奴隷の僕がご主人様に!? 〜森の奥で大きなお兄さんを捕まえました〜

赤牙

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お兄さんとの新しい生活!

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「リアムさ~ん! 出発の準備はできましたかぁ~?」
「あぁ、後少しで行くよ」
「は~い!」

レノー様が元に戻ってから早いもので一ヶ月が経つ。

前まではリアムさんに抱っこされないと歩けなかったレノー様もリハビリを頑張って今では杖を使えば一人で歩けるようになった。
リアムさんは時折「抱っこしましょうか?」なんて冗談を言ってレノー様に怒られている。

そして、僕とリアムさんで作った万能薬は残っていたのでダンさんやマーサさんにお裾分けした。
長年患っていた肩こりや腰痛が良くなったと喜ばれたが……その後、レノー様の主治医であるアッサムさんにもお裾分けしようと万能薬を見せたら目を白黒させていた。
どうやら作った万能薬は完成度が高く、一匙で一生遊んでいけるお金がもらえると聞き、今度は僕が目を白黒させた……。

万能薬については大事に保管して必要な時に使いなさいとアッサムさんに強く念押しされたので、レノー様の書斎の金庫に今はしまってある。
ダンさんとマーサさんに本当の事を伝えたら倒れてしまいそうなので……この事は内緒にしておく事にした。

そして、この一ヶ月で僕には新しい友達ができた。
今日はリアムさんとその子に会いに行く予定だ。ついでにキノコや山菜狩りもする予定なので大きめの袋も忘れちゃいけない。
リアムさんの準備ができ、僕達は森の奥へと向かう。

森の中を奥へと進みニ時間程歩くとリアムさんを捕まえた大木が見える。その大木に寄り添うように蹲っている白馬は僕達の姿をみると巨体を起こしこちらへ駆け寄ってくる。

「シュヴァル! 元気だったかぁ~」

煌めくような白い体を撫でてやればシュヴァルは僕の頬に鼻先を擦り付け嬉しそうに鼻を鳴らす。
リアムさんによって切り落とされた角は少し伸びてきているが、まだまだ元に戻るまでは時間がかかりそうだ。

そう僕の新しい友達はあの一角獣だ。

レノー様を助けた後、リアムさんと森に行った際にシュヴァルは再度僕達の前に現れる。
襲われるんじゃないかと二人で身構えたが、シュヴァルは耳を後ろに傾けてゆっくりと僕達の方へと近づいてくる。
以前は殺気だっていたシュヴァルだが、今回は僕達に危害を加える様子もなかった。

「ココ。俺が接触してみるから待っていてくれ」
「はい……」

リアムさんはそう言うとシュヴァルへと近づき……シュヴァルはリアムさんを目の前にすると頭を下げて大人しくしている。
無言のままリアムさんとシュヴァルは対峙し、痺れを切らしたリアムさんは困った顔をして僕に声をかけてくる。

「ココ……これはどういうことだろうか?」
「えーっと……リアムさんに撫でて欲しいんじゃないですかね……?」

なんとなくそんな気がしてそう伝えれば、リアムさんはゆっくりとシュヴァルの頬を撫でてやると、シュヴァルは嬉しそうにリアムさんの手に頬擦りをした。

どうやらシュヴァルはリアムさんとの戦闘に負けた後、リアムさんを自分のボスだと認定したようだ。
楽しそうにシュヴァルと触れ合うリアムさんを見ているとなんだか羨ましくなって……僕も恐る恐る近づく。

「リアムさん……。僕もこの子と仲良くなれるでしょうか?」
「あぁ、きっと大丈夫だと思うぞ」

リアムさんに左手をとられゆっくりとシュヴァルへと近づけると、シュヴァルは僕の手の匂いを嗅ぎその後大人しく触らせてくれる。
柔らかく艶やかな白毛を撫でていると、シュヴァルは僕の頬をベロリと舐めてくる。

「ハハ。くすぐったいよ」
「なっ……! 俺も舐めた事などないのに……」

リアムさんはシュヴァルに冗談を言い、僕はそんな二人がおかしくて思わず笑ってしまう。
こうして僕達は友達のような関係になり、森に行く時にはシュヴァル会いにいくようにした。
ちなみにシュヴァルという名前は、僕とリアムさんで一晩考えてつけた名前だ。
シュヴァルも名前を気に入ってくれているようで、初めて名前を呼んだ時には嬉しそうに鼻を鳴らしていた。


僕は生きてきた中で一番幸せな時を過ごしている。
レノー様が元気で、屋敷の皆がいて……そして、リアムさんが傍にいてくれる事が僕にとって何よりの幸せだ……。
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