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4章
終焉
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「・・・旧バステト王国の遺跡 恐らく、古代魔法だろうな」
ルーファスが遺跡から戻ったマグノリア達から報告を受け持ちかえった壁画の模写を見ながら机の上に置いた古い文献をパラパラと捲る。
壁画にある文字と同じ文字が書かれた古い文献をマグノリアに見せ、マグノリアが丸メガネの位置を指で直しながら文献に目を走らせる。
「若旦那、結局【病魔】は古代魔法の防御システムで片付けて終了で良いんですか?」
「終了も何も【病魔】が消えてしまったからな。世界から一斉に消し去れる程の古代魔法も凄いとは思うが、これ以上はどうしようもない。45年後にまたあるかもわからんからな。資料だけは残し、45年後にも旧バステト王国の遺跡に人を派遣して何が起こるか見張るしかないな」
「45年後・・・全ては・・・砂の中ですね」
マグノリアが調べた資料と報告書を保存用の魔法が掛かった箱へ入れてルーファスに渡す。
箱に特殊な魔法が掛かった鍵を差し込むと箱は消えてしまう。
ルーファスの掌の中に鍵が吸い込まれると、マグノリアが少し残念そうな表情をしてルーファスを見る。
「まだ研究し足りないという顔だな」
「まぁ、消化不良気味ですね。しかし、これ以上は私の本分からは逸脱するので諦めておきますよ。私はあくまで製薬と薬学の研究者ですからね」
マグノリアが丸メガネを指で押し上げながら軽く頭を下げ部屋を出ると、製薬部隊の4人の弟子が待っていた。
テッチに「仕事溜まってるんですよ!」と引きずられながら、笑い声と共に去っていく。
「ルーファスお話終わった?」
寝室から少し眠そうな目をこすり朱里が顔を覗かせると、ルーファスが朱里に手招きをして呼び寄せ、朱里がルーファスの腰に抱き着いてふにゃっと笑顔で見上げる。
「今日も早起きして眠いようだな」
「んーっ、眠くないよ」
朱里の頬を両手で包み込んでルーファスが朱里のおでこに唇を落としつつ、小さく笑う。
「そんな眠そうな目をしておいてよく言う」
「ふぁー・・・眠くないです」
「欠伸が出てるぞ?まったく、困った番だな」
朱里を抱き上げるとすぐさまルーファスの肩に頭を乗せてウトウトとしている。
マグノリア達が【刻狼亭】に戻ると連絡があった日から3日間、毎朝早起きしては朱里が薬草園でテッチとハーブを植えて過ごしているのはルーファスも知っているが、ずっとこの調子で眠そうにしている。
朱里は放っておくと何かしら騒ぎに巻き込まれやすいので【刻狼亭】の敷地内の薬草園で過ごし日中寝て過ごしているのならば良いかと静観している。
「ルーファス、そういえばさっきの鍵なに?」
「ああ、見てたのか?アレは【刻狼亭】が長年集めている資料を保管する鍵だ」
手の平から鍵を出して朱里に見せると小さく首をかしげている。
「【刻狼亭】の直系だけが継いでいる鍵なんだが、ほぼ使った事は無いな。うちの家系は色々収集するのがクセでな、こういった鍵がいくつかある。何処と繋がっているか謎だが、収納した物は場所を取らないし便利だぞ」
「不思議な鍵だね」
「そうだな。【刻狼亭】の代々継がれている物は割りと不思議が多いかもな」
「大変だねぇ。ふふふ」
朱里が楽しそうに笑いながらルーファスの肩に頭を摺り寄せると、ルーファスも朱里の頭に頬を摺り寄せ、朱里が顔を上げるとルーファスが唇を寄せて朱里が目を閉じて受け入れると、番同士の甘い液体が広がる。
唇が離れるとルーファスが自分の唇を舌で舐める。
「んっ、甘いな」
「不思議だよね。これも」
「そうだな。オレもまさか番がここまでクセになる甘さだとは思わなかった」
「他の人だと違うのかな?」
「・・・アカリはオレだけ知ってればいい」
朱里が自分の唇に手を当てながら笑って、また少し眠そうにルーファスの肩に頭を乗せると小さく欠伸を噛み殺す。
「アカリ、少し寝てろ」
「んーっ、折角マグノリアさん達帰ってきたからお手伝い行きたい・・・です」
「既に半分寝てるぞ。まったく」
ソファに朱里を横にして着物の羽織を上に掛けると、すぐさま寝息が聞こえてくる。
窓の外から牛蝉の声がして夏の声を伝えてくる。
モーンモモモーン・・・・モモモッ
モモッ・・・モーンモンモーン・・・
寝ている朱里が「うーっ」と小さくうなされるのを聞きながら【病魔】の終息と日常が戻ってきた事にルーファスが少しの安堵と後始末の片付けに少し苦笑いをする。
「残暑が厳しくなる前に難民の片づけと大橋を直さんとな・・・」
