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5章
訪問者
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ルーファスの叔父ギルの屋敷。
アルビーの部屋は1階の北側にある書斎を改造した物。
昔住んでいた物書きが残した書籍も既に読破したアルビーは螺旋状になった本棚に1冊ずつ本を仕舞っていく。
壁には子供の頃からのアルビーの宝物、ルーファスの幼い頃に描かれた幼竜の頃のアルビーとルーファスの肖像画が所狭しと飾られている。
「そのうちアカリの絵も欲しいな」
「私がどうかした?」
ヒョッコリと朱里がアルビーの部屋に顔を出して覗き込んでいる。
アルビーが尻尾を揺らすと朱里がテテテと走ってきてアルビーの横で笑う。
「アカリいらっしゃい。この部屋そんなに暖かくないから早めに自分の部屋に戻った方が良いよ?」
「うん。アルビーをおやつに誘いに来たんだよ。アルビーおやつにしない?」
アルビーの手を取って朱里が軽く引っ張るとアルビーは頷いて朱里の手に引かれて一緒に歩き出す。
秋の乾燥した空気と寒さに朱里は外に出る事を禁止させられて娯楽もないので1日1回の3時のおやつをこうしてアルビーを誘いに来る。
「今日のおやつは何かな?」
「楽しみだねー」
2人が温まったサロンルームに入るとルーファスが魔法でお湯玉を作ってお湯玉に茶葉を入れていたところだった。
「アルビー、アカリ。茶葉と一緒に何か果物も入れるか?」
アルビーと朱里が顔を見合わせてニッコリ笑うと「桃!」「リンゴ!」と声を出す。
「アルビー、ここは桃じゃない?」
「ううん。アカリ。リンゴでしょ?」
2人が桃とリンゴで首をお互いにかしげあうと、ハガネが外から帰ってきて本日のおやつを持ってくる。
「今日はアップルパイだぞ」
長細いパイ生地のアップルパイに朱里が「お茶は桃で!」と、ルーファスに言ってルーファスが桃を魔法で皮を剥きカットしてお湯玉に入れていく。
「またアカリに負けちゃった」
「3日前はアルビーの要望が通ったじゃない?」
ティーカップにお湯玉からフルーツティになった雫を注いでもらい2人が鼻でニオイを吸い込んで喜ぶとルーファスがお湯玉を蒸発させ小さな皿に桃を入れる。
これは後でハガネがササマキのお土産にする物なのでしっかり取り分けておく。
「それにしても若旦那もすっかりお茶淹れ上手くなったよな」
「ああ、まぁアカリがアーネスの茶を恋しがるからな。放っておくと茶の為だけに【刻狼亭】へ行きそうだからな」
ハガネが朱里の方を見て頷く。
「失礼な!私そこまで固執してないよ!・・・アーネスさんのお茶は美味しいけど」
顔を赤くしながら朱里がルーファスとハガネを睨み付けると笑って切り分けられたアップルパイをハガネが朱里の前に置き、ルーファスがフォークでパイを一口大にして朱里の口に入れる。
サクサクとした生地にリンゴの果汁がじゅわっと口の中で広がり、朱里がほっぺたに手を当てて美味しさに喜んでいると、サロンルームの窓に何かが横切る。
眼に痛い程の色が横切り、朱里の時間が一瞬止まる。
朱里がパイを飲み込んでもう一度、窓を見ると秋色に染まった外の木々が秋風に揺られているだけだった。
朱里の様子にルーファスとハガネも窓の方を見る。
「アカリ、どうかしたのか?」
「あ・・・庭に何か目に痛いくらいのキツイ色の桃色を見た気がするの・・・」
朱里の言葉にルーファスとハガネが眉間にしわを寄せる。
ハガネが玄関ホールの方へ姿を消すとルーファスが朱里とアルビーに動かない様に手で制止させる。
「ルーファス、私も見てこようか?」
「いや、アルビーはここに居ろ。お前に何かあればギル叔父上が発狂する」
アルビーの手を朱里が握ると、アルビーが弾かれたように立ち上がる。
「このニオイ・・・っ!私、やっぱり行ってくる!」
朱里の手を振りほどいて玄関へ向かってしまう。
振りほどかれた手を握りながら朱里がルーファスを見上げると、ルーファスが朱里の手を握る。
「困った奴だな」
「アルビー・・・大丈夫かな?」
「アカリ、そんな顔するな」
ルーファスが朱里の唇に軽く唇を押し当てて、朱里の唇に付いていたパイ生地の欠片を舐め取ると、サロンルームの入り口で大きな声が上がる。
「アカリっち~!・・・って!うちお邪魔だった?!」
ルーファスと朱里がサロンルームに入ってきた人物に目を丸くする。
モコモコのショッキングピンクの毛皮に身を包んだ、脱色したツインテールの少女。
魔族の国エグザドル【魔王】リロノス・ディア・ロードミリオンの番にして朱里と同じ世界からやってきた【聖女】東雲ありすがそこにはいた。
「・・・ありす、さん?」
「シノノメ・・・」
