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本編
本編20話
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ヒカルに殴られた林さんは床に突っ伏したままピクリとも動かなかった。
ヒカルは俺の状況を見て心配そうな顔をして殴られた頬に手を伸ばしてきた時、俺は誠兄さんの言葉を思い出しパンッその手を払い退ける。
「っ!?…優くん?」
「また…俺を騙すのか…?」
「え?何を言ってるの…?」
ヒカルは俺に払い退けられた手を見て一瞬何が起きたのか分からないような顔をしていた。
俺はそんなヒカルを睨みつける。
本当は…いつものようにヒカルに触れて欲しいと思っている。
だが、誠兄さんの言った通りならば俺はもうヒカル達と過ごす事はできない…
「俺は…ヒカルと星夜に監禁されていたのか?」
「え…?」
「俺に教えていたのは攻撃ではなかった…。調教していたのか?俺は…オモチャだったのか?」
「違う!!違うよ優くん!優くんの事をオモチャだなんて思ってない!でも……そう言われても仕方ないよね…」
ヒカルは大声をあげて一度は否定するが…俺の言葉に納得もしていた。
やはり誠兄さんが言っていた事は本当だったんだ…。
そう理解すると胸がズキズキと痛みだす。
だが俺達は元々敵同士だ。
敵を騙すことなんて普通の事だ…それを勘違いして勝手に懐いてしまってのは俺だ。
全ては弱い俺が悪いんだ。
「ヒカル…。助けてくれたのは感謝している。だが、もうお前達の好きにはさせない…。俺は…騙されないっ!!」
拳を握りしめてヒカルを再度睨みつけると、ヒカルはぎゅっと唇をむすび顔を歪ませる。
しかし、俺の言葉に傷ついた顔をして何も言えず黙り込むヒカルを見ていると…俺まで辛くなってしまう。
なんでヒカルが辛そうな顔をするんだ…。
お前達にとって俺はどうでもいい存在なんだろう?俺の事を騙された哀れな奴だって嘲笑ってくれ…
そしてお前達を嫌いだと思わせてくれ…。
俺の中で色々な感情が渦巻き、気がつけば俺は自分の中に秘めていた思いの全てをヒカルにぶちまけていた…
「最初はお前達の事を良きライバルだと思っていたんだ…。怪我をしてヒカルに治療をしてもらっている時…優しくされて俺は心が満たされていった。2人とも出来損ないの俺をそのまま受け入れてくれた。お前達が笑ってくれると俺も嬉しくなって…俺はお前達と触れ合う時は凄く幸せだった。騙されていたと分かった今でも俺は…俺はヒカルや星夜に触れたいと思ってしまうんだ!だから俺にもう…優しくしないでくれ…。頼む…」
ヒカルは俺の話を聞きながら最初は辛そうな顔をしていたが、途中から徐々に顔は赤くなり何かに耐えるような顔をしていた…。
俺の話に苛立ち怒っているのだろうか…?
そう考えると辛くなってまた涙がこぼれ落ちそうになり俺は思わず下を向く。
しかし、俺の話が終わるとヒカルにガッと抱き寄せられる。
「優くん…優くん本当にごめん。ヒーローと悪役が結ばれるなんて事は簡単じゃないと思ってて…優くんには沢山嘘をついた。けど、騙すとかそんなんじゃないんだ!ずっと一緒にいたくて、触れたくて、愛し合いたくて…。でもそんなの言い訳だよね…。僕達がしていた事は優くんを騙して傷つけてた…。ごめんね…ごめんね優くん…でも僕達は君のことが諦めきれないんだ…。大好きなんだよ優くん…」
ヒカルの頬にポロポロと涙の粒が伝い顔はクシャクシャに歪んでいた。
俺はヒカルの言っている事が理解できなくて…信じられなくて…どうしたらいいのか分からない。
「ヒカル…つまり…どういう事なんだ?」
「僕と兄さんは…優くんの事が大好きって事だよ。優くんとずっと一緒にいたい」
「こんな俺と…?」
「うん。優くんは僕達にとって凄く凄く大切な人だからね」
目尻を赤くして微笑むヒカルはとても可愛くて、俺の胸はキュンっと締め付けられる。
「だが…兄さんが何と言うか…」
「優くんのお兄さんの気持ちじゃなくて、優くんがどう思ってるかが一番大事なんだよ」
俺の手を握りヒカルは優しく声をかけてくれる。
俺の気持ち…
「俺は…2人とこれからも一緒にいたい…」
「優くん…。うん!一緒にいよう!そして楽しい思い出沢山作ろう!」
