7 / 22
行く先 ②
しおりを挟む
「………! ダン……テさ……! ダンテさん……!」
必死に俺の名前を呼ぶ声で目を覚ますと、目の前には目にいっぱいの涙を浮かべたエンジュの泣き顔。
「エンジュ……」
「ダンテさんっ! よかった……目……覚ましてくれて……」
俺の声を聞き安心したエンジュは大粒の涙をこぼしながら抱きついてくる。俺の名前を何度も呼びながら泣きじゃくるエンジュの頭をポンポンと撫でてやる。
どうやらそのまま床に倒れてしまったらしく、頭や背中が所々痛む……。
「どれくらい意識を失っていたか分かるか……?」
「多分……半日くらいでしょうか……。僕もついさっき目を覚ましたので詳しくは分かりません……」
「そうか……。エンジュ、体は大丈夫か? 身体を見ると言っていたが……」
「えっと……大丈夫そうです……」
俺に抱きついていたエンジュの身体を起こし確認すれば、着ていたシャツがはだけている。露わになったエンジュの白い肌が目に入り思わず目を背ける。
そして、自分の方へと視線を向ければ胸元ははだけ、何故かスラックスまでずり下がっておりエンジュよりも酷い格好をしていた……。
アイツら何処まで調べてんだよ……。
乱れた服を整えながら身体に何か変化はないか確認していく。変わった所といえば爪が切られたくらいで、他に変わったところはないようだ。
「僕達……これからどうなっちゃうんでしょうか……」
「さぁな……。覆面ヤローに聞く前に意識飛ばされたからな……」
『俺達』の出荷先が見つかったと言い、二人の身体のチェックをしにきたということは俺とエンジュの行く先は一緒なのか……?
不安気に俯くエンジュの肩を抱き寄せると、エンジュは再び俺に抱きついてくる。
どうしようもない不安だけが残り……俺達は翌日出荷される事となった。
必死に俺の名前を呼ぶ声で目を覚ますと、目の前には目にいっぱいの涙を浮かべたエンジュの泣き顔。
「エンジュ……」
「ダンテさんっ! よかった……目……覚ましてくれて……」
俺の声を聞き安心したエンジュは大粒の涙をこぼしながら抱きついてくる。俺の名前を何度も呼びながら泣きじゃくるエンジュの頭をポンポンと撫でてやる。
どうやらそのまま床に倒れてしまったらしく、頭や背中が所々痛む……。
「どれくらい意識を失っていたか分かるか……?」
「多分……半日くらいでしょうか……。僕もついさっき目を覚ましたので詳しくは分かりません……」
「そうか……。エンジュ、体は大丈夫か? 身体を見ると言っていたが……」
「えっと……大丈夫そうです……」
俺に抱きついていたエンジュの身体を起こし確認すれば、着ていたシャツがはだけている。露わになったエンジュの白い肌が目に入り思わず目を背ける。
そして、自分の方へと視線を向ければ胸元ははだけ、何故かスラックスまでずり下がっておりエンジュよりも酷い格好をしていた……。
アイツら何処まで調べてんだよ……。
乱れた服を整えながら身体に何か変化はないか確認していく。変わった所といえば爪が切られたくらいで、他に変わったところはないようだ。
「僕達……これからどうなっちゃうんでしょうか……」
「さぁな……。覆面ヤローに聞く前に意識飛ばされたからな……」
『俺達』の出荷先が見つかったと言い、二人の身体のチェックをしにきたということは俺とエンジュの行く先は一緒なのか……?
不安気に俯くエンジュの肩を抱き寄せると、エンジュは再び俺に抱きついてくる。
どうしようもない不安だけが残り……俺達は翌日出荷される事となった。
0
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。


隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる