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4章
ギル
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銀色の髪の狼獣人の涼し気な金の目が診察室を見回す。
犯人5人とボビー医師に朱里とハガネそしてギル。
狭い診察室は一気に密度が上がる。
「4人かと思ったら5人目がいたのか・・・」
犯人の数にハガネが転がされた男を見てから銀色の狼獣人を見る。
「やぁ。ボビー、何だか面白い事になっているね?助けがいるかい?」
「ああ、頼むよ。ギル」
ボビー医師の言葉にギルはニコリと微笑み、まだハガネの掛けた【幻視・幻惑】が解けていない冒険者達に容赦なく蹴りを入れていく。
派手な物音がする度にビクつく朱里をハガネが自分の腕の中に抱きしめて落ち着かせる。
「ギル、私の診察室を壊さないでくれよ」
「大丈夫だよ。私の甥っ子が新しい診察所を建ててくれるさ」
ハガネはその甥っ子が誰なのかギルの目と攻撃時の身のこなしで察しがついた。
こんな化け物が身内にいるとは若旦那も大変そうだ・・・と、心の中で思いながら鎮圧作業が終わるまで朱里を落ち着かせる事だけに専念していた。
ギルが冒険者を診療所の外に蹴りだしながら冒険者を重ねて積んでいく。
そして犯人を追い出すと、泣きながらハガネの手にポーションをかけながら謝る朱里の頭に手を乗せる。
「やぁ小さなレディ。大丈夫だったかな?」
ギルの顔を見上げながら朱里がこくこくと首を上下に振ると、ギルは目を細める。
その顔がルーファスによく似ていて、安堵と共にまた朱里の目から涙がぽろぽろと流れる。
「泣き虫なレディだね。でも怖い思いをしたのだから仕方がないね」
よしよしと朱里の頭を撫でるギルにハガネが頭を下げる。
「助けて頂いてありがとうございました」
「気にしなくてもいいんだよ。君の術で敵の動きが止まってたから動きやすかったし、でもあの術は目に負担が掛かりそうだね。気をつけると良い。それにしても・・・ここも知らない間に治安が悪くなったね。後で私の甥っ子を躾直さないと駄目かなぁ」
ハガネが片目を少し開けて自分の目の能力に気付いたギルの能力感知の良さに舌を巻いた。
隠し技とも言うべきもので滅多に使うことは無い。
それが【幻視】というハガネの目が持つ特殊能力で元々糸目なのはあるが、隠しているモノだ。
しかも使った後の反動も大きい。
2,3日はまともに【幻惑】が使えない様になるだろう。
幻惑使いとしては致命的だが、主君を守る為ならば出し惜しみはしていられなかった。
「ギル。久しぶりだね。君が来るなんて何か急用なのかい?こんな危ない時期に動くなんて」
「ボビー、聞いてくれよ。私の甥っ子が番を得てね、それを愛息子が私より先に祝いに来ているんだ!酷い裏切りじゃないか!あんなに2人共可愛がっているのに」
眉をハの字にしながら熱弁するギルにボビー医師が呆れた顔をする。
しばらくすると診療所の外が騒がしくなり、診察室に【刻狼亭】の従業員が入ってくる。
「ボビー先生、外のアレ回収してもいいですかー?」
「ああ、【病魔】の治療薬欲しさに襲ってきた冒険者だから冒険者ギルドにも犯罪者として通達をしておいておくれ」
従業員は頷きながら診察室に居た朱里とハガネに気付いて声を上げる。
「あーっ!若女将にハガネ、どうしたんだ?まさか巻き込まれたのか?!」
「ああ、アカリが人質になって、この人に助けてもらったんだ」
ハガネがギルに目線を動かすと、従業員は朱里とギルを交互に見ながらサーッと青ざめる。
「俺、直ぐに若旦那に知らせてくる!若女将を助けてくれてありがとうございました!後で若旦那がお礼に来るとおもうんで少し待っててください!」
従業員が脱兎のごとく素早い速さで【刻狼亭】へ足を走らせる。