キラキラと輝くような眩しい笑顔で俺を見つめるヒカル。
俺は…その笑顔が大好きだ…
ヒカルは俺の状況を見て心配そうな顔をして殴られた頬に手を伸ばしてきた時、俺は誠兄さんの言葉を思い出しパンッその手を払い退ける。
「っ!?…優くん?」
「また…俺を騙すのか…?」
「え?何を言ってるの…?」
ヒカルは俺に払い退けられた手を見て一瞬何が起きたのか分からないような顔をしていた。
俺はそんなヒカルを睨みつける。
本当は…いつものようにヒカルに触れて欲しいと思っている。
だが、誠兄さんの言った通りならば俺はもうヒカル達と過ごす事はできない…
「俺は…ヒカルと星夜に監禁されていたのか?」
「え…?」
「俺に教えていたのは攻撃ではなかった…。調教していたのか?俺は…オモチャだったのか?」
「違う!!違うよ優くん!優くんの事をオモチャだなんて思ってない!でも……そう言われても仕方ないよね…」
ヒカルは大声をあげて一度は否定するが…俺の言葉に納得もしていた。
やはり誠兄さんが言っていた事は本当だったんだ…。
そう理解すると胸がズキズキと痛みだす。
だが俺達は元々敵同士だ。
敵を騙すことなんて普通の事だ…それを勘違いして勝手に懐いてしまってのは俺だ。
全ては弱い俺が悪いんだ。
「ヒカル…。助けてくれたのは感謝している。だが、もうお前達の好きにはさせない…。俺は…騙されないっ!!」
拳を握りしめてヒカルを再度睨みつけると、ヒカルはぎゅっと唇をむすび顔を歪ませる。
しかし、俺の言葉に傷ついた顔をして何も言えず黙り込むヒカルを見ていると…俺まで辛くなってしまう。
なんでヒカルが辛そうな顔をするんだ…。
お前達にとって俺はどうでもいい存在なんだろう?俺の事を騙された哀れな奴だって嘲笑ってくれ…
そしてお前達を嫌いだと思わせてくれ…。
俺の中で色々な感情が渦巻き、気がつけば俺は自分の中に秘めていた思いの全てをヒカルにぶちまけていた…
「最初はお前達の事を良きライバルだと思っていたんだ…。怪我をしてヒカルに治療をしてもらっている時…優しくされて俺は心が満たされていった。2人とも出来損ないの俺をそのまま受け入れてくれた。お前達が笑ってくれると俺も嬉しくなって…俺はお前達と触れ合う時は凄く幸せだった。騙されていたと分かった今でも俺は…俺はヒカルや星夜に触れたいと思ってしまうんだ!だから俺にもう…優しくしないでくれ…。頼む…」
ヒカルは俺の話を聞きながら最初は辛そうな顔をしていたが、途中から徐々に顔は赤くなり何かに耐えるような顔をしていた…。
俺の話に苛立ち怒っているのだろうか…?
そう考えると辛くなってまた涙がこぼれ落ちそうになり俺は思わず下を向く。
しかし、俺の話が終わるとヒカルにガッと抱き寄せられる。
「優くん…優くん本当にごめん。ヒーローと悪役が結ばれるなんて事は簡単じゃないと思ってて…優くんには沢山嘘をついた。けど、騙すとかそんなんじゃないんだ!ずっと一緒にいたくて、触れたくて、愛し合いたくて…。でもそんなの言い訳だよね…。僕達がしていた事は優くんを騙して傷つけてた…。ごめんね…ごめんね優くん…でも僕達は君のことが諦めきれないんだ…。大好きなんだよ優くん…」
ヒカルの頬にポロポロと涙の粒が伝い顔はクシャクシャに歪んでいた。
俺はヒカルの言っている事が理解できなくて…信じられなくて…どうしたらいいのか分からない。
「ヒカル…つまり…どういう事なんだ?」
「僕と兄さんは…優くんの事が大好きって事だよ。優くんとずっと一緒にいたい」
「こんな俺と…?」
「うん。優くんは僕達にとって凄く凄く大切な人だからね」
目尻を赤くして微笑むヒカルはとても可愛くて、俺の胸はキュンっと締め付けられる。
「だが…兄さんが何と言うか…」
「優くんのお兄さんの気持ちじゃなくて、優くんがどう思ってるかが一番大事なんだよ」
俺の手を握りヒカルは優しく声をかけてくれる。
俺の気持ち…
「俺は…2人とこれからも一緒にいたい…」
「優くん…。うん!一緒にいよう!そして楽しい思い出沢山作ろう!」
キラキラと輝くような眩しい笑顔で俺を見つめるヒカル。
俺は…その笑顔が大好きだ…
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