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2章
年末最後の討伐
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ズボッと雪深く腰まで浸かった私を、お父さんが大根を引き抜く様にスポンと引き抜いてくれる。
一面の銀世界……と、いうよりも吹雪じゃないですか! 猛吹雪!!
年末最後のガチバトル! 『鴨根家』対『大型魔獣』そんなのは望んで無いよー!!
でも、お祖父ちゃんがはしゃぎ過ぎて、年末最後にギックリ腰になっちゃってね、お父さんは魔獣と戦うのは初めてだから、私も賢者の森に来たんだけど、雪で足というより、腰までが全部取られる。
動きにくさは半端ない! 責任者出てこーい!
私達の後ろではお祖父ちゃんがルドルフの上に乗って「いてこませー!」とか叫んでるけど、いてこましたいのはお祖父ちゃんの頭だよ!?
「お父さん、凍る……寒い、うぐぅ……」
「しっかりしろ。デンが魔獣を押さえている間に、李都は弓を構えて、隙を見て撃て」
「はぁーい。ううっ、寒い……」
お父さんは魔法契約をした為に、魔法系が得意とあって魔法の杖でガンガン敵をぶっ放すけど、私は今回は弓だけなんだよね。
敵がアイスフォローザッカルンっていう、タスマニアデビルみたいな姿をしていて、背中に小さなアイスフォローザッカルンを乗せてて、この小さいほうが本体なんだけど、避け回って当てづらい。
デンちゃんが大きくなって、押さえ込んでくれているんだけど、隙あらば小さいアイスフォローザッカルンがデンちゃんに噛みついてくるから、デンちゃんのモフ毛が吹雪と共に抜け落ちたりして、もぉー絶対許さん!! 状態だったりする。
「うりゃー! 『エルファーロ』!!」
弓……一々、詠唱のいるタイプでね、もうね……中二病なわけですよ。
こんな事なら弓を選ぶんじゃなかった。リ・ベンジだ! とか、思って弓を手にしたけど……技名を口にしながら矢を放つと威力を増すって、酷い仕様だ。
やはり、責任者出てこーい!!
「デン! いったん下がれ!」
「ワオーン!」
「リ・オム、リ・デイス、リ・グロスター!」
あ、お父さんよりマシだったかも?
四十超えて詠唱はきつそうだ。無表情だけど、どことなく照れも見える。
ちなみに、お父さんの詠唱したものは、火の玉、風の刃、氷の連弾の三種類で、杖で増強されているので、威力は凄い。
「いけー! 日都留、シオンより先に賢者の力見せてやれー!」
「お祖父ちゃん、うるさいよー! イクスは頑張ってるんだからね!」
きっとイクスもこの雪空の下、大型魔獣と交戦している頃だろう。
私達がもたついていたら、あっちでも被害が出るかもしれない。ここは技名恥ずかしいとか思っている場合じゃない。
「追加だ! リ・オム、リ・デイス、リ・グロスター!」
「お父さん!? オーバーキルになってない!?」
「シオンには負けられない」
お父さん、あなたもかーッ!?
嫁としてここは負けるわけにはいかない!!
「『エルファーロ』『エルファーロ』『エルファーロ』!! デンちゃんカモーン!」
弓を連射して、デンちゃんを呼ぶとデンちゃんが雪の上を飛び跳ねる様に走ってきて、雪に潜り込むと私を背負って雪の中から飛び出す。
デンちゃん賢い! えらーい!!
デンちゃんの上から大きなアイスフォローザッカルンの背中にいる小さいアイスフォローザッカルンに狙いを付けて、もう一度矢を放つ。
「『エルファーロ』!」
パンッと砕ける音がして、真っ白な光が世界を包み込む。
これで、討伐は終わりだ。
お祖父ちゃんとお父さんに、ガッツポーズを取ると二人に首を振られた。
「ワシらの方が少しばかし、遅かったみたいだ」
「李都がサッサと本気を出さないからだぞ」
「ええー!? 最後イケたと思ったんだけど、イクスの方が先にやっつけちゃったのかな?」
「ワシらが倒せなかった証拠に、魔獣の死骸が残っていない」
見れば、いつもならば氷が残る大型魔獣はサラサラと吹雪と共に消えていった。
まぁ、イクシオンが討伐したのならば、それはそれでよしとしよう。
「さて、腰も痛いし屋敷で新年の祝いでもしてくるかのう」
「李都帰るぞ」
「はぁーい。お祖父ちゃん待ってー」
ここで移動魔法が使えるのはお祖父ちゃんだけなので、デンちゃんを小豆柴サイズに小さくして、お祖父ちゃんに抱きつき、お父さんは無表情のままお祖父ちゃんの服の一部を掴み、お祖父ちゃんが「リ・テラビーナ」と、唱えてお屋敷の中へ移動した。
どうも、お父さんは王族の人達の傲慢さにイラッとしたらしく、王族と契約を結ばなかったものだから、移動魔法が使えないんだよね。
まぁ、後でイクシオンと契約を結んで、ヴインダム国内だけでも移動は可能にさせるとかは言っていたけどね。
お祖父ちゃんに掴まっての移動は、流石に嫌なんだそうだ。
「お帰りなさいませ。皆様、新年のお祝い申し上げます」
「ただいまです。アンゾロさん新年明けましておめでとうございます!」
「祝い酒をキューッと飲んで、ワシは風呂に入って眠りたいのう」
「父さん、風呂の後に酒を飲め! 死んでも知らんぞ!」
騒がしく帰ってきた私達に、アンゾロさんやアーデルカさんが温かく迎え入れてくれて、今年もとりあえずは大型魔獣の討伐は終わったし、春が早く来てイクシオン達軍部の人達が帰ってくると良いんだけどね。
一面の銀世界……と、いうよりも吹雪じゃないですか! 猛吹雪!!
