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28話:オメガとか番とか
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大好きなアランの香りが鼻先をくすぐり目を覚ますと、煌めく金色の髪の毛が目の前に。
胸元で太陽の光を浴びて輝く様子に思わず見入ってしまう。
ーーすごく、きれい……
触れるとさらりと指先を流れていく。その感覚が気持ちよくて何度か触れていると、頭が動き灰色の瞳が僕を見上げる。
目が合うとニコリと目を細め嬉しそうに僕の名を呼んでくれる。
「ケイ、おはよ」
「お、おはよう」
名前を呼ばれると鼓動が高鳴り、昨晩のことを思い出してしまう。
アランと両思いになって、オメガになって、あんなことをやってしまって……
思い出とともに恥ずかしさが強くなり、思わずアランの頭を抱きかかえると胸元で彼がおかしそうに笑う。
「そんなに抱きしめられると苦しいよ」
「ご、ごめん!」
パッと手を離すと、アランはニッと笑って今度は僕をぎゅっと抱きしめてくる。
胸元に顔が埋まると、アランの香りに包まれて胸のドキドキが止まらない。
苦しいけど嬉しくて、アランの胸元で息をすると幸せな感覚に包まれて「好き」って感情がまた大きくなる。
アランの胸元でうごめいていると、頭上でクスクスと笑い声が聞こえる。
「ケイ、またフェロモンが出てるよ」
「へっ!? まだ出てるの?」
思わずうなじに触れると、アランも僕のうなじに触れる。
「オメガになったばかりで、まだ体が不安定だからフェロモンが出ちゃうんだろうね」
つぅー……と、アランの細い指先でうなじを撫でられるとゾクゾクして体が熱くなる。
またフェロモンを出してしまったのか、僕を見つめるアランの瞳が少し欲情的に見える。
「触られただけでフェロモンが溢れちゃうかぁ……。やっぱり、ケイはオレの運命なんだね」
「ねぇ、アラン。その、運命って……本当なの? 僕、まだよく分かんなくて……」
元々ベータの自分が、アランの運命の番になるなんて奇跡的な確率に実感があまり湧いていない。
そもそもオメガになったってことにも、まだ頭が追いついてなくて混乱している。
不安な顔でアランを見つめると、優しく微笑まれ頭を撫でられながら説明してくれる。
「これはまだ未発表にしている研究結果なんだけどね、実は、ベータからバースが変化した人は、その影響を与えた人物の『運命の番』になる確率がすごく高いんだ。だから、今回の場合はオレがケイをオメガにしてしまったんだと思うんだ。ケイと出会ってからケイに惹かれて、恋して、ずっとケイがオメガならいいのにって思ってたオレのせい。だから……オレが責任持ってケイを幸せにするから」
ーーえ……アランのせい? 責任? 幸せに、する?
説明を受けて自分に起きた変化を理解しようとしたのに、さらに困惑してしまう。
言葉の意味を理解しようと頑張るけれど、アランのいい香りが思考を止める。
ぼやっとした頭のまま、話を聞いているとアランが問いかけてくる。
「ねぇ、ケイ。オレと番ってくれる?」
「つが……う?」
「うん。ここを噛んでケイと番いたい……」
うなじを撫でられると、きゅっと下腹部が疼く。
番については、ベータの僕でもその意味を知っている。
オメガにとっても番は唯一無二のものだ。
番えば、オメガのフェロモンは番のアルファにしか分からない。
ただ、番となったオメガは番ったアルファ以外を受け入れられない体となり、もしもアルファがあきて捨てられればオメガに待つのは悲惨な結末だ。
だから、オメガが番をつくることは、結婚以上の意味を持つんだと。
ーーアランは、僕と結婚したいの?
問いかけに答えられずにいると、真剣な眼差しがふっと緩み僕に微笑みかける。
「……ごめん。いきなりすぎるよね。まだ、ケイはオメガになったことも受け入れられてないのに、番になって欲しいとか言っても、困らせちゃうだけだよね」
申し訳なさそうに笑うアランが、なんだか酷く悲しげに見えて胸がきゅっとなる。
何か答えなくちゃと混乱した頭のまま口を開く。
「つ、番になるには……まずは、交際して、互いをもっと知ってくことが必要だと思うんだ。その次は、同棲……は、もうしてるようなものだから問題はないかな。これからもっともっと一緒に過ごしていって、沢山の思い出を作りながら、互いの良いところも悪いところも見つけてからじゃダメ、かな?」
アランに問いかけると、柔らかな笑顔をくれる。
「じゃあ、ケイとたくさんの楽しい思い出を作っていけば、番になれるの?」
「え、あ、うん。そういうこと、かな?」
自分で言っておきながら首を傾げながら肯定すると、アランは破顔し抱きついてくる。
「ケイといると、自分がアルファじゃなくなった感じがする」
「え? アランはすっごくアルファだよ?」
「そんなことないよ。ケイにはいつも頼ってばかりだし、ケイの前だとすぐに甘えちゃうね」
そう言ってすり寄ってくるアランを可愛いと思ってしまい、よしよしと撫でると花が咲いたような笑顔をくれる。
その笑顔が実家にいる弟たちに似ていて、僕の心をあったかくしてくれる。
「人を好きになって、好きな人から愛されるってこんなにも幸せなんだね」
アランに自分の気持ちを伝えると「そうだね」と言って甘いキスをくれる。
オメガとか番とか沢山問題はあるけれど、今はこの幸せを噛みしめたいと思いアランのぬくもりに身をよせた。
胸元で太陽の光を浴びて輝く様子に思わず見入ってしまう。
ーーすごく、きれい……
触れるとさらりと指先を流れていく。その感覚が気持ちよくて何度か触れていると、頭が動き灰色の瞳が僕を見上げる。
目が合うとニコリと目を細め嬉しそうに僕の名を呼んでくれる。
「ケイ、おはよ」
「お、おはよう」
名前を呼ばれると鼓動が高鳴り、昨晩のことを思い出してしまう。
アランと両思いになって、オメガになって、あんなことをやってしまって……
思い出とともに恥ずかしさが強くなり、思わずアランの頭を抱きかかえると胸元で彼がおかしそうに笑う。
「そんなに抱きしめられると苦しいよ」
「ご、ごめん!」
パッと手を離すと、アランはニッと笑って今度は僕をぎゅっと抱きしめてくる。
胸元に顔が埋まると、アランの香りに包まれて胸のドキドキが止まらない。
苦しいけど嬉しくて、アランの胸元で息をすると幸せな感覚に包まれて「好き」って感情がまた大きくなる。
アランの胸元でうごめいていると、頭上でクスクスと笑い声が聞こえる。
「ケイ、またフェロモンが出てるよ」
「へっ!? まだ出てるの?」
思わずうなじに触れると、アランも僕のうなじに触れる。
「オメガになったばかりで、まだ体が不安定だからフェロモンが出ちゃうんだろうね」
つぅー……と、アランの細い指先でうなじを撫でられるとゾクゾクして体が熱くなる。
またフェロモンを出してしまったのか、僕を見つめるアランの瞳が少し欲情的に見える。
「触られただけでフェロモンが溢れちゃうかぁ……。やっぱり、ケイはオレの運命なんだね」
「ねぇ、アラン。その、運命って……本当なの? 僕、まだよく分かんなくて……」
元々ベータの自分が、アランの運命の番になるなんて奇跡的な確率に実感があまり湧いていない。
そもそもオメガになったってことにも、まだ頭が追いついてなくて混乱している。
不安な顔でアランを見つめると、優しく微笑まれ頭を撫でられながら説明してくれる。
「これはまだ未発表にしている研究結果なんだけどね、実は、ベータからバースが変化した人は、その影響を与えた人物の『運命の番』になる確率がすごく高いんだ。だから、今回の場合はオレがケイをオメガにしてしまったんだと思うんだ。ケイと出会ってからケイに惹かれて、恋して、ずっとケイがオメガならいいのにって思ってたオレのせい。だから……オレが責任持ってケイを幸せにするから」
ーーえ……アランのせい? 責任? 幸せに、する?
説明を受けて自分に起きた変化を理解しようとしたのに、さらに困惑してしまう。
言葉の意味を理解しようと頑張るけれど、アランのいい香りが思考を止める。
ぼやっとした頭のまま、話を聞いているとアランが問いかけてくる。
「ねぇ、ケイ。オレと番ってくれる?」
「つが……う?」
「うん。ここを噛んでケイと番いたい……」
うなじを撫でられると、きゅっと下腹部が疼く。
番については、ベータの僕でもその意味を知っている。
オメガにとっても番は唯一無二のものだ。
番えば、オメガのフェロモンは番のアルファにしか分からない。
ただ、番となったオメガは番ったアルファ以外を受け入れられない体となり、もしもアルファがあきて捨てられればオメガに待つのは悲惨な結末だ。
だから、オメガが番をつくることは、結婚以上の意味を持つんだと。
ーーアランは、僕と結婚したいの?
問いかけに答えられずにいると、真剣な眼差しがふっと緩み僕に微笑みかける。
「……ごめん。いきなりすぎるよね。まだ、ケイはオメガになったことも受け入れられてないのに、番になって欲しいとか言っても、困らせちゃうだけだよね」
申し訳なさそうに笑うアランが、なんだか酷く悲しげに見えて胸がきゅっとなる。
何か答えなくちゃと混乱した頭のまま口を開く。
「つ、番になるには……まずは、交際して、互いをもっと知ってくことが必要だと思うんだ。その次は、同棲……は、もうしてるようなものだから問題はないかな。これからもっともっと一緒に過ごしていって、沢山の思い出を作りながら、互いの良いところも悪いところも見つけてからじゃダメ、かな?」
アランに問いかけると、柔らかな笑顔をくれる。
「じゃあ、ケイとたくさんの楽しい思い出を作っていけば、番になれるの?」
「え、あ、うん。そういうこと、かな?」
自分で言っておきながら首を傾げながら肯定すると、アランは破顔し抱きついてくる。
「ケイといると、自分がアルファじゃなくなった感じがする」
「え? アランはすっごくアルファだよ?」
「そんなことないよ。ケイにはいつも頼ってばかりだし、ケイの前だとすぐに甘えちゃうね」
そう言ってすり寄ってくるアランを可愛いと思ってしまい、よしよしと撫でると花が咲いたような笑顔をくれる。
その笑顔が実家にいる弟たちに似ていて、僕の心をあったかくしてくれる。
「人を好きになって、好きな人から愛されるってこんなにも幸せなんだね」
アランに自分の気持ちを伝えると「そうだね」と言って甘いキスをくれる。
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