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第二章
3話〜Sideルナ〜
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学園の校舎から少し離れた場所に『修練の森』と呼ばれる森がある。
その森では学園の生徒達が魔術の練習や、森を使った戦闘訓練を行う際に使用されている。森を囲うように大きなドーム型の結界に守られ魔術があらぬ方向に飛んで行っても結界が守ってくれるようになっているので安心だ。
全体練習の集合場所へと到着すれば、皆自分達のグループに分かれて全体練習が始まる前に個人での練習を開始していた。
「お~い! エドガー! こっちこっちー」
もう一人のチームメンバーのエドガーを見つけたソルは大声でエドガーを呼びつける。
エドガーはソルの声に驚いたのかビクンッと体を跳ね、私達の事を見つけるなり駆け寄ってくる。
「ご、ごめんね……。遅くなっちゃって……」
「俺達も今きたところだよ! なぁルナ」
「えぇ。今日もよろしくねエドガー」
エドガーの長い前髪からチラリと見える深紅の瞳と目が合えば恥ずかしそうにパッと目を逸らされる。さっきまでピンと立っていたうさ耳もペタリと垂れていた。
エドガーは恥ずかしがり屋のうさぎの獣人で、今回の魔術試験でチームが一緒になってから三ヶ月が経つが今だに目が合うだけで恥ずかしそうに顔を背けられる時がある。
恥ずかしがり屋な面だけでなく緊張しやすい性格も相まって今までの魔術の試験ではソルと最下位を競い合うくらいだ……。
皆はエドガーの事を魔術が使えないダメな奴だと思っているようだが、私はそうは思わない。緊張さえしなければ上位クラスを狙える程の魔力がエドガーの中には眠っている。
術式の展開まではエドガーは上手いのだが、緊張してしまうと魔力の流れがコントロールできなくなり術式が上手く発動しない。
まずは魔力のコントロールから練習を初めたエドガーも今では少しずつではあるが安定してきている。
「じゃあエドガー。さっそく魔力の循環から始めましょう。私の手をとって」
「あ……う、うん……」
少し手を震わせながら差し出した手を取ると、私は自分の微量の魔力をエドガーに流し込んでいく。まだ一定ではないエドガーの魔力の流れをサポートしながら体の中を巡らせていく。
最初は淀みが酷かったエドガーの魔力も数分もすれば安定した魔力の流れに変わる。
「エドガー……凄く上手。このまま術を使いましょう。まずは防壁から」
「うん……」
俯いたままのエドガーがブツブツと呟けば地面にパァ……と術式が展開されていく。
「そのまま今の魔力を流し込んでみて」
私の言葉に小さく頷くと術式に魔力が流れ込み私とエドガーは光に包まれると同時に周囲には土の防壁が築かれていた。
「うわぁ……凄い。属性魔術なんて教えてないのに……」
「えっ!? あ……ぼ、僕いけないことしちゃった……?」
「ううん! 凄いのよエドガー! 誰かに属性魔術を教えてもらった事あるの?」
「ううん……。今日が初めて……」
「それなら尚更凄いわ! 私もやっと母様から属性魔法を教えてもらったところなの。エドガーに先越されちゃったわね」
「えぇっ!? そ、そんな……僕なんて……ルナがいないと何もできないよ……。今のも……ルナのおかげで……」
エドガーは私の手をギュッと握りしめると、綺麗な深紅の瞳でこちらを見てくる。エドガーからこんな風に見つめられるのは初めてで、なんだか嬉しくてニコリと微笑めばエドガーは恥ずかしそうに少し困った顔をしていた。
「ルナ……。あの……僕……」
「おーい!! 大丈夫かーー!!」
エドガーが私に何か伝えようとしたと同時に、土の防壁を破壊する音とソルの叫び声が聞こえる。
エドガーは防壁の破壊音とソルの声に驚いたのか、体がビクンッと跳ねると一定だった魔力の流れもぐちゃぐちゃになってしまい術式が崩れてしまう。
術式が解ければ防壁も砂へと変わり崩れ落ち、防壁を壊そうと剣を振りかざしているソルと目が合う。
「おっ! 無事だった?」
「ソル……。せっかくいい感じにエドガーが術式を展開できてたのに!」
「えー! だって土壁が出来てから結構時間経ったのに二人が出てこないから心配したんだぞ? もしかして生き埋めになってんじゃないかって!」
「ご、ごめんねソル……。僕が下手くそだから……心配したよね……」
