無いですが、パンはキッチンにありますからお好きにどうぞ。唐揚げは他の人は入ってこない様なら、その人達の分もどうぞです」
他にも襲撃者の人3人くらい居るはずなんですけど、見当たりませんしね。
4人は嬉しそうにキッチンから豚汁のお鍋ごと持ってきましたよ・・・。
パンもバスケットに入っているのを全部持ってきているし・・・。
「「「「いっただきまーす」」」」
元気よくガッツき始めた彼等に少し「こんな人達に腰抜かした私って・・・」と、いう気分になりましたけど、ご飯は大勢と食べた方が美味しいのは確かなのです。
ルーファスと遅くなった夕飯を食べながら、何故この人達が宿無しになったかを聞き始めました。
「俺達がテント前で火を起こして飯の準備してたら来たんだよ」
「来た?」
「冬の悪魔『踊り子』と踊り子に狂わされた奴がさ」
「踊り子さんってあの綺麗な人達ですよね?」
「ちびっこ、あれは番持ちじゃないとヤバイ種類の魅了だぞ」
「ちびっこは番持ちだから、そんな風なのか」
「アレは綺麗っていうより怖いだよな」
「心臓鷲掴みされる魅了は怖ぇえよな」
うちの【刻狼亭】の人達とほぼ同じ反応の様です。
ルーファスもうんうん。頷いているから、ヤバいのは確かみたい?
「こいつ等では『踊り子』の魅了で狂うから、仕方なく避難させた」
「あらら。皆1人身なんですね」
ジッ・・・と4人を見ると、4人は耳をぺしゃっとさせる。
「ちびっこが酷い事いってんぞ!」
「なんてひでぇちびっこだ!唐揚げ寄越せ!」
「おれの心は唐揚げのおかわりでしか癒せない!」
「俺は故郷に俺の帰りを待ってる番が居るはず!!」
バッと、お皿をこちらのテーブルに向けて差し出す辺り、本当にこの4人はお調子者というか、行動が一緒で何とも言えません・・・。
唐揚げを2個ずつ追加してあげると嬉しそうに尻尾が左右に揺れてますけど、一応、就職活動みたいなモノで来たはずなのに、上司になるかもしれない人とその妻にこの態度はマイナスだと、中卒の私にもわかりますよ?
「だけど、なんで『踊り子』さん達はココに来たんですか?」
「ああ、それなんだが話を聞いたら、去年までこの屋敷が彼らの乱交場だったようでな。今年もそのつもりだったらしい」
「らんこーじょー?」
なんだろう?
ルーファスが少し困った顔をして耳元で小さく「複数とエッチする場の事だ」と教えてくれて・・・。
ひぇぇぇっと、顔を赤くすると、4人が嫌な笑顔で見てきましたよ。
今日は下品な事ばかり目と耳にしてます・・・。
「それで、今年はギル叔父上がここを買い取って使えなくて、こいつ等のテントが狙われて奪われたわけだ」
ルーファスが彼らを見れば、彼らは食べる手を止めて、げんなりした顔になる。
「あいつ等の魅了に掛かった大橋の作業員に殺されかけるし」
「流石に俺等も人を殺すわけにもいかねぇし」
「魅惑におれ等が掛かったら危ないし」
「それで助けを求めてご主人を呼んだわけだ」
「襲撃者とか刺客とか言われてるから手練れなのかと思ってました」
4人は同じポーズで手を左右に振って「それはナイナイ」と、乾いた笑いを漏らすのです。
「第一、依頼人はそんなに高い金くれないから俺等みたいな下っ端が来るわけだし」
「【刻狼亭】の面接は自分の修行にもなるし、強くなれるから次の仕事に活かせる」
「運よく【刻狼亭】の従業員になれたら幸運だしな」
「毎年、この依頼は倍率高いからおれ等はある意味、幸運だよな」
なるほど・・・この人達がやけに「ギャイン」と言いながら楽しそうなのはこういう訳だったのですね?
「でも困りましたね。『踊り子』さん達が門の前を占拠してるのは」
4人がシュンっと、頭を下げて耳をぺしゃっとしながら「キュゥーン」と情けない声を上げながらルーファスを見ると、ルーファスは何とも言えない顔をして、箸を置く。
「一応、さっき今日は動けないぐらいの打撃は与えてきたが、お前等はもう少し人に頼る前に自分達でどうにかする術を身につけないと【刻狼亭】はおろか、他の依頼も大変だぞ?」
「おれ等にはまだあいつ等の魅了を回避できる術はないです・・・」
「ご主人は番持ちだから余裕があるんですよ」
「主君がおれ等居るわけじゃないし・・・」
「番持ちか主君持ちぐらいですよ、あいつ等の魅了回避できるのなんて」
殺傷沙汰とか【刻狼亭】の従業員さんも言っていたから、『踊り子』さん達は怖いですものねぇ・・・。
「まぁ、今回だけはこの屋敷の門前で殺傷沙汰も乱交騒ぎも迷惑だから手伝ってやろう」
「「「「ありがとうございます!!!」」」」
元気な4人の声と共に4尾が左右に振れて、ルーファスが小さく笑っていたから、何気にルーファスこの4人気に入っていますね?
ダメな子ほど可愛いというやつかな?
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