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お兄さんは狩り上手! ①
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「ココ。何をしているんだ?」
「罠の準備をしているんですよ」
「へぇ……。俺を捕まえたやつとはまた違うタイプなんだな。これでどんな獣を捕まえるんだ?」
リアムさんは罠に興味を持ったようで大きな体を屈めて覗き込んでくる。
「この罠は小型から中型の獣を捕まえる為の罠なんですよ。リアムさんが捕まった罠は大型の獣を捕まえるやつなのでタイプが違うんですよ」
僕の説明にリアムさんはへぇ~と納得しながらツンツンと罠に触れる。
「なぁココ。狩りをするのもココの仕事なのか?」
「そうですね。このお屋敷は街から離れているので、自給自足しながら生活しているんです。自分達でやれる事はやっていこうとレノー様も率先して言っていたんです。僕は体が小さいので、小さな僕でも獣が捕まえられるようにと罠の仕掛けをレノー様が教えてくれたんです! レノー様は博識な方なので僕に何でも教えてくれて……森に生えている薬草や食べられる植物やキノコもレノー様から教わったんですよ」
まだレノー様が元気だった頃はよく二人で森へ出かけた。何も知らない僕はレノー様に沢山質問してしまうが、優しいレノー様は嫌な顔せず僕の疑問に答えてくれた。
レノー様は貴族なのに奴隷の僕にも優しくて……レノー様と過ごす日々は本当に幸せで温かい。
「レノー様は凄いな……」
「そうですね……。レノー様は本当に偉大な方です……」
「なぁココ……。俺も狩りを手伝いたい」
「いいですけど……リアムさんも罠を仕掛けますか?」
「いや、俺はコレでやってみる」
リアムさんはそう言うと剣を手にとる。
「剣の使い方……思い出したんですか?」
「いや、まったく思い出せない。だが、剣を握ればどうにかなりそうな気がする」
リアムさんはそう言うとニカッと笑顔を向けてくる。
一瞬、リアムさんの記憶が少しでも戻ったのかと思ったが残念ながら違ったようだ。
でも、剣を使っている間に何かを思い出すかもしれないと思った僕はリアムさんと共に狩りに出かける事にした。
準備をして森の中へと向かいレノー様から教えてもらった狩場へと到着すると、リアムさんは何やら落ち着かない様子を見せる。
「リアムさん。どうしたんですか?」
「ん? いつもと変わらないぞ?」
リアムさんはそう言うが……目を輝かせ、うずうずと体を動かし今すぐにでも飛び出して行きそうな雰囲気は遊びに行く前の子供のようだ。
「じゃあ、少し森の中を案内しますね」
「あぁ、頼む」
リアムさんを連れて森の中を案内しながら僕が仕掛けた罠の場所や、この森に住む獣についても説明していく。
そして、この森で注意しておく事も……。
「この辺りの獣は大きくはありませんが森の奥へ進むと大型の獣が生息する場所になります。さらに奥へと進むと魔力を持った恐ろしい魔獣もいると噂されているので気をつけて下さいね」
「魔獣……。それはどんな奴なんだ? 強いのか?」
魔獣の話に飛びついてくるリアムさんは目をキラキラと輝かせる。恐れられる存在の魔獣なのだが……リアムさんは魔獣に興味を持ったようだ。
「この森の主と言われている一角獣が森の奥地にいると言われています。体は馬よりも大きくは頭には立派な一本のツノが生えているんです。気性も荒く人間なんて角で一突きして倒してしまうと言われているので注意が必要なんです」
「へぇ……そんなにも強いなら一度会ってみたいものだな……」
「……リアムさん。僕の説明聞いてました?」
「ハハ。すまない。気をつけておくよ。なぁココ。そろそろ狩りをしてもいいか?」
「え? でもまだ獣の姿も見えていないですけど……」
「大丈夫だ……。あそこの奥の辺りに気配を感じる」
気配……?
リアムさんの指差す方へと視線を向けるが獣の姿も見えないし気配すら僕には分からない……。
リアムさんは、「行ってきていいか?」と言いたげな視線を向けてくるので「気をつけて下さいね……」と、声をかけた瞬間、笑みを浮かべ目にも止まらぬ速さで森の中へ姿を消す……。
えっとぉぉ………大丈夫だよね?
