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4章
遺跡
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朝の薬草園から数時間後_。
メビナが耳をピクピクと動かしながら、【刻狼亭】の別館の屋上まで急いで駆け上がる。
避雷針の上に足の指を絡ませ絶妙なバランスでぐるり体を回し、『声』を聞く。
『・・・ナちゃ・・・きこえ・・・』
微かに双子の姉タマホメの魔法通信の声を聞き取り、声を張り上げる。
”タマちゃん!タマちゃん!聞こえてるよ!”
『・・シュテ・・りゅーし・・・たよ』
聞こえにくい声にメビナは辺りを見回し【刻狼亭】の料亭の庭園で白金のドラゴンを見つける。
一気に別館の壁を蹴りながら降りていくと、料亭まで屋根の上を走りながら移動する。
庭園でクロから牛蝉を叩きつけられたアルビーが少し驚いて後ろに飛び退くと、アルビーの背中にドシンッと空からメビナが落ちてくる。
「何?何?!」
「アルビー!空飛んで!高く!!」
メビナが慌てるアルビーに切羽詰まった声を出すとアルビーは玉砂利を大きく蹴りつけて空に浮上する。
「何処まで高くいけばいいの?」
「待って、『声』の反応調べるから」
アルビーの頭の上で片足で立ち、くるくると回りながら耳を動かす。
『今、遺跡の奥に居るよ』
「聞こえた!アルビーそのままココで待機!」
アルビーの頭を足で2回コツコツと叩きアルビーに動くなと促す。
訳の分からないアルビーが首を傾げようとしたら、また足で頭を動かすなとタシタシ叩かれる。
「キュゥゥ」とアルビーが小さく喉で声を上げながらその場で羽を羽ばたかせて尻尾で風にあおられない様に調節する。
”タマちゃん、遺跡に居るの?”
『あっ、ハッキリ聞こえる。うん。45年に一度開く遺跡の奥に居るの』
”シュテン達とは会えた?”
『うん。合流したよ。アカリのポーションで皆命拾いした』
”連絡が途絶えたから心配したよ?どうしたの?”
『ポーション切れた時に【夜】に襲われて足齧られて少し腐ってたの』
”大丈夫なの?”
『ギリギリ間に合ったよ。ルーファスとアカリにお礼言っといて』
メビナが目を少し潤ませて鼻をすすり安堵すると、タマホメも少し声を震わせる。
『帰ったら甘味処行こうね』
”うん。行こうね”
しばらく2人で話をして、アルビーが「暑いよー」と騒ぎだし、メビナもじっとりと体に汗がにじむのを感じ、魔法通信を終わらせた。
「アルビーありがとう。また通信の時に飛んでね?」
「えー・・・暑いのにぃー」
「アルビー、これはお仕事だよ?ルーファスにイイ子イイ子してもらえるよ?」
「本当に?!私頑張るよ!」
「うんうん。頑張ろうね」
上機嫌になったアルビーが地上にゆっくりと降りると庭園で先程よりも数が増えた牛蝉を転がすクロが良い顔をして、アルビーの帰りを待っていた。
メビナがアルビーの頭から降りるとルーファスの部屋の窓から部屋に入る。
部屋の寝室から人の気配がし、メビナがノックをすると少ししてルーファスの声が答える。
「何か用か?」
「タマちゃんと連絡着いたの。シュテン達と合流したって」
「そうか。入ってきてくれ」
メビナが寝室の扉を開けると狼姿のルーファスを枕に朱里がすやすやと寝息を立てていた。
「アカリ寝てるの?」
「ああ、今朝は早起きしすぎたようだ。で、報告を聞こう」
小声でメビナが報告をしながらルーファスも朱里を起こさない様に小声で対応する。
「45年に1度開く遺跡か・・・ついに見つけたというところか」
「多分。まだマグノリアが何とも言えないって」
「とりあえずは、皆無事の様なら安心だな」
「うん。テッチにも教えてあげないと」
ルーファスが金色の目を細めると朱里が少し寝返りを打ちながら「ふふふ。ワンコー」とさわさわとルーファスの腹を手でまさぐっている。
「むっ、くすぐったいな。アカリにオレを犬族扱いするなと今度言い聞かせんとな」
鼻で朱里の手を押さえつけながら、ルーファスが溜息を吐く。
「ルーファスがんばって」
メビナは尻尾をくるりと回すと静かに寝室を出ていく。
軽い足取りでメビナは部屋を抜けて製薬執務室に足を向かわせ、製薬室を開けると大量の薬草を仕分けするテッチの姿があった。
「テッチ、凄い量の薬草だね?大変じゃない?」
「あいつ等が帰ってきた時に薬草が使える状態にしておきたいからな」
薬草籠を足元から引き上げ、テーブルの上にひっくり返し、薬草を追加して仕分けの作業をするテッチの手は既に薬草で緑色に染まり小さな傷も出来ていた。
「テッチ、無理やり仕事するのは駄目だよ。マグノリア達無事だって」
テッチが顔を上げメビナの顔を見下ろす。
「本当か?皆大丈夫だったのか?!」
テッチがメビナの小さな肩を揺さぶると、メビナがテッチの頭にゴンっとチョップをくらわす。
「落ち着いて。さっき連絡が着いたよ。ポーション間に合ったってさ」
テッチがその場で崩れる様に膝をついてへたり込む。
「良かった・・・ったく、心配させんなっつーの」
「うん。良かったの」
メビナがテッチの頭を撫でながら笑うとテッチはメビナの肩から手を外し、テーブルの上の薬草を見る。
「あー・・・うん。仕事は無理やりやるもんじゃねぇよな。この薬草片付くか不安になってきた」
「それはヒナは知らないよ。テッチがんばるの!」
メビナが親指を上げるとテッチも苦笑いしながら親指を上げる。
メビナが耳をピクピクと動かしながら、【刻狼亭】の別館の屋上まで急いで駆け上がる。
避雷針の上に足の指を絡ませ絶妙なバランスでぐるり体を回し、『声』を聞く。
『・・・ナちゃ・・・きこえ・・・』
微かに双子の姉タマホメの魔法通信の声を聞き取り、声を張り上げる。
”タマちゃん!タマちゃん!聞こえてるよ!”
