悪役令嬢ポジションが俺で、回復魔法がキスな件!?

ろいず

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二章 学園生活

初授業

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 基礎授業は、基本的に魔物退治の運動系授業。諸外国における流通の経済授業。そして交流授業の三つである。
 一日一回はこの授業の三つのうちどれかがある。
 魔物退治が『野ギス』では野外訓練として出て、そこで攻略キャラのカードが必要なわけだ。
 経済授業は、貴族や商人等幅広く知識を得るための授業で、ゲーム内ではクイズ形式で答えるものだった。
 交流授業は、ダンスやお茶会がメインで、ゲームでは音に合わせてボタンを押してダンスはステップ。お茶会もタイミングよくボタンで、令嬢から投げつけられるお茶やお菓子を避ける物だった。

「現実でやるとなると……キツい」

 ぼそりと呟いて、俺は頭の中でゲームをリアルに持ち込んだシミュレーションをして、軽く頭を振る。
 戦闘は、子供の頃からやっていたのだから大丈夫だろう。
 クイズ形式は、ただ単にノートに書きうつすだけで良いはずだ。
 しかし、ダンスにお茶会はしんどいかもしれない。
 ダンスは子供の時からやらされていたけど、今は『ミナ』だから、女性パート……踊れる自信がない。
 いや、ルカリオンが一緒に踊ってくれていたから、やれなくはない……かも?
 あーでも、お茶会はどうなるんだ!?
 悪役令嬢のフェルミナは居ないわけだし、むしろ俺がフェルミナなんだけどな。
 令嬢じゃなくて令息だけどー!

 脳内での授業予想はひとまず置いておいて、俺は教室の扉を開けた。

「おはよう。ミナ」
「ミナ。もっと早く来るかと思って、教室で待っていたんだぞ」
「どうせルカリオンに捕まっていたんだろ」
「皆、おはよう。あははー、うん。ルカリオンとお茶してた」

 基礎授業のために、午前中はヒルクスやセイン、ベンガル達とも同じ教室で、早速駆け寄ってくれる心優しき友たちである。
 教室の前の席では、ディオンが小さく手を挙げる。
 その横にはクロームが居る為に、俺の方へは来れなかったのだろう。
 クロームは、一応、竜人国の王族という立場の留学生だから、この国の王族のディオンは一緒に居る事になっている……と、いうより、俺からクロームを引きはがすためのストッパー役だ。
 本当にありがとう! ディオンの犠牲は無駄にしない!
 
「余の妃にならないか!」

 うわぁー……クロームの公式セリフだーと、遠くからクロームが挨拶代わりのように、周りの女生徒に声を掛けているのを見つめる。
 俺は目を合わさないように、静かに教室の端っこで悪友たちと並んで座る。
 机は大学と同じで横長に並んで座れるタイプのもので、座る所も各自好きにしていいらしい。

「なんか、こうしてみると……痛い子だな。クローム」

 ゲーム内では、にこやかにナンパしてくるチャラ男ではあったが、好感はあったが現実だと、すごく声を掛けて欲しくない相手だ。
 
「ボクは、ミナちゃん一筋~」
「セインは子供の頃が、一番のピークだったよね……」
「ええーっ、何それ? ボクは君のために頑張って変わったのに」
「はいはい」

 セインは本来なら暗い男だったのに、チャラッとした男にはなった。けど、クロームに比べると可愛いもので、軽口は叩くけど、その軽口も優しさがある。人を気遣う事が出来るから、本質は変わらないのかも?
 俺たちのやり取りを見て、ヒルクスとベンガルが笑って話に交じってきている間に、教室に先生がやってきた。
 本日の授業は、魔物退治の授業日。

 出席は机の縁に生徒手帳になっているカードを差し込むようになっている。
 これで食堂や買い物も出来るという便利な魔道具だ。
 はい。俺がベンガルと一緒に作りました!
 便利な道具は良いよ! お金を持ち歩かなくていいのも便利だしな。何より、使い慣れた道具があるのが良い。
 キャッシュレス! ちなみにお金は各自の親からの引き落としなので、限度額制もある。
 俺は自分の口座からの引き落とし。そう、四歳の頃から俺は起業しているために、公爵家のお金とは別なのだ。   
 まだこの学園内で使用され始めた実験段階でもある。
 上手く流通してくれたら、一山当てられるかもしれないと、俺とベンガルは狸の皮算用をしている。  

「攻撃の基礎は、守備のタンク、攻撃のアタッカー、守りのバッファーがありー……」 

 今日学んだ事は、魔物の種類と攻撃の種類というもので……まぁ、俺的にはネットゲームのモンスター狩りのレクチャーを受けているような感じだった。
 ちなみに俺は、回復なのでヒーラーになるのだけれど、守りのバッファー、つまり薬剤などで味方の防御や攻撃、回復を補助する役もしたいなぁと思っている。
 授業が終わり、脳内が『ひと狩り行こうぜ!』状態になっていると、女生徒がこちらを見ながら何かを言っていて、両脇からベンガルとヒルクスに引きずられるように俺は教室を出て行った。

「え? 何、何事!?」
「学食、急がないと戦争になるからな」
「そうそう。良い席を取らないとね」

 なるほど、それなら納得だ。
 セインも遅れて教室から出て、四人で小走りで学食のあるホールへ向かう。
 廊下で生徒とすれ違うたびに、何やら声を掛けられているのに、三人は無視して通り過ぎていく。

「今のいいの? 名前呼んでなかった?」
「いいんだよ。ベンガル、ミナをいつもの席に連れて行っといて、オレたちで飯持ってくるから」
「了解だよ。僕のは日替わりで。ミナも同じでいいよね?」
「あ、うん。何があるか知らないけど、任せるよ」

 なんというか、学食戦争ってチームプレイなのかと、思わないでもない。
 ベンガルに連れられて、日当たりのいい端っこの席を陣取ることに成功した。
 そして、席を確保するとベンガルは衝立ついたてを立てかけて周りを遮断。
 
「その衝立、必要なのか?」
「一応ね。貴族連中は、そうやっているし、さっきみたいに話しかけられたくないだろ?」
「そうなのか?」
「話しかけてくる奴等は、家柄とか僕たちの後ろしか見てないからね。無視だよ無視」
「あははー……なるほど」
「あとは、食べ物ぐらいは好きな物選びたいしね」

 その言葉の意味は、ヒルクスとセインが戻って来てから分かった。
 普段、あまり見慣れない庶民的な肉の塊です! と、言わんばかりのドーンとしたステーキや野菜と肉団子が一緒くたになったスープの大盛りは、流石に貴族の肩書きがあると周りに見られながらは食べにくそうだ。
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