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6章
冬の宿無し
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さっきまではまだ夕方の明るさと夜の暗さの中間だったのに・・・。
日が沈むのが早くなってきたせいでスッカリ辺りは暗いし、このお屋敷の近くに民家もないから真っ暗です。
暗い場所で木のざわざわした音は心臓に悪い。
早く門までたどり着いて安心してお屋敷に帰りたい・・・。
ガサッ・・・。
「・・・っ!!」
自分の踏みつけた枯れ葉にビックリして、悲鳴を上げる所でしたよ。
うーっ、怖いっ!!!
せめて携帯ランプでも持ってくればよかった・・・。
いつもは近く感じる道のりも意外と遠く感じるのは暗闇マジックなのでしょうか?
うーっ、怖いものは怖いっ!
でも、こんなお屋敷と門の道の間で立ち止まっててもしょうがないから進むしかないわけで・・・ビクビクしながらも、ようやく門の外に襲撃者さん達のテントの灯りが見えて来たー!!!
うわぁーん。
怖かったよー!今なら唐揚げの増量もやぶさかではありませんよ!!
少し早足になった私の横からガサガサと、音がして暗闇から伸びる手にビクッとして硬直したら、口を押さえられて捕まった。
「んーっ!んーっ!!」
「ちょっ、ちびっこ暴れるなって!」
目を凝らせば、いつも「キャイン」と声を上げている襲撃者の1人だった。
ゾワワッと鳥肌が立って、カクンと、足が崩れてが地面に着く。
「わっ、ちびっこどうした?!」
手を放した襲撃者の人が慌てて私を覗き込み、怖さのあまり涙がボロっと溢れて泣き出した私に、ガサガサと回りからも人の気配がして、気付けば囲まれていた。
「ひっ・・・きゃあああああ!!!」
「マズいっ!」
「皆、手を貸せ!」
「ちびっこ静かにしろって!」
掠れたような悲鳴だけど、必死に声を上げると、襲撃者の人達に口を押さえられて持ち上げられた。
怖いっ!
襲撃者とか暗殺者とか言われてたのに、面接みたいなモノとか修行って言われてて、安心して馴れ合ってた自分がいけなかったって、瞬間的に色々浮かんでガタガタ震えていると、門の外でドォーンと音がしてガツガツと音が繰り返される。
今まで雲で覆われていた夜空の雲が晴れると、月明かりにルーファスが見えて門の外からこちら側に走って戻ってくるのが見える。
襲撃者から奪う様に私を抱き上げてルーファスが私のオデコを軽く叩く。
「屋敷で大人しくしていないから怖い目にあうんだぞ?」
「・・・うっ、こわっ、怖かった~、えぐっ」
ギュウッとルーファスの首に抱き着くと、後ろの襲撃者さん達が「キュウン」と小さな声を出している。
「うちのを怖がらせるな!ったく、この駄犬共」
「すいません・・・」
「でも、ちびっこもおれ等だって解ってるのに怖がるのは酷い」
「お前の顔が怖いからだろ?」
「これだから子供の扱いになれてない奴は」
ルーファスがチッと舌打ちをしながら、お屋敷の方へ歩き出し、襲撃者の人達もついてくる。
何でこの人達が門の中で、しかも普通についてきているんだろう?