その様子を見てギルが「相変わらずここは騒がしいね」と目を細める。
「さて、レディはやはり私の甥っ子の番なのか。ニオイで解ってはいたけど、こんな小さなレディが甥っ子の毒牙に掛かるのは申し訳ないな」
朱里がギルを見上げて首を少しかしげるとギルがニッコリ笑顔で朱里を抱き上げて歩き出そうとした時、ハガネがギルの腕に手を掛け止める。
ギルが不思議そうな顔でハガネを見返す。
「何かな?」
「えーと、アカリは若旦那の番で、俺の主君なんで持って行かれると困る」
「ああ、君が必死なのはこのレディを主君にしてるからか。レディは主君の器があるんだね。良いね。益々、私の甥っ子には勿体ないな。君も良い従者だ」
ギルがトンッと軽くハガネの額を指で押すとハガネの体は獣化し、アナグマの姿になっていた。
「へっ?うぉっ!なんだこりゃ!!」
アナグマ姿のハガネが自分の姿に驚く声を上げると、ギルがハガネを持ち上げ掴むと上機嫌で診察室を出ていく。
「あの、下ろしてほしいのですけど?」
朱里が困った顔でギルに言うとギルは笑顔のままズンズン外へ出る。
外に山になった冒険者を一瞥して、空に向かって声を上げる。
「ネルフィーム!帰るぞ!」
ギルの声に空から黒いドラゴンが降りてくる。
アルビーの2倍の大きさのドラゴンは金色の目でギルを見ると小さく鼻で息を吐く。
「アルビーには会っていかないのか?」
「どうせ追ってくるさ。さて、小さなレディとその従者も手に入れたし、私は満足だよ」
黒いドラゴンにギルが飛び乗ると、黒いドラゴンは大地を蹴って空に飛びあがる。
「うわーっ!降ろせー!」
「何?何なの?」
ハガネと朱里が慌てふためくと、ギルは2人の前で小さな花を振って見せる
ハガネが「ヤバい!」と声を出した時にはすでに遅く、2人は夢の中に入っていた。
「ギル、大事な甥っ子に嫌われても知らんぞ?」
「治安1つ守れないような甥っ子にはお仕置きが必要なんですよ」
「やれやれ。貴方も難儀な男だ」
呆れた声を出すネルフィームにギルは楽しそうに笑う。
犯人5人とボビー医師に朱里とハガネそしてギル。
狭い診察室は一気に密度が上がる。
「4人かと思ったら5人目がいたのか・・・」
犯人の数にハガネが転がされた男を見てから銀色の狼獣人を見る。
「やぁ。ボビー、何だか面白い事になっているね?助けがいるかい?」
「ああ、頼むよ。ギル」
ボビー医師の言葉にギルはニコリと微笑み、まだハガネの掛けた【幻視・幻惑】が解けていない冒険者達に容赦なく蹴りを入れていく。
派手な物音がする度にビクつく朱里をハガネが自分の腕の中に抱きしめて落ち着かせる。
「ギル、私の診察室を壊さないでくれよ」
「大丈夫だよ。私の甥っ子が新しい診察所を建ててくれるさ」
ハガネはその甥っ子が誰なのかギルの目と攻撃時の身のこなしで察しがついた。
こんな化け物が身内にいるとは若旦那も大変そうだ・・・と、心の中で思いながら鎮圧作業が終わるまで朱里を落ち着かせる事だけに専念していた。
ギルが冒険者を診療所の外に蹴りだしながら冒険者を重ねて積んでいく。
そして犯人を追い出すと、泣きながらハガネの手にポーションをかけながら謝る朱里の頭に手を乗せる。
「やぁ小さなレディ。大丈夫だったかな?」
ギルの顔を見上げながら朱里がこくこくと首を上下に振ると、ギルは目を細める。
その顔がルーファスによく似ていて、安堵と共にまた朱里の目から涙がぽろぽろと流れる。
「泣き虫なレディだね。でも怖い思いをしたのだから仕方がないね」
よしよしと朱里の頭を撫でるギルにハガネが頭を下げる。
「助けて頂いてありがとうございました」
「気にしなくてもいいんだよ。君の術で敵の動きが止まってたから動きやすかったし、でもあの術は目に負担が掛かりそうだね。気をつけると良い。それにしても・・・ここも知らない間に治安が悪くなったね。後で私の甥っ子を躾直さないと駄目かなぁ」
