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監禁 ①
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遡る事3ヶ月前。
仕事を終えた俺は家に帰る途中、誰かに襲われた。
それは一瞬の出来事で……何が起こったのか分からず、意識が戻った時には見知らぬ薄暗い部屋に入れられていた。ベッドの上に寝かされていた俺は体を起こすと辺りを見渡す……。自分一人だけかと思ったが……部屋に設置されたもう一つのベッドに隅に蹲る小さな人影……。
「おい……お前も拐われたのか……?」
その人影へと声をかけると虚な目をした酷く綺麗な人間の少年が顔を上げる。
少年は俺の質問には答えずにまた顔を膝へ沈ませる。
チッ……。獣人とは話さないタイプの奴か……。
何も答えない少年に心の中で舌打ちをする。
少年のことは一旦放っておき部屋の中を見渡し少しでも今の状況が分かる手掛かりがないか探る。
この部屋だけで生活ができるようにトイレや風呂が設置されてはいるが、扉や壁は鋼鉄製で力の強い獣人を収容することも考えられた造り……。そして、首にはご丁寧にも奴隷を服従させる為に使用する服従の首輪まではめられていて……。
俺はふつふつと湧き上がる怒りを拳に込めガンッ!と、殴りつけ鋭く尖った爪を立てる。
壁や扉に何度か怒りをぶつけると自分の行動がアホらしくなり、そのまま床に座り込んだ。
相変わらず人間の少年は体を小さく丸めベッドの隅っこで蹲っていた。
このまま起きていても意味がないな……。こんな立派な部屋に閉じ込めておくくらいだ……きっと誰か来る。
俺はそう思い、無駄な体力は使うまいとベッドに寝転がると目を閉じた。
✳︎
ピクンッ……。
俺は耳を揺らし聞き耳を立てると扉の方へ近づいてくる足音に気づく。
コツコツと上品な歩き方をする足音と共に強烈な香水の香りが近づいてくる。足音の主は扉の前に着くと、扉の下にある小窓から何かを部屋へと入れてくる。
「今日の夕飯だ」
そう一言だけ告げると声の主である男は扉の前から去っていく。
「あ! おいっ! ちょっと待て! なんでこんな所に閉じ込められてんだ! おいっ!」
ガンガンガンガンと何度も扉を叩きつけるが男はそのまま部屋の前から去って行く。
「クソッッッ!」
怒りが収まらぬまま扉の前に座り込んでいると、ずっと蹲ったままの少年がフラフラとこちらへとやってくる。少年は俺の近くまでくると急にしゃがみ込み、床に置かれた食事に手を伸ばす。
「お、おいっ! 何が入ってるかも分からない物を食うな!」
「………大丈夫です。僕……ずっと、ここのご飯食べてるから……」
俺の制止も無視して少年は男が持ってきたパンを掴み小さくちぎると口の中に入れる。パンを一つとスープを飲み干すと少年はまた定位置に戻り蹲る。
しばらく少年を観察するが特に変化は無く、食事には何も入っていないようだが注意するに越した事はないと思い、俺は食事をとらずにベッドに横になる。
薄暗い部屋の中、鬱々しい雰囲気にすでに嫌気がさしながら俺は静かに目を閉じた……。
仕事を終えた俺は家に帰る途中、誰かに襲われた。
それは一瞬の出来事で……何が起こったのか分からず、意識が戻った時には見知らぬ薄暗い部屋に入れられていた。ベッドの上に寝かされていた俺は体を起こすと辺りを見渡す……。自分一人だけかと思ったが……部屋に設置されたもう一つのベッドに隅に蹲る小さな人影……。
「おい……お前も拐われたのか……?」
その人影へと声をかけると虚な目をした酷く綺麗な人間の少年が顔を上げる。
少年は俺の質問には答えずにまた顔を膝へ沈ませる。
チッ……。獣人とは話さないタイプの奴か……。
何も答えない少年に心の中で舌打ちをする。
少年のことは一旦放っておき部屋の中を見渡し少しでも今の状況が分かる手掛かりがないか探る。
この部屋だけで生活ができるようにトイレや風呂が設置されてはいるが、扉や壁は鋼鉄製で力の強い獣人を収容することも考えられた造り……。そして、首にはご丁寧にも奴隷を服従させる為に使用する服従の首輪まではめられていて……。
俺はふつふつと湧き上がる怒りを拳に込めガンッ!と、殴りつけ鋭く尖った爪を立てる。
壁や扉に何度か怒りをぶつけると自分の行動がアホらしくなり、そのまま床に座り込んだ。
相変わらず人間の少年は体を小さく丸めベッドの隅っこで蹲っていた。
このまま起きていても意味がないな……。こんな立派な部屋に閉じ込めておくくらいだ……きっと誰か来る。
俺はそう思い、無駄な体力は使うまいとベッドに寝転がると目を閉じた。
✳︎
ピクンッ……。
俺は耳を揺らし聞き耳を立てると扉の方へ近づいてくる足音に気づく。
コツコツと上品な歩き方をする足音と共に強烈な香水の香りが近づいてくる。足音の主は扉の前に着くと、扉の下にある小窓から何かを部屋へと入れてくる。
「今日の夕飯だ」
そう一言だけ告げると声の主である男は扉の前から去っていく。
「あ! おいっ! ちょっと待て! なんでこんな所に閉じ込められてんだ! おいっ!」
ガンガンガンガンと何度も扉を叩きつけるが男はそのまま部屋の前から去って行く。
「クソッッッ!」
怒りが収まらぬまま扉の前に座り込んでいると、ずっと蹲ったままの少年がフラフラとこちらへとやってくる。少年は俺の近くまでくると急にしゃがみ込み、床に置かれた食事に手を伸ばす。
「お、おいっ! 何が入ってるかも分からない物を食うな!」
「………大丈夫です。僕……ずっと、ここのご飯食べてるから……」
俺の制止も無視して少年は男が持ってきたパンを掴み小さくちぎると口の中に入れる。パンを一つとスープを飲み干すと少年はまた定位置に戻り蹲る。
しばらく少年を観察するが特に変化は無く、食事には何も入っていないようだが注意するに越した事はないと思い、俺は食事をとらずにベッドに横になる。
薄暗い部屋の中、鬱々しい雰囲気にすでに嫌気がさしながら俺は静かに目を閉じた……。
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