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2章
鮭とリトと旦那様
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鮭獲りにサクリス領へ来た私達は、早速、鮭を捌いて美味しく頂こうと、カンファルさんのお屋敷のお庭にあるガゼボのテーブルの上で鮭に包丁を入れていた。
まずはウィリアムさんがお腹を割いて、魚を切り取ってくれて、私は筋子__つまり卵部分を美味しく調理しちゃうよ!
まずは秋の冷たい水で網目の大きな物……本当はテニスに使うラケットのガットなんかが良いんだけど、無いのでここはお肉を焼くときに使う網を代用して、水でザブザブと洗いつつ手で転がすように網の上で転がすと、筋子の皮が取れて、卵だけが取れる。
これをお醤油とみりんとお酒に浸せば……醤油漬けの完成!
味見で一粒食べたら、口の中でパチンと弾けるこの歯ごたえは、獲り立てじゃないと味わえない!
北海道物産展でも結構、鮮度は落ちちゃうから、このプチプチを味わうなら、直接北海道から醤油漬けを作って送ってもらって、次の日には食べるぐらいでないと無理なんだよね。
ハァ……これ、サバちゃんが毎年作って送ってくれたりしてたんだよね。
もう昔の話です。ええ、私の友人のサバちゃんはもう居ないのだ。
しんみりしていると、カンファルさんが素敵な物を持って登場した。
「炊き立ての『マイカ』ですよ」
白米! そう、『マイカ』ってこの世界ではマイカって言って、西の国『センフォール』では主食として作られているの! カンファルさんは『マイカ』で鮭を食べるのが好きという日本人の心を持った人でもある。
「わぁ~炊き立ては美味しいですよねー」
「リト様はマイカの味が分かるようで嬉しいです」
「私の故郷もマイカと同じ物を『お米』と呼んで食べていましたからね。主食だったんです。カンファルさんはお醤油もいけそうですね?」
「オショウユですか?」
「はい。大豆で作ったソースです。この卵に掛けてあるので、マイカの上に載せて食べると美味しいですよ!」
早速、食いしん坊な私とカンファルさんは、小さなオニギリを作って上にイクラの醤油漬けを載せて、モグモグと口に入れて、親指を立てた。
「これは……ッ! マイカが進みますなぁ」
「ですよねー。このプチプチ感たまらない」
この後、鮭に塩をつけて鮭ハラミを焼いて食べたり、ソテーやフライにして、私達は思う存分、鮭を味わい尽くした。あっ、勿論、他の人もちゃんと食べてたよ。
イクラは好き嫌いがあるけど、今日来ていたのが猫科のビブロースさんにメイミーさん、そして料理長のウィリアムさんという事もあって、「美味しい」と、イクラの醤油漬けは受け入れられた。
お祖父ちゃんとお父さんとお母さんにもコレを食べさせてあげたい。
早く三人共、帰ってくればいいんだけどね。
獲った鮭を燻製用と干物用に十匹持ち帰り、私はガラス容器三つ分をイクラの醤油漬けを入れて持ち帰りした。
今度、お醤油をカンファルさんが投資してくれるというので、一緒に作る事になったよ。
カンファルさんが大量に大豆の買い付けはしてくれるみたいだし、楽しみである。
目指せ、異世界で和食!!
お屋敷に帰ると、早速、ウィリアムさんと一緒に干物づくりと燻製を作り、カンファルさんに分けて貰ったお米を燻製機の横でお鍋でコトコト煮ていると、「リト」と昨日の夜ぶりの声がした。
「イクス、お帰りなさい。今日は早かったんだね」
「途中でエイゾウ様達に会って魔獣を一掃してしまったから、やる事がなくなってしまったんだ」
「あらら。他の国からお金はそれで貰えるのかな?」
「ああ、魔獣さえ倒しておけば貰えるから、大丈夫だ」
「それなら、良かったー。お祖父ちゃん達は元気そうだった?」
「あと三体の契約が残っていると言っていたが、元気そうだった。ゲッちゃんも元気そうだったぞ」
「そっか。それは良かった」
ゲッちゃんもお祖父ちゃん達と仲良く元気にしているなら、大丈夫そうだ。
王様が『聖鳥』を探しているみたいだけど、『賢者』のお祖父ちゃんと一緒に居るなら安心だしね。
「リト、今日はカンファルの所はどうだった?」
「凄く楽しかったよ。デンちゃんがね、バシャーッて、手で鮭を掬い上げてその場でバリバリ食べて、熊みたいだったし、鮭もいっぱい獲れたんだよ。今スモークと日干しにしてるから、楽しみにしててね」
「そうか。ところで、その鍋はなんなんだ?」
「これは、カンファルさんに貰った『マイカ』だよ。あとでイクラの醤油漬けを食べましょうね」
「リトは色々珍しいものを食べさせてくれるから、今日は何が出るのか楽しみだ」
「ふふっ、口の中で弾ける卵だよー」
イクシオンと一緒にマイカを炊いたお鍋を持ってお屋敷に入り、ウィリアムさんの出してくれるお夕飯と一緒にイクラの醤油漬けを食べて貰って、感想を聞けば「キャビアより味が薄くて食べやすい」と帰ってきた。
キャビアとイクラを同じにしちゃいけないと思うけど、私はキャビアよりイクラが美味しいと思うよ。
まぁ、困るのは、この新鮮な弾けるイクラを味わうと、弾けないイクラはイクラじゃないって思っちゃうんだよね。
これも一種の贅沢病かな?