『・・シュテ・・りゅーし・・・たよ』
聞こえにくい声にメビナは辺りを見回し【刻狼亭】の料亭の庭園で白金のドラゴンを見つける。
一気に別館の壁を蹴りながら降りていくと、料亭まで屋根の上を走りながら移動する。
庭園でクロから牛蝉を叩きつけられたアルビーが少し驚いて後ろに飛び退くと、アルビーの背中にドシンッと空からメビナが落ちてくる。
「何?何?!」
「アルビー!空飛んで!高く!!」
メビナが慌てるアルビーに切羽詰まった声を出すとアルビーは玉砂利を大きく蹴りつけて空に浮上する。
「何処まで高くいけばいいの?」
「待って、『声』の反応調べるから」
アルビーの頭の上で片足で立ち、くるくると回りながら耳を動かす。
『今、遺跡の奥に居るよ』
「聞こえた!アルビーそのままココで待機!」
アルビーの頭を足で2回コツコツと叩きアルビーに動くなと促す。
訳の分からないアルビーが首を傾げようとしたら、また足で頭を動かすなとタシタシ叩かれる。
「キュゥゥ」とアルビーが小さく喉で声を上げながらその場で羽を羽ばたかせて尻尾で風にあおられない様に調節する。
”タマちゃん、遺跡に居るの?”
『あっ、ハッキリ聞こえる。うん。45年に一度開く遺跡の奥に居るの』
”シュテン達とは会えた?”
『うん。合流したよ。アカリのポーションで皆命拾いした』
”連絡が途絶えたから心配したよ?どうしたの?”
『ポーション切れた時に【夜】に襲われて足齧られて少し腐ってたの』
”大丈夫なの?”
『ギリギリ間に合ったよ。ルーファスとアカリにお礼言っといて』
メビナが目を少し潤ませて鼻をすすり安堵すると、タマホメも少し声を震わせる。
『帰ったら甘味処行こうね』
”うん。行こうね”
しばらく2人で話をして、アルビーが「暑いよー」と騒ぎだし、メビナもじっとりと体に汗がにじむのを感じ、魔法通信を終わらせた。
「アルビーありがとう。また通信の時に飛んでね?」
「えー・・・暑いのにぃー」
「アルビー、これはお仕事だよ?ルーファスにイイ子イイ子してもらえるよ?」
「本当に?!私頑張るよ!」
「うんうん。頑張ろうね」
上機嫌になったアルビーが地上にゆっくりと降りると庭園で先程よりも数が増えた牛蝉を転がすクロが良い顔をして、アルビーの帰りを待っていた。
メビナがアルビーの頭から降りるとルーファスの部屋の窓から部屋に入る。
部屋の寝室から人の気配がし、メビナがノックをすると少ししてルーファスの声が答える。
「何か用か?」
「タマちゃんと連絡着いたの。シュテン達と合流したって」
「そうか。入ってきてくれ」
メビナが寝室の扉を開けると狼姿のルーファスを枕に朱里がすやすやと寝息を立てていた。
「アカリ寝てるの?」
「ああ、今朝は早起きしすぎたようだ。で、報告を聞こう」
小声でメビナが報告をしながらルーファスも朱里を起こさない様に小声で対応する。
「45年に1度開く遺跡か・・・ついに見つけたというところか」
「多分。まだマグノリアが何とも言えないって」
「とりあえずは、皆無事の様なら安心だな」
「うん。テッチにも教えてあげないと」
ルーファスが金色の目を細めると朱里が少し寝返りを打ちながら「ふふふ。ワンコー」とさわさわとルーファスの腹を手でまさぐっている。
「むっ、くすぐったいな。アカリにオレを犬族扱いするなと今度言い聞かせんとな」
鼻で朱里の手を押さえつけながら、ルーファスが溜息を吐く。
「ルーファスがんばって」
メビナは尻尾をくるりと回すと静かに寝室を出ていく。
軽い足取りでメビナは部屋を抜けて製薬執務室に足を向かわせ、製薬室を開けると大量の薬草を仕分けするテッチの姿があった。
「テッチ、凄い量の薬草だね?大変じゃない?」
「あいつ等が帰ってきた時に薬草が使える状態にしておきたいからな」
薬草籠を足元から引き上げ、テーブルの上にひっくり返し、薬草を追加して仕分けの作業をするテッチの手は既に薬草で緑色に染まり小さな傷も出来ていた。
「テッチ、無理やり仕事するのは駄目だよ。マグノリア達無事だって」
テッチが顔を上げメビナの顔を見下ろす。
「本当か?皆大丈夫だったのか?!」
テッチがメビナの小さな肩を揺さぶると、メビナがテッチの頭にゴンっとチョップをくらわす。
「落ち着いて。さっき連絡が着いたよ。ポーション間に合ったってさ」
テッチがその場で崩れる様に膝をついてへたり込む。
「良かった・・・ったく、心配させんなっつーの」
「うん。良かったの」
メビナがテッチの頭を撫でながら笑うとテッチはメビナの肩から手を外し、テーブルの上の薬草を見る。
「あー・・・うん。仕事は無理やりやるもんじゃねぇよな。この薬草片付くか不安になってきた」
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