ルーファスが小さく呟き仕事机の上に散らかった文献を鍵を使って収納し、他の報告書に目を通し始める。
ルーファスが遺跡から戻ったマグノリア達から報告を受け持ちかえった壁画の模写を見ながら机の上に置いた古い文献をパラパラと捲る。
壁画にある文字と同じ文字が書かれた古い文献をマグノリアに見せ、マグノリアが丸メガネの位置を指で直しながら文献に目を走らせる。
「若旦那、結局【病魔】は古代魔法の防御システムで片付けて終了で良いんですか?」
「終了も何も【病魔】が消えてしまったからな。世界から一斉に消し去れる程の古代魔法も凄いとは思うが、これ以上はどうしようもない。45年後にまたあるかもわからんからな。資料だけは残し、45年後にも旧バステト王国の遺跡に人を派遣して何が起こるか見張るしかないな」
「45年後・・・全ては・・・砂の中ですね」
マグノリアが調べた資料と報告書を保存用の魔法が掛かった箱へ入れてルーファスに渡す。
箱に特殊な魔法が掛かった鍵を差し込むと箱は消えてしまう。
ルーファスの掌の中に鍵が吸い込まれると、マグノリアが少し残念そうな表情をしてルーファスを見る。
「まだ研究し足りないという顔だな」
「まぁ、消化不良気味ですね。しかし、これ以上は私の本分からは逸脱するので諦めておきますよ。私はあくまで製薬と薬学の研究者ですからね」
マグノリアが丸メガネを指で押し上げながら軽く頭を下げ部屋を出ると、製薬部隊の4人の弟子が待っていた。
テッチに「仕事溜まってるんですよ!」と引きずられながら、笑い声と共に去っていく。
「ルーファスお話終わった?」
寝室から少し眠そうな目をこすり朱里が顔を覗かせると、ルーファスが朱里に手招きをして呼び寄せ、朱里がルーファスの腰に抱き着いてふにゃっと笑顔で見上げる。
「今日も早起きして眠いようだな」
「んーっ、眠くないよ」
朱里の頬を両手で包み込んでルーファスが朱里のおでこに唇を落としつつ、小さく笑う。
「そんな眠そうな目をしておいてよく言う」
「ふぁー・・・眠くないです」
「欠伸が出てるぞ?まったく、困った番だな」
朱里を抱き上げるとすぐさまルーファスの肩に頭を乗せてウトウトとしている。
マグノリア達が【刻狼亭】に戻ると連絡があった日から3日間、毎朝早起きしては朱里が薬草園でテッチとハーブを植えて過ごしているのはルーファスも知っているが、ずっとこの調子で眠そうにしている。
朱里は放っておくと何かしら騒ぎに巻き込まれやすいので【刻狼亭】の敷地内の薬草園で過ごし日中寝て過ごしているのならば良いかと静観している。
「ルーファス、そういえばさっきの鍵なに?」
「ああ、見てたのか?アレは【刻狼亭】が長年集めている資料を保管する鍵だ」
手の平から鍵を出して朱里に見せると小さく首をかしげている。
「【刻狼亭】の直系だけが継いでいる鍵なんだが、ほぼ使った事は無いな。うちの家系は色々収集するのがクセでな、こういった鍵がいくつかある。何処と繋がっているか謎だが、収納した物は場所を取らないし便利だぞ」
「不思議な鍵だね」
「そうだな。【刻狼亭】の代々継がれている物は割りと不思議が多いかもな」
「大変だねぇ。ふふふ」
朱里が楽しそうに笑いながらルーファスの肩に頭を摺り寄せると、ルーファスも朱里の頭に頬を摺り寄せ、朱里が顔を上げるとルーファスが唇を寄せて朱里が目を閉じて受け入れると、番同士の甘い液体が広がる。
唇が離れるとルーファスが自分の唇を舌で舐める。
「んっ、甘いな」
「不思議だよね。これも」
「そうだな。オレもまさか番がここまでクセになる甘さだとは思わなかった」
「他の人だと違うのかな?」
「・・・アカリはオレだけ知ってればいい」
朱里が自分の唇に手を当てながら笑って、また少し眠そうにルーファスの肩に頭を乗せると小さく欠伸を噛み殺す。
「アカリ、少し寝てろ」
「んーっ、折角マグノリアさん達帰ってきたからお手伝い行きたい・・・です」
「既に半分寝てるぞ。まったく」
ソファに朱里を横にして着物の羽織を上に掛けると、すぐさま寝息が聞こえてくる。
窓の外から牛蝉の声がして夏の声を伝えてくる。
モーンモモモーン・・・・モモモッ
モモッ・・・モーンモンモーン・・・
寝ている朱里が「うーっ」と小さくうなされるのを聞きながら【病魔】の終息と日常が戻ってきた事にルーファスが少しの安堵と後始末の片付けに少し苦笑いをする。
「残暑が厳しくなる前に難民の片づけと大橋を直さんとな・・・」
ルーファスが小さく呟き仕事机の上に散らかった文献を鍵を使って収納し、他の報告書に目を通し始める。
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