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1章
指輪
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お風呂場でお兄さんの詰襟やシャツを、水に浸けて一枚ずつ洗っている最中に、お兄さんの詰襟の胸ポケットから銀色の指輪を見付けた。
丸い判子みたいな指輪で、盾と狼のマークが入っていて、手紙の封蝋に使われていたモノと同じだった。
お兄さんは紳士さんだと確信して、私の中の紳士さん像がお兄さんに更新された。
イケオジな紳士から、二十代いってるかどうかの若いケモ耳お兄さんへのシフトチェンジですよ。
うん、悪くない。
お兄さんイケメンだし……まぁ、『まだ見ぬ君』さんはここには居ないし、男だったかもしれないしで、お兄さんの恋を想うと少し可哀想ではある。
きっと『まだ見ぬ君』さんに会うために、頑張ってここに来たんだろうけど、元気になったら教えてあげて、また『まだ見ぬ君』さんを探すのか、諦めるのかは……お兄さん次第かな?
「よし、こんな物かな?」
削り終わった木の器を手に、川で拾った石で滑らかにして、指でつるつるしたのを確認してゼキキノコの熱さましを入れる。
目指したのは「吸い口」なんだけど、急須みたいなのは無理だったから、ヤシの実を半分に割ったような形に、飲む所だけ細くした。
お兄さんは熱を出して寝たままで、熱さましを飲ませようとコップで出したんだけど、飲み切れなくて……マンガとかなら口移しだろうけど、乙女のファーストキスだよ!? そう簡単に見ず知らずの人にあげれるものではない。
ましてや、意識の無い人にしてもカウントされないファーストキスな上、ゼキキノコの苦甘い味がファーストキスの味です! なんて、なりたくない。
コンコンと、一応寝室をノックして入って、寝ているお兄さんの頭の下にクッションを入れて頭を上げて、気管に変に入らないように吸い口をお兄さんの口に差し込む。
少しぐらい零れても気にせず流し込みである。
いっぱい熱さましは作ってるから、冬の間に使ったのは二回だけだから消費しておかなきゃね。
「っ、うぐ……」
「苦いけど、熱が下がるから、我慢して下さいね? あと、指輪ココに置いておきますね」
通じてるか分からないけど、指輪をお兄さんに見せて、ベッドのサイドボードの上に置くと、お兄さんは指輪を手に取る。
いや、盗ってませんよ? と手を小さく振ると、お兄さんに手を掴まれて引き寄せられた。
まだこの人熱高いな……って、そうじゃない。
「あの、指輪は盗ったりはしてない、ですよ? 洗濯してたら出てきたんですよ?」
「オレノツガイ……」
うーん。言葉通じてない。
困り顔で私がお兄さんを見つめると、お兄さんは目を細めて笑って、私の手にキスをして指輪を指にはめてきた。
お兄さんは外国人か!?
いや、外国人なのかな? 異世界の人だし……
「あの、お礼かもしれないですけど、指輪は……」
要らないよと、言っている途中で、お兄さんはまた意識を失ったみたいで、私の肩に顔を埋める様に倒れるから、私はお兄さんを支えるのが大変だったよ。
お兄さんを布団の中に戻して、指輪を指から外すと、ベッドのサイドボードの上に置いておく。
だって、冬を越せたお礼に助けているような物なのに、お礼を貰うわけにはいかない。
寝室から出て、お風呂場から桶を持って中に水を張ると、氷の熊から取った氷を入れて濡れタオルを入れて、再びお兄さんの所に行き、タオルを絞って頭の上に乗せておく。
少しケモ耳がピクピクして可愛い。
「早く、良くなって下さいねー」
さて、お兄さんはとりあえず寝せておいて、食事も作らなきゃいけない。
お兄さん用も食事は何が良いのやら?
ケモ耳と尻尾があるけど、体は人間だし、生肉は駄目だよね?
味付けしちゃっていいのかなぁ?
この世界の料理本に調味料が使われているのだから、味付けしてもオッケーかな?
料理本の著者が人間かケモ耳の人かも分からないけど……
「あっ、でも紳士さんのベーコンとか味濃かったし、大丈夫か!」
人様に食べさせられる味かは不安だけど、食事を摂ってもらった方が傷の治りも早いだろうしね。
紳士さんに貰った乾燥パスタがあったから、パスタを使おう。
まずはガラス瓶に手でパスタを細かく折って入れて、上から棒でさらに細かく砕く。
外国だとこういう感じのでクスクスとかいったパスタがあったハズ。
なんとなくイメージはお粥をイメージ。
細かくなったパスタを水に浸けてふやかしたら、水から出して、細かい網籠をザルにして水を切る。
フライパンにパスタと水を入れて、少し煮立ったらチーズを入れて、塩とコショウを入れる。
「んー……味が薄い気がするけど、怪我人だし、熱もあるから病人? このぐらいが良いのかな? ベーコン入れて少し味付ければ良いかな?」
ベーコンを細かく切って入れて塩気を補充。
うむ。少しは美味しくなった。ベーコンもうほとんど無いから、ベーコンが無くなったら食事のメニューが少し味気なくなりそう。
お兄さんが紳士さんなら、指輪よりもベーコンとか支援物資プリーズである。
まぁ、お兄さんは『まだ見ぬ君』さんの為に、ここに来ているんだから、元気になったらここを出て行っちゃうだろうし、またここに来てもらって怪我をさせたら元も子もないから、治ったら元気に送り出してあげよう。
丸い判子みたいな指輪で、盾と狼のマークが入っていて、手紙の封蝋に使われていたモノと同じだった。
お兄さんは紳士さんだと確信して、私の中の紳士さん像がお兄さんに更新された。
イケオジな紳士から、二十代いってるかどうかの若いケモ耳お兄さんへのシフトチェンジですよ。
うん、悪くない。
お兄さんイケメンだし……まぁ、『まだ見ぬ君』さんはここには居ないし、男だったかもしれないしで、お兄さんの恋を想うと少し可哀想ではある。
きっと『まだ見ぬ君』さんに会うために、頑張ってここに来たんだろうけど、元気になったら教えてあげて、また『まだ見ぬ君』さんを探すのか、諦めるのかは……お兄さん次第かな?