「旦那様、この人達は?」
「説明は屋敷に着いてからするが、ちょっと門の外で色々あってな、宿無しの間抜けを少しだけ屋敷に泊める」
ギュッとルーファスに抱き着く手を強くすると、ルーファスがスリッと私に擦りつくと笑顔を向ける。
じーっと襲撃者の人達を見れば、尻尾をブンブン振りながら、しっかり料理のカートを引きながらついて来ています。
宿無しになったのに、料理は死守したのですね・・・。
お屋敷に着くと、襲撃者にルーファスの洗礼という名のお湯玉とタンタンでの手洗い(全身洗い?)があり、タンタンが5匹ほどお腹を膨らませて背尾泳ぎをしていたので、私がタンタンのお腹を膨らませた経由はこの人達だった様です。
やっぱり外の犬は触ったら手洗いしなきゃいけない。
ルーファスが私を床に降ろすと、カクーンと私の足が両膝をついてしまい立ち上がれず・・・。
はい。お恥ずかしながら、腰が抜けた状態です。
ドッと、後ろで笑った襲撃者の声に耳まで真っ赤になるとルーファスが、コートを脱がせてくれてから抱き上げてくれました。
ううっ、彼等の優しさの無さと、ルーファスの優しさは段違いなのです。
「2階の客間の手前の2部屋を好きに使え。1階は勝手に探索するなよ。1人冬眠中の者がいるからな」
ルーファスの言葉に我先にと2階へ駆けあがっていく襲撃者たち・・・。
なんだか子供の様です。
あんなのでよく襲撃者とか刺客なんて名乗れるなぁって心配になります。
ルーファスに食堂ルームの椅子に座らせてもらって、息をつくとルーファスが私の頬に手を添えながらキスをしてくると、ザワついていた心が少しずつ収まっていく。
「落ち着いたか?」
「はい・・・」
ルーファスが目を細めて笑うと、胸がキューッと痛くなって、ドキドキするのが止められない。
もう一度キスして欲しいな・・・と、思いながら、番同士の甘いキスの味でホッとしていると、ドタドタした音に雰囲気はぶち壊しです・・・。
「飯はここで食うのか?」
「ちびっこ女神!飯の準備は出来るか?」
「ちびっこ、まだ腰抜かしてんのか?これだからお子様は」
2階から降りて来た人達に怒りしかないっ!!
ギッと、睨むと、あちらもあちらでギョッとした表情でこちらを見て来て、一瞬の沈黙の後で間抜けな声がした。
「えーと、ちびっこは・・・【刻狼亭】のご主人のアレなのか?」
片手の指で輪っかを作りながら、その輪っかに逆の指を出し入れする襲撃者。
意味が分からない。
小指を上げる襲撃者。
指切げんまん?何がしたいの?
私が首をかしげると、上からルーファスが「下品な駄犬共だな」と、グルルルと低い唸り声をあげると、ビクビクッと、襲撃者さん達は直立不動で身動きしなくなりましたよ。
ルーファスにその場で「ギャイン」と言わされて床で土下座する人達。
後でルーファスに指の意味を聞いたら、性的な物と恋人とか愛人みたいな意味合いだそうです・・・。
うん。ルーファスはこの人達を雇っちゃいけないし、不採用で良いと思います!
日が沈むのが早くなってきたせいでスッカリ辺りは暗いし、このお屋敷の近くに民家もないから真っ暗です。
暗い場所で木のざわざわした音は心臓に悪い。
早く門までたどり着いて安心してお屋敷に帰りたい・・・。
ガサッ・・・。
「・・・っ!!」
自分の踏みつけた枯れ葉にビックリして、悲鳴を上げる所でしたよ。
うーっ、怖いっ!!!
せめて携帯ランプでも持ってくればよかった・・・。
いつもは近く感じる道のりも意外と遠く感じるのは暗闇マジックなのでしょうか?
うーっ、怖いものは怖いっ!
でも、こんなお屋敷と門の道の間で立ち止まっててもしょうがないから進むしかないわけで・・・ビクビクしながらも、ようやく門の外に襲撃者さん達のテントの灯りが見えて来たー!!!
うわぁーん。
怖かったよー!今なら唐揚げの増量もやぶさかではありませんよ!!
少し早足になった私の横からガサガサと、音がして暗闇から伸びる手にビクッとして硬直したら、口を押さえられて捕まった。
「んーっ!んーっ!!」
「ちょっ、ちびっこ暴れるなって!」
目を凝らせば、いつも「キャイン」と声を上げている襲撃者の1人だった。
ゾワワッと鳥肌が立って、カクンと、足が崩れてが地面に着く。
「わっ、ちびっこどうした?!」
手を放した襲撃者の人が慌てて私を覗き込み、怖さのあまり涙がボロっと溢れて泣き出した私に、ガサガサと回りからも人の気配がして、気付けば囲まれていた。
「ひっ・・・きゃあああああ!!!」
「マズいっ!」
「皆、手を貸せ!」
「ちびっこ静かにしろって!」
掠れたような悲鳴だけど、必死に声を上げると、襲撃者の人達に口を押さえられて持ち上げられた。
怖いっ!
襲撃者とか暗殺者とか言われてたのに、面接みたいなモノとか修行って言われてて、安心して馴れ合ってた自分がいけなかったって、瞬間的に色々浮かんでガタガタ震えていると、門の外でドォーンと音がしてガツガツと音が繰り返される。
今まで雲で覆われていた夜空の雲が晴れると、月明かりにルーファスが見えて門の外からこちら側に走って戻ってくるのが見える。
襲撃者から奪う様に私を抱き上げてルーファスが私のオデコを軽く叩く。
「屋敷で大人しくしていないから怖い目にあうんだぞ?」
「・・・うっ、こわっ、怖かった~、えぐっ」
ギュウッとルーファスの首に抱き着くと、後ろの襲撃者さん達が「キュウン」と小さな声を出している。
「うちのを怖がらせるな!ったく、この駄犬共」
「すいません・・・」
「でも、ちびっこもおれ等だって解ってるのに怖がるのは酷い」
「お前の顔が怖いからだろ?」
「これだから子供の扱いになれてない奴は」
ルーファスがチッと舌打ちをしながら、お屋敷の方へ歩き出し、襲撃者の人達もついてくる。
何でこの人達が門の中で、しかも普通についてきているんだろう?
「旦那様、この人達は?」
「説明は屋敷に着いてからするが、ちょっと門の外で色々あってな、宿無しの間抜けを少しだけ屋敷に泊める」
ギュッとルーファスに抱き着く手を強くすると、ルーファスがスリッと私に擦りつくと笑顔を向ける。
じーっと襲撃者の人達を見れば、尻尾をブンブン振りながら、しっかり料理のカートを引きながらついて来ています。
宿無しになったのに、料理は死守したのですね・・・。
お屋敷に着くと、襲撃者にルーファスの洗礼という名のお湯玉とタンタンでの手洗い(全身洗い?)があり、タンタンが5匹ほどお腹を膨らませて背尾泳ぎをしていたので、私がタンタンのお腹を膨らませた経由はこの人達だった様です。
やっぱり外の犬は触ったら手洗いしなきゃいけない。
ルーファスが私を床に降ろすと、カクーンと私の足が両膝をついてしまい立ち上がれず・・・。
はい。お恥ずかしながら、腰が抜けた状態です。
ドッと、後ろで笑った襲撃者の声に耳まで真っ赤になるとルーファスが、コートを脱がせてくれてから抱き上げてくれました。
ううっ、彼等の優しさの無さと、ルーファスの優しさは段違いなのです。
「2階の客間の手前の2部屋を好きに使え。1階は勝手に探索するなよ。1人冬眠中の者がいるからな」
ルーファスの言葉に我先にと2階へ駆けあがっていく襲撃者たち・・・。
なんだか子供の様です。
あんなのでよく襲撃者とか刺客なんて名乗れるなぁって心配になります。
ルーファスに食堂ルームの椅子に座らせてもらって、息をつくとルーファスが私の頬に手を添えながらキスをしてくると、ザワついていた心が少しずつ収まっていく。
「落ち着いたか?」
「はい・・・」
ルーファスが目を細めて笑うと、胸がキューッと痛くなって、ドキドキするのが止められない。
もう一度キスして欲しいな・・・と、思いながら、番同士の甘いキスの味でホッとしていると、ドタドタした音に雰囲気はぶち壊しです・・・。
「飯はここで食うのか?」
「ちびっこ女神!飯の準備は出来るか?」
「ちびっこ、まだ腰抜かしてんのか?これだからお子様は」
2階から降りて来た人達に怒りしかないっ!!
ギッと、睨むと、あちらもあちらでギョッとした表情でこちらを見て来て、一瞬の沈黙の後で間抜けな声がした。
「えーと、ちびっこは・・・【刻狼亭】のご主人のアレなのか?」
片手の指で輪っかを作りながら、その輪っかに逆の指を出し入れする襲撃者。
意味が分からない。
小指を上げる襲撃者。
指切げんまん?何がしたいの?
私が首をかしげると、上からルーファスが「下品な駄犬共だな」と、グルルルと低い唸り声をあげると、ビクビクッと、襲撃者さん達は直立不動で身動きしなくなりましたよ。
ルーファスにその場で「ギャイン」と言わされて床で土下座する人達。
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