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一章 悪役令嬢フェルミナ・ドロッセル
返礼品
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王城の中に入り、まずはドローイングルーム、つまりは応接間に通される。
ここでラローシュに取次ぎを頼み、お茶会の招待状をメイドさんに渡す。
ソファに座り、他のメイドさんから紅茶とクッキーを出され、いつものようにスンッとルカリオンが鼻を動かして頷いたら、飲み始める。
獣人は鼻がいいため、毒物が混入されていても素早く気付くことが出来る。
貴族の間では権力争いや跡目争いには、毒物がつきものだ。
そう、この王家にも第一王子のラローシュ派とディオン派がいて、ゲームではラローシュは毒を盛られて死亡する過去に抹消された人物である。
「ルカリオンも飲む?」
「いいえ。わたしは坊ちゃんの従者であり護衛ですので、後ろに立たせてもらっておきます」
「それなりに飲める紅茶なのに」
「それなりです。王家が客人に出すお茶としては、二流ですね」
うちの従者は、味にもうるさい。
見ろ、パーラーメイドの屈辱的な顔を……王城の客人接待メイドとしてのプライドはズタボロだろう。
しかし、我が家は公爵家。ついでにいえば、獣人は匂いで食材やお茶を仕入れるから、人間相手がどうこう出来る相手ではない。
「では、あなたなら、どのようなお茶を淹れてくれますか?」
笑顔のまま応接室に入ってきたのは、ラローシュだった。
ルカリオンは「では、失礼して」と、パーラーメイドの所まで行き、用意された茶葉をそのまま使いお茶を淹れて、ティーカップに二人分作って出す。
「どうぞ。飲み比べてみていただければわかりますよ」
ルカリオンの淹れた紅茶を一口飲み、パーラーメイドの出した紅茶との違いに「ふむ」と頷く。
パーラーメイドより、風味が良い。
ラローシュが、俺の飲みかけのパーラーメイドの紅茶を飲み、それからルカリオンの淹れた紅茶を飲んだ。
王子の癖に躊躇がないな……むしろ王子だから、毒見役に慣れていて躊躇が無いのか?
「なるほどね。確かに」
納得したラローシュに、笑顔で口元をヒクつかせるのを止めておきなさいと、ルカリオンに言いたい。
どうせ、俺の飲みかけのお茶を飲むな! という心境なのだろう。
こいつは本当に俺のことが好きだなぁ……フェルミナも、こういう環境だったら悪役令嬢になんてならなかったのだろうか。
ただ、この状態だと、三角関係まっしぐらではある。
女だったら、始めは第一王子のラローシュと婚約して、ラローシュが亡くなってからディオンの婚約者になるんだよなぁ。だとすれば、ルカリオンの嫉妬は今の比では無いだろう。
まぁ、それはさておき、だ。
「今日はお招き、ありがとうございます。あと、プレゼントのお返しです。良かったら受け取って下さい」
ラローシュにお茶会の招待への礼を言い、ルカリオンに預けていた誕生日プレゼントのお返しを出してもらう。
成人男性の小指ほどの小さな箱。
ラローシュが箱を開けると、更に小さな薄緑色の細いクリスタルが出てくる。
「これは魔石? 緑……風魔法かな?」
「いいえ。回復魔法を閉じ込めてあります」
「回復魔法は、白い魔石ではなかったかな?」
「普通は白ですが、それは回復魔法でも『解毒魔法』が閉じ込めてあるものですから、薄い緑色なのですよ」
そう、お茶会で毒を飲んで亡くなるわけだから、いつでも俺は一緒に居られるわけがない。だとすれば、この世界の必殺アイテム『魔石』に頼ることにしたのだ。
魔石は、魔法を閉じ込められる便利な道具で、魔物を倒したり、鉱山で発掘される。
ただし魔法によっては、魔石が耐えられずに割れてしまうため、回復魔法はニ回分が精々だった。
「ありがとう。必要な時に使わせてもらうよ」
「二回分だけしか入らなかったので、もし使い切ってしまったら、いつでも言って下さいね。また入れ直しますから」
これで第一王子の死亡フラグはへし折れただろうか? 第二王子のディオンが病み王子化しないで成長出来れば、俺の監禁バッドエンド回避にも繋がるし、ヒロインも安心して王子ルートに向かえるだろう。
「うう~っ」
「ルカリオン、後でルカリオン用も作ってやるから、声に出さない」
「絶対ですからね! 坊ちゃん!」
「はいはい」
作るのは良いんだけど、魔石に魔法を入れる方法が……魔石にキスだからなぁ。どうにかならないものなのか……!! 他の魔術師は手に握って詠唱で注入するのに対し、回復術師は詠唱が無い。
詠唱自体が言葉に出来ない物らしく、口から物へ移動させるしかないというのが、このゲームでの公式設定だ。
モブでも良いから、普通の転生がしたかったよ!
ここでラローシュに取次ぎを頼み、お茶会の招待状をメイドさんに渡す。
ソファに座り、他のメイドさんから紅茶とクッキーを出され、いつものようにスンッとルカリオンが鼻を動かして頷いたら、飲み始める。
獣人は鼻がいいため、毒物が混入されていても素早く気付くことが出来る。
貴族の間では権力争いや跡目争いには、毒物がつきものだ。
そう、この王家にも第一王子のラローシュ派とディオン派がいて、ゲームではラローシュは毒を盛られて死亡する過去に抹消された人物である。
「ルカリオンも飲む?」
「いいえ。わたしは坊ちゃんの従者であり護衛ですので、後ろに立たせてもらっておきます」
「それなりに飲める紅茶なのに」
「それなりです。王家が客人に出すお茶としては、二流ですね」
うちの従者は、味にもうるさい。
見ろ、パーラーメイドの屈辱的な顔を……王城の客人接待メイドとしてのプライドはズタボロだろう。
しかし、我が家は公爵家。ついでにいえば、獣人は匂いで食材やお茶を仕入れるから、人間相手がどうこう出来る相手ではない。
「では、あなたなら、どのようなお茶を淹れてくれますか?」
笑顔のまま応接室に入ってきたのは、ラローシュだった。
ルカリオンは「では、失礼して」と、パーラーメイドの所まで行き、用意された茶葉をそのまま使いお茶を淹れて、ティーカップに二人分作って出す。
「どうぞ。飲み比べてみていただければわかりますよ」
ルカリオンの淹れた紅茶を一口飲み、パーラーメイドの出した紅茶との違いに「ふむ」と頷く。
パーラーメイドより、風味が良い。
ラローシュが、俺の飲みかけのパーラーメイドの紅茶を飲み、それからルカリオンの淹れた紅茶を飲んだ。
王子の癖に躊躇がないな……むしろ王子だから、毒見役に慣れていて躊躇が無いのか?
「なるほどね。確かに」
納得したラローシュに、笑顔で口元をヒクつかせるのを止めておきなさいと、ルカリオンに言いたい。
どうせ、俺の飲みかけのお茶を飲むな! という心境なのだろう。
こいつは本当に俺のことが好きだなぁ……フェルミナも、こういう環境だったら悪役令嬢になんてならなかったのだろうか。
ただ、この状態だと、三角関係まっしぐらではある。
女だったら、始めは第一王子のラローシュと婚約して、ラローシュが亡くなってからディオンの婚約者になるんだよなぁ。だとすれば、ルカリオンの嫉妬は今の比では無いだろう。
まぁ、それはさておき、だ。
「今日はお招き、ありがとうございます。あと、プレゼントのお返しです。良かったら受け取って下さい」
ラローシュにお茶会の招待への礼を言い、ルカリオンに預けていた誕生日プレゼントのお返しを出してもらう。
成人男性の小指ほどの小さな箱。
ラローシュが箱を開けると、更に小さな薄緑色の細いクリスタルが出てくる。
「これは魔石? 緑……風魔法かな?」
「いいえ。回復魔法を閉じ込めてあります」
「回復魔法は、白い魔石ではなかったかな?」
「普通は白ですが、それは回復魔法でも『解毒魔法』が閉じ込めてあるものですから、薄い緑色なのですよ」
そう、お茶会で毒を飲んで亡くなるわけだから、いつでも俺は一緒に居られるわけがない。だとすれば、この世界の必殺アイテム『魔石』に頼ることにしたのだ。
魔石は、魔法を閉じ込められる便利な道具で、魔物を倒したり、鉱山で発掘される。
ただし魔法によっては、魔石が耐えられずに割れてしまうため、回復魔法はニ回分が精々だった。
「ありがとう。必要な時に使わせてもらうよ」
「二回分だけしか入らなかったので、もし使い切ってしまったら、いつでも言って下さいね。また入れ直しますから」
これで第一王子の死亡フラグはへし折れただろうか? 第二王子のディオンが病み王子化しないで成長出来れば、俺の監禁バッドエンド回避にも繋がるし、ヒロインも安心して王子ルートに向かえるだろう。
「うう~っ」
「ルカリオン、後でルカリオン用も作ってやるから、声に出さない」
「絶対ですからね! 坊ちゃん!」
「はいはい」
作るのは良いんだけど、魔石に魔法を入れる方法が……魔石にキスだからなぁ。どうにかならないものなのか……!! 他の魔術師は手に握って詠唱で注入するのに対し、回復術師は詠唱が無い。
詠唱自体が言葉に出来ない物らしく、口から物へ移動させるしかないというのが、このゲームでの公式設定だ。
モブでも良いから、普通の転生がしたかったよ!
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