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2章
奥様のお仕事
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ふぁぁ~っと、欠伸をして二人で新婚生活を過ごすこと五日目。
昨日の夜も明け方まで抱かれていて、体がだるいのと内腿が変な筋肉痛を訴えてる。
少しの寝不足もあるけど、春の温かい陽気に魔獣の卵の孵化の速度がまた早まったらしくて、イクシオンは討伐に行くことになってしまった。
久々に服を着て、軍服に着替えたイクシオンを見送る為に玄関ホールまで行く。
長かった銀髪は今は短く切り揃えられていて、少し新鮮な感じがする。
『魔物に火でも吹かれて焦げた、とでも兄には言っておくさ』と、言って折角の長髪はアッサリ切られてしまったのだ。勿体ない。
でも、結婚しているのに、髪が長い方が奥さんに失礼なんだとか。
なんでも、『自分はフリー』と言って歩いている様なものだから、という理由らしい。
気にしなくても良い気がするけどね。
「リト、行ってくる」
「うん。気を付けて、頑張ってね。いってらっしゃい」
私の前髪を手で上げて、おでこにキスをしてから、唇にキスを落として、しばらく抱きしめたまま別れを惜しんでいたら、「いい加減に行くぞ!」とガリュウさんに引っ張られてイクシオンが出ていった。
手を振りながら見送って、まだ休暇から戻って来ていないお屋敷の人達が居ない間に、私の部屋の荷物を寝室へ移動させよう。
流石に、クローゼットが夜の営みセットしか無いのは……どうかと思う。
「さーて、シーツとか洗っちゃおう……か……って、なんだアレ……っ!!」
屋敷を振り返って、ヴインダムの国旗の横に白いシーツに赤い染みの付いた物が、二階の窓からはためいている……。
まさか、まさかぁあああっ!!!
二階に登って、窓からシーツを部屋に入れると、初夜の時のシーツだった。
精液でカピカピの私の血が付いた物……なんで、これが?
まさか初夜の次の日から掛かってたの? え? 意味わかんないんだけどーっ!!
悶える私に答えをくれたのは、一時間程して、お屋敷に人が戻って来てからだった。
「初夜のシーツを掛けている間は『蜜月中』なので、屋敷には使用人は入れない仕来りなのですわ」
「シーツが屋敷に取り込まれたら、戻れるのです。使用人の休暇の終わりでもありますけど」
どうりで、休暇が何日かを濁して言っていたわけだ……
こういうの誰か教えておこうよ!? しかも、番同士は慣らしを行ってから結婚する為に、処女では無い事もあるから、白いシーツを掲げておくだけでも良いのだとか……
私のヒットポイントがガリガリと削れていく音がしたのは、気のせいでは無いはず。
ちなみに、番同士の慣らしは、最後までしなくても、半分中に挿入して体液を入り口辺りで擦り合わせるらしい。もちろん、体液で言うならキスで混ぜ合わせたりも出来るらしいけど、かなりの回数をこなさないといけないんだって……アーデルカさんにキスも禁止と怒られていたぐらいなので、回数は少なかった為に、私はイクシオンの体液を体の奥で受け取って乱れに乱れてしまった訳だけど……
「はう~っ、他には私に隠してる事ないですよね? 新婚はこうしろとかいうの無いですよね?」
メイドさん達は、ニコッと笑って「特にはございません」と言っていたけど、信じて良いのか疑わしい……
ジト目の私に、メイドさん達は結婚祝いの品が、シーツが取り外されたことで届き始めるから、「準備しますよ」と、私を連れて大浴場に行って、いつもより念入りに洗われてしまった。
番のフェロモンを倍増させている香油が少しでも残っていたら、不届き者が出るかもしれないという理由らしいけど、このフェロモンでイクシオンも何度も私を求めたみたいで、慣らしもさせて貰えなかった処女にご無体なアイテムを塗り付けたメイドさん達は何を考えているのか……
「私、滅茶苦茶にされるかと思ったんですからね?」
少しだけ文句を言えば、メイドさん達は笑って、体に残ったキスの痕に「愛されていたの間違いですよね?」と言ってくる始末だ。
「わたくし達は、イクシオン殿下とリト様に早くお世継ぎをと、望んでいるのですわ」
「はぅっ!?」
そういえば、この人達は王弟派なのだから、王家の血筋が絶えないように、イクシオン以外にも出来ればと、願っている人達だった。クローゼットの夜着もそういう意図があるのだろう。
子供は欲しいけど、こういうのは、流石にちょっとグイグイ押され過ぎてて、嫌かなぁ?
結婚印が見える様におでこを左右にピンで留められて、群青色のフレアスカートに白いシャツにブローチにシルバーアメジストの宝石を付けられた。
何だか、とても清楚系な若奥様の出来上がりな気がする。
メイドさん達の言うように、結婚祝いを届けに訪ねてくる貴族の使いの人や、領の人達にお礼を言って、アンゾロさんが誰が何を渡しに来たかをメモしてもらい、お礼状とお祝い返しを考えておくように言われ、私のイクシオンの妻としてのお仕事は当分この作業になりそうだ。
うーん。森に帰ってそろそろ色々摘み採っておきたいんだけど、私、森に帰れるんだろうか?
結婚したら森に帰っちゃ駄目とかあるかなぁ? 一応、王様に知られないように人々には秘密にするように言っているけど、人の噂に戸口は付けられない。
私が危険にさらされる事は避けるようにと、森の中で暮らす事をイクシオンは推奨していたけど……どうなるんだろう?
