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2章
再会
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大型魔獣の討伐のあとは一気に春が来るとあって、夜は少し肌寒かったからケープやジャケットが必要だったけど、朝から夕方まではポカポカ陽気で、私はジーンズとシャツだけだった。
獣騎の風を切る心地良さも良かったし、リュックサックから首だけ出しているボン助も風は気持ちいいらしく、たまに目を閉じてうっとりしていた。
ボン助が獣騎から落ちるといけないから、リュックサックに入れて肩に紐を掛けて前で抱いていて、私も一人では獣騎に乗れないから、イクシオンの獣騎に二人乗りしている。
二人乗りな上、犬も追加されて、獣騎の二足歩行のトカゲが少し大丈夫かなー? と、思わないでもないけど、戦闘用に鍛えられた獣騎は、力持ちらしく、このぐらいは平気なんだそうだ。
「ん~っ、風も気持ちいいし、小春日和だねー」
「ああ。大型魔獣討伐の後の、この春が何よりの報酬だからな」
冬は長くなれば長くなるだけ大変だから、この春が討伐の報酬だと思えれるのは良いことだ。
ああ、でも……この陽気は眠くなりそう。
私がそう思っていると、たまに部下の人達がガクンと頭が揺れて「うおっ!」とか言っているから、寝ちゃった人も居るみたいだ。
手綱は手にぐるぐる巻きにして落ちないようにしている様だけど、落馬したら大変そう。
「今回もリトが倒したんだろう? 大型魔獣は」
「あ、うん。でも、頭と尻尾を見間違えて、反撃食らって死ぬかと思ったよ」
「どんな魔獣だった?」
「えーと、トカゲっぽいんだけど、尻尾も頭みたいに丸かったの!」
「ああ、アイスダブルヘッダーリザードだな。突進攻撃の多い魔獣だから接近戦はかなり危ない」
そうだったのか―……思いっきり、接近戦して突撃かまされて、魔法攻撃してたや……
「あっ、そうそう。お祖父ちゃんがね。賢者の森に出る大型魔獣からは、たまに魔法の武器が出て、極々たまーに、他の大陸で討伐された大型魔獣からも魔法の武器が出ることがあるんだって」
「そうなのか? リトのお祖父様は博識なんだな」
「えっと、賢者の森の武器ね、お祖父ちゃんが集めてたの……」
イクシオンが首を傾げて、私はハハハと乾いた声で笑う。
散々、賢者でもないし神子でも無いとは言っていたけど、まさかの身内が賢者でした! は、私も無いと思うよ。
でも、我が家、鴨根家は賢者の家系……らしいです。
まぁ、私は男じゃないから賢者では無いし、召喚された覚えもないから、神子でも無いんだけどね?
「賢者はリトのお祖父様だったのか?」
「あー、うん。そのようで……うちは賢者の家系で男性は皆、ここに賢者召喚される宿命みたいなんだけど、女の子は当てはまらないから、私は神子召喚されたんじゃないか? って言われたけど、出た場所が賢者の森だから、その理由が分からないって、お祖父ちゃんとお父さんが言ってた」
「そんな凄い人物が、リトの身内なのか……」
「凄く無いよ? すごく一般庶民で、自然を愛してるお祖父ちゃんと、本が好きなお父さんって、だけなの。何かあれば、賢者召喚してくれたら来るって」
まぁ、賢者召喚しなくても、黄金の本があるから行き来は出来そうだけどね。
時間の流れがどう違うのかは分からないんだよね。こっちで過ごした時間分、あっちでも同じ時間が流れていたのに、戻ったら時間がズレてた。
これは検証が必要だけど、ちゃんと小屋に戻って落ち着いてから、検証しよう。
「前方から何かが来ます!」
そんな声がして、それぞれが左右に別れて道の真ん中を開けて、ジャンプする様な走り方で白い獣がこちらへ向かっていた。
それは、白くて大きい目の縁に赤い朱色の線が入ったこの世界での私の家族、デンちゃんで、デンちゃんの頭の上にはスカイブルーのオウムの様なゲッちゃんが、振り落とされないように足でデンちゃんの頭の毛を掴んでいた。