「よし、こんな物かな?」
削り終わった木の器を手に、川で拾った石で滑らかにして、指でつるつるしたのを確認してゼキキノコの熱さましを入れる。
目指したのは「吸い口」なんだけど、急須みたいなのは無理だったから、ヤシの実を半分に割ったような形に、飲む所だけ細くした。
お兄さんは熱を出して寝たままで、熱さましを飲ませようとコップで出したんだけど、飲み切れなくて……マンガとかなら口移しだろうけど、乙女のファーストキスだよ!? そう簡単に見ず知らずの人にあげれるものではない。
ましてや、意識の無い人にしてもカウントされないファーストキスな上、ゼキキノコの苦甘い味がファーストキスの味です! なんて、なりたくない。
コンコンと、一応寝室をノックして入って、寝ているお兄さんの頭の下にクッションを入れて頭を上げて、気管に変に入らないように吸い口をお兄さんの口に差し込む。
少しぐらい零れても気にせず流し込みである。
いっぱい熱さましは作ってるから、冬の間に使ったのは二回だけだから消費しておかなきゃね。
「っ、うぐ……」
「苦いけど、熱が下がるから、我慢して下さいね? あと、指輪ココに置いておきますね」
通じてるか分からないけど、指輪をお兄さんに見せて、ベッドのサイドボードの上に置くと、お兄さんは指輪を手に取る。
いや、盗ってませんよ? と手を小さく振ると、お兄さんに手を掴まれて引き寄せられた。
まだこの人熱高いな……って、そうじゃない。
「あの、指輪は盗ったりはしてない、ですよ? 洗濯してたら出てきたんですよ?」
「オレノツガイ……」
うーん。言葉通じてない。
困り顔で私がお兄さんを見つめると、お兄さんは目を細めて笑って、私の手にキスをして指輪を指にはめてきた。
お兄さんは外国人か!?
いや、外国人なのかな? 異世界の人だし……
「あの、お礼かもしれないですけど、指輪は……」
要らないよと、言っている途中で、お兄さんはまた意識を失ったみたいで、私の肩に顔を埋める様に倒れるから、私はお兄さんを支えるのが大変だったよ。
お兄さんを布団の中に戻して、指輪を指から外すと、ベッドのサイドボードの上に置いておく。
だって、冬を越せたお礼に助けているような物なのに、お礼を貰うわけにはいかない。
寝室から出て、お風呂場から桶を持って中に水を張ると、氷の熊から取った氷を入れて濡れタオルを入れて、再びお兄さんの所に行き、タオルを絞って頭の上に乗せておく。
少しケモ耳がピクピクして可愛い。
「早く、良くなって下さいねー」
さて、お兄さんはとりあえず寝せておいて、食事も作らなきゃいけない。
お兄さん用も食事は何が良いのやら?
ケモ耳と尻尾があるけど、体は人間だし、生肉は駄目だよね?
味付けしちゃっていいのかなぁ?
この世界の料理本に調味料が使われているのだから、味付けしてもオッケーかな?
料理本の著者が人間かケモ耳の人かも分からないけど……
「あっ、でも紳士さんのベーコンとか味濃かったし、大丈夫か!」
人様に食べさせられる味かは不安だけど、食事を摂ってもらった方が傷の治りも早いだろうしね。
紳士さんに貰った乾燥パスタがあったから、パスタを使おう。
まずはガラス瓶に手でパスタを細かく折って入れて、上から棒でさらに細かく砕く。
外国だとこういう感じのでクスクスとかいったパスタがあったハズ。
なんとなくイメージはお粥をイメージ。
細かくなったパスタを水に浸けてふやかしたら、水から出して、細かい網籠をザルにして水を切る。
フライパンにパスタと水を入れて、少し煮立ったらチーズを入れて、塩とコショウを入れる。
「んー……味が薄い気がするけど、怪我人だし、熱もあるから病人? このぐらいが良いのかな? ベーコン入れて少し味付ければ良いかな?」
ベーコンを細かく切って入れて塩気を補充。
うむ。少しは美味しくなった。ベーコンもうほとんど無いから、ベーコンが無くなったら食事のメニューが少し味気なくなりそう。
お兄さんが紳士さんなら、指輪よりもベーコンとか支援物資プリーズである。
まぁ、お兄さんは『まだ見ぬ君』さんの為に、ここに来ているんだから、元気になったらここを出て行っちゃうだろうし、またここに来てもらって怪我をさせたら元も子もないから、治ったら元気に送り出してあげよう。
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