56 / 960
4章
愛息子
しおりを挟む
「ギル叔父上何をしているんですか!」
「ギル!私も今回は許さないよ!」
ルーファスが手を伸ばすもギルはスイッと軽くあしらって避け、アルビーが尻尾で攻撃を繰り出しても逆に尻尾を掴み返され、笑いながら頭を撫でていく。
「ネルフィームどうだった?2人は少しは成長していたかい?」
黒髪の美女に変化したネルフィームは朱里とハガネにお茶とケーキを用意しながら首を振る。
「アルビーは相変わらず直進攻撃が多すぎる。ルーファスは力任せすぎて技のキレが悪い。二人共雑過ぎて話にならないな」
ルーファスとアルビーがネルフィームの言葉に「うっ」と、言葉を詰まらせるとギルが2人に間合いを詰めて2人の口に小さな粒を放り投げる。
右手で指を鳴らすとルーファスとアルビーの首に先程まで朱里とハガネがしていた鎖と同じ物が繋がれる。
「久しぶりに私と遊ぼうか?ちなみに、ルーファスの番のレディは1時間半で私を捕まえたよ?それより早く捕まえてください。ああ、そうだ。今回は君達がミスるたびにレディにキス1回ずつしていくよ」
ハガネにケーキをフォークで一口大に切って毒見をさせている朱里の頬にキスをして、ギルが勝ち誇った笑顔で手をヒラヒラと振りながら部屋を出る。
「ギル叔父上?!」
「ギル?!」
ルーファスとアルビーが廊下に出たギルを追うとすでに廊下の遥か彼方でニンマリと笑っている。
2人が朱里の前に立って、朱里とハガネの頭にゴチャッとついたリボンを数える。
「1時間半でこの数か・・・アカリは頑張ったみたいだな」
「私達、最短記録どのくらいだっけ?」
「確か2時間ちょいだな・・・ギル叔父上が手加減したのか?」
「ギルに限ってそんなことあると思う?」
2人が部屋を出ようとした時、ギルが朱里の横に立つ。
「即時行動できない時点でミスですよ」
朱里の顔にギルが顔を近づけると、朱里がアナグマ姿のハガネを自分の顔の前に出してガードする。
「ちょっ!アカリやめろ!」
「だって、ハガネは私の従者でしょ!守ってー!」
朱里がハガネを使いギルと攻防をしていると、青筋を額に浮かべたルーファスがアルビーの尻尾を掴み上げる。
「ピャァアアアアアアッ!!!!ルーファスやめて!!」
「悪いな。アルビー」
ブンッと豪快な音と共にアルビーが空を舞い、ルーファスが一緒に飛び上がるとアルビー目掛けて蹴りを放とうとして、ギルが慌ててアルビーの額に指を突き、体を小さく変化させ腕に抱えると、ルーファスの片足を蹴り上げて止める。
「ルーファス!私の愛息子に何をするんだ!今のは本気でしたね!まったく!」
「ギル叔父上が悪いんですよ」
キュウウウッとアルビーが声を出すとギルがアルビーをよしよしと撫でてルーファスを睨み付ける。
ジャラっとルーファスが首の鎖を引くと鎖の先に繋がっているアルビーがジタバタともがく。
「やめなさい!ルーファス!お前は家族に対しても手段と方法を選ばない気か!」
パチンと指を鳴らして鎖を外すとギルがアルビーをテーブルに置いて、ルーファスに向き合う。
「アルビーが居なきゃオレも自由に動けるんですよ。ギル叔父上」
指をゴキッと鳴らしながら、ルーファスがギルの足元に拳を放つ。
完全に目の据わったルーファスが金色の目を光らせると、ギルも金色の目を光らせてルーファスに足蹴りを放ち、ルーファスに蹴り返される。
「酷いよ。私を乱暴に扱うなんて!」
アルビーが両手を上げて憤慨するとギルとルーファスは部屋を出て攻防を繰り広げ始める。
屋敷内で破壊音が響き渡り、リビングに残された朱里達は困った顔で顔を見合わせた。
ネルフィームが小さく溜め息を吐きながらアルビーを抱き上げ、よしよしと頭を撫で微笑むと、パシッとアルビーに手を叩かれる。