「デンちゃーん! ゲっちゃーん!」
「ワオオオオーン!」
元気に吠えて、近付いてくると、ゲッちゃんがデンちゃんから離脱して、真っ直ぐ私目掛けて飛んできた。
「ゲキョキョー!」
「ゲっちゃーん! 久しぶり! 元気にしてた? ごめんね、寂しかったでしょう?」
「ゲキョー!」
「ワオーン!」
「デンちゃんも久しぶり。ああ、毛がボサボサになってるかなと思ったのに、凄く真っ白で綺麗……元気にしててくれて嬉しいよ」
イクシオンに獣騎から下ろしてもらって、デンちゃんに抱きつくと、顔をべろべろに舐められるし、ゲッちゃんには髪をぐしゃぐしゃにされるし、ボン助は「ガルルル」と怒って、デンちゃんにガウガウ怒っていた。
「イクス、私デンちゃんに乗っていくよ」
「ああ。手綱が無いが大丈夫か?」
「平気。デンちゃん、乗せてくれる?」
「ワオン!」
デンちゃんが体を低くして、背中に乗ると体をグングン大きくさせて、「え?」と、言った時にはポーンッと走り出していた。
体がアイスダブルヘッダーリザードと戦っていた時ぐらいの大きさになっていて、歩幅が大きい分、ぐんぐんイクシオン達から離れて行っていた。
「デンちゃん、速っ! 離れすぎると大変だよ? デンちゃーん、聞いてるー!?」
「ワフーン!」
上機嫌なデンちゃんは聞いているのか聞いていないのか分からない。
そして、後ろから獣化したイクシオンが走って追ってきて、デンちゃんに飛び乗ると少し息を弾ませて、汗を拭いていた。
「久々に全力疾走した……」
「ごめんね? デンちゃん止まらないみたいで」
「ああ、ガリュウに後は任せたから、大丈夫だ。このままデンに任せよう」
「ワオオォーン!」
デンちゃんの弾む様な走りで、あと二日の距離を明け方頃まで走り続け、私達は再びヴァンハロー領に帰ってきたのだった。
獣騎の風を切る心地良さも良かったし、リュックサックから首だけ出しているボン助も風は気持ちいいらしく、たまに目を閉じてうっとりしていた。
ボン助が獣騎から落ちるといけないから、リュックサックに入れて肩に紐を掛けて前で抱いていて、私も一人では獣騎に乗れないから、イクシオンの獣騎に二人乗りしている。
二人乗りな上、犬も追加されて、獣騎の二足歩行のトカゲが少し大丈夫かなー? と、思わないでもないけど、戦闘用に鍛えられた獣騎は、力持ちらしく、このぐらいは平気なんだそうだ。
「ん~っ、風も気持ちいいし、小春日和だねー」
「ああ。大型魔獣討伐の後の、この春が何よりの報酬だからな」
冬は長くなれば長くなるだけ大変だから、この春が討伐の報酬だと思えれるのは良いことだ。
ああ、でも……この陽気は眠くなりそう。
私がそう思っていると、たまに部下の人達がガクンと頭が揺れて「うおっ!」とか言っているから、寝ちゃった人も居るみたいだ。
手綱は手にぐるぐる巻きにして落ちないようにしている様だけど、落馬したら大変そう。
「今回もリトが倒したんだろう? 大型魔獣は」
「あ、うん。でも、頭と尻尾を見間違えて、反撃食らって死ぬかと思ったよ」
「どんな魔獣だった?」
「えーと、トカゲっぽいんだけど、尻尾も頭みたいに丸かったの!」
「ああ、アイスダブルヘッダーリザードだな。突進攻撃の多い魔獣だから接近戦はかなり危ない」
そうだったのか―……思いっきり、接近戦して突撃かまされて、魔法攻撃してたや……
「あっ、そうそう。お祖父ちゃんがね。賢者の森に出る大型魔獣からは、たまに魔法の武器が出て、極々たまーに、他の大陸で討伐された大型魔獣からも魔法の武器が出ることがあるんだって」
「そうなのか? リトのお祖父様は博識なんだな」
「えっと、賢者の森の武器ね、お祖父ちゃんが集めてたの……」
イクシオンが首を傾げて、私はハハハと乾いた声で笑う。
散々、賢者でもないし神子でも無いとは言っていたけど、まさかの身内が賢者でした! は、私も無いと思うよ。
でも、我が家、鴨根家は賢者の家系……らしいです。
まぁ、私は男じゃないから賢者では無いし、召喚された覚えもないから、神子でも無いんだけどね?
「賢者はリトのお祖父様だったのか?」
「あー、うん。そのようで……うちは賢者の家系で男性は皆、ここに賢者召喚される宿命みたいなんだけど、女の子は当てはまらないから、私は神子召喚されたんじゃないか? って言われたけど、出た場所が賢者の森だから、その理由が分からないって、お祖父ちゃんとお父さんが言ってた」
「そんな凄い人物が、リトの身内なのか……」
「凄く無いよ? すごく一般庶民で、自然を愛してるお祖父ちゃんと、本が好きなお父さんって、だけなの。何かあれば、賢者召喚してくれたら来るって」
まぁ、賢者召喚しなくても、黄金の本があるから行き来は出来そうだけどね。
時間の流れがどう違うのかは分からないんだよね。こっちで過ごした時間分、あっちでも同じ時間が流れていたのに、戻ったら時間がズレてた。
これは検証が必要だけど、ちゃんと小屋に戻って落ち着いてから、検証しよう。
「前方から何かが来ます!」
そんな声がして、それぞれが左右に別れて道の真ん中を開けて、ジャンプする様な走り方で白い獣がこちらへ向かっていた。
それは、白くて大きい目の縁に赤い朱色の線が入ったこの世界での私の家族、デンちゃんで、デンちゃんの頭の上にはスカイブルーのオウムの様なゲッちゃんが、振り落とされないように足でデンちゃんの頭の毛を掴んでいた。
「デンちゃーん! ゲっちゃーん!」
「ワオオオオーン!」
元気に吠えて、近付いてくると、ゲッちゃんがデンちゃんから離脱して、真っ直ぐ私目掛けて飛んできた。
「ゲキョキョー!」
「ゲっちゃーん! 久しぶり! 元気にしてた? ごめんね、寂しかったでしょう?」
「ゲキョー!」
「ワオーン!」
「デンちゃんも久しぶり。ああ、毛がボサボサになってるかなと思ったのに、凄く真っ白で綺麗……元気にしててくれて嬉しいよ」
イクシオンに獣騎から下ろしてもらって、デンちゃんに抱きつくと、顔をべろべろに舐められるし、ゲッちゃんには髪をぐしゃぐしゃにされるし、ボン助は「ガルルル」と怒って、デンちゃんにガウガウ怒っていた。
「イクス、私デンちゃんに乗っていくよ」
「ああ。手綱が無いが大丈夫か?」
「平気。デンちゃん、乗せてくれる?」
「ワオン!」
デンちゃんが体を低くして、背中に乗ると体をグングン大きくさせて、「え?」と、言った時にはポーンッと走り出していた。
体がアイスダブルヘッダーリザードと戦っていた時ぐらいの大きさになっていて、歩幅が大きい分、ぐんぐんイクシオン達から離れて行っていた。
「デンちゃん、速っ! 離れすぎると大変だよ? デンちゃーん、聞いてるー!?」
「ワフーン!」
上機嫌なデンちゃんは聞いているのか聞いていないのか分からない。
そして、後ろから獣化したイクシオンが走って追ってきて、デンちゃんに飛び乗ると少し息を弾ませて、汗を拭いていた。
「久々に全力疾走した……」
「ごめんね? デンちゃん止まらないみたいで」
「ああ、ガリュウに後は任せたから、大丈夫だ。このままデンに任せよう」
「ワオオォーン!」
デンちゃんの弾む様な走りで、あと二日の距離を明け方頃まで走り続け、私達は再びヴァンハロー領に帰ってきたのだった。
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