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新たなるお兄さんを発見!? ①
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今日も一日の仕事を終えて部屋へと帰れば、先に部屋に戻っていたリアムさんが荷物をバックの中に詰めていた。
「ココ、お疲れ様」
「リアムさんもお疲れ様です。買い出しに向かう準備ですか?」
「あぁ。明日は朝が早いからな」
「二ヶ月に一度の買い出しですからね。王都はすっごく綺麗な場所なんですよ! 王都の広場にある大きなパン屋さんのソーセージパンが凄く美味しいんでオススメです」
「そうか。それは楽しみだな」
荷造りの手伝いながら王都のオススメのお店の話をリアムさんは楽しそうに聞いてくれる。
二ヶ月に一度日用品や日持ちする食材、香辛料などを買いに王都に行くのだが、今回はリアムさんとダンさんとマーサさんで買い物へ行く事になった。
いつもより日用品も多いので、力持ちのリアムさんが行った方がいいだろうとレノー様の提案だ。
「荷物はこれでいいかな。しかし、ココと三日も離れるなんて……寂しいな……」
リアムさんはそう言うと僕の方へと擦り寄り、ぎゅっと抱き締めてくる。
「そうですね……。僕もリアムさんに会えないのは寂しいです」
寂しいなんて伝えるのが少し恥ずかしくて、はにかみながら見上げる。リアムさんは目を細め、さらに僕を抱き締めてくれる。
「今日はココを抱きしめたまま眠ってもいいか?」
「ふふ。リアムさんはいつも僕を抱き締めてくれてるじゃないですか……」
「そうだな……」
リアムさんはそう言うと僕のつむじに唇を落とす。最近のリアムさんは少しずつ僕に触れる回数も多くなって、さっきのように、つむじやおでこにキスをくれるようになった。
なんだかくすぐったいリアムさんの行為に僕は毎回ドキドキしてしまう。
そして、僕達はそのまま抱き合ったまま眠りについた。
✳︎✳︎✳︎
次の日の早朝、リアムさん達を見送った僕はレノー様の朝食の準備をしていく。人が少ない間は朝食は遅めにしようとレノー様は優しく気遣ってくれる。
レノー様の朝食が終わり、昼食の仕込みと掃除が終わった僕は森へ山菜を取りに向かう。
今年は森の山菜も豊富に生えているので、カゴも大きめの物をかるっていく。
森に入って30分程歩くとガサガサと茂みをかき分ける音が聞こえ、真っ白な顔が茂みから出てくる。
「えっ……シュヴァル? どうしたのこんなとこまで出てきて……」
普段なら森の奥にある自分の縄張り以外には出てこないシュヴァルがこんな森の入り口付近までやってくるなんて珍しく、僕はシュヴァルの方へと駆け寄る。
シュヴァルの顔を見れば頬の横に血がついていて、僕は慌てて傷がないか確認する。
「シュヴァル! どうしたの? 怪我したの?」
シュヴァルの頬や顔を見てみるが怪我はしておらず、どうやらこれはシュヴァル以外の血のようだ……。
森の獣と争った返り血だろうか?
そう思っていると、シュヴァルは僕の鞄を口で噛みグイグイと森の奥へと引っ張る。
「わっ! ど、どうしたのシュバル!?」
シュヴァルに引きずられるように歩いていくが、僕の歩くスピードが遅いのが気に食わない顔をして、シュヴァルは足を折りしゃがみ込む。
ちょうど僕が乗れるような高さだが……これはシュヴァルに跨がれって事なの?
恐る恐るシュヴァルの体に触れ、足をかけるとシュヴァルはスッと立ち上がり、僕を乗せたまま森の奥へと駆け出していった……。
「ココ、お疲れ様」
「リアムさんもお疲れ様です。買い出しに向かう準備ですか?」
「あぁ。明日は朝が早いからな」
「二ヶ月に一度の買い出しですからね。王都はすっごく綺麗な場所なんですよ! 王都の広場にある大きなパン屋さんのソーセージパンが凄く美味しいんでオススメです」
「そうか。それは楽しみだな」
荷造りの手伝いながら王都のオススメのお店の話をリアムさんは楽しそうに聞いてくれる。
二ヶ月に一度日用品や日持ちする食材、香辛料などを買いに王都に行くのだが、今回はリアムさんとダンさんとマーサさんで買い物へ行く事になった。
いつもより日用品も多いので、力持ちのリアムさんが行った方がいいだろうとレノー様の提案だ。
「荷物はこれでいいかな。しかし、ココと三日も離れるなんて……寂しいな……」
リアムさんはそう言うと僕の方へと擦り寄り、ぎゅっと抱き締めてくる。
「そうですね……。僕もリアムさんに会えないのは寂しいです」
寂しいなんて伝えるのが少し恥ずかしくて、はにかみながら見上げる。リアムさんは目を細め、さらに僕を抱き締めてくれる。
「今日はココを抱きしめたまま眠ってもいいか?」
「ふふ。リアムさんはいつも僕を抱き締めてくれてるじゃないですか……」
「そうだな……」
リアムさんはそう言うと僕のつむじに唇を落とす。最近のリアムさんは少しずつ僕に触れる回数も多くなって、さっきのように、つむじやおでこにキスをくれるようになった。
なんだかくすぐったいリアムさんの行為に僕は毎回ドキドキしてしまう。
そして、僕達はそのまま抱き合ったまま眠りについた。
✳︎✳︎✳︎
次の日の早朝、リアムさん達を見送った僕はレノー様の朝食の準備をしていく。人が少ない間は朝食は遅めにしようとレノー様は優しく気遣ってくれる。
レノー様の朝食が終わり、昼食の仕込みと掃除が終わった僕は森へ山菜を取りに向かう。
今年は森の山菜も豊富に生えているので、カゴも大きめの物をかるっていく。
森に入って30分程歩くとガサガサと茂みをかき分ける音が聞こえ、真っ白な顔が茂みから出てくる。
「えっ……シュヴァル? どうしたのこんなとこまで出てきて……」
普段なら森の奥にある自分の縄張り以外には出てこないシュヴァルがこんな森の入り口付近までやってくるなんて珍しく、僕はシュヴァルの方へと駆け寄る。
シュヴァルの顔を見れば頬の横に血がついていて、僕は慌てて傷がないか確認する。
「シュヴァル! どうしたの? 怪我したの?」
シュヴァルの頬や顔を見てみるが怪我はしておらず、どうやらこれはシュヴァル以外の血のようだ……。
森の獣と争った返り血だろうか?
そう思っていると、シュヴァルは僕の鞄を口で噛みグイグイと森の奥へと引っ張る。
「わっ! ど、どうしたのシュバル!?」
シュヴァルに引きずられるように歩いていくが、僕の歩くスピードが遅いのが気に食わない顔をして、シュヴァルは足を折りしゃがみ込む。
ちょうど僕が乗れるような高さだが……これはシュヴァルに跨がれって事なの?
恐る恐るシュヴァルの体に触れ、足をかけるとシュヴァルはスッと立ち上がり、僕を乗せたまま森の奥へと駆け出していった……。
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