昨日の夜も明け方まで抱かれていて、体がだるいのと内腿が変な筋肉痛を訴えてる。
少しの寝不足もあるけど、春の温かい陽気に魔獣の卵の孵化の速度がまた早まったらしくて、イクシオンは討伐に行くことになってしまった。
久々に服を着て、軍服に着替えたイクシオンを見送る為に玄関ホールまで行く。
長かった銀髪は今は短く切り揃えられていて、少し新鮮な感じがする。
『魔物に火でも吹かれて焦げた、とでも兄には言っておくさ』と、言って折角の長髪はアッサリ切られてしまったのだ。勿体ない。
でも、結婚しているのに、髪が長い方が奥さんに失礼なんだとか。
なんでも、『自分はフリー』と言って歩いている様なものだから、という理由らしい。
気にしなくても良い気がするけどね。
「リト、行ってくる」
「うん。気を付けて、頑張ってね。いってらっしゃい」
私の前髪を手で上げて、おでこにキスをしてから、唇にキスを落として、しばらく抱きしめたまま別れを惜しんでいたら、「いい加減に行くぞ!」とガリュウさんに引っ張られてイクシオンが出ていった。
手を振りながら見送って、まだ休暇から戻って来ていないお屋敷の人達が居ない間に、私の部屋の荷物を寝室へ移動させよう。
流石に、クローゼットが夜の営みセットしか無いのは……どうかと思う。
「さーて、シーツとか洗っちゃおう……か……って、なんだアレ……っ!!」
屋敷を振り返って、ヴインダムの国旗の横に白いシーツに赤い染みの付いた物が、二階の窓からはためいている……。
まさか、まさかぁあああっ!!!
二階に登って、窓からシーツを部屋に入れると、初夜の時のシーツだった。
精液でカピカピの私の血が付いた物……なんで、これが?
まさか初夜の次の日から掛かってたの? え? 意味わかんないんだけどーっ!!
悶える私に答えをくれたのは、一時間程して、お屋敷に人が戻って来てからだった。
「初夜のシーツを掛けている間は『蜜月中』なので、屋敷には使用人は入れない仕来りなのですわ」
「シーツが屋敷に取り込まれたら、戻れるのです。使用人の休暇の終わりでもありますけど」
どうりで、休暇が何日かを濁して言っていたわけだ……
こういうの誰か教えておこうよ!? しかも、番同士は慣らしを行ってから結婚する為に、処女では無い事もあるから、白いシーツを掲げておくだけでも良いのだとか……
私のヒットポイントがガリガリと削れていく音がしたのは、気のせいでは無いはず。
ちなみに、番同士の慣らしは、最後までしなくても、半分中に挿入して体液を入り口辺りで擦り合わせるらしい。もちろん、体液で言うならキスで混ぜ合わせたりも出来るらしいけど、かなりの回数をこなさないといけないんだって……アーデルカさんにキスも禁止と怒られていたぐらいなので、回数は少なかった為に、私はイクシオンの体液を体の奥で受け取って乱れに乱れてしまった訳だけど……
「はう~っ、他には私に隠してる事ないですよね? 新婚はこうしろとかいうの無いですよね?」
メイドさん達は、ニコッと笑って「特にはございません」と言っていたけど、信じて良いのか疑わしい……
ジト目の私に、メイドさん達は結婚祝いの品が、シーツが取り外されたことで届き始めるから、「準備しますよ」と、私を連れて大浴場に行って、いつもより念入りに洗われてしまった。
番のフェロモンを倍増させている香油が少しでも残っていたら、不届き者が出るかもしれないという理由らしいけど、このフェロモンでイクシオンも何度も私を求めたみたいで、慣らしもさせて貰えなかった処女にご無体なアイテムを塗り付けたメイドさん達は何を考えているのか……
「私、滅茶苦茶にされるかと思ったんですからね?」
少しだけ文句を言えば、メイドさん達は笑って、体に残ったキスの痕に「愛されていたの間違いですよね?」と言ってくる始末だ。
「わたくし達は、イクシオン殿下とリト様に早くお世継ぎをと、望んでいるのですわ」
「はぅっ!?」
そういえば、この人達は王弟派なのだから、王家の血筋が絶えないように、イクシオン以外にも出来ればと、願っている人達だった。クローゼットの夜着もそういう意図があるのだろう。
子供は欲しいけど、こういうのは、流石にちょっとグイグイ押され過ぎてて、嫌かなぁ?
結婚印が見える様におでこを左右にピンで留められて、群青色のフレアスカートに白いシャツにブローチにシルバーアメジストの宝石を付けられた。
何だか、とても清楚系な若奥様の出来上がりな気がする。
メイドさん達の言うように、結婚祝いを届けに訪ねてくる貴族の使いの人や、領の人達にお礼を言って、アンゾロさんが誰が何を渡しに来たかをメモしてもらい、お礼状とお祝い返しを考えておくように言われ、私のイクシオンの妻としてのお仕事は当分この作業になりそうだ。
うーん。森に帰ってそろそろ色々摘み採っておきたいんだけど、私、森に帰れるんだろうか?
結婚したら森に帰っちゃ駄目とかあるかなぁ? 一応、王様に知られないように人々には秘密にするように言っているけど、人の噂に戸口は付けられない。
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