やさぐれモードの私はもふもふ旦那様を溺愛中

ろいず

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1章 

リトとメイドの開発室

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 ふぅ……と、少しため息が漏れたのは、夕飯前のお茶で出されたプリンやケーキを思う存分食べた後に、二時間もしないで夕飯を無理やりお腹に収めたからだよ。
明らかに食べ過ぎた!
でも、成長期の子供はこのくらい軽いもんですよ! と、のたまった屋敷の人々……
そして、調子にのって食べた三十分ほど前の私を問い詰めて、説教をかましてやりたい。

「うーん……つい、いっぱい食べれるのが嬉しくて、食べすぎちゃった」
「よしよし、皆もリトが来たのが嬉しくて、食べさせ過ぎたのだろう」
「もう、今日は食べれなーい。美味しかったけど、苦しい思いをして、美味しい物を食べるって失礼だし、今度からちゃんと自分の胃袋と、お夕飯の時間を考えておくね」

 応接間のソファの上で、イクシオンの膝に頭を乗せて横になり、頭をよしよしと撫でられながら、私はイクシオンの尻尾をさわさわとセクハラ中である。
はぁ~モフモフの尻尾から、石けんのいい香りがしてたまらない~っ!

「イクスの尻尾はサラサラで綺麗だね」
「そうか? オレはリトの髪のサラサラ感と艶やかさが、神秘的で好きだな」
 
 ハハハ……日本人の大半が黒髪だからね? 最近はシャンプーも手に入って艶が出て来たとは思うけど、外を元気に狩りをして走り回るから、少し痛んではいるんだよ?
サラサラで艶やかなのは、メイドさん達が丁寧に洗ってくれたおかげだよ~。

「あっ、そういえば、ずーっと気になっていたんだけど、去年貰ったケープのファー部分の毛って、イクスの毛だったりする?」
「あれか。オレの毛で作ってある。獣人の男性が恋人と離れて遠征に行く時に、忘れないで欲しいと渡したり、逆に女性が渡したりする物だ」
「獣人らしい贈り合いだね。でも、私じゃそれ出来ない……髪の毛……は怖いね。うん」
「今年の分も用意するから、今年の長期遠征の間はオレだと思って、包まっていてくれ」
「そっかー、今年もあるんだね」

 じゃあ、長い事また会えない日が続いてしまうのか……
今年も冬越えの準備頑張らなきゃなぁ。もうコツコツと準備はし始めているんだけどね。
んーっ、しかし、私も何かイクシオンに渡してあげたいかも? 何かいい方法はないかな?
あとでメイドさん達に何かいい方法が無いか、聞いておこう。

 コンコンとノックの音が響き、メイミーさんとチェチェリンさんが笑顔で「そろそろ、リト様をお借り致しますわ」と、私を連れて退室した。
イクシオンに有無を言わせない目力は凄い。
 私が連れてこられたのは、サロンという所で、本来は屋敷の主が客人を持て成して社交を図る場として設計された場所で、絵などを見たり食事をしたり、会話を楽しむ場所らしい。
壁には、ルネッサンス調の壁画っぽい物が描かれていて、柱にも細かいレリーフが刻まれ、ここは何処の貴族屋敷だ!? とか、思ったけど、王族の屋敷でした。
少し、ドーム状になっている天井にも絵が描いてあるし、豪華絢爛な場違いさをヒシヒシ感じてるよ~っ!

 サロンの真ん中には光沢のある布が敷いてあるテーブルの上に、パンツの試作品のような物が大量に見える。
まさか……この華美な空間で「パンツ」と皆で口にするの?

「リト様、ようこそ!」
「お待ちしておりました! リト様に是非、パンツについて色々とご教授いただきたいのですッ!」

 あっ、やっぱり、パンツの会話なんだね。うん……だよねー。知ってた。
メイドさん達に囲まれつつ、パンツ談議の始まり始まり~……

「リト様、この間、リト様が見本として預けて下さった生理用品に関しても、お聞きしたいのです!」

 この間、渡した物は、以前メイドさん達が使っていると言っていた、月経を押さえるだけの吸収性の悪い布を外側にして、内側に長方形の布を縫って、ひし形に縫った物。
そのひし形の角を丸く縫い込んだりして形を整えて、パンツのクロッチ部分の裏側で小さなボタンで取り外し出来るようにしたんだよね。
多い日は取り換え必要だし、取り換えられなくても、吸収性の悪い布が外側にあれば、漏れだしたりしないかなって……

 ただ、ボタンじゃ少し取り外しが大変かな? って、スナップボタンの小さいのが作れないか、紙にスナップボタンの形を描いておいた。凹凸おうとつのパチンって留まるボタンは便利だしね。
あと、胸パットも一応、図を描いてタンクトップとかに付けられないか、お願いしておいた。

「こういう物を作ってみました」
「おおっ! セクシーランジェリー……」

 チェチェリンさんが 得意げに広げたのはベビードール……ッ!
しかも透けてる!! 胸の所が私の要望の胸パットが入ってるけど……

「これは初夜の女性が付ける下着なのですが、リト様にはまだお早いので……こちらの可愛らしい物も作りました」
「ふぉぉー!」

 チェチェリンさんの二つ目の作品はベビードールというより、キャミソールに近い物で、ふわふわな裾の広がり方が可愛いコットンで出来た物だった。
夏場の寝苦しい夜にコレを着て寝たら涼しそう!

「チェチェリンさん天才!」
「お褒めにあずかり、ありがとうございます」
「うわぁ~可愛いッ」

 他にもございますよと、色々と可愛いキャミソールを提示してもらい、他のメイドさん達も「私もほしー!」と騒いでいた。

「それで、リト様。他にも素敵な下着やパンツの形はありませんか?」
「えーと、そんなに多くは知らないけど、私のお母さんが付けてたのとか、従妹のお姉さんの付けてたので良ければ、描きますね」
「あと、このスナップボタンに関してですが、リト様名義で登録をしておくのがよろしいかと、アーデルカメイド長がおっしゃっていました」
「そうなの? スナップボタンは、下着以外にも服とかにも使えるし、良いよねー」

 何気なく発したこの「服とかにも」という言葉にメイドさん達が反応して、後はもう、根掘り葉掘り聞かれ、質問攻めに……私だって、全部を知っているわけじゃないんだけど、自分の記憶にあるあらゆる、スナップボタンの付いた物を吐かされた。

 革のお財布とかって、言えば、「財布を革でどのように作るのです!?」と……なんか、お財布はなめした革財布を紐で絞めて使ったりしてるらしい。
そんなわけで、お財布の形に話がいったり……子供のオムツもスナップボタンで作れたりと、言えば、形を描かされて……だーかーらー、私も全部は知らないよぉ~っと、泣きながら、「大体の形が分かれば、こちらで改良しますから!」と、私はかなりの枚数描かされた。

 二日目にはスナップボタンの試験的な物が作られて、改良はどうするか聞かされたりね?
もう、私、お買い物も楽しみにしてたのに、お屋敷で技術屋さんとメイドさんと、イクシオンの執事のアンゾロさんに書類を書かされた。
元々は私の世界の物なので、私の考えた物じゃないのに、イクシオンに言っても「この世界じゃ、リトが発案したような物だから、登録はしておきなさい。リトに少なからずお小遣いが入るんだぞ?」と、言われて陥落したんだよね。
お小遣い……欲しかったんだよぉー!!

 私とメイドさん達の開発は続きそうである……
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