【完結】あの人が欲しい

赤牙

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監禁 ②

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監禁されてからの日々はただただ単調に過ぎていく。
朝、昼、晩と食事だけを持ってくる謎の男。いくらこちらから話しかけても無視を決め込み何も答えずに去って行く。


そして、少年と俺の関係性はというと……最初は目を合わせる事から始まる。
朝がくれば頭を下げるなど軽い挨拶だったのだが、同じ空間•同じ状況ということが共通点に感じ始めると大嫌いな人間だが関わらない訳にはいかない気がして……少しずつだが話すようになった。

互いに名前を名乗り、どういう経緯でここに監禁されたか話を聞くが少年と俺との共通点が見当たらない。
少年ことエンジュも、街を歩いている時に拐われたようで心当たりは特にないと言っていた。

ちなみにエンジュのことは14歳くらいの少年だと思っていたが、年齢はすでに18を超えていて立派な青年だった。年齢を聞き驚いた俺の反応を見てエンジュは苦笑いを浮かべていた。

「あの……ダンテさんは……どうやって拐われたんですか?」
「俺は仕事帰りに襲われて気が付けばここさ。エンジュは、ずっとここにいたと言っていたが……どれくらいいるんだ?」
「僕は……一ヶ月くらいでしょうか……。時間が分からないので曖昧ですが、食事の回数からするとそれくらいになると思います」
「そうか……」

少しやつれたエンジュは俺よりも長いこと監禁されていた。食事は出されるがこんな場所に一ヶ月もいれば身体的にも精神的にもまいってしまうだろ……。

「なぁ、いつも食事を運んでくる男の目的がなんなのか聞いた事はあるのか?」
「目的……。一度だけ男の人がこの部屋に入ってきた事があるんですが、その時に質問したら『相手が準備できるまでここで待っていろ』と言われたことがあります……」

相手か……。
その『相手』が誰を指すのかは分からないが俺だとすれば、男に動きがあるかもしれない。
だが、その『相手』が俺ではないとすると……。

拐われた理由が分からない今、一番考えられることは奴隷として売られること……。エンジュは俺と違い見た目も中性的で可愛らしい。こんな細腕では労働奴隷になどしないだろうし……そうなると考えられるのは性奴隷か……。

忌まわしい奴隷の首輪をグッと掴み、険しい表情を浮かべているとエンジュが不安そうに琥珀色の瞳を揺らす。

「……大丈夫だ。きっとここから出られるはずだ。だから心配するな……」

エンジュにそう声をかけると目を細め安心したように口元を綻ばせる。その表情を見た瞬間、昔の記憶と重なり胸がチリッ……と痛む。


あの時、助け出した少年も同じような表情をしていたな……。
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