一人取り残された僕はリアムさんが消えた方角を見つめ心配していると、数分経って森の奥からリアムさんは姿を現す。
なんだ……やっぱり勘違いだったのか……。
あまりにも早く戻ってきたのでそう思いリアムさんに声をかけようと近づくと……
大きなのイノシシをズルズルと引きずりながら満面の笑みを向けて戻ってきた……。
「ココ! 俺も狩りができたぞ!」
「ふぇぇっっ!!」
イノシシを目の前に驚きが隠せずに変な声を上げてしまう。
イノシシなんて一人で狩るには大変なのに……。それにこんな大きなのを……。リアムさんはどうやって……。
そう疑問に思いながらも、イノシシを目の前にすると僕もなんだか興奮してしまう。
「うわぁ……凄いですよリアムさん! こんな大きなイノシシを狩るのは大変なのに……。しかもこんな短時間でやっちゃうなんて……」
僕が褒めるとリアムさんは嬉しそうに目尻を下げる。
「俺がココにしてやれる事がまた一つ増えたな」
「ふふ。もうリアムさんが出来ない事は料理くらいですね」
「そうだな」
リアムさんが魔法を使えるようになってからは火起こしや水汲みなどはリアムさんが担当してくれている。
というか、掃除や家事もすぐに覚えたリアムさんは僕がお屋敷の仕事を終えるまでに全ての家事を終わらせてくれていて……。
世話をすると言ったのに逆に世話をしてもらっているのは僕の方なので、怪我をさせた張本人としては申し訳ない気持ちも……。
ただ、食事だけは僕の当番なので、そこはしっかりとさせてもらっている。
僕が大きなイノシシを見ながらそんな事を考えていると、穏やかだったリアムさんの雰囲気がまた張り詰める。スン…と鼻を鳴らすと鋭い視線で森の奥を見つめ始め……
「次はアイツか……」
「えっ……? あ、リアムさーーん!」
そう一言呟いてリアムさんはまた森の奥へ……。
しばらくすると、先程よりも大きなイノシシを肩に担ぎ嬉々とした表情を浮かべて戻ってくる。
「ココ! さっきのよりも大きなヤツを狩ってきたぞ! 次の獲物も見つけてきたからすぐにでも……」
「リアムさん! ちょ、ちょっと待って下さい! もう狩らなくて大丈夫です!」
「そうなのか? この辺りにはまだまだ沢山の獣がいるぞ?」
「全部狩らなくていいんですよ! 食べられる分だけでいいんです。それに……狩った後は血抜きをしたり皮を剥いだり処理が必要なんです。いっぱい狩るとその処理が大変なんですよ」
「そうなのか……すまない……」
シュン……と肩を落としリアムさんはしょげてしまうが、ここで注意しないとなんでも出来ちゃうリアムさんはやり過ぎてしまう。
「この二匹だけでも大きいので十分ですよ。早いですが今日の狩りは終わりにして戻りましょう。けど……こんな大きなのイノシシ……僕が運べるかな……?」
最初に狩った大きなイノシシへと視線を向ける。
僕の何倍もの体重がありそうな巨体をどうやって運ぼうかと考えていると、リアムさんがそのイノシシの近くへとやってくる。
「二匹とも俺が運ぶから大丈夫だぞ、ココ」
リアムさんはそう言うと、軽々と二匹を両肩に乗せ小屋の方へと歩いていく。相変わらず規格外のリアムさんだが、一緒に暮らしていると段々とそれが普通になってきてしまう。
魔法も使えて何でも出来て……そして、大きなイノシシも簡単に倒してしまう強い人……。
謎だらけのリアムさんの背中を見つめていると「ココ」と柔らかな声で名前を呼ばれる。その声に返事をしてリアムさんの隣へと駆け寄って行けば優しい笑顔を向けてくれる。
レノー様と一緒にいる時と同じような温かさと心地よさを感じながら、僕達は大きな大きなイノシシ二匹と共に小屋へと戻って行った。
「罠の準備をしているんですよ」
「へぇ……。俺を捕まえたやつとはまた違うタイプなんだな。これでどんな獣を捕まえるんだ?」