「やめてくれる?ネルフィーム。私を子供扱いしないで」
ツンと、アルビーが顔を背けるとネルフィームが少し残念そうな顔をする。
朱里とハガネが、ギルの言っていた大人ぶったアルビーを目に口元を緩ませ笑う。
「アルビー、ケーキ食べる?」
「アルビー、一緒に食おうぜ」
朱里とハガネがアルビーに声を掛けるとツンとしたアルビーの尻尾が左右に揺れる。
チラッとアルビーの目がケーキの方へ動く。
「仕方がないなぁ。アカリとハガネに付き合ってあげる」
ネルフィームの腕から飛び降りると、朱里の前で口を開ける。
朱里がケーキをフォークで一口大に切り分けてアルビーに差し出す。
「はい。アルビー、あーん」
「あーん」
朱里がアルビーの口にケーキを入れた瞬間、壁が粉々に崩れ、ギルが部屋に転がり込んでくる。
チッと舌打ちをしながらルーファスがギルを見下ろして部屋に入り拳を振り上げている。
「ルーファス、人の屋敷を気持ちよく壊してくれるね。まったく・・・って、アルビー!!」
ゴクンと、アルビーの喉が鳴ると、ギルがアルビーに抱き着く。
「うわーっ!離して!ギル!」
「可愛い!アルビー可愛いーっ!!!!」
アルビーに頬刷りしながらギルが笑顔でアルビーをぎゅうぎゅうと抱きしめて歓声を上げている。
ルーファスがギルの背中を蹴り飛ばすと、アルビーがポーンと空を舞い、ネルフィームの腕にキャッチされる。
「ギル叔父上、話はまだ、終わっていない!」
「えーっ、もういいよ。私はアルビーの可愛い所が見れたし、満足だ」
ルーファスの目に未だ怒りが沸き上がっているが、ギルは既に戦闘終了とばかりにルーファスの攻撃を避けながら笑っている。
兎にも角にも、ギルという人物はマイペースで、そしてアルビーが好きな親バカでしかない。
「ギル!私も今回は許さないよ!」
ルーファスが手を伸ばすもギルはスイッと軽くあしらって避け、アルビーが尻尾で攻撃を繰り出しても逆に尻尾を掴み返され、笑いながら頭を撫でていく。
「ネルフィームどうだった?2人は少しは成長していたかい?」
黒髪の美女に変化したネルフィームは朱里とハガネにお茶とケーキを用意しながら首を振る。
「アルビーは相変わらず直進攻撃が多すぎる。ルーファスは力任せすぎて技のキレが悪い。二人共雑過ぎて話にならないな」
ルーファスとアルビーがネルフィームの言葉に「うっ」と、言葉を詰まらせるとギルが2人に間合いを詰めて2人の口に小さな粒を放り投げる。
右手で指を鳴らすとルーファスとアルビーの首に先程まで朱里とハガネがしていた鎖と同じ物が繋がれる。
「久しぶりに私と遊ぼうか?ちなみに、ルーファスの番のレディは1時間半で私を捕まえたよ?それより早く捕まえてください。ああ、そうだ。今回は君達がミスるたびにレディにキス1回ずつしていくよ」
ハガネにケーキをフォークで一口大に切って毒見をさせている朱里の頬にキスをして、ギルが勝ち誇った笑顔で手をヒラヒラと振りながら部屋を出る。
「ギル叔父上?!」
「ギル?!」
ルーファスとアルビーが廊下に出たギルを追うとすでに廊下の遥か彼方でニンマリと笑っている。
2人が朱里の前に立って、朱里とハガネの頭にゴチャッとついたリボンを数える。
「1時間半でこの数か・・・アカリは頑張ったみたいだな」
「私達、最短記録どのくらいだっけ?」
「確か2時間ちょいだな・・・ギル叔父上が手加減したのか?」
「ギルに限ってそんなことあると思う?」
2人が部屋を出ようとした時、ギルが朱里の横に立つ。
「即時行動できない時点でミスですよ」
朱里の顔にギルが顔を近づけると、朱里がアナグマ姿のハガネを自分の顔の前に出してガードする。