まずはウィリアムさんがお腹を割いて、魚を切り取ってくれて、私は筋子__つまり卵部分を美味しく調理しちゃうよ!
まずは秋の冷たい水で網目の大きな物……本当はテニスに使うラケットのガットなんかが良いんだけど、無いのでここはお肉を焼くときに使う網を代用して、水でザブザブと洗いつつ手で転がすように網の上で転がすと、筋子の皮が取れて、卵だけが取れる。
これをお醤油とみりんとお酒に浸せば……醤油漬けの完成!
味見で一粒食べたら、口の中でパチンと弾けるこの歯ごたえは、獲り立てじゃないと味わえない!
北海道物産展でも結構、鮮度は落ちちゃうから、このプチプチを味わうなら、直接北海道から醤油漬けを作って送ってもらって、次の日には食べるぐらいでないと無理なんだよね。
ハァ……これ、サバちゃんが毎年作って送ってくれたりしてたんだよね。
もう昔の話です。ええ、私の友人のサバちゃんはもう居ないのだ。
しんみりしていると、カンファルさんが素敵な物を持って登場した。
「炊き立ての『マイカ』ですよ」
白米! そう、『マイカ』ってこの世界ではマイカって言って、西の国『センフォール』では主食として作られているの! カンファルさんは『マイカ』で鮭を食べるのが好きという日本人の心を持った人でもある。
「わぁ~炊き立ては美味しいですよねー」
「リト様はマイカの味が分かるようで嬉しいです」
「私の故郷もマイカと同じ物を『お米』と呼んで食べていましたからね。主食だったんです。カンファルさんはお醤油もいけそうですね?」
「オショウユですか?」
「はい。大豆で作ったソースです。この卵に掛けてあるので、マイカの上に載せて食べると美味しいですよ!」
早速、食いしん坊な私とカンファルさんは、小さなオニギリを作って上にイクラの醤油漬けを載せて、モグモグと口に入れて、親指を立てた。
「これは……ッ! マイカが進みますなぁ」
「ですよねー。このプチプチ感たまらない」
この後、鮭に塩をつけて鮭ハラミを焼いて食べたり、ソテーやフライにして、私達は思う存分、鮭を味わい尽くした。あっ、勿論、他の人もちゃんと食べてたよ。
イクラは好き嫌いがあるけど、今日来ていたのが猫科のビブロースさんにメイミーさん、そして料理長のウィリアムさんという事もあって、「美味しい」と、イクラの醤油漬けは受け入れられた。
お祖父ちゃんとお父さんとお母さんにもコレを食べさせてあげたい。
早く三人共、帰ってくればいいんだけどね。
獲った鮭を燻製用と干物用に十匹持ち帰り、私はガラス容器三つ分をイクラの醤油漬けを入れて持ち帰りした。
今度、お醤油をカンファルさんが投資してくれるというので、一緒に作る事になったよ。
カンファルさんが大量に大豆の買い付けはしてくれるみたいだし、楽しみである。
目指せ、異世界で和食!!
お屋敷に帰ると、早速、ウィリアムさんと一緒に干物づくりと燻製を作り、カンファルさんに分けて貰ったお米を燻製機の横でお鍋でコトコト煮ていると、「リト」と昨日の夜ぶりの声がした。
「イクス、お帰りなさい。今日は早かったんだね」
「途中でエイゾウ様達に会って魔獣を一掃してしまったから、やる事がなくなってしまったんだ」
「あらら。他の国からお金はそれで貰えるのかな?」
「ああ、魔獣さえ倒しておけば貰えるから、大丈夫だ」
「それなら、良かったー。お祖父ちゃん達は元気そうだった?」
「あと三体の契約が残っていると言っていたが、元気そうだった。ゲッちゃんも元気そうだったぞ」
「そっか。それは良かった」
ゲッちゃんもお祖父ちゃん達と仲良く元気にしているなら、大丈夫そうだ。
王様が『聖鳥』を探しているみたいだけど、『賢者』のお祖父ちゃんと一緒に居るなら安心だしね。
「リト、今日はカンファルの所はどうだった?」
「凄く楽しかったよ。デンちゃんがね、バシャーッて、手で鮭を掬い上げてその場でバリバリ食べて、熊みたいだったし、鮭もいっぱい獲れたんだよ。今スモークと日干しにしてるから、楽しみにしててね」
「そうか。ところで、その鍋はなんなんだ?」
「これは、カンファルさんに貰った『マイカ』だよ。あとでイクラの醤油漬けを食べましょうね」
「リトは色々珍しいものを食べさせてくれるから、今日は何が出るのか楽しみだ」
「ふふっ、口の中で弾ける卵だよー」
イクシオンと一緒にマイカを炊いたお鍋を持ってお屋敷に入り、ウィリアムさんの出してくれるお夕飯と一緒にイクラの醤油漬けを食べて貰って、感想を聞けば「キャビアより味が薄くて食べやすい」と帰ってきた。
キャビアとイクラを同じにしちゃいけないと思うけど、私はキャビアよりイクラが美味しいと思うよ。
まぁ、困るのは、この新鮮な弾けるイクラを味わうと、弾けないイクラはイクラじゃないって思っちゃうんだよね。
これも一種の贅沢病かな?
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