リアムさんは罠に興味を持ったようで大きな体を屈めて覗き込んでくる。
「この罠は小型から中型の獣を捕まえる為の罠なんですよ。リアムさんが捕まった罠は大型の獣を捕まえるやつなのでタイプが違うんですよ」
僕の説明にリアムさんはへぇ~と納得しながらツンツンと罠に触れる。
「なぁココ。狩りをするのもココの仕事なのか?」
「そうですね。このお屋敷は街から離れているので、自給自足しながら生活しているんです。自分達でやれる事はやっていこうとレノー様も率先して言っていたんです。僕は体が小さいので、小さな僕でも獣が捕まえられるようにと罠の仕掛けをレノー様が教えてくれたんです! レノー様は博識な方なので僕に何でも教えてくれて……森に生えている薬草や食べられる植物やキノコもレノー様から教わったんですよ」
まだレノー様が元気だった頃はよく二人で森へ出かけた。何も知らない僕はレノー様に沢山質問してしまうが、優しいレノー様は嫌な顔せず僕の疑問に答えてくれた。
レノー様は貴族なのに奴隷の僕にも優しくて……レノー様と過ごす日々は本当に幸せで温かい。
「レノー様は凄いな……」
「そうですね……。レノー様は本当に偉大な方です……」
「なぁココ……。俺も狩りを手伝いたい」
「いいですけど……リアムさんも罠を仕掛けますか?」
「いや、俺はコレでやってみる」
リアムさんはそう言うと剣を手にとる。
「剣の使い方……思い出したんですか?」
「いや、まったく思い出せない。だが、剣を握ればどうにかなりそうな気がする」
リアムさんはそう言うとニカッと笑顔を向けてくる。
一瞬、リアムさんの記憶が少しでも戻ったのかと思ったが残念ながら違ったようだ。
でも、剣を使っている間に何かを思い出すかもしれないと思った僕はリアムさんと共に狩りに出かける事にした。
準備をして森の中へと向かいレノー様から教えてもらった狩場へと到着すると、リアムさんは何やら落ち着かない様子を見せる。
「リアムさん。どうしたんですか?」
「ん? いつもと変わらないぞ?」
リアムさんはそう言うが……目を輝かせ、うずうずと体を動かし今すぐにでも飛び出して行きそうな雰囲気は遊びに行く前の子供のようだ。
「じゃあ、少し森の中を案内しますね」
「あぁ、頼む」
リアムさんを連れて森の中を案内しながら僕が仕掛けた罠の場所や、この森に住む獣についても説明していく。
そして、この森で注意しておく事も……。
「この辺りの獣は大きくはありませんが森の奥へ進むと大型の獣が生息する場所になります。さらに奥へと進むと魔力を持った恐ろしい魔獣もいると噂されているので気をつけて下さいね」
「魔獣……。それはどんな奴なんだ? 強いのか?」
魔獣の話に飛びついてくるリアムさんは目をキラキラと輝かせる。恐れられる存在の魔獣なのだが……リアムさんは魔獣に興味を持ったようだ。
「この森の主と言われている一角獣が森の奥地にいると言われています。体は馬よりも大きくは頭には立派な一本のツノが生えているんです。気性も荒く人間なんて角で一突きして倒してしまうと言われているので注意が必要なんです」
「へぇ……そんなにも強いなら一度会ってみたいものだな……」
「……リアムさん。僕の説明聞いてました?」
「ハハ。すまない。気をつけておくよ。なぁココ。そろそろ狩りをしてもいいか?」
「え? でもまだ獣の姿も見えていないですけど……」
「大丈夫だ……。あそこの奥の辺りに気配を感じる」
気配……?
リアムさんの指差す方へと視線を向けるが獣の姿も見えないし気配すら僕には分からない……。
リアムさんは、「行ってきていいか?」と言いたげな視線を向けてくるので「気をつけて下さいね……」と、声をかけた瞬間、笑みを浮かべ目にも止まらぬ速さで森の中へ姿を消す……。
えっとぉぉ………大丈夫だよね?