言い合いをする私達に申し訳なさそうな顔をしたエドガーが謝ってくる。そんなやり取りをしていると「全体練習を始めるぞー」と、先生の声が聞こえ私達は集合場所へと戻っていった。
その森では学園の生徒達が魔術の練習や、森を使った戦闘訓練を行う際に使用されている。森を囲うように大きなドーム型の結界に守られ魔術があらぬ方向に飛んで行っても結界が守ってくれるようになっているので安心だ。
全体練習の集合場所へと到着すれば、皆自分達のグループに分かれて全体練習が始まる前に個人での練習を開始していた。
「お~い! エドガー! こっちこっちー」
もう一人のチームメンバーのエドガーを見つけたソルは大声でエドガーを呼びつける。
エドガーはソルの声に驚いたのかビクンッと体を跳ね、私達の事を見つけるなり駆け寄ってくる。
「ご、ごめんね……。遅くなっちゃって……」
「俺達も今きたところだよ! なぁルナ」
「えぇ。今日もよろしくねエドガー」
エドガーの長い前髪からチラリと見える深紅の瞳と目が合えば恥ずかしそうにパッと目を逸らされる。さっきまでピンと立っていたうさ耳もペタリと垂れていた。
エドガーは恥ずかしがり屋のうさぎの獣人で、今回の魔術試験でチームが一緒になってから三ヶ月が経つが今だに目が合うだけで恥ずかしそうに顔を背けられる時がある。
恥ずかしがり屋な面だけでなく緊張しやすい性格も相まって今までの魔術の試験ではソルと最下位を競い合うくらいだ……。
皆はエドガーの事を魔術が使えないダメな奴だと思っているようだが、私はそうは思わない。緊張さえしなければ上位クラスを狙える程の魔力がエドガーの中には眠っている。
術式の展開まではエドガーは上手いのだが、緊張してしまうと魔力の流れがコントロールできなくなり術式が上手く発動しない。
まずは魔力のコントロールから練習を初めたエドガーも今では少しずつではあるが安定してきている。
「じゃあエドガー。さっそく魔力の循環から始めましょう。私の手をとって」
「あ……う、うん……」
少し手を震わせながら差し出した手を取ると、私は自分の微量の魔力をエドガーに流し込んでいく。まだ一定ではないエドガーの魔力の流れをサポートしながら体の中を巡らせていく。
最初は淀みが酷かったエドガーの魔力も数分もすれば安定した魔力の流れに変わる。
「エドガー……凄く上手。このまま術を使いましょう。まずは防壁から」
「うん……」
俯いたままのエドガーがブツブツと呟けば地面にパァ……と術式が展開されていく。
「そのまま今の魔力を流し込んでみて」
私の言葉に小さく頷くと術式に魔力が流れ込み私とエドガーは光に包まれると同時に周囲には土の防壁が築かれていた。
「うわぁ……凄い。属性魔術なんて教えてないのに……」
「えっ!? あ……ぼ、僕いけないことしちゃった……?」
「ううん! 凄いのよエドガー! 誰かに属性魔術を教えてもらった事あるの?」
「ううん……。今日が初めて……」
「それなら尚更凄いわ! 私もやっと母様から属性魔法を教えてもらったところなの。エドガーに先越されちゃったわね」
「えぇっ!? そ、そんな……僕なんて……ルナがいないと何もできないよ……。今のも……ルナのおかげで……」
エドガーは私の手をギュッと握りしめると、綺麗な深紅の瞳でこちらを見てくる。エドガーからこんな風に見つめられるのは初めてで、なんだか嬉しくてニコリと微笑めばエドガーは恥ずかしそうに少し困った顔をしていた。
「ルナ……。あの……僕……」
「おーい!! 大丈夫かーー!!」
エドガーが私に何か伝えようとしたと同時に、土の防壁を破壊する音とソルの叫び声が聞こえる。
エドガーは防壁の破壊音とソルの声に驚いたのか、体がビクンッと跳ねると一定だった魔力の流れもぐちゃぐちゃになってしまい術式が崩れてしまう。
術式が解ければ防壁も砂へと変わり崩れ落ち、防壁を壊そうと剣を振りかざしているソルと目が合う。
「おっ! 無事だった?」
「ソル……。せっかくいい感じにエドガーが術式を展開できてたのに!」
「えー! だって土壁が出来てから結構時間経ったのに二人が出てこないから心配したんだぞ? もしかして生き埋めになってんじゃないかって!」
「ご、ごめんねソル……。僕が下手くそだから……心配したよね……」
言い合いをする私達に申し訳なさそうな顔をしたエドガーが謝ってくる。そんなやり取りをしていると「全体練習を始めるぞー」と、先生の声が聞こえ私達は集合場所へと戻っていった。
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