ハガネが片目を少し開けて自分の目の能力に気付いたギルの能力感知の良さに舌を巻いた。
隠し技とも言うべきもので滅多に使うことは無い。
それが【幻視】というハガネの目が持つ特殊能力で元々糸目なのはあるが、隠しているモノだ。
しかも使った後の反動も大きい。
2,3日はまともに【幻惑】が使えない様になるだろう。
幻惑使いとしては致命的だが、主君を守る為ならば出し惜しみはしていられなかった。
「ギル。久しぶりだね。君が来るなんて何か急用なのかい?こんな危ない時期に動くなんて」
「ボビー、聞いてくれよ。私の甥っ子が番を得てね、それを愛息子が私より先に祝いに来ているんだ!酷い裏切りじゃないか!あんなに2人共可愛がっているのに」
眉をハの字にしながら熱弁するギルにボビー医師が呆れた顔をする。
しばらくすると診療所の外が騒がしくなり、診察室に【刻狼亭】の従業員が入ってくる。
「ボビー先生、外のアレ回収してもいいですかー?」
「ああ、【病魔】の治療薬欲しさに襲ってきた冒険者だから冒険者ギルドにも犯罪者として通達をしておいておくれ」
従業員は頷きながら診察室に居た朱里とハガネに気付いて声を上げる。
「あーっ!若女将にハガネ、どうしたんだ?まさか巻き込まれたのか?!」
「ああ、アカリが人質になって、この人に助けてもらったんだ」
ハガネがギルに目線を動かすと、従業員は朱里とギルを交互に見ながらサーッと青ざめる。
「俺、直ぐに若旦那に知らせてくる!若女将を助けてくれてありがとうございました!後で若旦那がお礼に来るとおもうんで少し待っててください!」
従業員が脱兎のごとく素早い速さで【刻狼亭】へ足を走らせる。
その様子を見てギルが「相変わらずここは騒がしいね」と目を細める。
「さて、レディはやはり私の甥っ子の番なのか。ニオイで解ってはいたけど、こんな小さなレディが甥っ子の毒牙に掛かるのは申し訳ないな」
朱里がギルを見上げて首を少しかしげるとギルがニッコリ笑顔で朱里を抱き上げて歩き出そうとした時、ハガネがギルの腕に手を掛け止める。
ギルが不思議そうな顔でハガネを見返す。
「何かな?」
「えーと、アカリは若旦那の番で、俺の主君なんで持って行かれると困る」
「ああ、君が必死なのはこのレディを主君にしてるからか。レディは主君の器があるんだね。良いね。益々、私の甥っ子には勿体ないな。君も良い従者だ」
ギルがトンッと軽くハガネの額を指で押すとハガネの体は獣化し、アナグマの姿になっていた。
「へっ?うぉっ!なんだこりゃ!!」
アナグマ姿のハガネが自分の姿に驚く声を上げると、ギルがハガネを持ち上げ掴むと上機嫌で診察室を出ていく。
「あの、下ろしてほしいのですけど?」
朱里が困った顔でギルに言うとギルは笑顔のままズンズン外へ出る。
外に山になった冒険者を一瞥して、空に向かって声を上げる。
「ネルフィーム!帰るぞ!」
ギルの声に空から黒いドラゴンが降りてくる。
アルビーの2倍の大きさのドラゴンは金色の目でギルを見ると小さく鼻で息を吐く。
「アルビーには会っていかないのか?」
「どうせ追ってくるさ。さて、小さなレディとその従者も手に入れたし、私は満足だよ」
黒いドラゴンにギルが飛び乗ると、黒いドラゴンは大地を蹴って空に飛びあがる。
「うわーっ!降ろせー!」
「何?何なの?」
ハガネと朱里が慌てふためくと、ギルは2人の前で小さな花を振って見せる
ハガネが「ヤバい!」と声を出した時にはすでに遅く、2人は夢の中に入っていた。
「ギル、大事な甥っ子に嫌われても知らんぞ?」
「治安1つ守れないような甥っ子にはお仕置きが必要なんですよ」
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