一人取り残された僕はリアムさんが消えた方角を見つめ心配していると、数分経って森の奥からリアムさんは姿を現す。
なんだ……やっぱり勘違いだったのか……。
あまりにも早く戻ってきたのでそう思いリアムさんに声をかけようと近づくと……
大きなのイノシシをズルズルと引きずりながら満面の笑みを向けて戻ってきた……。
「ココ! 俺も狩りができたぞ!」
「ふぇぇっっ!!」
イノシシを目の前に驚きが隠せずに変な声を上げてしまう。
イノシシなんて一人で狩るには大変なのに……。それにこんな大きなのを……。リアムさんはどうやって……。
そう疑問に思いながらも、イノシシを目の前にすると僕もなんだか興奮してしまう。
「うわぁ……凄いですよリアムさん! こんな大きなイノシシを狩るのは大変なのに……。しかもこんな短時間でやっちゃうなんて……」
僕が褒めるとリアムさんは嬉しそうに目尻を下げる。
「俺がココにしてやれる事がまた一つ増えたな」
「ふふ。もうリアムさんが出来ない事は料理くらいですね」
「そうだな」
リアムさんが魔法を使えるようになってからは火起こしや水汲みなどはリアムさんが担当してくれている。
というか、掃除や家事もすぐに覚えたリアムさんは僕がお屋敷の仕事を終えるまでに全ての家事を終わらせてくれていて……。
世話をすると言ったのに逆に世話をしてもらっているのは僕の方なので、怪我をさせた張本人としては申し訳ない気持ちも……。
ただ、食事だけは僕の当番なので、そこはしっかりとさせてもらっている。
僕が大きなイノシシを見ながらそんな事を考えていると、穏やかだったリアムさんの雰囲気がまた張り詰める。スン…と鼻を鳴らすと鋭い視線で森の奥を見つめ始め……
「次はアイツか……」
「えっ……? あ、リアムさーーん!」
そう一言呟いてリアムさんはまた森の奥へ……。
しばらくすると、先程よりも大きなイノシシを肩に担ぎ嬉々とした表情を浮かべて戻ってくる。
「ココ! さっきのよりも大きなヤツを狩ってきたぞ! 次の獲物も見つけてきたからすぐにでも……」
「リアムさん! ちょ、ちょっと待って下さい! もう狩らなくて大丈夫です!」
「そうなのか? この辺りにはまだまだ沢山の獣がいるぞ?」
「全部狩らなくていいんですよ! 食べられる分だけでいいんです。それに……狩った後は血抜きをしたり皮を剥いだり処理が必要なんです。いっぱい狩るとその処理が大変なんですよ」
「そうなのか……すまない……」
シュン……と肩を落としリアムさんはしょげてしまうが、ここで注意しないとなんでも出来ちゃうリアムさんはやり過ぎてしまう。
「この二匹だけでも大きいので十分ですよ。早いですが今日の狩りは終わりにして戻りましょう。けど……こんな大きなのイノシシ……僕が運べるかな……?」
最初に狩った大きなイノシシへと視線を向ける。
僕の何倍もの体重がありそうな巨体をどうやって運ぼうかと考えていると、リアムさんがそのイノシシの近くへとやってくる。
「二匹とも俺が運ぶから大丈夫だぞ、ココ」
リアムさんはそう言うと、軽々と二匹を両肩に乗せ小屋の方へと歩いていく。相変わらず規格外のリアムさんだが、一緒に暮らしていると段々とそれが普通になってきてしまう。
魔法も使えて何でも出来て……そして、大きなイノシシも簡単に倒してしまう強い人……。
謎だらけのリアムさんの背中を見つめていると「ココ」と柔らかな声で名前を呼ばれる。その声に返事をしてリアムさんの隣へと駆け寄って行けば優しい笑顔を向けてくれる。
レノー様と一緒にいる時と同じような温かさと心地よさを感じながら、僕達は大きな大きなイノシシ二匹と共に小屋へと戻って行った。
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