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1章
紳士さんの手紙
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また手紙の束に手を伸ばし、新しい手紙を開いた時、中から押し花の栞が落ちた。
薄ピンク色の紙に、藤紫色の小さなパンジーに似た花が付いていて、中心が白く外側の花弁に向かう程濃い薄紫色をしている花で、清楚で可愛らしい感じがする。
表面に何か薄くツルツルした物が塗られていて、紙から剥がれないようになっているみたい。
手紙には、『部下に私の眼の色の様な花だと言われ、君に私の眼の色の花を持っていて欲しくて、初めて押し花をしてみました。実は完成するまでに四回程失敗して、部下の子供に上手な押し花の作り方を教えてもらい、完成しました』と、書いてあった。
「紫色の眼……ファンタジー世界、っぽいな~」
でも、自分の目で確かめるまでは色々信じられない所でもある。
部下が居るという事は、それなりの年齢の人なのかも?
私の中で紳士な男性は少し年齢が上がった。
素敵な紳士が押し花をする図に、微笑ましく思ってしまう。
この栞を持っていて欲しいなんて、純愛すぎる。
甘酸っぱーい!!
また次の手紙に手を伸ばし、『まだ見ぬ君』への愛が綴られたラブレターは、手紙を書いた紳士の想いが溢れていて、また私を悶えさせる。
『今日は天気が良く、こんないい天気に君の隣りで一緒に歩けたら、言葉は無くとも幸せな気持ちで、心は満たされるのだろうね。いつかその幸せな気持ちを君と分かち合えたらと願っています』
紳士、本当に紳士だー!! 言葉を交わさなくても隣りを歩いているだけで幸せとか!
私はきっと、紳士の横を歩いていたらいっぱい喋ってしまいそうだよ!
やっぱり紳士の横に私は似合わない。
『まだ見ぬ君』さん、早く紳士に会いに行ってあげてー!! って、紳士さんは春先までココには来れないんだっけ?
残念だなぁ……こっそり二人が出会う所を覗き見したい。
「流石にこれ以上は読んだら不味いよね? でも、紳士さんの人柄とか気になる……」
あと一通だけ、もしかしたら紳士さんの名前とかわかるかもしれないし。
この土地の名前とか、何かヒントがあれば、あの武器のある部屋にある地図で場所とかが分かるかもしれないんだよね。
せめてココが山なのか、ただのジャングル地帯なのか知りたい。
紳士さんの手紙をまた開けて、目を通す。
『まだ見ぬ君』さんを仕事の合間に探して、ようやく目星が付いた事が書かれていた。
『君が居る場所が分かったのに、今の私には資格が無い。せめて君の傍に近付きたくて、何度も足を運んでいるのだけれど、部下達には呆れられてしまったよ。でも、君に逢う為にはこの森を制覇しなくては、ならないからね。資格の一つはきっと、この森を抜ける事なのだろうと思う』
もしかして、あの黒い大地の不気味な森の事だろうか?
あのリヤカーがあったのだから、そこまでは紳士さんは来れたんだよね?
黒い熊とか危なそうなのが居たから、もしかしたら、あの森は危険な生物が一杯居るのかもしれない。
私の居る緑のジャングルの方へは来れなかったから、何か縄張りみたいな物でもあるんだろうか?
ファンタジー世界だとしたら、結界みたいなものがあるとか?
紳士さんには、こっち側の緑の大地は見えない様な事も書いてあったし……有り得るかもしれない。
他にもヒントは無いだろうかと、また手紙を開ける。
『私の暮らしている場所は、ヴァンハロー領で、結構賑やかな所なんだよ。今日は祭りがあるらしくてね、部下達に連れ回される予定だよ。本当は君の居る森へ足を運びたいけれど、秋から春にかけて長期遠征がある。部下の士気を上げる為にも強制参加で、君の存在を感じたいのに、近くに行けない事がとても切ないよ』
ヴァンハロー領という所が、紳士さんの暮らしている場所……
長期遠征ってなんだろう? 遠征って、部活の合宿で遠征に行くとか聞いた様な? うーん。私には遠征が何かはちょっと難しくてわからない。
でも、秋から春って随分長い事お仕事って事になるのかな?
長期出張みたいなものかなぁ?
