やさぐれモードの私はもふもふ旦那様を溺愛中

ろいず

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1章 

読書は大事

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 お腹が痛くて動けない数日間の私は、小屋にある本を片っ端から読んでいた。
なんでこの本を先に見ておかなかったのか!! と思う程に、この小屋の本棚にあった本はサバイバルをして行く上で重要だった。

 料理の本は絵で解説もしてあるし、食べれる物とかも絵で載っていた。
キノコは危な過ぎて私は手を出していなかったのだけど、これがあればいけそうだ。
それと、調味料に関しても情報が書いてあった。

 パルシーム鳥という鳥が塩を運んでくれるのだそうだ。
家の外にパルシーム鳥の好物の魚や木の実などを置いて、小さな瓶を置いておくと、瓶の中に入れてくれるらしい。

 コショウは、木の実らしく、どこにでもあるらしい。
これはお腹が治まったら探しに行きたいところだ。コショウは実を一週間程乾燥させて潰して使うと、書いてあった。すりこぎみたいな物が欲しいから、なにか棒のような物を用意したいところだ。

 料理に添えると美味しくなるハーブなんかもあるらしく、これもぜひぜひ採りに行きたい。
甘味料は、蜂蜜か砂糖かエバーナの実という物があるようで、エバーナの実はスライスして天日干して、料理の時に一緒に入れると甘くなるらしい。
これも、探しておかなきゃ!

 他にも油はオリーブみたいな木の実を砕いて絞って採るとか、お役立ちな一冊だった。
料理の幅が広がれば、この生活も少しは楽になるかもしれない。
大丈夫、私は出来る子、頑張れる子!

 あとは、狩りの仕方の本とか、動物の解体の仕方とかもあったんだけど、私にはやはりこれはハードルが高い。
魚を自分で仕留めるのすら、ギャーギャー騒いだ私に動物はきっと無理だろう。
 でも、一応覚えておく。血抜きは大事。木に吊るして、首をスパッとやるそうだ……うーん、私にはそれ、凄く無理そうだ。

 第一、このジャングルに来て、小さな小動物は見かけるけど、危険そうな動物に会ったことが無い。たまに夜、遠吠えが遠くでしている事はあるけど、危険に感じる事もなかった。

 数日間を小屋の中で過ごして、私は本をリュックサックに入れて、ナイフとテーブルクロスを持って出かける。
テーブルクロスは風呂敷に使うつもりで持ってきた。
本には籠の作り方もあったんだけど、作るにしても木の枝や蔓という物が無ければどうしようもないから、すぐさま物を入れて運べるのは、こうした布が一番良いと書いてあった。

 読書って大事だよね。
 あと、少し文字の練習も始めた。もしかしたら、ここの文字を覚えておかないと、人に出会った時に言葉が通じませんでは、話にならないし、せめて読み書きが出来れば文字でやり取りが出来る筈だ。

 読むことは相変わらず自動翻訳の様に文字の上に日本語で出るから、私の方で迷うことは無さそう。でも音で聞いたことは無いから、何か言われてもわからないかもしれない。

 音も自動翻訳されるのだったら、楽かもしれないけど、もしなかったら何を言われてもわからないと非常に困りそうなので、中学の勉強が出来ない以上は、ここで言葉の勉強を身に付ける。

 学生の本分は勉学にあるとか何とかいうしね。
正直に言えば、勉強は好きじゃない。
やらなくていいなら、喜んでしまうだろうけど、それでは今まで私が覚えてきた勉強や知識がポロポロと零れ落ちて行ってしまう様な恐怖があった。
だから、勉強の時間を作る事にしたのだ。 

「ゲッちゃん、エバーナの実とコショウの実とオリーブの実がある所知らない?」
「ゲーキョ?」

 首をコテンと傾げるゲッちゃんに、「あー、これはわかんないのか」と少しだけ期待していただけに、肩透かしを食らった感じだ。

「ゲッちゃん、美味しい木の実探してー!」
「ゲーキョキョ、ゲキョ―」

 ゲッちゃんが私の前を低空飛行で飛びながら先導してくれて、今日もゲッちゃんおススメの木の実が生っているところまでやって来て、本と実の絵を見比べて名前をメモに書く。
小屋に帰ったら料理の本で何か美味しい料理に使えるか調べる為にもメモは大事なのだ。

 木の実と果物を多めに採って、テーブルクロスに包み込み、風呂敷にして持ち帰る。
そして、お塩用の小瓶をお風呂の外に置いて、今日採ってきた木の実を周りに置いておいた。
これでパルシーム鳥から塩が瓶に入れられたら、調味料が一つ手に入ることになる。
明日が楽しみだ。
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