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第一章
46話
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アストさんとその後も何度かキスをした後、僕達はガイルさんの元へ向かった。
書斎のドアをノックすると、ガイルさんが「どうぞ」と返事を返してくれる。
部屋に入ると、僕とアストさんの姿を見てガイルさんは嬉しそうに微笑んでいた。
「二人揃ってやって来たって事は…ちゃんと想いを伝えられたんだなアスト」
「はい。父さん」
ガイルさんにそう言われてアストさんは嬉しそうに僕を抱き寄せる。
え…??
僕一人だけ状況が分からずに二人を交互に見つめているとガイルさんが説明してくれる。
「アストの番がハイルだって事を私は知っていてな…ハイルが王都に行くと言い出したから、アストに事情を伝えたらハイルのところに行って想いを伝えて来ると言って出て行ったんだよ」
「そうだったんですね…。あの、ガイルさん。僕…王都に行くのをやっぱり辞めます。皆と一緒に暮らしたいです。すみません!」
僕はそう言ってガイルさんに頭を下げる。
「ハイル。頭を上げてくれ。謝らなくていいんだよ。これからも一緒に暮らして行こう」
「はい…ありがとうございますガイルさん」
こうして、僕の長い長い一日が終わった。
そして、またいつもと変わらない毎日が…
「ハイル!」
「なぁハイル」
「ハイル?」
「ハーイールー!」
「はいるぅぅ~」
……いつもと変わらないとは言えない毎日が始まった。
もう気持ちを隠さないようになったアストさんは…凄かった。
どこでもここでも僕の隣にぴったりとくっつき、常に名前を呼ばれた。
温室で過ごす時も隣同士に座る事は無くなり…アストさんの膝の上に乗せられるか背後から抱きしめられている状態が当たり前になっていた。
そして今も背後からしっかりと抱きしめられている。
「ア、アストさん…」
「どうしたハイル?」
「あの…ずっとくっついてて…嫌になりませんか?」
「嫌になどならないよ。隣にいると安心するしハイルのいい香りはずっと嗅いでいたい」
そう言って頭に顔を埋められスンスンと匂いを嗅がれる。
「ひやぁ!だ、だめですってアストさん!臭いですから!」
「ハイルに臭いところなどないぞ!」
そう言い切るアストさんに僕は返す言葉もない。
恥ずかしくて顔も首も真っ赤にしているとアストさんが質問してくる。
「なぁハイル。首は…やっぱり触られるのは嫌か?」
「首……?」
首か……
アストさんが半獣人に戻った時に首筋に顔を埋められた時の事を思い出す。
あの時はアストさんの事を知らなくて…恐怖で突き飛ばしてしまったが今は違う。
「多分…大丈夫だと思います」
「少し触ってもいいか?」
「……はい」
緊張しているとアストさんの指先がそっと僕の首筋を撫でる。
なんだかゾクゾクしてビクっと体を震わせてしまう。
「やっぱり嫌か?」
「だ、大丈夫です…」
「そうか…」
触られる事が恐くてゾクゾクするというよりは、体がムズムズしてしまう感覚がなんだか恥ずかしくて俯く。
アストさんは、またゆっくりと首筋をなぞり僕の反応を見ている。
「ハイル…怖くないか?」
「はい…」
「……舐めてもいいか?」
「な、舐め…!?」
「なぁ…ダメか?」
耳元でおねだりされるように囁かれると、恥ずかしくて断りたいのに思わずコクンと頷いてしまう。
僕の返事を確認してアストさんは頸にそっとキスをしてペロ…と舐めてくる。
「ひぁぁ…」
指先とは違う少しザラっ…とした感覚に思わず変な声を上げてしまう。
その後も、チュッチュッと首筋や耳の裏をキスされたり舐められたりして…
アストさんが満足した時には、僕はもう何がなんだか分からずに身も心もくたくたになってしまった…
書斎のドアをノックすると、ガイルさんが「どうぞ」と返事を返してくれる。
部屋に入ると、僕とアストさんの姿を見てガイルさんは嬉しそうに微笑んでいた。
「二人揃ってやって来たって事は…ちゃんと想いを伝えられたんだなアスト」
「はい。父さん」
ガイルさんにそう言われてアストさんは嬉しそうに僕を抱き寄せる。
え…??
僕一人だけ状況が分からずに二人を交互に見つめているとガイルさんが説明してくれる。
「アストの番がハイルだって事を私は知っていてな…ハイルが王都に行くと言い出したから、アストに事情を伝えたらハイルのところに行って想いを伝えて来ると言って出て行ったんだよ」
「そうだったんですね…。あの、ガイルさん。僕…王都に行くのをやっぱり辞めます。皆と一緒に暮らしたいです。すみません!」
僕はそう言ってガイルさんに頭を下げる。
「ハイル。頭を上げてくれ。謝らなくていいんだよ。これからも一緒に暮らして行こう」
「はい…ありがとうございますガイルさん」
こうして、僕の長い長い一日が終わった。
そして、またいつもと変わらない毎日が…
「ハイル!」
「なぁハイル」
「ハイル?」
「ハーイールー!」
「はいるぅぅ~」
……いつもと変わらないとは言えない毎日が始まった。
もう気持ちを隠さないようになったアストさんは…凄かった。
どこでもここでも僕の隣にぴったりとくっつき、常に名前を呼ばれた。
温室で過ごす時も隣同士に座る事は無くなり…アストさんの膝の上に乗せられるか背後から抱きしめられている状態が当たり前になっていた。
そして今も背後からしっかりと抱きしめられている。
「ア、アストさん…」
「どうしたハイル?」
「あの…ずっとくっついてて…嫌になりませんか?」
「嫌になどならないよ。隣にいると安心するしハイルのいい香りはずっと嗅いでいたい」
そう言って頭に顔を埋められスンスンと匂いを嗅がれる。
「ひやぁ!だ、だめですってアストさん!臭いですから!」
「ハイルに臭いところなどないぞ!」
そう言い切るアストさんに僕は返す言葉もない。
恥ずかしくて顔も首も真っ赤にしているとアストさんが質問してくる。
「なぁハイル。首は…やっぱり触られるのは嫌か?」
「首……?」
首か……
アストさんが半獣人に戻った時に首筋に顔を埋められた時の事を思い出す。
あの時はアストさんの事を知らなくて…恐怖で突き飛ばしてしまったが今は違う。
「多分…大丈夫だと思います」
「少し触ってもいいか?」
「……はい」
緊張しているとアストさんの指先がそっと僕の首筋を撫でる。
なんだかゾクゾクしてビクっと体を震わせてしまう。
「やっぱり嫌か?」
「だ、大丈夫です…」
「そうか…」
触られる事が恐くてゾクゾクするというよりは、体がムズムズしてしまう感覚がなんだか恥ずかしくて俯く。
アストさんは、またゆっくりと首筋をなぞり僕の反応を見ている。
「ハイル…怖くないか?」
「はい…」
「……舐めてもいいか?」
「な、舐め…!?」
「なぁ…ダメか?」
耳元でおねだりされるように囁かれると、恥ずかしくて断りたいのに思わずコクンと頷いてしまう。
僕の返事を確認してアストさんは頸にそっとキスをしてペロ…と舐めてくる。
「ひぁぁ…」
指先とは違う少しザラっ…とした感覚に思わず変な声を上げてしまう。
その後も、チュッチュッと首筋や耳の裏をキスされたり舐められたりして…
アストさんが満足した時には、僕はもう何がなんだか分からずに身も心もくたくたになってしまった…
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