「ちょっ!アカリやめろ!」
「だって、ハガネは私の従者でしょ!守ってー!」
朱里がハガネを使いギルと攻防をしていると、青筋を額に浮かべたルーファスがアルビーの尻尾を掴み上げる。
「ピャァアアアアアアッ!!!!ルーファスやめて!!」
「悪いな。アルビー」
ブンッと豪快な音と共にアルビーが空を舞い、ルーファスが一緒に飛び上がるとアルビー目掛けて蹴りを放とうとして、ギルが慌ててアルビーの額に指を突き、体を小さく変化させ腕に抱えると、ルーファスの片足を蹴り上げて止める。
「ルーファス!私の愛息子に何をするんだ!今のは本気でしたね!まったく!」
「ギル叔父上が悪いんですよ」
キュウウウッとアルビーが声を出すとギルがアルビーをよしよしと撫でてルーファスを睨み付ける。
ジャラっとルーファスが首の鎖を引くと鎖の先に繋がっているアルビーがジタバタともがく。
「やめなさい!ルーファス!お前は家族に対しても手段と方法を選ばない気か!」
パチンと指を鳴らして鎖を外すとギルがアルビーをテーブルに置いて、ルーファスに向き合う。
「アルビーが居なきゃオレも自由に動けるんですよ。ギル叔父上」
指をゴキッと鳴らしながら、ルーファスがギルの足元に拳を放つ。
完全に目の据わったルーファスが金色の目を光らせると、ギルも金色の目を光らせてルーファスに足蹴りを放ち、ルーファスに蹴り返される。
「酷いよ。私を乱暴に扱うなんて!」
アルビーが両手を上げて憤慨するとギルとルーファスは部屋を出て攻防を繰り広げ始める。
屋敷内で破壊音が響き渡り、リビングに残された朱里達は困った顔で顔を見合わせた。
ネルフィームが小さく溜め息を吐きながらアルビーを抱き上げ、よしよしと頭を撫で微笑むと、パシッとアルビーに手を叩かれる。
「やめてくれる?ネルフィーム。私を子供扱いしないで」
ツンと、アルビーが顔を背けるとネルフィームが少し残念そうな顔をする。
朱里とハガネが、ギルの言っていた大人ぶったアルビーを目に口元を緩ませ笑う。
「アルビー、ケーキ食べる?」
「アルビー、一緒に食おうぜ」
朱里とハガネがアルビーに声を掛けるとツンとしたアルビーの尻尾が左右に揺れる。
チラッとアルビーの目がケーキの方へ動く。
「仕方がないなぁ。アカリとハガネに付き合ってあげる」
ネルフィームの腕から飛び降りると、朱里の前で口を開ける。
朱里がケーキをフォークで一口大に切り分けてアルビーに差し出す。
「はい。アルビー、あーん」
「あーん」
朱里がアルビーの口にケーキを入れた瞬間、壁が粉々に崩れ、ギルが部屋に転がり込んでくる。
チッと舌打ちをしながらルーファスがギルを見下ろして部屋に入り拳を振り上げている。
「ルーファス、人の屋敷を気持ちよく壊してくれるね。まったく・・・って、アルビー!!」
ゴクンと、アルビーの喉が鳴ると、ギルがアルビーに抱き着く。
「うわーっ!離して!ギル!」
「可愛い!アルビー可愛いーっ!!!!」
アルビーに頬刷りしながらギルが笑顔でアルビーをぎゅうぎゅうと抱きしめて歓声を上げている。
ルーファスがギルの背中を蹴り飛ばすと、アルビーがポーンと空を舞い、ネルフィームの腕にキャッチされる。
「ギル叔父上、話はまだ、終わっていない!」
「えーっ、もういいよ。私はアルビーの可愛い所が見れたし、満足だ」
ルーファスの目に未だ怒りが沸き上がっているが、ギルは既に戦闘終了とばかりにルーファスの攻撃を避けながら笑っている。
兎にも角にも、ギルという人物はマイペースで、そしてアルビーが好きな親バカでしかない。
30
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。