3 / 73
一章 悪役令嬢フェルミナ・ドロッセル
隠し攻略対象ルカリオン・グラッセ
しおりを挟む
「それはさておき、整頓しなきゃな」
俺は気絶から目を覚まし、ベッドの上で考える。
『野バラのkissで貴方を癒す』という乙女ゲームの悪役令嬢……と、いうより、ライバルとして出てくるのが、公爵令嬢フェルミナ・ドロッセルなのである。
薄いラベンダー色の髪に緑色に輝くエメラルドのような目。
体つきは十八歳にしてはボンキュッボンのセクシーな悪役美女で、性格も品よく笑いながらヒロインを陥れる陰険タイプ。
回復魔法は貴族の一部にしか現れない高位魔法。
ごくたまに現れるヒロインタイプの平民は、教会に保護され後に、爵位のある者へと引き取られていくのだが、『野ギス』では回復魔法が使えるのは、フェルミナにヒロインの二人だけ。
「ヒロインの名前……入力タイプだったからな。外見だけは分かるんだけど」
セミショートの髪型で、色は桜色に目はオレンジ色に黄色がかったグラデーション。
多分、見ればすぐにヒロインだと分かるだろう。
性格はプレイヤーとして動かしていただけなので、どういうタイプかは不明。
ただ、リアルにいたら……かなり鬱陶しい世話焼きタイプだと思う。
「普通に闇落ち王子の悩みを聞いたり、魔法は天才でも性格が根暗なヤツに声をかけたりしないだろ……」
俺が攻略対象側なら、放っておいてくれと思うタイプだ。
ああ、攻略対象も問題ありだよな……色々クセがありすぎるんだよ『野ギス』の攻略対象は。
うーんと、唸っていると、横からスッとクリスタルグラスに水が注がれて、気が利くなぁと思いつつ飲んだ後で、俺は盛大に吹き出した。
「ブッバハァッ!!!!」
「……坊ちゃん。汚いですよ」
俺の口周りを胸ポケットから出したハンカチーフで拭き、ヤレヤレ仕方がないですねぇ……と微笑む。
黒髪に金色の目をした十歳くらいのお仕着せの少年従者。
しかも獣耳と尻尾付き……はい。攻略対象!! それも聞いて驚け、隠し攻略対象の黒狼族というオオカミ獣人キャラクターな上に、暗殺者ぁぁぁぁ!!
ルカリオン・グラッセ。
子供の頃に自分の村を襲われ、瀕死になりながらも人族の街に助けを求めたが、誰も助けてくれず暗殺ギルドに拾われた血も涙もない奴で、悪役フェルミナがヒロインを暗殺するために雇うはず……
しかもだ。子供の時の助けを求めた際に、回復のキスをしてやったのがヒロインで、それに気づきフェルミナを裏切って、殺すというヤバい奴ぅぅぅ!!
「な、なんで、おまっ、貴方様が、こんな所にいらっしゃるのですかぁぁぁ!!」
思わず敬語になってしまったけれど、確かこのキャラは後半のエンディング近くでしか現れないはずだ。
なんで居るの? おかしくね?
ビビり散らかす俺を、首を傾げて「熱でもあるのでは?」とか言いながら額に手を当ててくる。
あ、意外と優しいし、本気で心配している顔だ。
あの姉が『推し』としていたキャラクターで、隠しキャラだけあって、こういった心配している表情はレアだし、なんといってもガチャも普通の攻略対象より出にくい……でも、出れば確実に戦闘が楽になるんだよなぁ。
『野ギス』は乙女ゲーなのだが、学園生活の中で恋を上げろ! というところはほぼスルー、多少あるにはあるが、ゲームはカードゲームで戦闘シーン中心なんだよな。
そのURカードが目の前に……きっと姉が居たら『きゃあああ!ルカリオン様ぁぁぁ!』と黄色い声をあげて、俺の首を絞め上げていただろう。理不尽な行動だろう。それが姉なんだ。
姉のせいで、俺までルカリオン様呼びが定着したせいで、丁寧語になっている。
あ、ちなみにカードは、Rカードが攻略対象の好物アイテムに、戦闘用の罠に武器というランダムカード。
SRカードは人物キャラ半分、好物、武器、罠、という少し性能の良いカード半分。
SSRは攻略対象キャラのカードにボイス付き。あとは武器と防具とアクセサリー。
URカードは、超レアカードで、ボイスとアニメーションに大人のエッチなシーンもある……そう、野ギスは年齢十八歳以下お断りのゲーム。
もちろん、URカードの買えない年齢設定を初めにしておけば、普通の乙女ゲームとして十八歳以下でも遊べる。
年齢設定はインストールする時のタイトル画面前でやるのだが、この世界はどっちだ!!
