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第一章
35話〜アストSide〜
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拘束された後、暴れ疲れ気を失うように眠っていた俺は誰かに頭を触れられ目を覚ます。
目の前には燃えるような赤い髪をした獅子の半獣…。
バッと体を起こそうとするが拘束具が体に自由を邪魔する。
「アスト…私が分かるか…?」
声をかけられるが目の前の半獣が何を言っているのかいまいち理解できない…
頭の中はずっとモヤがかかり何か考えようとする度にモヤに邪魔される。
「ヴゥゥ……」
「アスト…まだ言葉が分からないか…。何もしないから安心してくれ。拘束具も今外してやるから…」
半獣は俺を縛っていた拘束具をカチャカチャと外していく。自由になった体をは軋み動かすと痛みはあるが、それよりも目の前にいる赤髪の半獣から離れたくて拘束具が外れると距離をとる。
そういえば…コイツは俺の少年を連れ去っていった奴だ
少年はどこだ…少年は…
少年を探す為には目の前にいるコイツを倒さないといけないのか…
そう思った俺は赤髪の半獣に牙を剥く。
俺の威嚇に赤髪の半獣は驚いた顔をして…さっきいた金髪の半獣と同じように辛そうな表情を見せる。
そして、その顔を見るとまたズキッ…と心が痛む…
コイツらは一体なんなんだ…
俺は知らない…コイツらなんて知らない…
「グルルルルル……」
「アスト…」
目を合わせたまま一歩一歩、近づいてくる赤髪の半獣は俺に手を伸ばし「大丈夫だ…大丈夫だから…」と、何か言いながらこちらに歩み寄ってくる。
頭では目の前のコイツを倒さなければいけないと思うのに心はそれを拒絶する。頭と心がチグハグになり…得体の知れない恐怖に目の前に差し伸ばされた手を爪を立て振り払う。
伸びきった爪先は赤髪の半獣の服を切り裂きその下にある肉を抉り血の匂いが香る…。
その匂いにハッとし赤髪の半獣へと視線を向けると……赤髪の半獣は傷つけられたのに俺に微笑みかけてくる。
腕からは血が滴り落ちているのに…なんでコイツは笑っているんだ…。
赤髪の半獣の姿を見ていられずに後退りし壁にもたれかかる。
『アスト』『アスト』と金髪と赤髪の声が頭の中に響き渡る。
アスト…アスト…アスト……
その言葉を思い出そうとすると頭の中のモヤが濃くなり邪魔をしてくるが、ズキズキと痛む頭を抱え込み蹲り必死に思い出そうとする。
アスト……アストは……アストは…
「アスト…。もう怖がらなくていいんだ…。父さんと母さんが二度とお前を苦しませない。アスト…お前は大切な私の息子だ…」
蹲る俺を赤髪がギュッと抱きしめてくる。
赤髪の声が…匂いが…温もりが…俺の頭の中のモヤを晴らしてくれる…。
アストは俺の名前…そして目の前にいるのは…
父さん………
そっと顔を上げ目の前にいる父さんを見つめると、父さんは涙を溜め潤んだ瞳で俺を見つめ微笑みかけてくれる。
「グヴァァ……」
「アスト…。あぁそうだ。父さんだよ…」
父さん…父さん…父さん!
胸は熱くなり俺は頬を涙で濡らし父さんへと腕を伸ばした。
目の前には燃えるような赤い髪をした獅子の半獣…。
バッと体を起こそうとするが拘束具が体に自由を邪魔する。
「アスト…私が分かるか…?」
声をかけられるが目の前の半獣が何を言っているのかいまいち理解できない…
頭の中はずっとモヤがかかり何か考えようとする度にモヤに邪魔される。
「ヴゥゥ……」
「アスト…まだ言葉が分からないか…。何もしないから安心してくれ。拘束具も今外してやるから…」
半獣は俺を縛っていた拘束具をカチャカチャと外していく。自由になった体をは軋み動かすと痛みはあるが、それよりも目の前にいる赤髪の半獣から離れたくて拘束具が外れると距離をとる。
そういえば…コイツは俺の少年を連れ去っていった奴だ
少年はどこだ…少年は…
少年を探す為には目の前にいるコイツを倒さないといけないのか…
そう思った俺は赤髪の半獣に牙を剥く。
俺の威嚇に赤髪の半獣は驚いた顔をして…さっきいた金髪の半獣と同じように辛そうな表情を見せる。
そして、その顔を見るとまたズキッ…と心が痛む…
コイツらは一体なんなんだ…
俺は知らない…コイツらなんて知らない…
「グルルルルル……」
「アスト…」
目を合わせたまま一歩一歩、近づいてくる赤髪の半獣は俺に手を伸ばし「大丈夫だ…大丈夫だから…」と、何か言いながらこちらに歩み寄ってくる。
頭では目の前のコイツを倒さなければいけないと思うのに心はそれを拒絶する。頭と心がチグハグになり…得体の知れない恐怖に目の前に差し伸ばされた手を爪を立て振り払う。
伸びきった爪先は赤髪の半獣の服を切り裂きその下にある肉を抉り血の匂いが香る…。
その匂いにハッとし赤髪の半獣へと視線を向けると……赤髪の半獣は傷つけられたのに俺に微笑みかけてくる。
腕からは血が滴り落ちているのに…なんでコイツは笑っているんだ…。
赤髪の半獣の姿を見ていられずに後退りし壁にもたれかかる。
『アスト』『アスト』と金髪と赤髪の声が頭の中に響き渡る。
アスト…アスト…アスト……
その言葉を思い出そうとすると頭の中のモヤが濃くなり邪魔をしてくるが、ズキズキと痛む頭を抱え込み蹲り必死に思い出そうとする。
アスト……アストは……アストは…
「アスト…。もう怖がらなくていいんだ…。父さんと母さんが二度とお前を苦しませない。アスト…お前は大切な私の息子だ…」
蹲る俺を赤髪がギュッと抱きしめてくる。
赤髪の声が…匂いが…温もりが…俺の頭の中のモヤを晴らしてくれる…。
アストは俺の名前…そして目の前にいるのは…
父さん………
そっと顔を上げ目の前にいる父さんを見つめると、父さんは涙を溜め潤んだ瞳で俺を見つめ微笑みかけてくれる。
「グヴァァ……」
「アスト…。あぁそうだ。父さんだよ…」
父さん…父さん…父さん!
胸は熱くなり俺は頬を涙で濡らし父さんへと腕を伸ばした。
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