朱里とルーファスの少し信じられないという声に、ありすがニッコリ頷いた。
アルビーの部屋は1階の北側にある書斎を改造した物。
昔住んでいた物書きが残した書籍も既に読破したアルビーは螺旋状になった本棚に1冊ずつ本を仕舞っていく。
壁には子供の頃からのアルビーの宝物、ルーファスの幼い頃に描かれた幼竜の頃のアルビーとルーファスの肖像画が所狭しと飾られている。
「そのうちアカリの絵も欲しいな」
「私がどうかした?」
ヒョッコリと朱里がアルビーの部屋に顔を出して覗き込んでいる。
アルビーが尻尾を揺らすと朱里がテテテと走ってきてアルビーの横で笑う。
「アカリいらっしゃい。この部屋そんなに暖かくないから早めに自分の部屋に戻った方が良いよ?」
「うん。アルビーをおやつに誘いに来たんだよ。アルビーおやつにしない?」
アルビーの手を取って朱里が軽く引っ張るとアルビーは頷いて朱里の手に引かれて一緒に歩き出す。
秋の乾燥した空気と寒さに朱里は外に出る事を禁止させられて娯楽もないので1日1回の3時のおやつをこうしてアルビーを誘いに来る。
「今日のおやつは何かな?」
「楽しみだねー」
2人が温まったサロンルームに入るとルーファスが魔法でお湯玉を作ってお湯玉に茶葉を入れていたところだった。
「アルビー、アカリ。茶葉と一緒に何か果物も入れるか?」
アルビーと朱里が顔を見合わせてニッコリ笑うと「桃!」「リンゴ!」と声を出す。
「アルビー、ここは桃じゃない?」
「ううん。アカリ。リンゴでしょ?」
2人が桃とリンゴで首をお互いにかしげあうと、ハガネが外から帰ってきて本日のおやつを持ってくる。
「今日はアップルパイだぞ」
長細いパイ生地のアップルパイに朱里が「お茶は桃で!」と、ルーファスに言ってルーファスが桃を魔法で皮を剥きカットしてお湯玉に入れていく。
「またアカリに負けちゃった」
「3日前はアルビーの要望が通ったじゃない?」
ティーカップにお湯玉からフルーツティになった雫を注いでもらい2人が鼻でニオイを吸い込んで喜ぶとルーファスがお湯玉を蒸発させ小さな皿に桃を入れる。
これは後でハガネがササマキのお土産にする物なのでしっかり取り分けておく。
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「ああ、まぁアカリがアーネスの茶を恋しがるからな。放っておくと茶の為だけに【刻狼亭】へ行きそうだからな」
ハガネが朱里の方を見て頷く。
「失礼な!私そこまで固執してないよ!・・・アーネスさんのお茶は美味しいけど」
顔を赤くしながら朱里がルーファスとハガネを睨み付けると笑って切り分けられたアップルパイをハガネが朱里の前に置き、ルーファスがフォークでパイを一口大にして朱里の口に入れる。
サクサクとした生地にリンゴの果汁がじゅわっと口の中で広がり、朱里がほっぺたに手を当てて美味しさに喜んでいると、サロンルームの窓に何かが横切る。
眼に痛い程の色が横切り、朱里の時間が一瞬止まる。
朱里がパイを飲み込んでもう一度、窓を見ると秋色に染まった外の木々が秋風に揺られているだけだった。
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「アカリ、どうかしたのか?」
「あ・・・庭に何か目に痛いくらいのキツイ色の桃色を見た気がするの・・・」
朱里の言葉にルーファスとハガネが眉間にしわを寄せる。
ハガネが玄関ホールの方へ姿を消すとルーファスが朱里とアルビーに動かない様に手で制止させる。
「ルーファス、私も見てこようか?」
「いや、アルビーはここに居ろ。お前に何かあればギル叔父上が発狂する」
アルビーの手を朱里が握ると、アルビーが弾かれたように立ち上がる。
「このニオイ・・・っ!私、やっぱり行ってくる!」
朱里の手を振りほどいて玄関へ向かってしまう。
振りほどかれた手を握りながら朱里がルーファスを見上げると、ルーファスが朱里の手を握る。
「困った奴だな」
「アルビー・・・大丈夫かな?」
「アカリ、そんな顔するな」
ルーファスが朱里の唇に軽く唇を押し当てて、朱里の唇に付いていたパイ生地の欠片を舐め取ると、サロンルームの入り口で大きな声が上がる。
「アカリっち~!・・・って!うちお邪魔だった?!」
ルーファスと朱里がサロンルームに入ってきた人物に目を丸くする。
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魔族の国エグザドル【魔王】リロノス・ディア・ロードミリオンの番にして朱里と同じ世界からやってきた【聖女】東雲ありすがそこにはいた。
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