こんな事なら真面目に国語とか色々学んでおくんだった。
私は、「ヴァンハロー」とブツブツ繰り返しながら、武器のある部屋の地図を見て、ヴァンハローの文字を探す。
この世界の地図だと信じるのならば、この世界は中心に森があり、その森の周りをまた森が囲み、その森を囲むように赤い大地があり、その周りを様々な大陸が広がり、花の様にも見える。
その周りに海があり、離れた所に大陸がまたある感じだ。
ヴァンハローは世界の中心の森から西にある大陸に名前があった。
それなりに大きい文字で書いてあるから有名な所かもしれない。そして、そこで気付いた。
地図にも盾と狼のシンボルが描かれていたのだった。
薄ピンク色の紙に、藤紫色の小さなパンジーに似た花が付いていて、中心が白く外側の花弁に向かう程濃い薄紫色をしている花で、清楚で可愛らしい感じがする。
表面に何か薄くツルツルした物が塗られていて、紙から剥がれないようになっているみたい。
手紙には、『部下に私の眼の色の様な花だと言われ、君に私の眼の色の花を持っていて欲しくて、初めて押し花をしてみました。実は完成するまでに四回程失敗して、部下の子供に上手な押し花の作り方を教えてもらい、完成しました』と、書いてあった。
「紫色の眼……ファンタジー世界、っぽいな~」
でも、自分の目で確かめるまでは色々信じられない所でもある。
部下が居るという事は、それなりの年齢の人なのかも?
私の中で紳士な男性は少し年齢が上がった。
素敵な紳士が押し花をする図に、微笑ましく思ってしまう。
この栞を持っていて欲しいなんて、純愛すぎる。
甘酸っぱーい!!
また次の手紙に手を伸ばし、『まだ見ぬ君』への愛が綴られたラブレターは、手紙を書いた紳士の想いが溢れていて、また私を悶えさせる。
『今日は天気が良く、こんないい天気に君の隣りで一緒に歩けたら、言葉は無くとも幸せな気持ちで、心は満たされるのだろうね。いつかその幸せな気持ちを君と分かち合えたらと願っています』
紳士、本当に紳士だー!! 言葉を交わさなくても隣りを歩いているだけで幸せとか!
私はきっと、紳士の横を歩いていたらいっぱい喋ってしまいそうだよ!
やっぱり紳士の横に私は似合わない。
『まだ見ぬ君』さん、早く紳士に会いに行ってあげてー!! って、紳士さんは春先までココには来れないんだっけ?
残念だなぁ……こっそり二人が出会う所を覗き見したい。
「流石にこれ以上は読んだら不味いよね? でも、紳士さんの人柄とか気になる……」
あと一通だけ、もしかしたら紳士さんの名前とかわかるかもしれないし。
この土地の名前とか、何かヒントがあれば、あの武器のある部屋にある地図で場所とかが分かるかもしれないんだよね。
せめてココが山なのか、ただのジャングル地帯なのか知りたい。
紳士さんの手紙をまた開けて、目を通す。
『まだ見ぬ君』さんを仕事の合間に探して、ようやく目星が付いた事が書かれていた。
『君が居る場所が分かったのに、今の私には資格が無い。せめて君の傍に近付きたくて、何度も足を運んでいるのだけれど、部下達には呆れられてしまったよ。でも、君に逢う為にはこの森を制覇しなくては、ならないからね。資格の一つはきっと、この森を抜ける事なのだろうと思う』
もしかして、あの黒い大地の不気味な森の事だろうか?
あのリヤカーがあったのだから、そこまでは紳士さんは来れたんだよね?
黒い熊とか危なそうなのが居たから、もしかしたら、あの森は危険な生物が一杯居るのかもしれない。
私の居る緑のジャングルの方へは来れなかったから、何か縄張りみたいな物でもあるんだろうか?
ファンタジー世界だとしたら、結界みたいなものがあるとか?
紳士さんには、こっち側の緑の大地は見えない様な事も書いてあったし……有り得るかもしれない。
他にもヒントは無いだろうかと、また手紙を開ける。
『私の暮らしている場所は、ヴァンハロー領で、結構賑やかな所なんだよ。今日は祭りがあるらしくてね、部下達に連れ回される予定だよ。本当は君の居る森へ足を運びたいけれど、秋から春にかけて長期遠征がある。部下の士気を上げる為にも強制参加で、君の存在を感じたいのに、近くに行けない事がとても切ないよ』
ヴァンハロー領という所が、紳士さんの暮らしている場所……
長期遠征ってなんだろう? 遠征って、部活の合宿で遠征に行くとか聞いた様な? うーん。私には遠征が何かはちょっと難しくてわからない。
でも、秋から春って随分長い事お仕事って事になるのかな?
長期出張みたいなものかなぁ?
こんな事なら真面目に国語とか色々学んでおくんだった。
私は、「ヴァンハロー」とブツブツ繰り返しながら、武器のある部屋の地図を見て、ヴァンハローの文字を探す。
この世界の地図だと信じるのならば、この世界は中心に森があり、その森の周りをまた森が囲み、その森を囲むように赤い大地があり、その周りを様々な大陸が広がり、花の様にも見える。
その周りに海があり、離れた所に大陸がまたある感じだ。
ヴァンハローは世界の中心の森から西にある大陸に名前があった。
それなりに大きい文字で書いてあるから有名な所かもしれない。そして、そこで気付いた。
地図にも盾と狼のシンボルが描かれていたのだった。
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