年末最後のガチバトル! 『鴨根家』対『大型魔獣』そんなのは望んで無いよー!!
でも、お祖父ちゃんがはしゃぎ過ぎて、年末最後にギックリ腰になっちゃってね、お父さんは魔獣と戦うのは初めてだから、私も賢者の森に来たんだけど、雪で足というより、腰までが全部取られる。
動きにくさは半端ない! 責任者出てこーい!
私達の後ろではお祖父ちゃんがルドルフの上に乗って「いてこませー!」とか叫んでるけど、いてこましたいのはお祖父ちゃんの頭だよ!?
「お父さん、凍る……寒い、うぐぅ……」
「しっかりしろ。デンが魔獣を押さえている間に、李都は弓を構えて、隙を見て撃て」
「はぁーい。ううっ、寒い……」
お父さんは魔法契約をした為に、魔法系が得意とあって魔法の杖でガンガン敵をぶっ放すけど、私は今回は弓だけなんだよね。
敵がアイスフォローザッカルンっていう、タスマニアデビルみたいな姿をしていて、背中に小さなアイスフォローザッカルンを乗せてて、この小さいほうが本体なんだけど、避け回って当てづらい。
デンちゃんが大きくなって、押さえ込んでくれているんだけど、隙あらば小さいアイスフォローザッカルンがデンちゃんに噛みついてくるから、デンちゃんのモフ毛が吹雪と共に抜け落ちたりして、もぉー絶対許さん!! 状態だったりする。
「うりゃー! 『エルファーロ』!!」
弓……一々、詠唱のいるタイプでね、もうね……中二病なわけですよ。
こんな事なら弓を選ぶんじゃなかった。リ・ベンジだ! とか、思って弓を手にしたけど……技名を口にしながら矢を放つと威力を増すって、酷い仕様だ。
やはり、責任者出てこーい!!
「デン! いったん下がれ!」
「ワオーン!」
「リ・オム、リ・デイス、リ・グロスター!」
あ、お父さんよりマシだったかも?
四十超えて詠唱はきつそうだ。無表情だけど、どことなく照れも見える。
ちなみに、お父さんの詠唱したものは、火の玉、風の刃、氷の連弾の三種類で、杖で増強されているので、威力は凄い。
「いけー! 日都留、シオンより先に賢者の力見せてやれー!」
「お祖父ちゃん、うるさいよー! イクスは頑張ってるんだからね!」
きっとイクスもこの雪空の下、大型魔獣と交戦している頃だろう。
私達がもたついていたら、あっちでも被害が出るかもしれない。ここは技名恥ずかしいとか思っている場合じゃない。
「追加だ! リ・オム、リ・デイス、リ・グロスター!」
「お父さん!? オーバーキルになってない!?」
「シオンには負けられない」
お父さん、あなたもかーッ!?
嫁としてここは負けるわけにはいかない!!
「『エルファーロ』『エルファーロ』『エルファーロ』!! デンちゃんカモーン!」
弓を連射して、デンちゃんを呼ぶとデンちゃんが雪の上を飛び跳ねる様に走ってきて、雪に潜り込むと私を背負って雪の中から飛び出す。
デンちゃん賢い! えらーい!!
デンちゃんの上から大きなアイスフォローザッカルンの背中にいる小さいアイスフォローザッカルンに狙いを付けて、もう一度矢を放つ。
「『エルファーロ』!」
パンッと砕ける音がして、真っ白な光が世界を包み込む。
これで、討伐は終わりだ。
お祖父ちゃんとお父さんに、ガッツポーズを取ると二人に首を振られた。
「ワシらの方が少しばかし、遅かったみたいだ」
「李都がサッサと本気を出さないからだぞ」
「ええー!? 最後イケたと思ったんだけど、イクスの方が先にやっつけちゃったのかな?」
「ワシらが倒せなかった証拠に、魔獣の死骸が残っていない」
見れば、いつもならば氷が残る大型魔獣はサラサラと吹雪と共に消えていった。
まぁ、イクシオンが討伐したのならば、それはそれでよしとしよう。
「さて、腰も痛いし屋敷で新年の祝いでもしてくるかのう」
「李都帰るぞ」
「はぁーい。お祖父ちゃん待ってー」
ここで移動魔法が使えるのはお祖父ちゃんだけなので、デンちゃんを小豆柴サイズに小さくして、お祖父ちゃんに抱きつき、お父さんは無表情のままお祖父ちゃんの服の一部を掴み、お祖父ちゃんが「リ・テラビーナ」と、唱えてお屋敷の中へ移動した。
どうも、お父さんは王族の人達の傲慢さにイラッとしたらしく、王族と契約を結ばなかったものだから、移動魔法が使えないんだよね。
まぁ、後でイクシオンと契約を結んで、ヴインダム国内だけでも移動は可能にさせるとかは言っていたけどね。
お祖父ちゃんに掴まっての移動は、流石に嫌なんだそうだ。
「お帰りなさいませ。皆様、新年のお祝い申し上げます」
「ただいまです。アンゾロさん新年明けましておめでとうございます!」
「祝い酒をキューッと飲んで、ワシは風呂に入って眠りたいのう」
「父さん、風呂の後に酒を飲め! 死んでも知らんぞ!」
騒がしく帰ってきた私達に、アンゾロさんやアーデルカさんが温かく迎え入れてくれて、今年もとりあえずは大型魔獣の討伐は終わったし、春が早く来てイクシオン達軍部の人達が帰ってくると良いんだけどね。
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