「むしろ、俺がフェルミナな時点で、ゲーム崩壊してるだろ……あああ」
打ちひしがれている俺に、ルカリオンは耳と眉を下げて鼻を小さくクゥーンと鳴らす。
なんか、幼気なケモ耳少年を悲しませている気がするのは、俺の気のせいか? 俺は姉のせいでゲームを無理やりやらされていたのであって、決してキャラクターに萌えたりはしていない!! んだけど、一番部屋の中で囲まれまくっていたのは、こいつなんだよなぁ……
少しだけ、こいつが可愛く見えてきたかも。
俺は気絶から目を覚まし、ベッドの上で考える。
『野バラのkissで貴方を癒す』という乙女ゲームの悪役令嬢……と、いうより、ライバルとして出てくるのが、公爵令嬢フェルミナ・ドロッセルなのである。
薄いラベンダー色の髪に緑色に輝くエメラルドのような目。
体つきは十八歳にしてはボンキュッボンのセクシーな悪役美女で、性格も品よく笑いながらヒロインを陥れる陰険タイプ。
回復魔法は貴族の一部にしか現れない高位魔法。
ごくたまに現れるヒロインタイプの平民は、教会に保護され後に、爵位のある者へと引き取られていくのだが、『野ギス』では回復魔法が使えるのは、フェルミナにヒロインの二人だけ。
「ヒロインの名前……入力タイプだったからな。外見だけは分かるんだけど」
セミショートの髪型で、色は桜色に目はオレンジ色に黄色がかったグラデーション。
多分、見ればすぐにヒロインだと分かるだろう。
性格はプレイヤーとして動かしていただけなので、どういうタイプかは不明。
ただ、リアルにいたら……かなり鬱陶しい世話焼きタイプだと思う。
「普通に闇落ち王子の悩みを聞いたり、魔法は天才でも性格が根暗なヤツに声をかけたりしないだろ……」
俺が攻略対象側なら、放っておいてくれと思うタイプだ。
ああ、攻略対象も問題ありだよな……色々クセがありすぎるんだよ『野ギス』の攻略対象は。
うーんと、唸っていると、横からスッとクリスタルグラスに水が注がれて、気が利くなぁと思いつつ飲んだ後で、俺は盛大に吹き出した。
「ブッバハァッ!!!!」
「……坊ちゃん。汚いですよ」
俺の口周りを胸ポケットから出したハンカチーフで拭き、ヤレヤレ仕方がないですねぇ……と微笑む。
黒髪に金色の目をした十歳くらいのお仕着せの少年従者。
しかも獣耳と尻尾付き……はい。攻略対象!! それも聞いて驚け、隠し攻略対象の黒狼族というオオカミ獣人キャラクターな上に、暗殺者ぁぁぁぁ!!
ルカリオン・グラッセ。
子供の頃に自分の村を襲われ、瀕死になりながらも人族の街に助けを求めたが、誰も助けてくれず暗殺ギルドに拾われた血も涙もない奴で、悪役フェルミナがヒロインを暗殺するために雇うはず……
しかもだ。子供の時の助けを求めた際に、回復のキスをしてやったのがヒロインで、それに気づきフェルミナを裏切って、殺すというヤバい奴ぅぅぅ!!
「な、なんで、おまっ、貴方様が、こんな所にいらっしゃるのですかぁぁぁ!!」
思わず敬語になってしまったけれど、確かこのキャラは後半のエンディング近くでしか現れないはずだ。
なんで居るの? おかしくね?
ビビり散らかす俺を、首を傾げて「熱でもあるのでは?」とか言いながら額に手を当ててくる。
あ、意外と優しいし、本気で心配している顔だ。
あの姉が『推し』としていたキャラクターで、隠しキャラだけあって、こういった心配している表情はレアだし、なんといってもガチャも普通の攻略対象より出にくい……でも、出れば確実に戦闘が楽になるんだよなぁ。
『野ギス』は乙女ゲーなのだが、学園生活の中で恋を上げろ! というところはほぼスルー、多少あるにはあるが、ゲームはカードゲームで戦闘シーン中心なんだよな。
そのURカードが目の前に……きっと姉が居たら『きゃあああ!ルカリオン様ぁぁぁ!』と黄色い声をあげて、俺の首を絞め上げていただろう。理不尽な行動だろう。それが姉なんだ。
姉のせいで、俺までルカリオン様呼びが定着したせいで、丁寧語になっている。
あ、ちなみにカードは、Rカードが攻略対象の好物アイテムに、戦闘用の罠に武器というランダムカード。
SRカードは人物キャラ半分、好物、武器、罠、という少し性能の良いカード半分。
SSRは攻略対象キャラのカードにボイス付き。あとは武器と防具とアクセサリー。
URカードは、超レアカードで、ボイスとアニメーションに大人のエッチなシーンもある……そう、野ギスは年齢十八歳以下お断りのゲーム。
もちろん、URカードの買えない年齢設定を初めにしておけば、普通の乙女ゲームとして十八歳以下でも遊べる。
年齢設定はインストールする時のタイトル画面前でやるのだが、この世界はどっちだ!!
「むしろ、俺がフェルミナな時点で、ゲーム崩壊してるだろ……あああ」
打ちひしがれている俺に、ルカリオンは耳と眉を下げて鼻を小さくクゥーンと鳴らす。
なんか、幼気なケモ耳少年を悲しませている気がするのは、俺の気のせいか? 俺は姉のせいでゲームを無理やりやらされていたのであって、決してキャラクターに萌えたりはしていない!! んだけど、一番部屋の中で囲まれまくっていたのは、こいつなんだよなぁ……
少しだけ、こいつが可愛く見えてきたかも。
1
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる