上 下
56 / 167
1章 

畑を作ろう

しおりを挟む
 まったり春の陽気の下、私は小屋の近くの土をザクザクとクワで耕す、さながら農家かな?
お屋敷のビブロースさんから分けて貰った野菜を、夏に向けて植えていくのである!
トマト、ナス、あとは、ハーブ類。ハーブは気を付けないとドンドン増えていくらしいので、食べない分は乾燥させてお茶にしたり、袋に詰めて匂い袋や入浴剤にすると良いですよ。と、言われたので今から楽しみ!

 畑に柵も作らなきゃいけないんだけど、早めに植えないと苗がしなっと元気が無くなり始めているので、大急ぎで苗植えになった。
幼稚園のお芋堀り以来の畑の土いじりかも?

 ビブロースさんいわく、『失敗を繰り返しながら覚えていけば良いんですよ』という事で、私の好きな言葉です。
ビブロースさんとはこれからも、畑の事を聞く為にも仲良くしていきたい。
『苗が駄目になったら、イクシオン様に持たせますから』と、ケアもバッチリだ。
お屋敷は良い人が多かった。

 畑に苗を植え終わったら、ジョウロで水を撒いて、一休み!
休憩中に昨日の残りのサンドイッチを食べて、「あちぃー」とメイド服のスカートをバサバサして風を通す。
体の小さなメイドさんが居なくなってからは着れる人が居なかったから、仕事着にどうぞと貰って来た。
ちょっとした中世のメイドさんみたいで、少しテンションが上がって着て作業したけど、春の陽気の前には汗が酷い……
あと、土も付いちゃうから、畑仕事はジャージに限る!

 辺りを見渡して、デンちゃんが近くに居ないのを見計らって、小屋の中に入りジャージに着替えて再び外に出る。
デンちゃんは散歩に行って、ゲッちゃんも木の実を食べに行っているから、二人が居ない間に畑に柵を作りたいところ。
畑の柵は、デンちゃんが畑を荒らさない様にする為の物である。

「ワオーン!」
「しまった! 帰ってきた!」
 
 慌てて畑に行くと、デンちゃんが興味津々の顔でフカフカに耕した土に手を入れている。

「こらーっ! デンちゃん! 立ち入り禁止!!」
「ワフ?」
「駄目―ッ!! 穴掘っちゃ駄目だからーっ!!」
「ワフフフッ!」

 駄目だと言っているのに、何故興奮して穴を掘るのか!?
犬って、掘った土に鼻を突っ込んだり、掘り返したりするの好きだよね……

「もぉー! ジャーキー! ジャーキーだよ!」
「ワフッ!」

 「やったー!」と言わんばかりに、飛びついてきて結局、折角着替えたジャージは泥まみれのデンちゃんのヨダレまみれになった。
 まぁ、苗は無事だったからいいか……とほほ。
デンちゃんにジャーキーを上げて、泥まみれになった鼻先と手をお風呂場で洗ってから、泥だらけで残りの作業をしにまた畑に行き、木のトンカチで畑に柵を作っていく。
柵と言っても立てかけるだけで、後はロープで囲うだけ。
本当は横にも木の板を付けたいんだけど、そろそろ他の作業もしなきゃいけない。

 とりあえず、お風呂に一回入って、タンクトップとパンツ……というか、ドロワーズを穿く。
この世界の下着はカボチャパンツだったよー! と、言っても、大人は丈の長いドロワーズで、短いのは子供用らしい。私は短いのにした。
まぁ、イクシオンの下着がトランクスっぽいのに、紐が通してあったことから、何となく予想はしてた。

 あとね、生理用品に関しても聞いてみたんだ……
衝撃なことを言われて、ビックリしたんだけど、丸めた吸収性の悪い布で押さえて、下腹部を意識しながら、内股に力を入れて、トイレで力を抜いて一気に出すって感じらしい……
そんな事出来るの? えええ!? と、思ったんだけど、皆そうやってるらしい。
丸めた布はあくまで、意識を下腹部に集中させるための物らしい。
マジか……と、思わずつぶやいてしまった私は悪くないと思う。
私が作った生理用品をメイドの子が使ってみたいと言っていたから、紙に描いたら直ぐに手先の器用なメイドのチェチェリンってアライグマ獣人の子が作ってくれて、私が作ったのより綺麗な縫い目で、何個か作ってくれた。

 あと、パンツも恥ずかしいけど、こういうの作れませんか? って見せたら、そっちは見本に一枚持って行かれて……私のパンツが二枚になった。
今度、イクシオンがこっちに来る時に持たせてくれるらしい。
男の人にパンツを運ばせるのは恥ずかしいけど、仕方がない……

 まぁ、だから、こうしてドロワーズな私がいるわけだ。
タンクトップみたいな肌着はあるけど、ブラジャーは無いんだって。
胸の形崩れないかな? と言ってたら、『そういうのは殿方が整えてくれますよ』とか言われた。
多分、男の人が揉んでも、形がよくなったり、大きくなったりはしないと思う。
巨乳を作るのは家系と、お肉! って、美人なグラビアアイドルが言ってたから、牛乳よりお肉を信じてるよ!

 それは置いといて、荷物の整頓がまだ終わってないから、荷物の整頓しなきゃいけないんだよね。買いすぎたから、何処に何があるかわからないの。
ただ、置き場も少し無くなってきたから、どうにかしなきゃいけない。
棚とか作ろうかな? って思ってる。これは明日の課題かな?

 あとは、武器の置いてある部屋、アレを片付けて私の部屋にしようかと思ってる。
ベッドの部屋はイクシオンに使って貰って、武器の部屋に私用のベッドを作って、イクシオンが来た時にベッドの譲り合いが無くなるようにしたい。

 やりたいことはいっぱいあるけど、今日は簡単な片付けだけかな?
実際やってみたら上手くいかないだろうから、少しずつやれることをしていこう。

 ぐうぅ~と、お腹が鳴ったところで、本日の作業はここまで!
 ご飯は、今日はパスタ!
トマトのソースをウィリアムさんがガラス瓶でくれたから、それを使うんだー。
乾燥パスタは水にさらしておけば、ふにゃふにゃになるし、まぁ、ボソボソと切れやすくもなるから、長時間は駄目なんだって。
買ってもらったソーセージを輪切りにしてフライパンで炒めて、そこにトマトソースにコンソメと氷砂糖を入れて、水でふにゃふにゃになったパスタを絡ませて、少し火を通せば、トマトパスタの完成!

「ワフッ!」
「デンちゃんは鶏肉の蒸し焼きだよ」

 デンちゃんのお肉も明日は狩りに行かないといけない。
やっぱり、ここに帰って来るとやることが多い。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】

雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。 誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。 ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。 彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。 ※読んでくださりありがとうございます。 ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

獣人公爵のエスコート

ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。 将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。 軽いすれ違いです。 書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。

処理中です...